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新十津川町

新しく出会った技術で、さらなるご縁をつなぐ。ゴエン建築社20210104

この記事は2021年1月4日に公開した情報です。

新しく出会った技術で、さらなるご縁をつなぐ。ゴエン建築社

札幌から車で1時間半、高速滝川ICから石狩川を越えて約15分。
石狩平野のなだらかな地形と広い空が広がり、町の西部にはピンネシリ岳と暑寒別岳を望む新十津川町で、一般住宅を建設するゴエン建築社。
特色ある工法で建てられたモデルハウスがオープンしたと聞き、お邪魔してみました。

goenkenchikusya20.JPG2020年10月にオープンしたモデルハウス。奥の黒い建物もゴエン建築社が新しい物件を建てている最中でした。

木のやさしさを感じるモデルハウス

シンプルでスタイリッシュな外観。中は木材がふんだんに使われ、温かさを感じます。温かいのは木の雰囲気だけでなく、室温も玄関から室内まで、心地良い暖かさに保たれています。キッチンや洗面所の戸棚、ドアなども木で造作され、壁も手作業の質感を残した塗り壁で、一体感のある雰囲気。

2階に上がっても、どの部屋も一定の室温で過ごしやすく、吹き抜けがあり家全体が緩やかにつながっていて、広く感じられます。それでいて何となく落ち着く...と感じていると、「実は、一般的な住宅より天井が低く設計されているんです。また、照明も少なめにしています。日本の昔ながらの家がそうで、落ち着く空間になると言われています」と教えてくださったのが、ゴエン建築社の社長 久保田修司さんです。
久保田社長に、会社のことやご自身のこれまでの道のりについて聞いてみました。

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土木建設業から、一般住宅中心へ

ゴエン建築社は、設立から7年目。一般住宅や、美容室、飲食店などの店舗を設計・建設しています。
久保田社長は親戚が営む土木建設業の会社で公共工事の現場監督や一般住宅の設計を経験し、2014年に独立しました。
生まれも育ちも新十津川町の久保田社長が建築の世界に入ったのは、割と気軽な気持ちからだったと言います。
「建築っていう響きが何となくカッコよくない?という感じで(笑)。子どものころから、絵を描くのは好きで部屋の絵を描いたりもしていましたね」

地元の高校卒業後は札幌の専門学校で建築を学び、地方建設会社へ。そこで一般住宅の設計を担当するうちに、その面白さに引き込まれたと言います。
「お客様から直接、喜びの声を聞けるところが一般住宅建築の醍醐味」と久保田社長は話します。
独立後は、以前勤めていた会社のお客様や、紹介でご縁がつながり、さまざまな住宅や、美容室・理容室、寿司屋さんなどの店舗を建ててきました。エリアとしては新十津川町の中での依頼が多く、地元のお客様に支えられているとか。他にも滝川市や雨竜町など、空知管内を中心に口コミで依頼を受けています。
現在は奥さんの裕美さんと、久保田社長の義姉の亜紀さん、そして以前の職場から共に働き、久保田社長と同様に設計、営業、お客様との打合せや現場管理もこなす部長の渡部さん、細かい造作などもこなせる職人の飯原さんも仲間に加わり、お客様のご要望に添った建物を建ててきました。

goenkenchikusya27.JPG左から、久保田社長、裕美さん、亜紀さん、渡部さん、飯原さん

新しい省エネシステムとの出会い

建物のスタイルは当初、お客様の要望や好みを丁寧に聞き取り、それを形にしていきました。すると、実際にその家を見たり、ウェブサイトの施工事例を見て「あんな風にしてほしい」というリクエストが積み重なり、木や自然素材を活かしたシンプルで温かい建物の実績が増えていきました。
そして、新たなスタイルへと転換するきっかけになったのが、「YUCACOシステム」という省エネの空調システムとの出会いです。

「YUCACO」とは、床と天井に空洞を作り、そこにエアコンルームで温度調整した空気を循環させ、家全体の温度差をなくし、快適な温度に保つというシステムです。取引先の会社からYUCACOの講習会があると案内され、話を聞いた時、久保田社長は「そんなことできるわけないだろう」と思ったそうです。
そこで2019年2月にYUCACOを推進している岩手県の建築会社のショールームを見に、現地へ向かいました。

goenkenchikusya23.JPGモデルルームにもあるエアコン一台でまかなう空調室。

自分たちもこのシステムで建てたい

北海道民でも寒さを強く感じる2月の岩手県。見学先のモデルハウスに着き、ドアを開けた瞬間、久保田社長は驚いたと言います。
「玄関から入ってすぐ暖かく、家全体が同じ温度に保たれていました。さらに、普通は熱気がこもりがちでモワッとするロフトも過ごしやすい温度だったんです。スゴイって思いました。そしてこれはうちで是非やりたいと気持ちが固まりました」
見学に同行した渡部部長も、社長と同様に「ゴエン建築社でYUCACOの家を建てたい」と想いは一緒だったそう。
会社に戻って社員や協力会社の人に話したところ、見学前の久保田社長と同様に「本当にそんなことできるの?」と半信半疑の反応だったと言います。
「建てたい」という社長と渡部部長の意欲は強く、岩手のYUCACOシステム担当者と再会し、正式にゴエン建築社がYUCACOの家を導入することが決まりました。

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そして、「早く建てたい」という想いと、多少半信半疑の気持ちでいた久保田社長に、「お前に任せる!」と背中を押してくれたのが、社長の同級生でした。
こうして、北海道初のYUCACOの家が、2020年の2月に新十津川町で誕生したのでした。
完成時には展示会も開催し、見学に訪れたお客様から次の受注をするなど、会社としても大きな反響を得ました。
そしてなにより、北海道初YUCACO第一号建主の同級生からは、「快適に過ごせる家ができた」と大変喜ばれたと言います。

提案したい要素が詰まったモデルハウス

エアコン1台で家中の空気を循環させるYUCACOは、建物の外部に逃げる熱量を表すUA値が0.23と、国の省エネ住宅基準の2倍の断熱性能を示しており、暖房費が一般的な住宅の約半分で済むというデータが出ています。そのため、初期の工事費は少し高くなりますが、ランニングコストは低く抑えられるといいます。フィルターを通して外部から取り入れる空気の花粉や粉じんをシャットアウトし、においやハウスダストの排出もできるため、家の空気は常にきれいな状態に。

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省エネ住宅の実現のために大学と企業の共同研究で生まれた工法なので、順次研究が進められ、技術が刷新されるたびに講習会が開かれます。ゴエン建築社の施工を担当する協力会社も当初は半信半疑でしたが、最新の技術に触れて高い品質のものが作れたことでモチベーションが高まり、職人さんの方から「こうしたらより良いのでは」と提案してくれるようになっていると言います。

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今回お邪魔したモデルハウスは、ゴエン建築社がこのYUCACOシステムで作った初めてのモデルハウスです。
天井を低く照明を少なくする設計は、とある講習会で講演をしていた群馬県の工務店に興味を持ち、群馬県まで視察に行き参考にしたのだとか。
まさにこのモデルハウスは、今のゴエン建築社が提案したい要素がギュッと詰まった家なのです。
「これまではお客様のご要望に応える形でスタイルができてきましたが、さらに喜んでいただくために自分たち発信で提案したいのがこのモデルハウスなんです」

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お客様のために、長く続く会社に

また、顧客が増えていくと同時に、久保田社長にはある使命感が芽生えてきました。家は建てて終わりではなく、メンテナンスが必要です。今まで、そしてこれから建てていくお客様をずっとフォローし続けていくために、次の世代の人に仲間になってもらって会社を続けていきたい、と考えるようになったのだと言います。

「会社を大きくしたい、ということではなく、一棟ずつお客様に満足していただける家を建てていくために、新しい仲間を入れて視野を広げていきたいと考えています。まずは現場を見ながら得意な分野を伸ばして、ゆくゆくは私や渡部部長のように、設計やお客様との打合せ、現場管理もできるようになってもらえたらと思っています」

そのために、新十津川町へ移住して働いてくれる方は大いに歓迎だと言います。「ゲストハウスなどを利用し、月曜から金曜はここで住んで、週末は帰るというライフスタイルも有りだと思います」と久保田社長。

goenkenchikusya22.JPG取材した日の新十津川の自然写真。

新十津川町の魅力は、奥さんの裕美さんと、義姉の亜紀さんが語ってくれました。
「地元で採れるお米や野菜など食べ物がおいしいし、水道水もきれいでそのまま飲めます。スキー場もあって中学生以下の町民は無料。子育て支援も手厚く、高校生まで医療費が無料です。田舎なので学校も平和で、素直な子が多く道で会ったら知らない子でも挨拶してくれるんです。転勤で来た学校の先生が、住みやすいからと新十津川に家を建てることもあるんです」

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ご縁がさまざまなことを運んでくれる

ちなみに、ゴエン建築社の名前の由来は、久保田社長が会社勤めをしていた時の上司の一言がきっかけだったとか。
「頑張って書いた図面がボツになって落ち込んでいる時に、『今回はご縁がなかったんだよ』と言って励ましてくれたんです。『ご縁がなかった』でスッキリと諦められることができる、いい言葉だな、と思いました。それ以来、おまじないのようになっています」
さまざまなご縁がつながり、多くのお客様や新しい技術と出会い、今の形があるゴエン建築社。今度は新しい仲間というご縁と共に、どのような進化を遂げていくのかが楽しみです。

ゴエン建築社株式会社
ゴエン建築社株式会社
住所

北海道樺戸郡新十津川町字中央72-39

電話

0125-76-3989

URL

http://goen.info


新しく出会った技術で、さらなるご縁をつなぐ。ゴエン建築社

この記事は2020年10月20日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。