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安平町

発泡スチロールの可能性はまだ続く! (有)北海道プラテック20221226

発泡スチロールの可能性はまだ続く! (有)北海道プラテック

安平町の追分エリアにある「有限会社北海道プラテック」。広い敷地内に3つの棟を構える発泡スチロールの製造加工と販売の会社です。

実は、発泡スチロールの「加工量」に関しては道内トップ!

さまざまなニーズに応えようという柔軟な発想力と卓越した技術力で、発泡スチロールの可能性を拡げてきました。また、陸、空、海の物流アクセスの良い場所にあることから、輸送コストを気にする企業からも重宝されています。

今回はそんな同社におじゃまし、代表取締役の島田裕之さんに会社のこと、発泡スチロール加工のことなどを伺いました。発泡スチロールってそんなところにも使われているの⁉と、びっくりするような話も盛りだくさん。また、同社で製造主任を務めている国島優介さんにも仕事の面白さなどについてお話を伺いました。

分社し、独立。それによって仕事の幅が広がった

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北海道プラテックの前身は、帯広に本社がある上嶋工業株式会社の樹脂製品事業部でした。化学素材メーカーから、建築資材として用いる発泡スチロールのブロックを製造、加工してくれる業者を探していると話があり、事業部を立ち上げたのが始まりだったそう。

「僕はもともと建築系の大学を卒業した後、現場監督などの仕事をしていました。上嶋工業の当時の社長が大学の先輩で、発泡スチロールの製造加工の事業部を作るんだけど、よかったら一緒にやらないかと声をかけてもらい、それは面白そうだなと1990年の立ち上げから関わらせてもらいました」 そう話すのは、北海道プラテックの代表取締役を務める島田裕之さん。創業からちょうど10年経った2000年、上嶋工業から分社することになり、島田さんが北海道プラテックとして事業を継承します。

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「それまではほぼ一社とのお付き合いだけだったんですが、会社が分かれたことによって、ほかの建材メーカーや今まで関わることのなかった業界の方とも一緒に仕事ができるようになりました。仕事の幅が広がり、発泡スチロールのさらなる可能性を感じるようになりました」

建築や土木の資材として大活躍の発泡スチロール

北海道プラテックは、もともと建築資材としての発泡スチロールの製造加工を主に行ってきました。現在も住宅や建物の断熱材、気密材、グラスウールの表面加工などを手がけています。

私たちが普段利用している橋や道路にも埋設型の型枠で発泡スチロールが採用されているそう。建造物の軽量化のため、建築や土木の分野で発泡スチロールが使われているということにも驚きます。

また、私たちがよく目にする梱包、包装資材ももちろん製造加工しているそうです。 「発泡スチロールの原料はこんな小さな粒なんですよ」と島田社長が見せてくれたのは、中に発泡剤が入っているというポリスチレンのビーズ。

platecck4.JPGこちらが今にも飛んでいきそうな小さな粒のビーズ。

加熱して膨らませて、型に入れ、膨らんだビーズ同士を熱で密着させていくと、私たちがよく見る発泡スチロールになるそう。「空洞にならないし、半永久的に劣化することはない。そういう意味では建築資材や土木資材として用いるのに適した素材なんです」と島田社長。 この発泡スチロールをオーダーに合わせて製造・加工できる企業は道内では数が少なく、特にカット加工をメインにしているのは同社だけなのだそう。

platecck13.JPGあの粒子が集まり、こんな大きな発泡スチロールに!

島田社長は、「細かいオーダーの難しい加工や、微調整が必要なものは最終的にそのほとんどがうちに回ってきます」と笑いますが、それは同社が機械だけに頼らず、手作業で丁寧に加工を行っているから。熟練した技を持った職人たちが在籍している上、敷地が広いのでそれぞれの案件ごとに場所を設けられるという利点もあります。

ものづくりが好きな人には、とても面白い仕事

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仕事のやりがいや面白さについて伺うと、「実はみんなが知っているような大きな建物や公共施設の建築資材にうちの発泡スチロールが使われていたりします。資材は壁の中に入っているので表面的には見えませんが、そういう大きな仕事に関われるのは、やりがいや誇りにも繋がりますね」と島田社長。

室蘭沖に浮かぶ風力発電の羽の中芯も実は発泡スチロールでできているそうで、「今立っている半分くらいはうちで作った中芯を使っていると思います。羽のカーブに合わせて一つひとつ削っていくのは大変な作業なのですが、職人としてはやりがいのあった仕事の一つですし、作っていて面白かったですね」と振り返ります。

そして、「ものづくりが好きな人にはこの加工の仕事はすごく面白いと思います」と続けます。

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「発泡スチロールって、本当にいろいろなものが作れるんですよ。たとえば、マスコットキャラクターの大きな造形物やディスプレー用の装飾、キッズコーナーなどの仕切りと、本当にさまざまです。キャラクターの造形物は、大きな発泡スチロールを削り出し、形を整えたあとに水性塗料を塗っていきます」 そんな話をしている島田社長はどこかイキイキしているようにも見えます。

「これできる?」「こんなの作れる?」と聞かれると、挑戦してみたいとワクワクした気持ちになるそう。どうやったらできるのかを考えながら試してみて、ダメならまた作り直して...。そんな試行錯誤の時間も、ものづくりが好きな人にとっては楽しい時間のようです。 「うちは基本的にものづくりの会社だから、採用面接のとき、子どものころにプラモデルをつくるのが好きだった?って必ず聞いています」と笑います。ものをつくることの楽しさや喜びを知っている人なら、同社の仕事の面白さがわかるというわけです。

技術とマインドをしっかり継承していくことが大切

そんなものづくりの面白さに魅かれ北海道プラテックに入社したのが、製造主任の国島優介さんです。

入社6年目という国島さん、前職はシステムプログラムを作るエンジニアでした。 「形として見えるもの、残るものを作りたいと思って応募しました。ちょうど子どもが5、6歳のころで、コンピューターだけいじっている父親より、ものをつくれる父親のほうがかっこいいかなと思って(笑)」

olatecck9.JPGたくさんお話してくれた国島さん

手先が器用なわけではなかったそうですが、ものづくりの面白さや楽しさは知っていたという国島さん。「僕はちょっと頭のかたいところがあるのですが、実際に仕事をはじめて、想像していた以上に柔軟性が必要だし、いろいろな角度からものを見る視点が大切な仕事だと感じています」と話します。決まったものだけを製造、加工するわけではなく、日々いろいろな製品を加工。「あらゆるタイプの加工に取り組むので、最初はついていくのが大変でした」と振り返ります。 現在、職人やパートスタッフをまとめる立場でもある国島さんは、新しい加工の仕事が入ってくるとまずは自分がやってみて、それをスタッフに実際に見せながら伝えていくそう。

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「ほんの数ミリですが、季節や温度で発泡スチロールはサイズが少し変化します。納品時期などに合わせて、微調整が必要になってくるのですが、そこは経験値がものを言うところでして、今はそれを習得すべく日々頑張っているところです。前工場長からこれらも含めて技術を引き継いでいる最中なので、早く吸収し、誰に聞かれても工場のことがすべて答えられるようになりたいと思っています」

風通しの良い職場で、発泡スチロールの可能性を切り拓く

取材時、外の気温は10度前後でしたが、国島さんは半袖の作業着姿。「彼はね、冬でもこの半袖姿なの。熱い男なんだよね」と島田社長が言うと、「ただの暑がりですから!」と国島さん。真冬も半袖という国島さんには驚きですが、2人のやり取りを見ていると、その関係性の良さが伝わってきます。

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「僕は10年サラリーマンをやっていた人間なので、従業員側の気持ちも分かります。どうしても従業員と経営者の間に溝やギャップができてしまいがちなのですが、僕はそれが嫌なので、できるだけざっくばらんに話ができる風通しの良さを大事にしてきました」と島田社長。

北海道プラテックの働き方で驚いたのは、土・日・祝日が休みで、正月やお盆の休みも長め。年間の休暇日数は120日以上。さらに残業は年間で10時間あるかないかだそう。島田社長から「年間で」と言葉が出た瞬間、思わず「月ではなく、年間ですか?」と聞き返してしまいました。国島さんが「年間ですよ」と社長の隣でにこやかにうなずきます。

島田社長は、「家族がいる人は家族とゆっくり過ごしたいだろうし、プライベートな時間も大切だからね」とニッコリ。社員同士も仲が良く、コロナの感染拡大前は社員みんなでバーベキューをしたり、温泉旅行にも出かけたりしていたそう。「コロナでしばらく社員旅行に行けていなかったのですが、つい先日、東京ディズニーランドへ社員旅行で行きましょう!と社員から言われました」と笑います。

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「発泡スチロールの細かい加工はうちでしかできない仕事でもあるし、これを次世代にも継承していかなければと思っています。だから、国島くんのような若い世代の人たちに技術も引き継いでいってもらいたい」と島田社長。持続可能な社会のため、北海道プラテックでは自社で発泡スチロールのリサイクルも行っているそう。 「これからいろいろな時代の変化もあると思いますが、社員一人ひとりの創意工夫で会社を日々進化させていけたらと思います。発泡スチロールにはまだまだ新しい可能性があると思うので」と最後に語ってくれました。

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有限会社 北海道プラテック
住所

北海道勇払郡安平町追分弥生139-2

電話

0145-25-2311

URL

http://www.h-platec.com/index.htm


発泡スチロールの可能性はまだ続く! (有)北海道プラテック

この記事は2022年11月22日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。