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七飯町

七飯町からエコで美味しい野菜を。株式会社アプレ20220331

七飯町からエコで美味しい野菜を。株式会社アプレ

大沼のほとり、美しい駒ヶ岳を望む北海道七飯町。湖畔から少し林の中に入ると、大きなハウスが建っていました。ここでルッコラ、パクチー、クレソン、ベビーリーフ、サラダ菜、ほうれんそうなどを生産しているのが、株式会社アプレです。

洗わずに食べられる無農薬のクリーンな野菜

apure_002.JPG明るくキレイなハウスの中には、緑の葉物野菜がたくさん!
案内してくれた亀井さんもオシャレです

厳しく衛生管理されたハウスの中を見せて頂くと、多数の葉物野菜が青々と育っていました。案内してくれたナレッジ・マネジメント部の亀井博文さんにお話を聞くと
「土を使わず、養分を入れた水で育てる『養液栽培』を行っています。農薬はまったく使っていないのでこのまま洗わずに食べられますよ。どうぞ試してみてください」
と目の前でパクチーを摘んでくれました。口に入れるとふわっと爽やかな香りが広がり、パクチー独特のクセやえぐみはありません。
「肥料などの調整で食べやすい味を実現しているんです。ハウスの温度、湿度、養液温度、光量、CO2量、風などすべてAIが自動で制御しており、日照時間が足りない場合はLEDで補っているんですよ。ただし、収穫は手作業。機械で収穫すると傷みやすくなるので、うちでは人の手で丁寧に摘んで選果しています。収穫後はすぐに冷やすので長持ちするんですよ」と亀井さんが胸を張ります。
そこへ、昼休みを終えたスタッフさん達が戻ってきました。機械も使いながら、慣れた様子でてきぱきと包装していきますが、よく見ると葉を扱う作業などは手で丁寧に行っています。
温度・湿度が管理された工場内で、腰を屈めることなく収穫し、選果・包装は椅子に座って行う。まるでオフィスワークのようで、これまでの「農業」のイメージとはまったく違うことに驚きます。

apure_003.JPG適温に保たれ、衛生的な工場内での作業は、まるでデスクワークのよう
apure_004.JPG機械やデジタル技術で手間を減らしつつ、大切なところは手で丁寧に

DXで作業の負担を軽減し、トレーサビリティも実現

アプレでは野菜の生産管理もデジタル化、いわゆるDXを推進しています。野菜は発芽した段階でラベルを添付して、生育データを管理。ラベル内のQRコードをハンディ端末で読み取ると、収穫日時や収量などが示されるシステムを構築しました。野菜の生育をデータ化することで在庫管理を手軽で確実に行うことができ、伝票なども簡単にプリントできるので手書き作業に比べミスが軽減できたといいます。また、このシステムにより業務の効率化のみならず、野菜の発芽から流通過程まで追跡できる『トレーサビリティ』も可能に。食の安全が問われる現代のニーズをしっかりと掴んだ取り組みなのです。
亀井さんは機械・技術系の仕事経験もあり、アプレではDX推進の一翼を担っています。社長の髙橋廣介さんによると
「人員削減のためのDXではなく、働く人の負担を減らすDXを目指しています。腰を屈めてヘトヘトになるまで作業するのでは長く続けられない。これからは農業もデータを採って科学的に行い、効率を上げていくことが必要です。そうして地域に根ざし、雇用を生み出すのが我々の役割だと考えています」
現在、アプレのスタッフは正社員10人、パートさん9人。本人が希望すれば、パートから正社員に切り替えているそうです。

apure_005.JPGスマホのように手軽に操作できるハンディ端末を開発
apure_006.JPGすべての野菜にタグを添付。QRコードをハンディで読み取ることで、在庫を把握したり伝票を印刷することもできます

アプレの「養液を捨てない栽培」は、海外でも

さらに、アプレの養液栽培の大きな特長として、養液を捨てずに、養分や酸素量などを管理した上で循環使用していることが挙げられます。
「コスト的には養液を捨てて新たな養液に入れ替える方が安上がりなのですが、それでは環境に大きな負荷が掛かります。農業廃水は水質汚染の大きな原因になっており、世界では厳しく制限されているんですよ。アプレではたとえコストがかかっても、環境を守り持続可能な農業に取り組んでいます。また、養液を捨てないからこそ、生育時期をずらして栽培することが可能になりました。また、これまで多品種を同じ養液で栽培するのは難しかったのですが、養液を循環することで実現し、常に採れ時のバラエティ豊かな野菜を出荷できるようになりました。こうした独自の技術は海外からも引き合いがあり、ドバイなどに技術提供を行っています」と髙橋社長。
国際的に認められる技術が、七飯町から生まれていたのですね。

apure_007.JPGこのように、違う種類の野菜を同じ養液で同時に栽培できるのもアプレの技術があればこそ
apure_008.JPGコストのみならず環境への配慮を重視し、持続可能な農業を実践する髙橋社長

七飯町から全国へ、世界へ。新たな販路を切り開く

七飯町の森の中というローカルから、世界への技術提供というグローバルな展開まで行うアプレ。新しい技術や、これまでになかった販路・販売方法など、ユニークなアイデアはどこから生まれるのでしょうか。髙橋社長が東京出身でかつてコピーライターをしていたと聞き合点がいきました。
「これまでの事業の集大成として農業をやりたい、と思ったんです」という髙橋社長。現在、千葉と七飯の2拠点生活を送っており、最近は1年の大半を七飯で過ごしているそう。
函館出身の亀井さんをアプレに引っ張ってきたのも髙橋社長です。DXのみならず、自慢の野菜をよりマッチする層へ届ける販路開拓にも、亀井さんは精力的に取り組んでいます。
「現在は道の駅等で野菜を販売していますが、今後はいままでになかったまったく新しい販路を展開する予定です。ターゲットは美容に興味がある女性。美と健康はつながっていますから、健康に良く美味しい野菜のニーズがあるはずです」と髙橋社長。
そういえば亀井さんはとてもファッショナブルで、美容師さんかアパレルのスタッフさんのようですね、と話を向けると
「取材があるからと、彼は昨日パーマをかけてきたんですよ。僕の頭では真似できないから悔しいね」と社長が笑います。髙橋社長が亀井さんに全幅の信頼を寄せている様子と、それを受けて亀井さんがいきいきと活躍する姿がとてもまぶしく見えました。

美しい大沼や駒ヶ岳を眺めながら、環境にも働く人にも優しいクリーンな野菜づくりを推進するアプレ。DXと技術革新で日本はもちろん世界までも視野に入れて働ける、そんな最先端の企業が、七飯町にありました。

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株式会社 アプレ
株式会社 アプレ
住所

北海道亀田郡七飯町東大沼175-1

電話

0138-83-8341

URL

https://www.apure.co.jp/


七飯町からエコで美味しい野菜を。株式会社アプレ

この記事は2022年3月16日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。