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まちおこしレポート
沼田町

北海道のどこかにある、小さなまちの挑戦です20170227

この記事は2017年2月27日に公開した情報です。

北海道のどこかにある、小さなまちの挑戦です

マチナカで寄り添って暮らしませんか

旭川市から30kmほど西にある、豊かな森林と田園風景に抱かれた人口3,200人ほどの小さなまち。それが沼田町です。ほたるの里やあんどん祭りでその名を耳にしたことがあるという方がいらっしゃるかもしれませんね。

今このまちでは市街地の歩いて暮らせる範囲に病院や介護施設、スーパーマーケットなどを集積させ、住民がもっと便利に、もっと温かく、もっと豊かに暮らすためのコンパクトエコタウン構想が進められています。そしてこの構想を推進するための目玉となるのが、市街地を中心とした空き家を改築し魅力的な住空間をつくると同時にそこに移り住んでくれる移住者を広く募るという試みです。

小規模な自治体だからこそできる、住みやすい町としての機能の再構築を、町長はじめ、役場職員、地元企業、住民のみなさんが一丸となって推進しており、政府から地域活性化モデルケースの1つとして選定されました。

numata3.jpg年に1回の沼田町最大イベント「夜高あんどん祭り」

その名も「つなぐらす〜沼田町リノベーション住宅プロジェクト」

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このプロジェクトは、家主さんの高齢化などで空き家になってしまったマチナカの住まい11棟を、行政と建築士の全面的な支援をもとに、モダンで快適な住まいにリノベーションするという取り組みです。

沼田町に現存する住宅を、地元在住で町をよく知る設計者、普段はなかなか一般住宅には関わらない有名設計者などが関わり、単に古民家をキレイにした住宅ではなく、新しいライフスタイルや、沼田町での過ごし方を提案するコンセプトで設計しています。

これは、北海道の多くの地域で課題となっている『空き家問題』に正面から向き合っている事業です。『空き家』というと、老朽化の問題、権利の問題、ニーズの問題など、地方都市においては、マイナスなイメージがつきがち。

そこを沼田町では、攻めの姿勢に転じます。リノベーション住宅として付加価値をつけ、とりあえず住める家・・・ではなく、住んでみたくなる家を提案しました。それによって、コンパクトエコタウン構想に沿った住みやすい町の提案とともに、移住したいと思ってくれる方々を増やしていく流れが基本の構図となります。

モダンな家に住む、沼田町で暮らす。小さなまちからの、大きな提案です

numata12.JPG沼田町長 金平嘉則さん。光あふれる沼田小学校での一枚です。

沼田町長 金平嘉則さんに優しい表情で丁寧に、そして力強い言葉でこのプロジェクトについて説明していただきました。

「沼田町も全国的にほとんどの市町村がそうであるように、人口が減っているまちのひとつです。かつては炭鉱産業が活況を轟かせ、1970年代には20,000人近い町民がいました。炭鉱が次々とその役目を終え、今では3,200人ほどの町となりました。そうなると当然ながらまちのサイズのあり方や、地元産業もそれにあわせて変わっていかねばなりません。そこで取り組んできたのがコンパクトエコタウン構想なのです。

さまざまな分野での機能集積を計画的に進めており、現在の町の姿に合った暮らしやすい町づくりを行っているところです。この空き家リノベーションプロジェクトの分野には、そもそも現存しているが空いている住宅をどうしていくべきか...という課題から始まっていますが、ただ単に解体しいてく、住めるようにだけするという選択ではなく、誰もが住んでみたくなるような家造りということを考えての展開です。そして、それを通じて、これからの町を支えてくださるための、新しい暮らしを営んでくれるご夫婦やご家族を募集する、ということがプロジェクトの大きな目的なのです」。

町長は続けます。

「じっくり知ること、しっかり納得することが大切です。新しい家に住む、沼田町で暮らす。その決断がたやすくないことは十分に理解しています。仕事、子育て、教育、医療や保健、介護・・・ご自身や家族の生活を取り巻く全てに関して、納得と満足ができなければ、移住の決断をすべきではないと私も思います。まずは沼田町を知ってもらう。そのために、WEBの広報ページも開設。『どこかにある小さなまち』だった沼田町が、少し身近に、少し親しみを感じる存在になるはず。それが沼田町とあなたの『最初のつながり』をつくりたいと思っているところです」。

豪雪地だからこそのアイデアが光る、デザインの最先端をいく沼田小学校

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町長の写真の背景でもある沼田小学校。ここは、2013年1月21日から新校舎へと生まれ変わりました。
豪雪地の沼田町では1年の半分が雪で閉ざされる環境にあるため、子どもの活動をできるだけ中で行うことが可能にできるよう広がりのある内部空間をつくりあげています。

学校生活の中心場所には「ひかりの原っぱ」と呼ばれる吹き抜け空間を設け、校舎と体育館を一体化したコンパクトな空間をつくり、全体がひとつの家のような一体感のある学習環境を実現しています。

ひかりあふれる大きな吹き抜けから注ぎこむ自然光が子どもたちの成長を見守り、多目的スペースや教室内を明るく照らします。ゆったりとした大階段のある空間は子どもたちの読書スペースや発表の場にもなっています。

実はこの沼田小学校を設計した方が、今回のリノベーション住宅プロジェクトに大きく関わっているのです。

リノベーション住宅設計担当に聞く

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今回のリノベーションプランは、北海道でも特に実績のある一級建築士事務所が担当しています。さらにその一軒一軒は、ユニークで独創的なテーマを持ち、その住居空間で紡がれる魅力的なライフスタイルや沼田町での穏やかで豊かな暮らしの提案をしています。

例えば、「丘の上のパン屋さん」「蕎麦教室のある家」など、あこがれの夢を叶える住宅設計や、「ヤギ小屋のある家」や、「オーディオルームが組み込まれた家」など、個人では発想ができなかったような珍しい設計まで、11棟のリノベーションプランを発信。

もちろん、それは提案するイメージのひとつ。そのプランを活かすのもそのイメージを膨らませるのも自由なんだそうです。

一級建築士事務所「株式会社アトリエブンク」池村菜々さん。

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実は池村さんは、沼田小学校の設計を担当していた方。そのご縁もあり、今回のプロジェクトのコーディネーター役を担っています。

「最初に手掛けたのは、設計チームの編成。住宅設計に強い鈴木理さんと室賀さん、沼田町在住の設計事務所tocotoの山本さんにお声がけし、現在の家屋の状況や周辺の環境を調査しました。その最中に生まれたのが、『リノベーションにテーマを持たせては』というアイデア。魅力的な家に住むという観点だけではなく、沼田町に移住し豊かな環境の中で新たな暮らしを紡いでいく、ということを思い描けるような具体的なイメージを各々の家に持たせようと考えました」。

そこで生まれたのがユニークなリノベーションプランの数々なのです。

「これからの家族の暮らし方を映し出すリノベーション住宅の提案。全国でも極めて珍しいこの取り組みを、ぜひ成功させたいと思ってます」。

一級建築士事務所「株式会社鈴木理アトリエ」

numata13.JPG鈴木理さん(写真左)、室賀香織さん(写真右)


「住宅の新築はもちろん、リフォームやリノベーションの設計も数多く手がけてきましたが、ここまで縛りがなく、創造性や発想力を試されるケースは初めて」と優しい笑顔で笑うお二人。

「なので私たちも、フリーランスの若いカップル、アウトドア志向のアクティブな家族、趣味を大切にするシニア夫婦などその住宅に暮らす方々を自由に想定し、ワクワクしながら設計プランに取り組みました。
もちろんコストへの配慮も不可欠です。そのため外観形状や基本的な構造、主要な柱など利用できる部分はしっかり活かすことを前提としました。もちろん耐震や断熱、積雪対応などの機能面に関しても、現在の建築基準を順守。大胆で個性あふれるイメージとそれを支える数々のスペック、その両方を成立させたプランとなっています」。

この取り組みの件で、何度も沼田町に足を運んだからこその沼田町への想い、今回のこの企画への想いを最後にお聞きしました。

「沼田町は、大きく広がる景色とコンパクトな街並みが魅力。私たちの描いたプランをきっかけに、このまちに暮らす方が一人でも増えたら・・・そんな思いを抱いています」。

沼田町、なんだか気になるなぁ・・・でも、移住となれば不安だってある

移住するとなれば、仕事や暮らし、子育て環境などの詳しく知りたいことが数多くあると思います。そこで、それらを解決する専用サイトをオープン。引っ越しを考えている方、転職を考えている方、安心した子育て環境を探している方、ちょうどいい田舎暮らしを考えている方など、多くの方にご覧いただきたいと考えています。

少しでも気になった方、「まずは沼田町というまちを知ってみよう」と思った方はこちらをご覧下さい。

沼田町役場 住民生活課 移住定住応援室
住所

北海道雨竜郡沼田町南1条3丁目6番53号

電話

0164-35-2115

URL

http://teiju.com


北海道のどこかにある、小さなまちの挑戦です

この記事は2017年1月25日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。