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このまちのあの企業、あの製品
札幌市

北海道初の角食専門店。角食LABO20180712

この記事は2018年7月12日に公開した情報です。

北海道初の角食専門店。角食LABO

洋食派の朝食に欠かせない、食パンこと「角食」。角食って、実は北海道独特の呼び名なのをご存じですか? 一見シンプルに見えるフォルムですが、カットして断面を見れば質の良し悪しは一目瞭然。生地発酵の仕方や型への流し込み方、焼き上げ方など、どの工程も細心の注意と緻密な計算が欠かせません。今回は、道内初の角食専門店として、道産食材と世界に先駆けた機械を使い、よりおいしい角食をつくるべく奮闘する「角食LABO」に密着しました。

平成26年(2014年)6月、道内初の「角食専門店」としてオープン。

お店のドアを開けた途端、フワリと香ばしいパンの香りで満たされる店内。北海道初の角食専門店として、平成26年(2014)6月に札幌市東苗穂に誕生した「角食LABO」は、主食である角食を主力商品にすべく研究を重ね、高い意識でパンづくりに取り組もうとの思いで『ラボ』という名前を取り入れたのだそう。現在は4種類の角食、それに「しかくい」シリーズを中心とした惣菜パンや菓子パン、マフィンなどの製造と販売を行っています。

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海を越えてやってきた、世界初の機械。

ずらりと居並ぶ機械の数々を、誇らしげに紹介してくれたのは主任研究員の山本貴弘さん。パン職人歴は17年、開店準備期間から運営に携わってきたエキスパートです。

bear_kakushokulabo_3.jpg主任研究員の山本貴弘さん

「パン文化の長いドイツやフランスから輸入したもので、直接火を当てずに遠赤外線効果で焼き上げるオーブンや、生地にダメージを与えずに素早く撹拌(かくはん)するミキサーなど、よそにはあまりない機械も入れています」と山本さん。なかには世界1号機になる機械もあるのだそう。おいしさや衛生面への配慮なども細やかで実に頼れる機械たちだそうですが、人手がいらなくなるのでは?との不安げな問いに、山本さんは笑顔でこう話します。

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「どう使えば、北海道の気候の中で、最大限に北海道の素材のおいしさも引き出せ、機械の性能も生かせるか、それぞれの特徴や特性を調べて日々研究の連続ですよ」

素材はもちろん、酵母まで! オール北海道素材の角食の登場秘話。

道産小麦のゆめちからとキタホナミ、中標津の牛乳、羅臼の塩、小樽のハチミツを使った「寶(TAKARA)」という名の角食。酵母はなんと、十勝のヤマザクラから見つかったものを使用しているとのこと。まさにオール北海道素材、徹底した姿勢を貫いています。「でも、最初からうまくいったわけではありません」と山本さん。

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「難しかったですね、通常の酵母と同じように使ってみたらイーストに負けてしまい全く膨らまず、調整したら今度はびっくりするくらい大きくなっちゃって! 数えきれないほどの失敗を重ねて、半年くらい。やっとちょうどいいところを狙えるようになりました」。現在のように酵母をうまく使えるようになるまでには、大変な苦労があったようです。

失敗も次回へのバトン。へこたれないメンタルは、社風が追い風に。

パン作りの面白さについて聞いたところ、「僕は自分がつくったパンが焼き上がり、オーブンを開ける瞬間が好きで好きで。焦げてたり形が悪いと『ダメじゃん』ってなるんですけれど、いいものができた瞬間は最高にうれしいですね。今でも毎回ドキドキしますよ」とのこと。

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「あと、今のお店では最新鋭の機械を使える楽しさと、常に焼きたてを提供できるうれしさも大きいかな」と笑顔で話してくれました。失敗した時はへこむことも多いそうですが、今は何をしたからこうなったのか、どこが悪かったのかを徹底して分析するようにしているそう。「次につなげることを大事にしてくれる社風なので『次こそは成功させてやろう』という気持ちが大きいです」

角食以外にも、オリジナルのメロンパンに注目を。

山本さんに好きなパンを聞いたところ、意外な答えが。「うちの四角いメロンパンです。独特の機械を使った独特の作り方で、最初はこれまでのパンづくりで積み上げてきたものがすべてくずれるくらいの衝撃でした」と山本さん。詳しくは企業秘密とのことですが、同社のメロンパンはサクッとした食感が特徴。角食と一緒にぜひ手に取ってみてください。

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デジタルとアナログ、相反する感覚が生むこだわりの逸品。

「最新鋭の機械で、道産食材のおいしさを最高に引き出す角食をつくります」。そう力強く話してくれたのは、総括本部長の横山昌明さん。同社の主力商品である「角食」はシンプルに見えますが、発酵の仕方や生地の流し方、焼き方など角食ならではのさまざまな工夫が必要で、さらにフタをする・しない、蒸気をかける・かけないなど、製法の組み合わせ方も多用なのだとか。

bear_kakushokulabo_8.jpg総括本部長の横山昌明さん

「店の立ち上げに当たっては、パン職人として現場をワイドに把握できる経験・技術を持ちながらも、外国製の最新機器を使いこなす柔軟性のある人材が必要で、今のスタッフは見事にその期待に応えてくれています。今後も人の感覚や手作業を大切にしながらも、機械の特性を生かしてさまざまな商品開発に取り組んでいきたいと思っています」

角食LABO
角食LABO
住所

北海道札幌市東苗穂10条2丁目19-20

URL

http://ariadne-gr.com


北海道初の角食専門店。角食LABO

この記事は2014年9月16日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。