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このまちのあの企業、あの製品
新ひだか町

業界イメージも変えていきたい、若い社員と共に。幌村建設(株)20211104

この記事は2021年11月4日に公開した情報です。

業界イメージも変えていきたい、若い社員と共に。幌村建設(株)

こんなに若者が目を輝かせて働く素敵な会社があるなんて!という北海道の新ひだか町にある企業を今回はご紹介します。

会社名は「幌村建設株式会社」さん。「建設」と社名につくものの、土木工事を主とした事業を地域で展開しています。...と、ちょっと待って下さい。「建設・土木」というキーワードだけで、スルーしてしまっているみなさん。難しそう?自分には興味ないかな?そんなことを思ってしまうみなさんにこそ、改めて深く知って欲しいと思います。特に現場で働く若者の声を!

北海道だけでなく、日本全国をみても、どんな地域にもある業種のひとつ、「建設・土木」の業界。全国大手から地場中小企業までさまざま。規模やジャンルもかなり細分化されていて、全ての企業にそれぞれの個性があります。そんなに身近にたくさんある業種で、バラエティも豊かでありながらも、一様に業界のみなさんが言うのは「人出不足」。そこにはスコップひとつで永遠と土を掘り続けるというような仕事のイメージが先行し、そのイメージのまま知ろうとしない人々が多いということも一因となっているかもしれません。

取材にうかがったのは、新ひだか町の隣に位置する新冠町の山側にある工事現場。震災や台風・大雨被害─起こってしまった災害からの復旧。誰かがやらなくてはいけない仕事。その被害の跡を必死に直し続け、これからまた起こるかもしれない災害に備える工事を行っていました。世の中に、地域に、本当に必要な仕事をしているみなさんの想いを今回は知っていただき、少しでもイメージが変わっていただけたら嬉しいです。特に今回は地元高校出身の若者社員のみなさんに集まっていただけました。高校生にも、そして親御さんにも情報が届くことに期待しています。

地域と共に60年。幌村建設って?

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まず会社全体について、総務部次長・業務部次長の橋本 祐樹さんにお話しをうかがってみます。

そうそう、取材現場に行くのにも、住所を言われても行けないような場所。現場近くの田園風景豊かな簡易郵便局前で待ち合わせをして案内してくださいました。土木会社の次長さん!と聞くとちょっと強面な人をお会いする前に想像していましたが、とっても優しそうな笑顔で口調も穏やか。すぐにいろいろとお話しを聞いてみたくなりました。 ご案内いただいた現場は、どうやら川に関わる工事をしている様子。ここはどんな作業現場なんでしょう?というところから聞いてみます。

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「ここは砂防ダムを整備している現場なんですよ」と橋本さん。

砂防ダム?砂防?さぼう?ん?となっている取材陣に「正確には砂防堰堤(さぼうえんてい)といって、河川に設置するダムの一種です。直線的に流れている川に、小さなコンクリート製のダムを流れに沿って何段もつくっていくことで、大雨が降ったときにそのひとつひとつの小さなダムが、勢いを弱める働きをすることで、土石流として一気に土砂が生活区域にまで流れてしまうのを防止するための工事なんです。このあたりでは前の大雨の時に被害があった地域でして、地域みなさんの安全を守るための工事なんです。かなり地滑りの多い地帯でもあるので大変なのですが、ずっと山の上から工事を下流にまで進めているところです」と説明してくれました。

山肌を流れる川に関わる工事で、道もないような場所に工事用の重機や機材を持ち込んで、安全に作業を行っていくことを想像すると、ものすごく大変で時間がかかるだろうことは容易に想像できました。

それよりも「幌村建設」という社名から、建物を建てる現場を想像していたので、そこも聞いてみます。

「そうですよね。『建設』と社名につきますけど、主軸となるのは公共事業を主体とした土木工事業が本業ですね。建物もないわけじゃないですが、割合は少ないんです。確かに、高校生のみなさんとかに社名だけどんな会社なのか考えてもらったら、違う想像しちゃうかもしれないですよね!」

トマチャナイ.jpg工事実績例)トマチャナイ川砂防工事(補正繰越) 平成30年度施工

さらに橋本次長に、今日に至るまでの過去についても教えてくれます。

「当社は昭和32年(1957年)に幌村組として発足しました。今から60年以上も前ですので、もちろん私も入社していません(笑)。先代の社長から、最初は新冠町(新ひだか町の隣町)の木橋(もっきょう:木製の橋)をつくったことをうかがっています。当時は半分農家をしながら半分建設・土木みたいな働き方が多かったそうで、時代を感じますね。それからも古くから災害対策・復旧などの公共工事主体でこれまで経営を続けている会社です」

60年以上前!木製の橋!今では想像もできませんが、商用トラックは普及しつつあるものの、日本の世の中はまだ馬車も使われている時代。ようやく二輪車、そして四輪自動車が一般の人々の生活に入ってきた転換期です。高度成長期と言われる日本が近代化していくことになる時代に会社が始まり、それと同時に道路工事も本格化し、公共事業が一気に広がっていった時代のようです。

新冠改良.jpg工事実績例)日高自動車道新冠町新冠改良工事 令和2年度施工

「当社はここの現場のように、長期に渡る大きな現場が多く、元請けの仕事がほとんどです。弊社の社員だけでなく、地元の下請け業者さんにもお願いしながら作業を進めています」

建設・土木業界のことを知っている方であれば普通のお話しなのですが、日本の場合、発注者から仕事を受ける元請け会社があり、元請け会社だけでは仕事を回せない場合に、さらにその配下に下請け会社に業務をお願いしていく構図になっています。大きな事業であれば、スーパーゼネコンと呼ばれる巨大企業を筆頭に元請けとして受注し、その下に何段もの会社にお仕事が降りていきます。元請け、下請けでどちらがいいということはないのですが、一般的に元請けで仕事を受注できる会社のほうが、安定した経営ができたり、企業規模も大きくできるというメリットがあると言われています。幌村建設さんの場合は、その元請けとしての仕事が多いというのは、働く人にとっても安心できる要素のひとつで、現場で作業をするみなさんに「指示をする立場」が多いというのがポイントになります。世の中で土木・建設系の会社はたくさんあるものの「他の同業他社との違い」のひとつでもあります。

「会社の社員が取材されるなんて、あんまりなかったことなんですが、せっかくですので、地元の若者を集めてみましたので、ぜひお話しを聞いて下さい!」と、橋本次長にご紹介いただいたのは、見た瞬間にフレッシュさが伝わる男子3人。いろいろとお話しを聞いてみることにします。

北海道静内高等学校卒 藁谷 竜さん

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北海道日高町出身、静内高校を卒業した藁谷(わらや)さん。第一印象は、マスク越しでも若さは雰囲気でわかりましたが、パリッとした感じでしっかりしている人。でも年令を聞いてまず驚きました。

「今、20歳です。土木の仕事をしたくってこの会社に入社させてもらいました!」と。社会人として2年目とのこと。『土木の仕事がしたい!』なんて、土木業界の人事担当者さんであれば、涙がでるくらい嬉しい発言ですが、なぜそう思われたのか、なぜ幌村建設さんに入社したのかなども掘り下げてみます。

「ものづくりが好きだったというのもあって、小学校のころは、大工になりたいって思ってたんです。でも土木の仕事...というか、重機が大好きになっちゃって、それからは土木の仕事に興味がうつったんです。そして『土木の仕事は地図に残る仕事』なんだって聞いて、土木業界で働きたい!ってより強く思うようになりました。親からは大学に行ったら?というアドバイスもあったんですけど、自分的には座学で学ぶよりも、現場で働きながら学びたいって思って、高卒で就職するってことを決めました」

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なるほど、子どものころは、パワーショベルやブルドーザーのミニカーが大好きだったように、建設系機械って確かに格好良くてあこがれますよね。でも時が経って成長していくことで、その好きを忘れてしまいがちなんですが、藁谷さんの場合、それに乗って仕事がしたい!にまで想いが膨らんだのでしょう。その気持ちもよくわかります。そして幌村建設さんに入社した経緯は?

「今回の取材で、あとからお話しを聞いてもらうひとりになりますが、智哉さんに紹介してもらったからなんです。同じ静内高校出身で、土木業界で働いている先輩がいるよって友人に教えてもらい、実際に働いてみてどうなのか、会社はどうなのかってことを知りたくて、その友人に智哉先輩を紹介してもらったのが最初でした。ファミレスで会ってもらって、いろいろと話を聞いていくうちに、引き込まれて、ここだ!って思いました。実はそれまで幌村建設って会社を知らなかったんですけど(笑)」

藁谷さんの行動力はすごいですね。高校生が就職活動をする場合、学校や企業が用意した説明会、インターンシップや、求人票の文字情報のなかから選んだりするものの、自ら動いて、働いている人を見つけて話を聞く。これってなかなかできないことですが、ものすごく重要な動き方のようにも思います。そして入社。入社してすぐはどうだったのかも聞いてみます。

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「入社式をしていただいたあと、当社の恒例なんだそうですが、三石(みついし:かつては三石町としてひとつの町でしたが、合併して新ひだか町となりました。新ひだか町の南側の地域です)の海岸の河口付近でゴミ拾いのボランティア活動から始まりました。なんていうと、ビニール袋を片手に、歩きながら落ちているゴミを拾うようなイメージをする人が多いと思うんですけど、ブルドーザーにショベルカーにって、重機まで入れてやるんです。ゴミ拾いなんてレベルじゃなくって、もう工事現場でした(笑)」

無事に会社恒例の行事で迎え入れてもらった後は、土場整理(どば:現場で使う資材などが集められた場所などのこと)をしながら現場のことを覚えていったそうです。それと同時にすぐに学校に行くことに。

「もちろん高校で土木のことを学んだりしていませんので、全くの未経験。当社では日高地域人材開発センターという学校に行かせてもらって1ヶ月ほど学ばせてもらいます。そこには日高管内のさまざまな会社に入社した新人さんたちが集まって学ぶのでとても楽しかったです。すぐに実践につながる勉強をしますから、高校の授業とは違う学びがありました」

橋本次長からは「人材育成も会社の役目ですから、こういった資格取得や研修などは全額会社負担で受けてもらっています」とのこと。

すごいことですね。藁谷さんが大学に行かないで現場で学ぶという考えが正しかったことを証明してくれていることでもありました。

horomura13.JPGベテランの重機オペレーターさんと藁谷さん

「実務として1番最初の現場は、北海道の震災被害も大きかった厚真町の砂防ダム工事現場でした。...と言っても何もできないので、工事をするために伐採しないといけない木を切る範囲を、サインテープで囲ったりと、簡単な仕事からでした」と藁谷さん。

その後も現場で先輩社員からのアドバイスをもらったり、日々の学習を通じてメキメキと力をつけていくこととなります。まだ入社して2年ではありますが、2級土木施工管理技士補の資格も取得。現場を指揮する人材として成長しています。

『土木の仕事は大変そう』そんな風に言う人々も多いのですが、実際のところどうなのか。本音を聞いてみます。

「業務内容は多岐に渡っていて、やらなければいけないことが多いので忙しい毎日ではあります。体力的に大変なときももちろんあります。でも、想像されることとは違うかも知れませんが、体力とか技術的なことよりも、特に『人に指示を出す』ということが今は1番大変...というか成長しないといけないところだと思っています。自分がひたすら土を掘るという仕事ではなく、作業をする自分の父親みたいな年令のみなさんに工事の指示を出すというのが役割ですから、伝える難しさみたいなのを感じています。もちろん自分の実力・経験不足もあるので、そんな自分から上から目線の命令に聞こえる指示なんかしてしまったときには、気持ちよく作業をしてもらえません。さらには掘る場所を間違えていたり、長さを間違えてしまうとかって指示ミスをしてしまったりなんていうのも重なったら、作業してくれたみなさんだけでなく、先輩にも迷惑をかけてしまいますから、もうへこみますね。でもそういう苦労やみなさんの頑張りもあって工事の山を越えたときには、充実感とヤリガイをものすごく感じられます。まだまだいろんなみなさんに迷惑をかけるとは思うんですけど、ひとりで現場全体を動かせる人材になりたい。自分の指示が的確で作業しやすいと思ってもらえるようにもなっていくことが当面の目標ですね」

horomura12.JPG同じ現場で先輩にあたる工事部技術主任の肥田さんと一緒に大爆笑する藁谷さん

こんな立派なことを語れる20歳に会えたのは久しぶりな気がします。もちろん本人の努力や個性に寄るところが大きいのはもちろんですが、そういう気持ちにさせてくれる会社や身近な先輩のサポートがあるからこそというのも感じました。

最後に特に高校生に向けて、藁谷さんが高卒で就職した体験を通じてアドバイスをもらえないかをお願いしました。

「正直、高校生のころは、何も考えずに学校に通って、家に帰ってご飯食べて寝る...そんな日常の繰り返しだったような気がします。高校を卒業して就職して、守ってくれていた親から離れて一人暮らしを始めたらわかるんですけど、自分でお金を稼いで、そのお金で生きていくことが当たり前になるんです。そうなって初めて、お金のありがたみが本当にわかるようになります。そして自分がそのお給料分の仕事ができているのかっていうのも考えるようになるんですよね。いただけている給料分の仕事をしなくちゃって。それが社会人ってことなのかもしれないんですけど、大きく気持ちの変化が起こったことです。それにつながる話かもしれませんが、だからこそ給料が高いか安いかということだけで就職先を選ぶのはやめた方がいいんじゃないかって僕は思います。会社訪問とかインターンシップとか、僕のように働いている先輩を見つけて話を聞いてみるとかをしながら、条件だけじゃない会社選びをして欲しいですね。自分みたいに『土木が好き!』って学生さんはあんまりいないかもしれないですけど、興味を持ったなら話を聞きに来て欲しいと思っています」

北海道浦河高等学校卒 中野 慎吾さん

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藁谷さんも20歳と聞いて驚きましたが、中野さんはさらにその下、18歳!つい最近まで高校生とは思えないくらい中野さんもとてもしっかりした人物でした。会社1番の若手社員としての視点もうかがってみます。

「僕の父親が大工ってこともあり、小さいころから憧れがありました。高校生になり、就職先を考えるときになっても、世の中にカタチとして残る仕事がしたいというのが残っていました。父親と同じように建設関係で...とも思っていたのですが、調べていくうちに土木業界のこともわかっていって、土木もカタチとして残る仕事だと気がついたんです」

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建設と土木で揺れたという中野さん。かいつまむと建設は上物で、土木は地面に接している分野。似ているようで違います。それでも土木業界を選んだ理由をこう説明されます。

「就職活動をする前までは、土木の仕事って大変そうなイメージがあったんです。よく知らなかったので、なんとなく見聞きした情報からそう思っていたんでしょうね。でも調べていくうちに、その魅力がわかってきて、土木はより大自然のなかで働けるっていう楽しさに気がついたんです。外の仕事や自然溢れる広いところで働きたいなって思ったのは、野球部だったというのも影響してるのかもですね(笑)」

なるほど。土木もいろいろありますが、幌村建設さんの現場は山や河川が多いので、まさに大自然。そして、中野さんの日焼けした真っ黒な顔は、どうやら土木の仕事のせいだけではなさそうです。今も高校に出向いて後輩たちと一緒に野球をしているそう。昨年まで高校生でしたので、どんな高校生活を送っていたのかも聞いてみます。

「高校時代はがっちり野球少年でした(笑)。サードを守ってました。でもちょうどコロナが流行ってしまって、野球の試合もそうですが、高校生としてのイベントもかなり中止になってしまって、悲しかったですね。そして同級生や野球部の仲間も、卒業と同時に進学や就職でみんな札幌や道外に出てしまったことも、淋しく思っています」

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新型コロナウイルスの猛威は、世界中多くの人々に影響を与えましたが、大人と違い、学生にとっては取り返しのつかない限られた期間なので、お話しを聞いていてなんだか可哀想というか、申し訳ないような、いろんな感情が芽生えます。大人からすると、修学旅行が行けなくなったり、学校祭や体育大会、スポーツ競技会などがなくなるというのは、自分たちは経験していたので、それがなくなる悲しさがわかりますが、学生にとっては経験していないことがなくってしまうことは、どんなことを経験できなかったのかを大人の話や想像で補うことしかできません。卒業式、みんなでの集まりも思うようにいかないまま、それぞれの道へ進んだことを考えると、これからの未来が明るいものであることを祈るしかありません。

そんな中野さん。コロナ禍でものびのびやれる趣味を休日にしていました。

「会社からはしっかりと休日をもらえていますので、浦河高校野球部の練習に顔を出したりもしてるんですが、今は結構『釣り』にはまってます。って、よく考えたら、仕事も休みも全部屋外ですね(笑)」

川釣り、海釣り、どちらにもチャレンジしているそうですが、大都市では気軽に行きずらいのですが、地元だからこその醍醐味ですね。休日が充実しているのは、仕事をしっかりやるためにも大切なこと。リフレッシュ術を身につけておくことも社会人として重要です。

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中野さんの仕事についても掘り下げてみます。就職活動をする前までは『土木の仕事は大変そう』と思っていたそうですが、実際に働いてみてどうなんでしょうか。

「想像よりも厳しい、キツイってことはなかったですね。藁谷さんが説明されていたように、研修や勉強もしっかりとさせてもらえてますので、毎日成長を感じられています。最初から今も仕事場となるのはここ新冠町の砂防ダム現場ですが、現場写真を撮影したり、測量したりと難しくない業務からやらせてもらっています。また、経験豊富な作業員・職人のみなさんの作業を手伝いながら、いろいろな仕事を覚えている最中です。自然が職場ですので、雨の日ももちろんありますが、カッパを着て現場に立ちます。それも大変に思ったことはないですね。ただ、さすがに今年は雨が全然降らなくて、ものすごく暑い日が続きましたので、それは結構こたえました」

とのこと。実際に働いている人の声を聞くと、特に若い人の感想を聞くと、大変そうというイメージが、面白そうかもという気持ちに変わっていくのは不思議なものです。土木で働きたい!というイメージが沸かなかったとしても、「外で働きたい!」というのは、キッカケのひとつになるかもしれないですね。特に屋外スポーツをしていた人にはその感覚はわかるのではないでしょうか。

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そんな中野さんにも、これからの目標や、ちょっとだけ先輩の立場として、高校生に向けてのアドバイスをいただきました。

「まだ入社して1年も経っていませんので、偉そうなことは全く言えません(笑)。本当にわからないことがまだまだたくさんですので、勉強をもっともっとしていくこと、小さなわからないことでも、流してしまわずに調べたり聞いたりしながら学んでいきたいと思っています。現場に関わるみなさんともしっかりとコミュニケーションをとって、現場作業がスムーズになるような流れをつくれるようになりたいですね。野球の練習と同じで、毎日毎日の積み重ねが大事だと考えて頑張っていきます。僕はコロナ禍まっただ中での就活となりましたのでわかるのですが、たぶん普通の世の中のときよりも、会社とか仕事の情報をつかみずらいんです。でもあせらないで、本当にやりたいことってなんなのかを固めていって、決めてもらえたらいいんじゃないかなって思います。就職でも進学でも、迷うことがたくさんあっていいと思いますので、頑張ってください!」

北海道静内高等学校卒 石岡 智哉さん

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藁谷さんのお話しでもでてきた智哉さんこと石岡さん。石岡さんはもう少しだけ先輩となる現在26歳。約8年ほど幌村建設さんで働いてきたことのお話しを聞いてみます。

「出身は苫小牧市なんですが、幼稚園から新ひだか町の静内で育ちました。なのでここが自分にとっての本当の故郷ですね。そして、そのまま地元の静内高校に入学しています。高校生時代を思い返すと、ホント何も考えてなかったなぁって今は思います(笑)。高校3年になって、就活時期になってから、いよいよやばいぞってなって、求人票をペラペラと眺めてみたんです。でもよく考えたら自分が何をしたいのかわからない、どんな業界があるのかも知らない、もちろん会社名も知らない、そんな状態なので、求人票で見ていたのはおのずと『給与』の欄になってしまいました。正直に言うと、給料が高いなと思って気になったのが幌村建設でした。そこをベースに、大体同じくらいの給料の会社を比較していたのですが、幌村建設の求人票には、なんだか難しそうな仕事内容が書いてあって、より気になったんです。普通はそういう企業を避けるのかもしれないんですけど、僕の場合はむしろそれに挑戦してみたい!って思っちゃったんですよね(笑)。スポーツをしていたので、カラダを動かす仕事もしたかったし、パソコンをいじるのも好きだったので、事務仕事もあるって書いてるし、ここにしよう!って。インターンシップとかにもおじゃませずに応募しました。よく考えたらビックリな就活ですよね(笑)」

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藁谷さんや中野さんとはまたちょっと違い、むしろ石岡さんのほうが、よく耳にする高校生の求人票の見方のような気もします。就職する、働くということに実感がないまま就職活動をしないといけない時期になれば、給料や場所、休日などの条件で応募先を選んでしまうのはわかります。ただ、そのなかでも「ラクそうな仕事探し」ではなく、チャレンジのしがいがありそうな業種を選んだというのが、大きく違ったことかもしれません。

「後輩たち二人が話したように、僕のときも清掃ボランティアをする入社イベント?からはじまって(笑)、同じように研修に出してもらいました。その研修で出会えた他社の人たちとは今でも仲間でして、学べただけでなくて友人がたくさんできたことも嬉しかったことですね。その後も二人が今実感しているように、勉強と経験を積んでいく日々が続いていきました。ロープ高所作業、アーク溶接、移動式クレーン、小型車輌系、刈払機取扱いといった作業免許や資格取得を会社から支援いただきつつ身につけ、実際に作業現場で経験を積み重ねていくという感じです。最近のところでいきますと、工事現場の全体を進捗確認するために、RTK(リアルタイム・キネマティック)という精密に測量するための産業ドローンを現場で使っているので、ドローンスペシャリストという養成講座も受講しました。今年になって1級土木施工管理技士補にも受かりまして、自分でも今、どのくらい資格を持ってるのか言えないくらいです(笑)」

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土木現場でもICT(情報通信技術)の発達が目覚ましく、これまで人の努力と汗でつくりあげてきたものが、技術の進歩と共にテクノロジーで解決していっています。3DCGを使った設計や、石岡さんがお話しされたようにドローンやGPS(人工衛星測位システム)の現場活用も浸透してきていて、いかに作業現場の労力低減を行えるかがこれからも目覚ましく発展していく業界であるといえます。土木とテクノロジーは遠いような世界な気がしますが、これから就職を考える若い世代には、そういう世界になっていくというのも知っておいてもらいたいところです。

そして石岡さん。高校生活のお話しを聞くと、勉強熱心じゃなかったようにも聞こえるのですが(笑)、社会人になってからこんなに学ぶようになったのは、どうしてなのか聞いてみます。

「ですよね!(笑)。今、学んでいることは、全て現場で活かせるんです。学んだことが仕事で使えるって、学校の授業では実感したことがなかったので、それが学生時代と違うことなんです。だから楽しいんですよね。数学とかもっと学校でちゃんと勉強しておけばよかった~って今となっては後悔です(笑)」

こういう職業に就きたい!大学を目指したい!という目標が明確になければ、なんで勉強しているんだろうというのは、もしかしたら多くの学生さんも抱くことかもしれません。石岡さんの場合は、その学ぶ意味を、会社が、仕事が教えてくれたということなんでしょう。ものすごい方向転換です。

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「さらに、今は建設経理の勉強をしたり、完全に趣味ですがファイナンシャルプランナーの資格を取得したり、休みの日も勉強したりしてます(笑)。なんなんでしょうね、自分(笑)。昔あんまり勉強してなかったから、突然目覚めたのかな(笑)」

ほんわかした雰囲気で、優しくその場を和やかにしてくれる対応をしてくれる石岡さん。去年結婚されたとのことで、公私共に絶好調。石岡さんが指示する現場もきっと柔らかい感じの雰囲気な現場になる気がしました。 そんな彼がこれから考えていることも教えてくれました。

「僕も結婚式を断念するっていう残念なことがありましたが、コロナの影響はいろんなところにでている気がします。新入社員が入ってきても歓迎会もしてあげられない、忘年会もできない、個人的にも集まりずらい。土木の仕事はチームワークや信頼関係もとても大切な仕事なので、見えにくいのですが悪い影響が広がっている気がします。そんなことも感じているからかもしれませんが、自分の目標としては『ストレスのない職場や仕事の環境をつくること』に貢献していけたらって思っています。人間関係もそうですし、仕事の進め方もそうですし、時にはぶつかってしまうこともあると思いますが、それをお互いのストレスとして残すのではなくて、より良い明日につながるようになっていけたら、自分のためにも、社員や仕事に関わるみなさんのためにも、会社のためにもなると思っています。もしかしたらそのためにはこれまであった伝統や社風みたいなのも一旦忘れて、新しいものにつくり変えていかないといけないこともあるかもしれないですけど。こんなことを偉そうに言ったら怒られるかな(笑)」

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さすが入社して10年が見えてくるようになると、自分の仕事だけではなく、後輩たちのこと、会社の未来も考える人材として石岡さんは成長していました。資格をたくさん保有して、キャリアが長くなっていけばいくほど、独善的、一匹狼的になりがちですが、そうではなくて、みんなで力を合わせてよりよい会社にしていこうとする姿勢は、きっとこれから入社してくる人たちにとってもプラスになることだとお話しを聞いていて確信しました。

石岡さんからも若いみなさんへ石岡さんなりのアドバイスです。

「なんかアドバイスになるのかわからないんですけど、働くことって『やってみるしかない』ですね。求人票だけでは判断もできませんし、やってみるのが1番いいと思います。頑張ってみて、あわなかったら転職したっていいんじゃないかって。あまり重く考えすぎないことも大事だと思います。でも自分の場合、高卒で就職して地元に残る選択をしたのは正解だったと思っています。知り合いでも目的を持たずに進学した人たちのなかには、結局、何も見つけられなくて、進学先を卒業しても正社員になっていない人たちもいっぱいいますし。特に目標がないなかでなんとなく進学するなら、親の負担にもなるし、地元で働いてみるという選択をもっと考えてみてもいいんじゃないかって僕は思います。当社や僕に興味をもったら、藁谷くんのように話を聞いてみたいって会いにきてくれてもいいので待ってますね!」

会社のこと、地域を守るということ。

horomura22.JPG幌村建設株式会社 総務部次長・業務部次長 橋本 祐樹さん

最後は、橋本次長にお話しをしめてもらい、会社のアピールもしてもらいたいと思います。

「まず就職のための説明会とかでよく聞かれることなんですが、長期の出張はほとんどありません。基本的に胆振日高管内の現場しか受けていません。夏ほどではないにせよ、冬も現場は動いていますから、いわゆる冬期間は道外にでて仕事を受けるというようなこともありません。休日も日曜日は固定休みで、4週8休となるように年間で調整していますので、そこも安心して欲しいなと思います。給与水準に関しても平均よりは高めなんじゃないかなと思います」

今はコンプライアンス(法令遵守)が重要と言われるような世の中となり、労働基準法を守っていない会社にはお仕事を出しませんよ!という工事発注元も増えていますので、働く人にとっても劇的に労働環境が改善していっています。ですが、橋本次長はお話しを続けます。

「...なんて良いことばっかり言っても怪しいので(笑)、本音を言うと、ものすごく人気がある業種であればここまで労働条件を整えなくても人材を採用できたのかもしれないです。が、人口減少や少子化の影響もあるからか、なかなか採用できていない事実があり、それと共に魅力ある労働条件づくりを進めてきた結果ということでもあります。今回取材のなかで3人からは一言もそんな話がでなかったのは意外でしたが、やっぱり楽な仕事ではありません。覚えることもありますし、自然環境とも戦いです。人命に関わることでもありますので、責任もあります。でも簡単な仕事ではないからこそ、安心して働ける労働環境をつくってあげることが会社の役割だと思っています。最後になりますが、私たちの仕事は華やかさはないかもしれませんが、地域を守る仕事です。災害が起こっても被害が大きくならないように対処し、災害が起こってしまったらその対処をする。わかりにくいかもしれませんが、道路であったり、橋であったり、トンネルや川も、いつもの日常が日常であるようにしていくのも私たち土木業が頑張っている証拠です。そういう業界であるというのも知ってくれたら嬉しいなと思います」

橋本次長は、正直に今の現状を教えてくれました。

そして、採用に関する課題としてもう1つのことも教えてくれました。

「女性で現場職員さんを目指してくれる方が全然いらっしゃらないんです。ウチの会社としては男性、女性という概念はなくやっているのですが、そもそもお話しを聞いてもらえない(涙)。昔は男性の仕事ってイメージもあったかもしれませんが、今はそんな時代でもありませんので、ぜひ見学だけでも来てくれたら嬉しいです!」

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今回の記事を最後までお読みいただいたみなさま。土木業界のイメージや、どんな人たちが働いているのかということが少しわかりましたでしょうか?

社会を支える世の中になくてはならない仕事と言えば、医療や介護福祉業界を真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、建設・土木の業界もなくてはいけない仕事。特に過酷な自然環境下にある北海道ではさらにその必要とされる度合いが高いのも事実。そしてどんなに人が減っている地域でも、人が住み続ける限りこれからも必要な業界でもありますから、もう少しだけ興味を持ってくれる人が増えてくれることに期待したいと思います。頑張ってください、そしていつもありがとうございます、建設・土木業で働くみなさん!

幌村建設株式会社
幌村建設株式会社
住所

北海道日高郡新ひだか町三石蓬栄126

電話

0146-33-2031

URL

http://www.horo.co.jp/


業界イメージも変えていきたい、若い社員と共に。幌村建設(株)

この記事は2021年8月31日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。