
「豚肉特有の臭みがない」「灰汁(アク)がほとんど出ない」など、そのおいしさと品質の高さで注目を集めている浅野農場が北海道石狩郡の当別町に誕生したのは昭和48年。
浅野農場はハイレベルな衛生基準をクリアした農家にのみ与えられる「SPF認定農場」に位置づけられ、安全で健康的な豚の飼育に取り組んでいます。同社の豚肉は『スマイルポーク』の名で知られ、生ソーセージやベーコンなどの加工品やこだわりが詰まった養豚を背景に絶大な人気を博しているのです。
とりわけ「肉汁のおいしさ」は料理研究家やプロのシェフなど多くの専門家が絶賛しているのだとか。
そんな浅野農場で育った豚肉を加工・販売しているのが同じく当別町内にある『スマイルポーク』という直営店。町内はもちろん札幌からも多くのファンが訪れる人気店です。
このお店で長く働き、パート仲間のリーダー的役割を果たすスタッフの高田順子さんに、このお仕事について教えていただきました。
加工スタッフの高田順子さん。みんなからは『じゅんじゅん』の愛称で親しまれているそう。
お肉はたっぷり詰めるのがポイント。
パートスタッフの主な仕事はお肉の加工。精肉は店頭販売用と取引先用があり、取引先用は注文に合わせて部位と重さをそろえてパックします。取引先は近郊の飲食店や産直ショップ、生鮮食品店などだそうです。
「精肉以外にはハンバーグや生ソーセージなどの加工品もここでつくっています。生ソーセージには添加物を一切使用せず、ひき肉と背脂、調味料のみを混ぜます。おいしいソーセージをつくるためには粘りを出すことが大切で、そのためには季節に合わせた温度管理が重要。練った挽き肉は天然の羊腸に詰めます。ウチの生ソーセージはあふれるような肉汁がウリなので、お肉は多めに詰めるのですが、多すぎると腸が破けるのでバランスが難しいところなんです」
なるほど、まさに名人芸。ところで高田さんがこのお店で働くことになったきっかけは何だったんでしょうか。
「実は主人と浅野社長が昔から知り合いだったんです。私が仕事を探していた時、『良かったらウチでパートしない?』と声をかけてもらいました。
働き始めた当初はいろんな発見があって楽しかったですね。普段、スーパーではパックに入ったお肉しか見ることがないから、舞台裏を見た気がして面白いなーって思いました」
目と目で通じ合うような関係性が大事。
ここで働く上では、チームワークも重要だと高田さんはいいます。
「加工場と直売所が一緒になっていて、しかも専属の売り子さんがいるわけじゃないので、お客さんが来たら加工スタッフが店へ出て、接客を行い、お会計をしなきゃいけないんです。その間も工場では作業が進むので、誰かが抜けた穴はすぐに別の誰かが埋める。声をかけ合うことも大事だけど、アイコンタクトだけで気持ちが通じる関係が大事。今のメンバーはとても仲が良く、和気あいあいと働いてますよ」
こちらがスタッフが働く加工場
髙田さんに、仕事で楽しさや面白さを感じるのはどんな時か尋ねてみたところ、「お客さんとの触れ合い」だと言います。
「ここは黙々と商品を加工するだけでなく、直売所で消費者の方と触れ合えるのが良いですね。中には0.1ミリ単位でスライスの厚さを指定するお客さんもいて、加工は大変だけど、喜んでもらえるのはうれしいこと。
『おいしかった』『また買いに来るね』などお客さんの声を聞けるので、仕事にも張り合いが出ます」
ただ、この直売店のことを知らない人はまだ多く、場所は知っていてもどんなお店か分からず通り過ぎてしまう...という人が結構多いのだとか。
「おいしいお肉をたくさん取りそろえているので、ぜひ一度立ち寄ってみてほしいですね。ちなみに私のオススメはベーコンと豚バラ肉。豚バラは1.5ミリにスライスで、しゃぶしゃぶにするとおいしいですよ〜♪」
直営店での消費者の声を生産に生かしています。
「もともと直売店は消費者の声を直接聞き、生産にも生かしたいという気持ちから始めたものなんです」そう話すのは、代表取締役の浅野政輝さん。
代表取締役の浅野政輝さん「直売店を構えることで豚が育っている当別という地に足を運んでほしいという願いもありました」
「ウチは創業以来豚の飼育方法にこだわり、特にエサや飼育環境を工夫してきました。加工製品に関しては肉本来の味を感じてもらうことを意識しており、例えば生ソーセージは無添加、ベーコンについても昔ながらの製法。保存性を高めるために水分を抜いているので、一般的な市販のベーコンに比べると肉が締まって、やや硬いのが特徴です」飼育にこだわるからこそ、加工にもこだわりたいという思いは強いと言います。
「今後は生産と加工販売だけでなく、農場体験やレストランなど新しい分野への進出も視野に入れています。当別の風土にも興味を持って頂き、この土地を訪れる人が増えることを願っているんです」
- 有限会社浅野農場 スマイルポーク
- 住所
北海道石狩郡当別町対雁10
- 電話
0133-22-4129
- URL