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広葉樹革命が動き出す!熱気あふれる座談会レポート20260304

広葉樹革命が動き出す!熱気あふれる座談会レポート

私たち「くらしごと」は、北海道で暮らす人、働き方、そして地域に根ざした産業の魅力を発信してきました。なかでも「森スタイル」というコンテンツでは、北海道の基幹産業である林業・木材産業に焦点を当て、担い手不足や資源活用といった現場のリアルな課題、そして未来に向けた挑戦を追い続けています。
以前、当サイトでも告知した、オホーツク総合振興局による「広葉樹でアレコレ道(Do)!?地域材利用促進事業」の一環として開催された座談会。今回は、当日の熱気とそこから見えてきたオホーツクの広葉樹の未来について、たっぷりとレポートします!

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北海道の林業を次世代へ。歴史的な「顔合わせ」が実現

オホーツク地域は、針葉樹・広葉樹ともに全道1位の森林蓄積を誇る、極めて豊かな森林資源に恵まれたエリアです。特に広葉樹は、カンバ類、ナラ類、シナノキなど多様な樹種が育ち、美しい木目や高い強度など、世界に誇れる価値を秘めています。しかし、現実には広葉樹の原木消費量は昭和55年(1980年)頃をピークに激減し、現在では当時の約60分の1にまで落ち込んでいるという厳しい現状があります。
このままでは、豊かな資源を次世代の産業として活かすことができません。この状況を打破すべく、木を伐る「川上(素材生産業者・森林組合など)」、加工する「川中(製材業者など)」、そして製品化する「川下(家具・楽器製造、工務店など)」の事業者、30名が一堂に会しました。普段は直接顔を合わせる機会の少ない異なる立場の人々が集まり、オホーツクの広葉樹の未来について本音で語り合う、まさに歴史的で熱気に満ちた一日となりました。

現場のリアルな声。浮き彫りになった「情報の壁」と「流通の壁」

座談会では、参加者がいくつかのグループに分かれ、日頃現場で抱えている課題について活発な意見交換が行われました。そこで真っ先に浮き彫りになったのは、川上と川下の間に横たわる「需給情報のミスマッチ」と「情報の断絶」という大きな壁です。

川上の伐採現場からは、「せっかく良い広葉樹を伐っても、具体的な売り先が見えないため、泣く泣く安いパルプ材として処理せざるを得ない」という切実な声が上がりました。一方で、川下の家具や楽器の製造メーカー、木工作家からは、「家具製作には人工乾燥が不可欠だが、地元には品質の安定した材がない」「シラカバやシナ、エンジュといった特定の希少樹種や規格が欲しいのに、そのニーズが川上に伝わっていない」という、全く逆のジレンマが語られました。

さらに、広大なオホーツク地域ならではの「流通・インフラの壁」も深刻な問題として共有されました。広葉樹は一カ所から大量に出るわけではないため、少量では運賃が割高になり採算が取れません。その結果、「もったいないがパルプにする」という判断が下されてしまうのです。また、買い手が少量の木材を直接見て1本からでも買えるような「中間土場(集積場所)」が存在しないことや、物流の2024年問題に伴うトラック運転手不足による遠方への運搬の困難さも指摘されました。

加えて、広葉樹の価値を立木の状態で正しく判断し、適切に伐倒・選別できる「目利き」人材の高齢化と減少という技術継承の課題も浮上しました。現場で手間をかけて選別しても、それが作業員の利益や賃金に直結しないため、どうしても効率優先になってしまうという、一社単独では解決できない構造的な課題が次々と共有されました。

kouyouzyu_z_5.jpgこのように約10名程度で3つのグループに分かれて座談会を開催。

課題を越えるアイデアの数々。「顔の見える関係」がもたらす希望

多岐にわたる課題が飛び交いましたが、座談会の真骨頂はここからでした。ただ課題を嘆いて終わるのではなく、立場を越えた対話の中から、前向きな「解決策」が次々と飛び出したのです。

情報のミスマッチに対しては、川下からの「ほしいものリスト」を事前に共有してもらうことで、川上が現場で直接ニーズに合わせて伐採・仕分けを行う「受注生産的アプローチ」が提案されました。また、川上の担当者が実際に加工工場を訪れ、現場のリアルなニーズを肌で学ぶことで選別精度を高めるという教育的なアイデアも生まれました。さらに、楽器製造で出る「乾燥済みで含水率が安定した良質な端材」を、地元の家具職人に譲渡・販売するという、具体的なマッチングの兆しが見えるなど、直接顔を合わせたことで、これまでにない新しい資源循環の形が生まれました。

物流の課題については、旭川市などへ製品を運んだトラックの「帰り便」を活用し、輸送を効率化する地域内物流網の構築アイデアや、複数業者が材を持ち寄って出荷に足るボリュームを確保する「借り土場」の構想も提案されました。

また、人材育成と選別の動機づけについては、どの規格がいくらで売れるかをまとめた「ニーズ表」を山に備え付けて若手が迷わず選別できるようにする工夫や、手間をかけて選別した分だけ作業費に上乗せする経済的インセンティブの導入が提案されました。自分が伐った木が最終的にどんな美しい製品になったのかを知る機会を作ることが、作業員の大きなモチベーションに繋がるという意見には、多くの参加者が深く頷いていました。

オホーツクブランドの確立に向けて。一歩踏み出した広葉樹の未来

「北海道産」にとどまらず、「オホーツク産」であるというストーリーやトレーサビリティを持たせること。そして、公共建築などの設計段階から地域材の使用を指定(スペックイン)するよう働きかけること。こうした地産地消のブランディングに向けた力強い意見も交わされました。

座談会後の参加者アンケートでは、じつに95%の方が「(この取り組みの)継続を希望する」、80%の方が「顔の見えるつながりができたと感じた」と回答しました。この座談会は単なる意見交換の場ではなく、地域が一体となって広葉樹の付加価値を高め、新たな「オホーツクブランド」を創り上げるための、確かな第一歩となりました。

今回、座談会で挙がった現場のリアルな声や、画期的な解決策のアイデア、そして参加企業の熱意を一つにまとめたパンフレット「広葉樹でアレコレ道(Do)!?」が製作されました。オホーツク地域の林業・木材産業がどのような未来を描こうとしているのか、そのヒントが詰まった一冊となっています。

「稼げる森林資源」への再定義に向け、森づくりに携わる人々自らが変わり始めたオホーツク地域。数年後、この日生まれたネットワークから新しいオホーツクブランドの製品が誕生することを期待しています!

kouyouzyu_z_7.jpg座談会終了後も、名刺交換など積極的な交流が行われていました。(写真は、加賀谷木材株式会社/代表取締役 加賀谷雅治さん)

▼完成したパンフレットはこちらからご覧いただけます!

オホーツクの広葉樹の現状や、座談会で飛び出した具体的な課題・解決策がわかりやすくまとめられています。ぜひチェックしてみてください。

[リンク:広葉樹活用パンフレット「広葉樹でアレコレ道(Do)!?」PDFを開く]

北海道オホーツク総合振興局産業振興部林務課
住所

北海道網走市北7条西3丁目

電話

0152-41-0648

URL

https://www.okhotsk.pref.hokkaido.lg.jp/ss/rnm/index.html

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広葉樹革命が動き出す!熱気あふれる座談会レポート

この記事は2025年12月10日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。