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札幌市

暮らしやすさ、働きやすさが高い技術へ。株式会社バーナードソフト20220322

この記事は2022年3月22日に公開した情報です。

暮らしやすさ、働きやすさが高い技術へ。株式会社バーナードソフト

IT企業は東京に拠点を持つ会社が多いですが、札幌にも高い技術で新しいサービスを発信する会社があります。その会社、株式会社バーナードソフトは上場ベンチャー企業出身で「札幌に残りたい」と願った社員で創業。リモートワークにも業界に先駆けて取り組むなど社員が働きやすい環境を整え、精力的に開発に取り組んでいます。

「札幌に残りたい」と上場企業から独立

株式会社バーナードソフトは、2014(平成26)年に創業した新進気鋭のIT企業。創業メンバー15人は、もともと札幌を拠点としていた上場ベンチャー企業の技術者でした。会社が東京に拠点を移し、札幌の事業所を撤退させることになったのを機に、苽生淳史社長を中心に会社を立ち上げることに。

「Uターン組など『札幌に残りたい』という思いが強いメンバーで、15人集まればやっていける技術力もあったため、独立を決意しました」と苽生社長。自身は岩見沢市出身で、札幌の大学を卒業後は東京のメーカーでIT部門を担当していました。仕事はやりがいがあったものの、人や建物が多く忙しない東京に住むのは辛かったといいます。

そこで思い切ってUターンを決め、札幌のIT企業に就職。その会社が吸収合併してできたのが、前職の上場ベンチャー企業でした。

BarnardSoft_4.JPGこちらが苽生淳史社長です

「地方出身者は、引退したら地元に戻る人もいるからそれでいいんじゃない?と言われましたが、今の会社を一緒に立ち上げた15人は『北海道が好き』という気持ちが強かったメンバーです。本州と地続きでないことや、人の温かさなど、どこか北海道は特別に感じているんでしょうね」

札幌に残ったメンバーの得意分野は、前職時代から長年携わってきたVoIP(インターネット上の音声通話)の技術開発。電話はどんな時でもつながることが求められるため、特に正確性が求められる分野です。高い技術力でクライアントの期待に応えてきた同社では、関西の大手通信会社などのシステム開発を担っています。

技術を支えるのは、働きやすい環境

バーナードソフトの技術を支えているのは、社員が働きやすい環境です。フレックス勤務を採用し、社員の平均残業時間は月20時間です。

「私たちの仕事は頭脳労働なので、脳が疲労していても外見からはわかりません。2時間集中して取り組んだらものすごく疲れているということもあります。そこで、仕事に集中する時は集中し、納期と品質さえ守れば勤務時間中に気分転換もOK。残業もできるだけせず、規則正しい生活を送ってもらうことを重視しています。そうすることで効率が上がり、良いものを作ることができます」

社員25名のうち、9割が技術者だからこそ至った発想です。
リモートワークの導入も、コロナ禍の前から準備を進めていました。完全リモートではなく、コミュニケーションが必要な場面では対面で話した方が効率的であると苽生社長は考えており、社員はリモートと対面とを場面に応じて使い分けています。

BarnardSoft_6.JPG2021年には事務所を現在の毎日札幌会館へ移転し、広々とした社内でみなさんお仕事をされています

ITに強い新卒社員も積極的に採用

そうした環境もあってか、若手社員の採用が順調に進んでいます。創業当初の平均年齢は40代後半でしたが、若返りを図ってきたのには理由があります。クライアント企業にシステムを入れると、その後10年以上にわたって使われることがほとんどです。10年経った時も安心してクライアントに利用してもらえるように、まずは10年後に中心となって活躍できる若手社員の採用を創業当初から積極的に行ってきたのです。

「会社に関わってもらった以上、社員には幸せになってもらいたいんです。自分がいなくなったら終わりではなく、入社してくれた社員が将来は自分たちで会社を担い、働き続けられるようにしたいと思っています」

営業部に在籍する丹羽春奈さんも、次世代の会社を担う若手のメンバー。長野県出身で、東京で働いていましたが、都会を息苦しく感じていました。ずっと憧れていた北海道に来たいと2020年2月にバーナードソフトの求人に応募、採用となり移住したのです。

BarnardSoft_14.JPG取材当日、苽生社長と一緒にお話を聞かせてくださった丹羽春奈さん

「住んでみると、やはり札幌はいいですね。周りに自然がありますが、そこそこ都会。人が多すぎず、せかせかした感じがしないのも居心地がいいです。長野県出身なので、雪も平気でした」

物心ついた時からデジタル環境で育った若い人の感覚も会社の力になると考え、新卒の採用も創業6年目の2019年から開始。若い世代の感性を尊重し、技術と経験を持つベテランがアドバイスを加えることで、会社の強みが発揮されています。
丹羽さんは前職で人材採用を担当していた経験から、バーナードソフトでも新卒採用を担当。「丹羽さんのおかげで良い社員が採用できた!」と苽生社長も喜んでいます。

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現場の「音」で異常を検知するシステム

そんな働きやすい環境で、バーナードソフトが開発し注目されているすごい技術があります。その名も「S-Kaleid(エスカレイド)」。現場の「音」をモニター上に可視化し、異常を見つける「リアルタイム音監視システム」です。AIに音を学習させ、正常時と違う音を検知したら視覚的にわかるようにするというものです。

例えば、生コン工場で製造するコンクリートにはさまざまな種類がありますが、用途によって求める硬さが違うため、分量と練る時間を変えています。ベテランの職人はできたコンクリートの硬さを、仕上がって落ちてくる時の音で判別できます。これをS-Kaleidに覚えさせることで、無人で品質を監視することができるようになりました。

BarnardSoft_2.JPGこちらが実際のS-Kaleid。思っていたよりもかなり小さく驚きました!

S-Kaleidの特長は、現場で使えることを重要視し、現場の正常時の音をAIに学習させるという点。他社が開発した監視システムでは異常音を多数覚えさせていましたが、研究室で覚えさせた音ではいざ現場で監視する際に条件が変わるため、異常音としてうまく検知できません。S-Kaleidも異常音ではない音を検知してしまう場合もありますが、その時は「これは異常音ではない」と覚えさせれば、それ以降は検知しなくなります。
また、複数箇所の音を同時に監視できるのも、VoIPで高い技術を培ってきた同社ならでは。もともと、電話がつながっているか、音が伝わっているかなど、通話を監視する技術がベースとなっています。

BarnardSoft_7.JPGグラフの中で赤い部分が異常音を検出しているケース

技術と技術を合わせて次のアイデアに

S-Kaleidができたきっかけは、創業当初から携わっていた火山噴火の映像監視でした。マスコミのニュースソースとして噴火の映像を送るというものでしたが、「噴火する前に音で感知することはできないか」と尋ねられました。その時は技術的に難しい注文でしたが、後に音声通信の技術を使った新たな製品開発を考える時のヒントとなり、S-Kaleid誕生に至りました。

まだ新しい分野なので、導入できる現場は未知数。展示会などに出展し関心を持った企業で試験運用し、現在は発電所や工場などで導入されています。これから活用できる可能性はどんどん広がっていきそうです。
また、現在は新しく、音をベースとして振動、温度、電流と複数の要素を合わせて監視するシステムを開発したところです。というのも、機械が故障する際は音を発しますが、その前には異常な振動があったり、温度や電流にも変化があるものです。そこで、複数の要素を使うことで故障をより早く検知できるシステムを実現させています。

BarnardSoft_3.JPGシングルボードコンピューターの「Raspberry Pi」が基板となっているそうです

S-Kaleidの他にも、若手社員が中心となったシステム開発も進んでいます。AIを使って電線に雷が落ちた跡を見つけるシステムがその一つで、新卒3年目の社員を中心にプロジェクトを遂行。電線の微細な形の変化を高い精度で発見でき、必要な箇所がすべて検知できる理想的な状態が実現できました。

「当社では、プログラムを作って思い通り動いた時の『やった!』という喜びを大切にしています。『仕事だから』という感覚を超えて喜びを感じられることが大切だと思います」

自分たちが持っている技術と技術を掛け合わせて何ができるか。冷蔵庫にある物を使っておいしい料理を作るかのごとく、アイデアが生まれていきます。

BarnardSoft_10.JPG社内には若い世代の社員の方々が多数いらっしゃいました

北海道の環境から良い仕事が生まれる

休日のプライベートな時間を確保できるのも、バーナードソフトの働きやすさです。丹羽さんは、もともと趣味だった登山を札幌近郊で楽しんでいます。

「近くで登山が楽しめるのもうれしいですし、東京とは比べ物にならないくらい安価で広い家に住むことができるので、家にいるだけでもリフレッシュできます。そこも北海道のいいところですね」

一方、苽生社長も登山が趣味で、熊鈴を鳴らしながらソロ登山も楽しむ本格派だとか。また、バイクも趣味でオンロード、オフロードを所有し、道内各所を回っているそうです。

プライベートでも北海道を満喫し、暮らしやすい、働きやすい環境に社長をはじめ社員も身を置いているからこそ、次の時代に活かせる技術が生まれていくのでしょう。

BarnardSoft_9.JPG最後に創業時のメンバーでパシャリ!

株式会社バーナードソフト
株式会社バーナードソフト
住所

北海道札幌市中央区北4条西6丁目1番地 毎日札幌会館7階

電話

011-776-6738

URL

https://www.barnardsoft.co.jp/


暮らしやすさ、働きやすさが高い技術へ。株式会社バーナードソフト

この記事は2021年10月1日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。