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北海道は札幌市の中でも、北区にある新琴似エリアにやってきました。多くの商店が並ぶ「四番通り」と呼ばれる大きな通り沿いに、新緑をイメージしたという緑色がひときわ目立つ建物がありました。
まもなく2023年に30周年を迎えようとしている平安警備保障株式会社。その名の通り、警備の会社です。札幌市北区新琴似という地元に拠点を設け、市内全域の交通警備を担っています。
こちらが平安警備保障の外観です!
現在の社長、嶋田洋介さんはお父様から継いでこの会社を担う2代目の若き社長です。
「夢を叶えるための準備期間として、うちで働いてほしい。ここを踏み台にして、ステップアップのために使ってほしい」そう話す嶋田さんに、会社としての想いをじっくり聞いていきました!
異業種から、警備の世界へ
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嶋田さんの母方のおじいさまが京都で警備の会社をしており、のれん分けをしてもらったのが平安警備保障の始まり。社名の「平安」は、京都のまちの名前から来ていると聞いて納得です。
もともと継ぐ気はなかったという嶋田さんですが、大学生の時にはこの会社で警備の単発アルバイトの経験もされたそう。
「ひたすら外での仕事で現場仕事ってしんどいなぁという印象だったなぁ」と当時を振り返ります。
嶋田さんが当時警備の仕事に対し、こういった思いを抱いていたのと同じように、多くの人がマイナスのイメージを抱きがちな業界でもあります。
「警備の仕事って『しんどいもんなんだ』って気持ちがあるからこそ、対価や福利厚生が今のままでいいのか?という疑問を持っていました。もっと評価されるべきだと。しんどいからこそ、それなりの対価や福利厚生じゃないと、頑張れないですよね?」
制服も緑色。まちでこの制服を見かけたら、平安警備保障の方かも!
嶋田さんは大学卒業後、アミューズメント会社にて8年程勤務。マネージャーという責任者にまでのぼりつめましたが、30歳手前にして「このままこの会社に居続けて良いのだろうか?」と一度立ち止まります。
30歳という区切りの良いタイミングで、新しいことに何かチャレンジがしてみたい...そんな時にふと思い浮かんだのが、お父様の会社でした。
「親父からは特別、後を継げと言われたこともなかったんです。でも、心のどこかで興味はあった」
単発で警備のアルバイトをしていた時に抱いた、警備業に対する対価や福利厚生といった制度、ネガティブイメージ、そういったところを全面的に変えていきたい、そんな強い想いを持って、新卒で入社した会社を退職し、平安警備保障の門をくぐります。
だれかの夢を応援することが好きな社長
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行動派な嶋田さんが社長となり、どんどん制度を変えていく革新が始まります。具体的にどんなことを変えていきましたか?と聞いてみると...
「今まで給与はみんな一律で同じだったんですが、評価制度をつくり、しっかりと頑張りが反映されるような仕組みづくりをしたり、勤務形態をどんな人でも働きやすいように整備したり...」
...手がけた改革の内容が次から次へと出てきます!
「勤務シフトを、8:00〜17:00っていうフルタイムだけでなく、8:00〜12:00や、13:00〜17:00など、主婦の方や、大学生も短時間だけ働くということができるようにしました」
警備業界では、フルタイムでの勤務が多い中、珍しい取り組みかもしれません。
社内にも現場スタッフを支える社員がいます!
「ほかにも、現場から自宅への送迎もしますし、今まで日給制が基本だったところに、あえて月給制も取り入れてみました。今いるスタッフにも、月給制を選んでもいいよと伝えたのですが、バイタリティ溢れるスタッフは、日給制の方が場合によっては稼げるからと言っていましたが(笑)」と笑います。
車がなくて現場に行けない方、どんな方でも働けるようにといったサポートをはじめ、給与形態など、スタッフが働きやすいように、生活しやすいようにと選択できる制度を新に設けました。
このように、スタッフのことを考えた制度を取り入れているのは、「人の夢をサポートしたい」という社長の熱い想いから...。
「僕自身、高校生の時も、大学生の時も、何の夢も持っていなかったんです。だから、そういう人にはぜひ、まずはうちの会社に来てほしい。ここで働く時間を、夢を見つける時間に充ててほしい。言い方は悪いかもしれなけど、うちを踏み台にしていっても構わないって思ってます」
やりたいことも、夢もないけど、生きるためには働かなくてはいけなくて...そういう人が来てほしい、そう話してくれました。「とりあえず警備の仕事をやってみて、もしかしたらこのお仕事の楽しさに魅了され、この道で頑張っていくことになるかもしれない。それはそれで良いと思う」と嶋田さんは言いました。
「もしそれで、やりたいことが見つかったとか、夢があってそれを叶えるまでの繋ぎとしてうちで仕事をしているとか、そういう人には会社としてサポートできることはないか考えていきたいって思っています。例えば、YouTuberになりたいって子が入ってきたら、研修室で撮影してもいいよって場所を提供したり、使えそうな備品用意してあげたりとか!(笑)」
自分が夢を抱くよりも、誰かの夢を応援することの方が好き、と話す嶋田さんの表情は、とてもイキイキ、楽しそうでした。
こちらがその研修室。
もちろん警備の仕事は大変です
そもそも警備といえば「大変・危険・厳しい」なんてイメージが先行しがち。でも、警備のお仕事をしたことがない人にとって、それはなんとなくのイメージでしかなく、具体的に「何が大変なのか、危険なのか、厳しいのか」という部分は不透明なはず。そこをクリアにできれば、警備の仕事をする想像がしやすいのかもしれません。
「基本的に仕事の持ち場は工事現場なので、それはつまり道路に立つということ。車がよく通る道は、時に恐怖を感じる人もいます。でも、そういった車との接触事故が起きないように、現場では待避場所などもしっかり作った上で交通整備をしているので実はちゃんと安全は確保されてるんです」
管理スタッフも巡回を重ね、そういった危ない現場になってないかのチェックもしっかり行っています。
警備に欠かせないグッズです!よく見かける警備棒は、平安警備保障内ではその見た目から「にんじん」と呼ばれているのだとか。
夏の暑い日や、冬の寒い日...外での勤務は、その日の天気によっても左右されます。勤務場所が工事現場ということもあり、どうしてもスタッフ同士声が大きくなってしまったり、口調がキツいと感じてしまう人もいるかもしれません。
ただ、スタッフ想いの嶋田さんはそこにもしっかりと気を配っています。
「基本的に、いつも管理スタッフが巡回して現場を回ります。夏の暑い日には、凍ったジュースと塩飴を配ったり、その時にスタッフの不安や不満を話せるよりどころをつくろうとしています。正直、ベテランからの口調がキツいに関しては危ないからという想いで伝えているからこそなんですが、伝え方や受け止め方の問題でもあるので、そこを巡回時にフォローしています」
ほかにも、入社してからの研修もプログラムとしてしっかり組まれているのも安心のひとつ。座学での研修を経て、実際に現場に行く時は、研修を担当した管理スタッフが絶対についてきてくれるのだとか。手厚いサポートが感じられます。
社長の席の隣にはいくつものビジネス書が並んでいました。社長も日々勉強中です。
警備のイメージを変えていきたい
平安警備保障では、SNSの活用にも力を入れています。InstagramやFacebookなどで、若手スタッフの紹介や、嶋田さんオススメのラーメン情報まで掲載中!(笑)
こちらがそのインスタです!
「社内では長く働いてくれる人も多く、それは平均年齢がどんどん上がっているということでもあります。5年10年先のことを考えたら、若い人を主体にしていかなくてはいけないと思っています」
こうしたSNSを活用している理由としては、若い世代に、平安警備保障という会社を知ってほしいから。知ってもらうことが第一歩。
面接に来られた方にも、よくある面接の質問をするのではなく、嶋田さんから会社説明をする時間になるのだとか。
「よくある面接スタイルじゃなくて、むしろ『待ってました!来てくれてありがとうございます!うちはこういう会社なんです、聞いてください!』っていうスタイルです(笑)」
働く時間は人生において貴重な時間。そんな時間を無駄のないように、しっかりと評価してくれるのが平安警備保障。
若い社長が見据える未来は、警備業を誰もが憧れる、カッコイイと評価される職業にすること。
夢がない人、夢がある人、どんな人でも働きやすい環境を目指して、今日も嶋田さんは突き進みます!
2020年マラソンの会場となった札幌の警備を担当した時に表彰されたもの!
- 平安警備保障株式会社
- 住所
北海道札幌市北区新琴似7条13丁目4-21
- 電話
011-762-3388
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