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まちおこしレポート
空知

地元ワインで地域の活性化20170529

この記事は2017年5月29日に公開した情報です。

地元ワインで地域の活性化

北海道、空知管内の中心的都市、滝川市のみなさんが中心になって、「ワイン」を通じた「まちおこし」をしていることをご存じでしたか?その名も「滝川BYO」。BYOとは、「Bring Your Own bottle」の略。つまり、自らが用意したワインボトルを飲食店に持ち込むということです。

ここまでだと、何が地域貢献につながっているのか、イマイチわからないかもしれません。そもそも、お酒に縁がない方や若い方には「ボトルの持ち込み」という制度から、説明しなければなりませんね。「ボトルの持ち込み」というのは、飲食店で提供されるお酒ではなく、自分が飲みたい、或いは自分が同伴者に勧めたいと思うお酒のボトルを飲食店に持ち込み、お店の方にお願いして提供してもらうという仕組み。例えば、料理がとっても好きなお店があったとします。ただ、そこではワインのボトルを提供されていないので、お店に持ち込む。例えば、何年も前から自分が大事にとっておいた記念のワインを、記念日のディナーに合わせて出してもらう。そういった使い方が多いでしょうか。もちろん持ち込みには「持ち込み料」というものがかかります。一般的には1本1,000~3,000円とか、人数×500~1,000円といったあたりでしょう。もっとも、「持ち込み不可」というお店が世の中には多いのが現実です。持ち込み料金が発生するのも、断られることがあることにも、飲食店の経営をしていく上で、飲料品で利益を得ているお店が多いという背景がありますから、当然と言えば当然です。飲食店を営むみなさんにも生活がかかっているのです。「ボトルの持ち込み」は、どちらかというと普通の方にはそう馴染んでいない、特別なこと...なのかもしれません。それが、なぜ地域貢献に?

まずは空知エリアのワイナリーやビィンヤードを知って欲しい

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今年で創業27年になる滝川のイタリアンレストラン「TRATTORIA La・Pecora(ラ・ペコラ)」 。空知エリアで唯一と言われる地下にワインセラーを完備する老舗店。2代目オーナーシェフ 河内一輝さんにその取り組みについて伺いました。

「滝川BYOとは、『そらちワイン』に限って、滝川市内の飲食店に無料で持ち込みができるという取り組み。たきかわ観光協会や滝川市商業観光課と、滝川市内の飲食店が一緒になって、もっともっと多くの方に、『そらちワイン』も『滝川BYOの仕組み』も知っていただこうと頑張っています。北海道には『小樽』や『余市』『とかち』といった地名がワインとしてのブランド化が成功できているところもたくさんあるのですが、『そらち』はまだまだこれから。でも実はすでに、滝川市が位置する空知管内には、多くのワイナリーやビィンヤードがあります(※)。そのどれもが特徴的で、本当に美味しいんです。滝川BYOの仕組みを利用できるのは、9つのファーム。三笠市のYAMAZAKI WINERYとTAKIZAWA WINERY、岩見沢市の宝水ワイナリーと10Rワイナリー、ナカザワビィンヤード、KONDOビィンヤード、長沼町のマオイワイナリー、浦臼町の鶴沼ワイナリー、歌志内市の歌志内太陽ファームです。こんなにも空知エリアにはワイン用の葡萄を育てていたり、ワインを醸造しているところがあるんです。」

(※) ワイナリー ... ワインを醸造する会社や場所  ビィンヤード ... ワイン用の葡萄を生産する農場

飲食店とワイナリーやビィンヤードの連携

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「無料」という言葉に敏感な方が多い世の中。先に説明したとおり、無料では、そもそも飲食店の経営の根幹を揺るがしかねないこと。なぜ無料で持ち込みOKという思い切ったことをされたのでしょうか?

「確かに、私たちの飲食店側にとっては、利益を失ってしまいかねない制度です。なにせ飲料系のメニューを一切オーダーいただけなくなることもありますから。ただ、そこまでしてでもやっていく飲食店側の思いとしては、まずそれをきっかけでいいので、そらちワインを手にとってその素晴らしさを感じて欲しい。そして、飲食店に足を運んで、滝川の素晴らしい飲食店の数々を巡って欲しい。そう思っているんです。飲食店側でも地元の食材を使った料理や、地元ならではのサービスを一生懸命提供するように頑張っています。そうすることで、ワインの良さも滝川の飲食店の良さもわかっていただき、それらを通じて滝川市の、そして空知管内の良さをわかってもらえることに繋がるって考えているんです。リピーター...つまり、空知エリアのファンが増えることで、私たちの飲食店にもメリットがあると信じています。」

身を削ってまでの取り組み。その裏側にある想いとは?

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「滝川市は空知管内では大きい都市。でもそんな滝川だって、人口が減っていっています。若い人も減ってきているし、このままじゃいけないって思っているのがまず第一です。飲食店を経営するみなさんも、それぞれに想いがあって、自分は特に地域のためにつながることができる店づくりをしようって考えるようになりました。ワインの醸造所も含めて、農家さんとの接点も多くつくるように心がけていて、単純な仕入れ先と出荷先のような関係じゃない、生産者の想いをちゃんと感じた上で、お店で活用していこうって。」

そんな想いの輪は、滝川市内の飲食店、11店にもおよびます。イタリアンレストランやフレンチレストランを思い浮かべてしまいますが、その中にはお寿司屋さんや手打ちうどんのお店、ジンギスカン屋さんなども含まれています。

「そもそも、ワインボトルの持ち込みって、お店に対して失礼なことをお願いしているって感じに思われてしまっているかもしれないですね。そのお店にあるドリンクじゃないものを飲みたいんだって言うようなもんですから。お店側は、全然そんなこと思ってませんから、どんどんそらちワインを持ちこんでくれたら嬉しいです。空知を応援してくれてる人なんだなって嬉しくなっちゃいますね。」

オリジナルのワインツーリズムを滝川でぜひ

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ここ最近は、ワインツーリズムといった、ワイナリーやビィンヤードを訪れ、農園や醸造過程を見て、作り手の話を聞き、その地域や雰囲気を感じ取る旅も流行っています。もちろんそうなったらすぐ飲みたくなるのが人の常というもの。ワイナリーでお気に入りの1本を手に入れたら、そのまま食べたいジャンルの滝川BYO加盟店へ。北海道、空知ならではの食材と一緒にワインを飲み、宿泊は滝川市で。そんな思い立ったらすぐ自分のツアーをつくりあげられるのも魅力のひとつ。滝川市はビジネスホテルも多くありますから、格安ツアーを自分なりに発見できるのも面白さ。きっとその過程で出会う、農園に関わる人々、ワインの販売に関わる人々、飲食店のスタッフみなさん、地元の方々。ワインや料理だけではなく、人との出会いや想いも通じて、空知を、滝川を知ることが、地域活性化につながる取り組みなのでしょう。

「そらち」のワイン 滝川BYO
URL

http://takikawabyo.net/main.html

お問い合わせはこちらまで

たきかわ観光協会…TEL.0125-23-0030

滝川市商業観光課…TEL.0125-28-8031


地元ワインで地域の活性化

この記事は2017年4月23日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。