北海道に住んでいるなら、スーパーやコンビニでパッケージを目にしたり、何度も口にしている愛好家も多いはず。定番の札幌ラーメンのほか、『寒干しラーメン』『知床ざるそば』『名店ラーメンシリーズ』などのヒット商品で知られる製麺企業が菊水です。
同社の創業は昭和24年、道北にある下川町に配給小麦の製麺加工所を興したのが始まりです。以来「信頼と創造」の精神のもと、ロングセラー商品やヒット商品を次々に生み出し、今や北海道民の三人に一人が菊水麺を食べている、という北海道を代表する企業にまで成長しました。また、地域の麺でしかなかった本場の『札幌生ラーメン』をチルドネットワークで全国に提供することを実現し、現在、生ラーメンのジャンルでは北海道で第一位、全国でも第三位の生産量!
その一方、地元の小麦を活用した『江別小麦めん』の取り組みは、地域の企業や学生、子どもたちを巻き込んだ食育や地産地消のモデルケースとして、各方面より高い評価を得ています。
全セクションで最重視するのは衛生と品質の安全。
そんな同社の製造拠点が位置するのは札幌の隣町の江別市。2つの工場内には、生産量の7割を占める「生ラーメン」のほか「うどん・そば」「寒干しラーメン」「ギフト用の専門店生ラーメン」などが製造され、全国のスーパーや百貨店、さらに個人客などのもとに送り届けられています。
看板商品の生ラーメンを生産する『第二製造』の責任者として活躍するのは北川祐樹さん。札幌市内の大学で学んだ経営工学のノウハウと、「小さいころから大好きだった」というラーメンへの探究心を生かしたくて、同社への入社を決めたと話します。
北川さんが所属する『第二製造』では、原料をミキシングする(こねる)工程から、カットして袋詰めする工程まで、生ラーメンを一貫生産するラインを4つほど備えています。(生産ラインの詳細は同社のホームページ参照)。工場内には『そば』や『うどん』を製造する『第一製造』や寒干しラーメンを製造する部署などもあり、どのセクションでも衛生面や品質の安全面には細心の気配りをしているそう。
「生産ラインは、ほぼオートメーション。スタッフの仕事は設備の操作や製品のダンボール詰めなどの軽作業がほとんどなので、力の弱い女性でも十分活躍できます。ただすべてが機械任せというわけではなく、温度や湿度の影響を受けやすいミキシングなどは、配合の微妙なテクニックが必要です。いくら時代が変わっても、生麺づくりには経験者のノウハウが欠かせないんです」
責任者としての北川さんの仕事は、それぞれの設備が順調に稼働しているか、コンディションの良い麺がつくられているかということはもちろん、スタッフの皆さんの様子にも気を配ること。生産の基盤となる設備やラインですが、それを扱うスタッフの皆さんが、気持ちよく働けるように工夫していくことも大切なのです。
「有名店のラーメン」を作るやりがいと楽しさ。
ギフトや専門店シリーズなどの小ロット商品まで含めると、30アイテム以上を手掛ける同社。全国に行き届く定番商品をつくるのもやりがいが大きいけれど、自分もよく通った専門店のラーメンを、自分たちの手で再現し製造する喜びはまた格別だと、北川さんは話します。お客様から「おいしい」「さすが菊水」という声を聞けば最高にうれしく、商品開発に尽力する菊水の仕事ならではの醍醐味を感じるのだとか。
「うちの会社は、江別産の小麦を使ったラーメンの開発やイベントの開催、地元の小学生を招いた食育の体験や近郊の大学とのコラボ商品づくりなどなど、いろんなことにチャレンジしています。うまいラーメンづくりはもちろん、そういった外の方との触れ合いも刺激になっていますね。『おいしい』っていう感覚には限りがありません。機会があれば、商品開発などを学び、もっともっとうまいラーメンをつくってみたいですね。いや、いつか必ずつくってみせます!」
菊水パワーの秘密は、開発力とチームワークと地元愛。
「生ラーメン」だけでなく、「うどん」「そば」「やきそば」「蒸し麺」なども製造する食品メーカーである同社。生産量は年間およそ1億5千万食。「開発の菊水」ともいわれるように、商品の種類も常に200アイテムを数え、毎年50を超える新商品を送り出しています。また販売ネットワークは全国に及び、遠く沖縄のスーパーでも菊水の「生ラーメン」が提供されています。
こうした菊水の活躍ぶりを支えているのが、約600名の製造現場のスタッフたち。生産ラインは最高基準の衛生環境を保ちオートメーション化も進んでいますが、それらを管理し、安心安全で本当においしい麺を生み出す力になっているのは、スタッフのガンバリとチームワークなのです。
そしてもう一つ、同社が大事にしているのが地域とのつながり。
その姿勢は「菊水には、工場見学や交流会、打ち合わせなどで、子どもたちや大学生、市民、農家、企業の方々などたくさんの人が訪れます。それは菊水が『江別小麦』を使った地産地消の取り組みや地元の食育活動などに積極的に取り組んでいるから。例え販路が全国スケールになっても、地域の方々とともに、そして江別とともに歩んでいこうと考えているからです。食品づくりの楽しさ、奥深さ。全国企業というステージの大きさ。そして地元の方々との触れ合い。さまざまな『やりがい』に満ちているのが、菊水の仕事だと思っています」と話す、取締役兼生産事業部事業部長・種村洋一郎さんの言葉にもよく表れています。
こちらが、取締役兼生産事業部事業部長の種村洋一郎さん
全国を見渡すマクロな視野と、地元を見守るミクロの視点。その2つを大切にしながら、菊水の挑戦はまだまだ続きます!
- 株式会社菊水
- 住所
北海道江別市工栄町19番地6
- 電話
011-383-7905
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