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このまちのあの企業、あの製品
北見市

留辺蘂のために奔走!地元愛あふれる女性社長。(株)エフゾーン20220711

留辺蘂のために奔走!地元愛あふれる女性社長。(株)エフゾーン

父が興した地元企業。タイヤのパンク修理からはじまり、レストランも

北見市の中心部から車で30分ほどの場所にある、留辺蘂(るべしべ)。自然に囲まれ、美肌の湯として名高い温泉も湧き出しています。2006年に北見市と合併するまでは「留辺蘂町」という一つの町でした。そこで生まれ育った女性社長が、地元を盛り上げるために様々な取り組みを行っています。

お話を伺おうと留辺蘂へ向かい、到着したのはちょうどお昼頃。地元の人で賑わう「レストラン エフ」でランチをいただくことにしました。お店に入ると出迎えてくれたのが、はじけるように明るい笑顔の女性。エフゾーン社長の古田亜由美さんです。早速、おすすめの「ハンバーグドリア」と「オホーツク北見塩やきそば」を注文し、いろいろとお話を伺うことにしました。

留辺蘂で代々農業を営んできた古田家。高度成長期には乗用車やトラックが留辺蘂を通るようになりますが、砂利道でタイヤがパンクしてしまうことが多かったといいます。そこで古田さんのお父さんが、道路沿いにパンク修理店を立ち上げました。続いてドライバーたちが休めるようドライブインを開業、レンタカー事業もスタートします。ドライブインはやがて地元の人達に愛される現在の「レストラン エフ」へと変わり、現在はバス事業も行う「株式会社エフゾーン」へと成長しました。古田さんはそこで二代目社長を務めています。

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ドライブインからスタートした「レストランエフ」。トラックを何台も停められる広い駐車場を備え、隣にはタイヤ販売のプロショップがあります

神奈川の音大に進学、音楽とファミレスバイトに明け暮れた青春

初代社長の娘である古田さんは、留辺蘂で生まれました。3人全員がピアノを習う音楽姉妹として育ち、中学・高校では吹奏楽部に所属。サックスにのめりこむ日々を送ります。そしてついに難関である音楽短大に合格!神奈川県のキャンパスで音楽漬けの青春を送ったそうです。

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愛用のサックスとともに。いまもプレーヤーとして演奏会、コンサートなどで活躍中です!

「首都圏での生活はとてもきらびやかで楽しかったのですが、お金がないとひもじいんですよね...。音大は費用が高いので、私自身も昼間はずっと大学でサックスの練習、夜はひたすらアルバイト。睡眠時間がほとんどない時期もありましたね」

古田さんがアルバイト先として選んだのは、ファミリーレストランでした。

「実家のレストランを継ぐことはまったく考えていなかったんですが、アルバイトをするならファミレスで、と思ったんです。色々見て覚えよう、技術を身につけてやろうと貪欲に取り組みました」

音楽・アルバイトともに全力で打ち込んで、ついに音大の専攻科まで卒業。東京での就職も模索しますが上手くいかず、留辺蘂へ帰り実家の事業を手伝うことになりました。

留辺蘂へUターン。実家のレストランで地元食材をフル活用!

こうして留辺蘂に戻った古田さんは、早速レストランでパワフルに活躍します。

「首都圏でのアルバイト経験からすると、実家のレストランは食器の持ち方からオペレーションまであれこれ物申したいことだらけ。初めからビシバシ仕切ったので、当時のスタッフにとってはイヤだったでしょうね(笑)当時、うちのレストランには料理専門のスタッフがいて、とてもおいしい料理を作ってくれていました。そこでその味をレシピ化してもらい、皆が同じ味で作れるようにしたんです。いまも看板メニューである『ハンバーグドリア(ハンドリ)』のホワイトソースも当時のレシピそのままなんですよ」

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地元で長年愛される「レストランエフ」のハンバーグドリア(ハンドリ)。本格的な洋食の味わいです

こうして、父の後を継ぎ「株式会社エフゾーン」の二代目社長となった古田さんは、レストランエフのメニューにも新しい風を吹き込んでいきます。

「2006年に留辺蘂町が北見市と合併、翌年に合併記念メニューとして『オホーツク北見塩やきそば』が開発されました。うちのレストランでいまも人気のメニューです。当時のB級グルメブームに乗って、干し貝柱をつかった塩ラーメンやあんかけ焼きそばなど新たな料理が次々と生まれたんです。いまはオホーツク干貝柱料理推進協議会の主催で、干し貝柱を使った塩ラーメンの親子料理教室も行われていますよ」

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オホーツク北見塩やきそば。オホーツク産のホタテ、北見産の玉ねぎなど地元の素材がもりだくさんの逸品!

さらにレストランエフでは独自に地元の特産品を活かしたメニューも生み出します。留辺蘂の特産品である白花豆を使ったメニューは天ぷら、コロッケ、そしてモンブランと多彩!白花豆をメニューに取り入れた理由を尋ねると、

「留辺蘂の白花豆の農家さんや地元の有志が集まって結成した『るべしべ白花豆くらぶ』に私も参加しているんです。日本一の生産量を誇る留辺蘂の白花豆を料理・栽培・観光を通して盛り上げていこうと、料理やスイーツの開発も行っています」

豆の自然な甘さが引き立つ「白花豆天ぷら​​」などの料理メニューのほか、そのまま食べられる白花豆のパウチなど商品も開発

地元の人々の「足」として、暮らしを支えるバス事業

レストランと同時にエフゾーンの柱であるバス事業は、観光のための貸切バスからスタートしました。いまでは市から委託を受けた路線バス、スクールバスや、近隣工場へのスタッフ送迎バスなど、「留辺蘂の足」として交通を支えています。
バスドライバーさんにとっても、送迎バスやスクールバスは運転時間が比較的短く、働きやすい業務だといいます。朝に送ったあと、夕方迎えに行くまでの間は休息が取れるので体の負担が少ないのだそう。毎日接する乗客や子どもたちとのあたたかい交流も、やりがいのひとつです。


2020年からのコロナ禍で、レストランや観光バス事業には大打撃を受けましたが、生活に密着した送迎バスやスクールバスの仕事は途切れることなく続きました。これまで地元の交通を支えてきたエフゾーンを、今度は地元の暮らしが支えてくれる形になったのです。

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「留辺蘂ロゴ」ラッピングのバスが道を走り、地元をPRします


留辺蘂を盛り上げ、魅力を世界に発信したい

バスをラッピングする「留辺蘂」ロゴも、古田さんの発案で生み出されたもの。PRのためメディアへ出演も多数こなすなど地元のために力を尽くしています。その理由を尋ねると

「本州から帰ってきて、初めて留辺蘂の魅力に気付いたんです。さらに、母に勧められて参加した青年会議所(JC)の影響も大きいですね。皆さん『我が町』のため懸命に取り組んでいるんですよ」

また、お父さんに背中を押されて参加したのが東京農業大学オホーツクキャンパスの「オホーツクものづくり・ビジネス地域創成塾​​」。そこで地元の素材を活かした商品作りやブランディングを学ぶうち、古田さんは「自分のやりたいこと」に気付きます。

「留辺蘂を盛り上げることこそが、自分がやりたいことだとわかったんです。地元が元気になることが自分たちの事業の活性化にも繋がるんですね」

そこでまず作ったのが「留辺蘂」ブランドのロゴだったのです。そのロゴを、町を盛り上げるために皆が使えるようにしました。もちろん、レストランエフのユニフォームや商品パッケージなどにも活かされています。
さらに「地元の生産者さんがつくる素材のすばらしさや、生産者さんの想いを伝えたい」と地元の素材を使った商品開発にも力を入れます。「ブラウンシュガープリン」もそんな開発商品のひとつです。
2022年4月からは振興局の声掛けで「地場産たくさん オホーツク弁当(オホ弁)」のプロジェクトに参加。ホタテ、さくらます、白花豆、玉ねぎなど地元の美味が詰まった「オホーツク彩り弁当」を販売しています。

ブラウンシュガープリンとオホーツク彩り弁当。いずれも地元オホーツクの食材をふんだんに使っています


首都圏から地元へUターンした若い二代目が、いまや産学官協働し活躍するキーパーソンとなりました。自らの音楽経験を活かしてコンサートを開催したり、レストランで「宅配カー」を導入、高齢者へ食事を届けるなど、留辺蘂のための取り組みは多岐にわたっています。

「コロナが収束して観光のお客さんが戻ってきたら、バスでお客さんを迎えて、レストランで地元素材を使ったおいしい料理を提供し、音楽のコンサートで心潤う時間を共有したいですね。『人々が集う場所』を留辺蘂に築いていきたいです。また、留辺蘂をはじめとするオホーツクの食材を使った加工品をもっと広めたい。留辺蘂の魅力を全国、世界の方に知って頂きたいと思っています」

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おいしい料理、美しい音楽を供するしなやかさと、なにごとも成し遂げる粘り強さを兼ね備えた古田さん。彼女の瞳は、手が届く目標として、世界をしっかりと見据えていました。

(株)エフゾーン/レストラン エフ
(株)エフゾーン/レストラン エフ
住所

北海道北見市留辺蘂町旭西220

電話

0157-42-4574 (レストラン)

URL

https://www.efzone-rube.com/


留辺蘂のために奔走!地元愛あふれる女性社長。(株)エフゾーン

この記事は2022年4月21日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。