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世界各地に拠点をもつ自動車部品メーカー、アイシン精機(本社:愛知県)の100%出資会社として、2006年に設立されたアイシン北海道株式会社。苫小牧工業団地の工場では、自動車のトランスミッションに付属するバルブボディやエンジンに取り付けられるウォーターポンプなど、アルミダイカスト製品を製造しています。2016年には操業10周年を迎え、これまで地域の経済や雇用にも大きく貢献。ここでTCC(タイミングチェーンケース)という製品をつくる高橋竜一さんにお話を聞くことができました。
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ダイカストとは高温で溶かした金属で製品をつくる技術。
まず、「アルミダイカスト」とは、アルミニウムを材料とした金型鋳造(注1)のこと。650度を超す高温でどろどろに溶かしたアルミを高速・高圧で金型に流し込み、冷やし固めて製品をつくります。
「僕が担当しているのは鋳造され、加工が終わった後の外観チェックです。バリ(注2)や異物の付着、打痕などが無いかを確認しています」
注1...鋳造(ちゅうぞう):金属を溶かして型に流し込み製品を作る技術
注2...バリ:金属などを加工した時に残る不要な突起やはみ出し
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出荷前の最後の砦! 製品の最終チェックを担当。
高橋さんがアイシン北海道の一員になったのは2015年春。入社後しばらくは製品加工に携わり、今の仕事を任されたのは1年ほど前だそう。
「ここは製造ラインの最終工程なので、万が一不良品を見逃せば、そのままお客様のもとへ出荷されてしまいます。いわば【最後の砦】ですから、不良品を社外に出さないよう責任の重さを感じています」
さらに、不良そのものを少なくすることも高橋さんの重要な役割です。
「加工する機械の状態も、日によって良い時、悪い時があるんです。不良が多くなれば出荷数にも影響が出てきますから、不良の原因を見極めて、機械を微調整します。試行錯誤を重ねて生産数を上げられた時は、達成感が大きいですね」
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製造業に興味を感じて転職。引越し費用補助も決め手に。
ところで高橋さん。出身は砂川市だそうですが、今の仕事を選んだ理由って?「釣り好きということもあって海の近くに住みたいと思っていたんです。製造業にも興味があって、求人を探していた時に、ふと目に留ったのが、アイシン北海道の広告でした。『アイシン』という社名には聞き覚えがあったし、砂川から苫小牧への引越し費用の補助、家賃補助、礼金補助などの条件が良かったのも決め手になりましたね」
今年春には準社員から正社員に登用された高橋さん。さらに生活の基盤が安定したことで、結婚も視野に入れているのだと、少し照れながら教えてくれました。

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平均年齢は30代。服装自由で和気あいあいとした雰囲気。
「工場というと皆が黙々と働いているようなイメージもあったんですが、実際はかなり和気あいあいとしています。特に新人に対しては先輩や上司が『大丈夫かい?』と頻繁に声掛けをしてくれますね。製造業で働くのは初めてでしたが、同世代も多いし、スムーズに馴染めたかなと思います」
なるほど、よく見ると若い方がたくさん働いています。それに、なんだか服装もオシャレな気が...。
「気付きました? 実はこの工場には制服が無くて、基本的に好きな服装で働いてもOKなんです。平均年齢も30代前半と若いので、オシャレに気を使っている人も多いですね。仕事の後みんなでご飯を食べたり、休日にBBQしたり、仲が良い職場だと思います」
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積極的な正社員登用と充実の社内設備。
取締役の水野さんにもお話をうかがうことができました。
「当社では期間社員から正社員への登用を積極的に行っています。毎年15名程度、これまで10年で150名近くを採用してきました。遠方からの採用者には引越し費用や住宅手当も支給しています。自社食堂や売店、大浴場なども設置し、仕事の疲れを癒やしてから帰宅することが可能。女性用ロッカールームにはパウダーコーナーも用意しています」
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地元企業として、さらなる成長が目標。
2016年に迎えた10周年はまだまだ通過点だと語る水野さん。
「アイシン北海道は、人に例えればまだ小学生です。今後この会社が大人になり、更に30年、40年発展してくためには、共に成長を目指してくれる人材が不可欠。人材教育としてはグループ企業での最新情報や技術、最近機器に触れる機会を積極的に設け育成に繋げています。地域貢献できるよう地元の人材を採用したり、女性の採用も増やしていきます」
「グループでのアルミダイカストの東日本地区の拠点として、北海道・東北向売上の拡大と域内調達拡大を通じて地域と共に持続的に成長できる企業を目指していきます」
- アイシン北海道株式会社
- 住所
北海道苫小牧市字柏原32番地5
- URL