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北海道美唄市にある金属部品製造業を営む株式会社道央メタル。主に、農機具をはじめ、産業用空調機部材などの核となる『部品』をつくっている会社です。まさにメインの写真で彼が手にしているものも、ここで製造された部品のひとつ。
『部品』は、ものをつくりあげる際には必要不可欠なもの。しかし逆を言えば、私たちの生活の中でパッと目に見えるものではありません。見えないけれど、なくてはならない大事な命のつなぎをつくる会社。
ここに、「ものづくり」に魅了され2016年に転職してきた三上達也さんにお話をお聞きしました。
「手に取れるものをつくりたい」ものづくりに懸ける想い
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美唄市出身の三上さんは、大学卒業後札幌の建築会社に就職し、構造設計の業務を担っていました。ある時モデルハウスの設計に携わり、興味本位で自分が設計したモデルハウスを見に行ったことがターニングポイントに。三上さんは自分が設計したものがカタチとなってそこに建っている姿にとても感動し、ものづくりの魅力にどっぷり浸かってしまったのです。
しかし前職では主に計算業務がメインだったため「手に取れるものをつくりたい」と、ものづくりに重きを置いて転職活動スタートさせました。そして地元美唄で開かれた合同企業説明会に参加し、道央メタルと出会います。
現在はレーザー加工機を使い、大きな鉄板をレーザーで切る作業を担当。大きいものから小さいものまで様々なカタチを切断していきます。なんと、小さいもので名刺より小さいものもあるのだとか。
小さく切った鉄板をひとつひとつ丁寧に取り扱っています。
小さいものを扱うとなると神経も使うのでは?なんて聞いてみるも、機械が図面を読み取って切断してくれるのだそう。「その分機械のメンテナンスは細かいんです」と三上さんは話します。
「朝イチの仕事としては、前日レーザーで加工したものが、まるでお祭りの型抜きのような状態で保管されているので、それを型からはずす作業から。そういった作業の合間に、またレーザー加工機を動かします」。日々色々なかたちを作成できるので飽きもこない作業だそう。
もう機械の操作もお手の物!
「入社した時はちょうど年末年始に向けた繁忙期。機械の操作手順や、やってはいけないやり方とか、メモをとりながら必死でした。この忙しいタイミングを乗り切って、新年度の4月を迎えた頃には、スムーズに業務をこなせている自分に気づきました(笑)」。
今は「こうしたらもっとやりやすくなるのでは?」と工夫をこなしながら自分なりのスタイルを模索中の三上さんです。
先輩・後輩みんなで肩を組んで仲良しな1枚
職場は、下は18才から、上は73才までと幅広い年代の方が活躍しています。2018年春には、高校を卒業し入社した新たな仲間たちが6名も入りました。そのうちの一人の新入社員が、OJTで三上さんについて学んでいます。
今はまだどう教えてよいものか、と三上さん自身も手探りの状態ではありますが自分が入社した時のことを思い出し、今度は教える立場としても挑戦中です。
手厚く見守り、サポートする新人教育
そんな新人への教育についてですが、道央メタルではここ最近新たな取り組みを始めました。それは、メジャーに移籍したあの二刀流選手も使っていた目標達成シートと交換ノートです。
こちらが実際の目標達成シートと交換ノート
この目標達成シートは、真ん中のマスに目的や目標を書き、そのテーマを達成するための要素・項目を具体的に設定していくというもの。
また、交換ノートは日々の業務内容やそこから学んだこと、疑問に思ったことをしたため、それを先輩社員が返信を書きます。
こうして若手社員の成長を一緒に見守り、サポートしながら新人教育を行っています。
また、若手社員について「前向きで素直な子たち」と、社長の海老原達郎さんも表情を緩ませます。
代表取締役社長、海老原達郎さんです。
社員の人数は53名ほど。それぞれ「班」という持ち場に分かれての作業になるため、なかなか毎日全員と会話を交わすことは難しい現状。しかし風通しを良くすべく、会社の駐車場で焼肉パーティーを開いたり、新年会も無料で社員が参加できるよう盛大に企画したりと、働きやすい環境づくりにも力を入れています。
この仕事の最大の魅力とは?
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最後に、三上さんに1つ聞いてみました。
みんなの目にはぱっと見見えない部分をつくるというところも魅力とは...?
「そうですね、部品をつくる会社ですから大きな脚光を浴びることは確かに少ないです(笑)。でも、部品という小さなところで不良品を出してしまうと、全体がダメになってしまいますよね。精密機器の部品などをつくるをこともありますから責任重大。目に見えない部分をつくってはいるけれど、それが社会の役に立っているということが、やりがいなんです」。
そう語る三上さんの瞳は、とても真っ直ぐ力強いものでした。
検品作業中です
ここでは「モノづくりに、技脳でこたえる」というテーマを掲げています。お客様からの「こんな製品はできないだろうか?」という要望を歓迎し、ゼロから新しいものを生み出す社風を大切にしているのです。その結果、お客様との信頼関係も深まり、そこから繋がりも広がっていき、今では北海道をベースに、岩手県や埼玉県、滋賀県など道外にもここでつくられた製品を届けています。
今後も工場を拡大していこうと進化を続けていく道央メタル。農業機械や暖房器具の部品といった、まさに北海道の産業に貢献できる会社。それだけではなく、仕事のしやすい環境づくりもしっかりと考えてくれる風通しの良い会社で、若手社員も、一歩一歩成長していこうと奮闘中です。