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このまちのあの企業、あの製品
北広島市

障がい者の雇用促進と職業自立を支援する、北海道はまなす食品。20180925

障がい者の雇用促進と職業自立を支援する、北海道はまなす食品。

北海道札幌市に隣接する北広島市。大型商業施設も多く建ち並び、最近では北海道日本ハムファイターズの新球場建設が決定するなど、いま注目のまちです。この北広島市に、納豆の生産及び食品包装を行う工場(企業部門)と知的障がい者の職業自立を支援する能力開発センター(職業能力開発部門)が併設している、道内では唯一の企業、北海道はまなす食品株式会社(以下、はまなす食品)があります。今回は、この工場にお邪魔して、お仕事のことや取り組みについて取材してきました。

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道内唯一の機能を備えた企業。

まずはじめに、代表取締役社長の佐藤靖史さんが会社について教えてくださいました。

「当社は、障がい者の雇用促進と知的障害者の職業自立の支援のため北海道が呼びかけ、コープさっぽろをはじめ、北広島市、札幌市などの近隣地方自治体や道内の主要企業、金融機関が出資して設立された株式会社です。工場では、健常者と障がい者が一緒に働き、納豆生産と包装事業を行っています。また、能力開発センターでは知的障がい者の方々の職業訓練を行っています。これまでに185名の方が訓練を終え、コープさっぽろや当社をはじめ様々な企業等で活躍しています」。

hamanasu03.JPG代表取締役社長の佐藤靖史さん。

能力開発センターでは、包装商品製造コースとして、就業に必要な職業人としての基礎学力・社会性・道徳性などの座学や工場の併設を活かした実践的な職業訓練を行っています。ここで1年間の訓練を受けた修了生は、コープさっぽろをはじめ多くの企業に一般就労しており、修了時の就職内定率は累計で96.8%となっています。また、修了生は既に職業訓練で経験を積んでいる、ここはまなす食品の工場に就労するケースもあります。

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「ここに就労する方は、能力開発センターの訓練として職場を経験している安心感が大きいと思います。中でも、一番の大きなポイントは、実際に働いている人達とコミュニケーションを取れること。どこの会社でもそうだと思いますが、その職場独自のコミュニケーションがあって、それを就労前に経験できるのは非常に大きいと感じています」。

そう教えてくださったのは、包装事業部 部門長補佐の二ノ文恵二さん。二ノ文さんは職場適応支援者(企業在籍型ジョブコーチ)として、工場で勤務する障がい者の方達が働きやすい環境作りや、職場への定着に関する支援などを行っています。はなます食品では、このジョブコーチの役割を担う方が、工場で3名、能力開発センターに2名いらっしゃいます。

hamanasu05.JPG二ノ文さん、こちらの工場に配属されてからジョブコーチの研修を受け、従事されています。

能力開発センターでの訓練を終え、活躍するお二人。

食品製造工場でもあり、職業訓練施設でもある、はまなす食品。ここで活躍する障がい者の方、永原真珠聖(ながはらまおき)さんと佐藤雅大(さとうまさひろ)さんのお二人にもお話を伺いました。

「私の担当は、珍味の包装を行う仕事です。1日7時間で週5日間勤務しています。毎日違う商品を扱うので、いろいろな商品を作るのはとても楽しいです」と話してくれたのは、就業して2年目の永原さん。能力開発センターで1年間訓練を受けた後に、工場へ就業しました。工場では豆菓子や珍味の包装を行う包装事業部と、納豆の製造を行う納豆事業部とがあります。永原さんはこの包装事業部に所属し、日々従事されています。

hamanasu06.JPG店舗で実際に自分が包装した商品を見かけるのも嬉しいと語る、永原さん。

続けて、佐藤さんもこう話してくれました。

「私は納豆製造工程の蒸煮が担当です。機械を使って製造するので、機械のオペレーションが主な仕事です。5人程のチームで作業するので、みんなで協力して作業するのは楽しいです」。

hamanasu07.JPG佐藤さん、ご家族に自分が作った納豆を買っていってあげることもあるんだとか。

佐藤さんは納豆事業部の所属。今年で就業して3年目を迎えました。永原さんと同じく、能力開発センターの出身です。納豆製造においては、大型の機械オペレーションも多いため、安全面の配慮が必須です。そのため、社員の方をはじめ、障がい者同士のコミュニケーションも重要だといいます。

「佐藤さんはまだ慣れていない障がい者に、作業を教えてあげたりと、自ら積極的に話しかけてくれているんです」と教えてくださったのは工場長の大下力(おおしたちから)さん。

hamanasu08.JPG大下さん、障がい者の方は真面目で頑張ってくれる方が多いと仰います。

「実は最初はコミュニケーションが難しいと感じていました。でも少しずつ作業に慣れ、人に慣れ、コミュニケーションに慣れていき、今では自分から話しかけられるようになりました」と笑顔で佐藤さんは仰います。

お二人とも慣れない取材にも関わらず、ちょっと緊張しながらも丁寧に話をしてくださいました。

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「させない」から「できる方法に変える」

こうして、はまなす食品では障がい者が多数活躍していますが、実は工場内の随所に、生産性の向上や安全面を配慮した工夫を凝らしているんです。

例えば、永原さんの担当する包装作業では、商品名や賞味期限が書かれたシールを袋に貼る作業があるのですが、誰でも簡単に、そして早く綺麗に貼れるように、治具といわれるガイドを使用して作業を行います。

hamanasu10.JPGこちらが治具を使った実際のシール貼りの様子です。

また、佐藤さんが担当する納豆製造作業では、機械のオペレーションを写真付きで大きく説明するシートを各機械の側に設置したり、梱包における不適合製品の判断基準を写真で設置したりと、障がい者の方にも分かりやすいように工夫しています。

hamanasu11.JPG写真付きでの説明は工場内に多く見られます。

他にも、障がい者の方一人ひとりできる作業が異なるため「誰が・どの作業を・どうできるのか」を示すスキルマップという一覧表が設置してあり、この表を見ることで、障がい者の方の作業にも負荷がないようにしっかりと管理されています。

hamanasu12.JPGこちらがスキルマップ。

工場長の大下さんがこうも教えてくださいました。

「現在、佐藤さんが働く納豆の蒸煮作業は、大型の機械操作もあり危険も伴うため、元々障がい者の配属はしていなかったんです。5年程前に、作業手順を細分化することで、障がい者の方の配属を始めました。そして、今では佐藤さんのように働く方が5名おります。最初はうまくいかないことも多々ありましたが、その都度少しずつ改善を行い、今の作業体制を整えることができました。当初は『やっぱり無理かな』と思うことも正直ありましたが、作業環境を整えてあげれば、普通に教えてあげることで、全然大丈夫なんだと、今ではそう感じています」。

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当初は障がい者の方に気を遣いすぎて、これはできないだろうなと決めつけてしまい、作業をさせないこともあったといいますが、そうではなく「させない」から「できる方法に変える」ことで、少しずつ作業範囲を拡大していったそうです。

働く人、一人ひとりを想う、はまなす食品。

こうした働き方へのアプローチはいわば障がい者の方へ支援として提供するものですが、逆に障がい者の方自身が「こうしたい」「この方が作業が効率的じゃないだろうか」といった働く側の要望や意見を積極的に取り入れているのも、はまなす食品の大きな特徴です。

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コープさっぽろが実施している「仕事改革発表会」は関係会社も含めて、それぞれの業務の改善に向けた学習や実践の成果を発表する場です。はまなす食品では、実際に障がい者の方自らが働きながら感じて改善した取り組みや、その結果などを発表しています。今年行われた発表会では永原さんが発表を行ったそうです。

hamanasu15.JPG永原さんの「仕事改革発表会」の様子です。

また、コミュニケーションが重要な仕事ということもあり、同じ職場で働く仲間をみんなに知ってもらいたいと「はまなす新聞」という社内報で、担当している仕事内容や趣味についてなどを紹介するコーナーを設けています。こんな風に普段はなかなか話さない人のことなんかも知れると「こないだ社内報で見たよ」なんて一声掛け合うこともあり、気軽に話すことができて、社内のコミュニケーションも活性化されているんだそうです。

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健常者と障がい者の方が同じ職場で働くはまなす食品。これまでご紹介してきた取り組みは、主に障がい者の方にとって働きやすい環境づくりではありますが、一緒に働く社員さんやパートさんに取っても、より働きやすい環境づくりとも言えます。働く人、一人ひとりを想う、はまなす食品なのです。

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北海道はまなす食品株式会社
北海道はまなす食品株式会社
住所

北海道北広島市北の里56番地

電話

011-373-9311

URL

http://h-hamanasu.jp


障がい者の雇用促進と職業自立を支援する、北海道はまなす食品。

この記事は2018年7月26日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。