HOME>まちおこしレポート>「清水町が大好き」な移住者のコミュニティ。精力的に活動中!

まちおこしレポート
清水町

「清水町が大好き」な移住者のコミュニティ。精力的に活動中!20231003

「清水町が大好き」な移住者のコミュニティ。精力的に活動中!

道内各地で移住促進に関する取り組みが行われています。十勝の清水町でも、昨年5月に町が中心となって「十勝しみず移住促進協議会」が立ち上がりました。受け入れ体勢強化だけでなく、移住後のサポートもこちらで行っていくそう。協議会の中には、「移住者コミュニティ部会」「住宅サポート部会」「仕事サポート部会」の3つの部会があり、40名近くの町民が参加しています。今回は、同協議会の「移住者コミュニティ部会」のメンバーに、それぞれの移住のきっかけや清水町での暮らし、そして部会のこれからの活動などについて話を伺いました。移住スタイルや今の暮らしは三者三様ですが、皆さん共通しているのは「清水町が大好き」という気持ちでした。

shimizuiju_2.JPG今回の取材は、こちらの素敵なお家に、移住者の皆さまが続々と集まってくださいました!

十勝しみず移住促進協議会を引っ張り、まとめる、地域おこし協力隊隊員

まず初めに話を伺ったのは、清水町の地域おこし協力隊で移住・観光推進委員を務めている木村悦子さん。協議会の事務局長として取りまとめ役を担っています。

木村さんは生まれも育ちも東京。コロナ禍の2021年に協力隊として清水町へ。20代に北海道へリゾートバイトで訪れたことがあり、それ以来、「もし移住するなら北海道がいいな」と考えていたそう。移住や観光にまつわる仕事に関わってみたいと思っていたところ、清水町の協力隊でその分野で活躍してくれる人を募集していると知り、応募。

shimizuiju_9.JPGこちらが木村悦子さん

「清水町で観光系の協力隊を募集していると聞いて、ほかの町のことは調べもせずに、ピンポイントで清水町に来たのですが、本当に良かったなと思っています。北海道の中でも雪が少ないし、暮らすにはちょうどいい規模感ですし、人もいいし、特急が停まる駅もあるし(笑)」

昨年はコロナ禍で、協議会としてのイベントなどはほとんどできませんでしたが、個別で移住コミュニティ部会のメンバーとやり取りするなど交流はしていたそう。

「今年に入ってやっと活動らしい活動をできるようになりました。ちょうど先日、部会メンバーが集まって、みんなでBBQをしたところです」

協議会に携わっている人たちは意欲的な方が多く、ゆくゆくは協議会を発展させたような形で、NPO法人化してはどうかという話も上がっているそう。その際は、コーディネーター的な役割で木村さんに引っ張っていってもらいたいという声もあり、協議会や部会のメンバーから木村さんが信頼を寄せられているのが伝わってきます。

shimizuiju_13.JPG移住者の皆さんの交流会の様子です

暑くなくて過ごしやすいのが一番。時間に余裕が持てる便利な田舎町

木村さんに、「NPOにして、コーディネーターをやったほうがいいよ」と取材時に言っていたメンバーの一人が、次に登場していただく移住者コミュニティ部会の丸岡武則さんです。今回皆さんに話を伺うにあたって、お宅のリビングを提供してくださいました。

清水町の御影地区にある丸岡さんのお宅は、平屋のステキな建物。庭には御影石のテーブルセットやパラソルも。白を基調とした広く開放感のある玄関は、まるで海外の家のよう。現在はこのすてきなお宅で奥さまと2人で暮らしています。

丸岡さん夫妻が清水町へ越してきたのは、2020年3月。40年近く暮らした横浜からの移住でした。エンジニアとして大手のコンピューター会社に勤務し、定年退職後も顧問として仕事を続けていましたが、「都会に飽きてしまって。あとはとにかく首都圏は蒸し暑すぎて」と地方への移住を検討。

shimizuiju_7.JPGこちらが丸岡武則さん

「妻の妹夫婦が20年ほど前に清水町に移住していまして、近くに知っている人がいたほうがいいというのもあって、北海道に移住するなら最初から清水町と決めていました。ちょうどいいこの中古物件も見つかったので」

取材陣が来る前に、清水町での暮らしの良さをメモにまとめてくださっていた丸岡さん。いちばん最初に挙げていたのが、「暑くない。蒸し暑くない。朝晩が涼しくて快適」でした。「首都圏の暑さは尋常ではないですから。湿気が全身にまとわりつく感じが嫌で仕方なかった」と話します。

ほかには、台風や水害が本州より少ない、人と車が少なくてラク、渋滞がなくて通勤もラク、晴れが多くて雪が少ない(雪かきは3回程度でいい)、横浜のマンションよりも家が広くゆとりがある(首都圏の暮らしより全体的にゆとりがある)、食べ物がおいしくて安いなどなど。

shimizuiju_1.JPGたくさんの人が続々と集まるので猫ちゃんもびっくり!?

「そしてね、パスポートの取得にしても、スーパーのレジにしても、病院や役場の窓口にしても、どこも待ち時間がほとんどない。向こうでは並ぶのが当たり前でしたが、清水町に来たら、なんでもサッサと済んでしまう。おかげで時間に余裕ができて快適ですよ。かと言って、買い物をはじめ生活するのに不便は一切ないし、便利な田舎町という感じが清水のちょうどいいところだと思います」

随分といいこと尽くしですが、「強いて困ることを言うなら、冬のアイスバーンかな。十勝は日が落ちると路面が凍るから、それがちょっと怖いかな。でもそれくらい」とのこと。清水町をとても気に入っているという丸岡さんは、「せっかく御影にアイスアリーナがあるのだから、そっちでも町が盛り上がったらいいですよね」と、町の活性化にも関心があるそうです。

shimizuiju_8.JPG北海道、清水町の暮らしを心から楽しんでいる様子の丸岡さんご夫婦

清水町はアイスホッケーの町。移住のきっかけはそのアイスホッケー

丸岡さんの話に出てきた、そのアイスアリーナ。そこでやっているアイスホッケーがきっかけで、こちらに移住してきたのが寺内麻紀さんとその家族です。次は、丸岡さんと同じく移住者コミュニティ部会メンバーの寺内さんに話を伺いました。

兵庫県の芦屋でインターナショナルスクールの教員として働いていた寺内さん。3人のお子さんの山村留学を考えていた際、その視察にと2016年の夏に家族で北海道を旅します。そして、いくつかの候補先のひとつ、清水の隣の芽室町上美生を訪れます。「子どもたちがアイスホッケーをやっている」と話すと、御影のアイスアリーナの見学を勧められます。すると今度は、リンクにいた方たちから「ホッケーがきっかけで清水に移住してきた人が結構いる」と教えられます。

shimizuiju_6.JPGこちらが寺内麻紀さん

アイスアリーナのすぐそばにあるカフェ「トリアノン」のオーナーもそんな一人だと聞き、その足で店へ。すると、「オーナーに『ここで暮らしながらホッケーできたらラクだよ。来たら何とかなるから、来ちゃえばいいよ!』と言われました」と寺内さん。「正直そうは言っても、暮らしていくには仕事がないとね...とそのときは思っていました」と振り返ります。

ところが案外簡単に仕事が見つかります。「たまたま帯広畜産大学の先生とご縁があって、仕事があったら声かけてくださいと話していたら、2017年の4月から大学で英語を教える仕事の空きができたとすぐに連絡があって、まずは子どもたちと私だけで清水町へ引っ越してきました」。1年後には仕事の引き継ぎなどを終えた夫も移住。仕事もすぐに決まったそう。

「実はあまり下調べをしないで移住してきたのですが、町の暮らしは想像以上に良かった(笑)。家賃がとにかく安い。そして、何より町の人たちがいい人ばかり。皆さんに支えられて暮らしています」

shimizuiju_3.JPG寺内さんの車には「Hockey Mom(アイスホッケー・ママ)」のシールが

最初に借りた家は役場の人からの紹介でしたが、大家さんがとても親切で、「知り合いも誰もいないから、やはり少し不安もありました。引っ越し当日、清水に着いたのは夜だったのですが、大家さんが電気やストーブの火をつけておいてくれたり、次の日もご飯を用意してくれたり。本当にありがたかったです」と話します。さらに、「町の人たちがみんな子どもたちのことを知っていて、親戚がいっぱいいるような感じ。子育てをするのにもとてもいい環境だと思いました」とのこと。

移住してきたときは小学生だったお子さんたち、一番上の子は高校卒業後に兵庫に戻りましたが、高校生の子と中学生の末っ子は清水町で暮らし、アイスホッケーに打ち込んでいるそうです。

「兵庫にも家があるのですが、夫とは、子どもたちが全員巣立っても夫婦で清水に残って暮らすのもいいよねと話しています」

子どもたちのアイスホッケーがきっかけでこちらへ来た寺内さん。今ではすっかり清水町の水が合っているようです。

shimizuiju_10.JPG

通勤ストレスもなく、プライベートも充実。移住前より健康的な日々

仕事終わりに駆けつけてきてくれたのが、榎本吉典さん。移住者コミュニティ部会の中でも町民歴は20年以上と長く、地元にしっかり溶け込んでいる印象です。

東京の八王子出身の榎本さん、移住前はシステムエンジニアとして東京、名古屋、横浜で暮らしていました。たまたま奥さんの友達が帯広にいて、2回ほど遊びに来て、「いいところだな」と思っていたそう。そんなとき、移住者のテレビドラマを見て、「満員電車に揺られるのも嫌になってきたし、帯広に移住するのもいいかも」と考えるように。

とはいえ、仕事がないまま移住するのは厳しいと考え、まずは東京の有楽町にある「ふるさと回帰支援センター(移住相談センター)」で仕事探しの登録を行います。移住するなら十勝エリアと決めていたそうで、すぐに現在勤めている帯広の会社から声がかかります。

shimizuiju_14.JPGこちらが榎本吉典さん

移住する際は土地を購入することを前提としていたという榎本さん。条件に合ったところを探していたら、ぴったりの場所が清水町の御影地区で見つかりました。

「帯広に通いやすくて、上下水道があって、100坪以上で、眺めの良いところと考えていました。今でこそだいぶ周辺に家が建ちましたが、僕がこちらに引っ越してきた頃は周囲に家も少なくて遮るものも一切なく、日高山脈のパノラマが一望できました」

2000年に移住し、それからもう23年。交友関係もどんどん広がり、野外劇を手伝ったり、趣味であるサイクリングでも仲間ができたり、「首都圏で働いていたときよりも、プライベートや趣味が健康的で充実していると思う」と話します。6年ほど前から農業土木部門の仕事を担当するようになり、仕事を通じて、十勝の農家の方たちとも交流が広がっているそう。

「移住してきて、給料が三分の二くらいに減ったのですが、物価も安いし、まったく生活面で苦労はしませんでした。家が建つまでの間、賃貸住宅にいたのですが、家賃が首都圏の半分でしたからね。それから、食糧自給率が高いだけあって、食は豊か。何を食べてもおいしいし。東京では高級と言われていたものが、こちらでは当たり前にあるという贅沢さ。そして、涼しい(笑)。移住してきてからのほうが、トータルで見て生活の質が上がっていますね」

20年以上経っても、まだ新鮮な気持ちで楽しそうに暮らしている榎本さんの話を聞いていると羨ましく思えてきます。

shimizuiju_11.JPG榎本さん、移住に際しての仕事探しや生活費のシミュレーションなど、とても考えられていたのが印象的でした!

清水町の良さを生の声で伝えてくれる、移住者コミュニティ部会のメンバー

ひと通り皆さんから移住のきっかけや、今の暮らしについて伺い終わったころ、もう一人の協議会の運営メンバーである清水町役場の高橋勇生さん(商工観光係兼移住定住促進係主査)が登場。協議会の活動などについて伺いました。

協議会が立ち上がって2年、昨年はコロナ禍で目立った活動はできませんでした。最初に登場した木村さんが話していたように、今年に入ってやっとみんなで集まり、BBQを開催しました。しかし、部会のメンバーは移住促進のために実はそれぞれ活躍。

「移住体験住宅に泊まりに来てくださったご夫婦を、榎本さんと丸岡さんがもてなし、移住や清水町の魅力について話してくださったところ、移住が決まりました。体験住宅に申し込む際、コミュニティ部会のメンバーとの交流を希望するか否かをシートにチェックしてもらうようにしているのですが、やはり実際に移住してきた方たちに話を聞くのは大きいかなと思っています」と高橋さん。

shimizuiju_12.JPGこちらが高橋勇生さん(実はこの日、木村さんと一緒に来る予定が、車のタイヤがパンクし、後からの参加に 涙)

暮らしのことはもちろん、仕事のこと、お金のことなどもリアルな話が聞けるのは希望者にとってもプラスです。高橋さんは、「協議会の中に、町の建築会社や不動産会社が参加している住宅サポート部会、商工会が入っている仕事サポート部会があるので、住む場所や仕事探しは協議会としても全面的にサポートします」と続けます。

また、道外で行う移住フェアにコミュニティ部会のメンバーが移住者代表として参加。直近では寺内さんが町の職員に帯同し、相談者や希望者に清水町の魅力をPRしました。町としても子育て世代にもっと移住をしてもらいたいと考えているそうで、寺内さんのように子育て中の人の話はおおいに参考になりそうです。

「清水町は、医療費が高校生まで無料。これはほかでは珍しく、なかなか手厚いと思いますよ。病気だけでなく、部活などで怪我をすることもよくありますからね。そういったことも伝えられたらと思います」と寺内さん。

shimizuiju_15.JPGちなみに、移住検討者に何かアドバイスを?と聞くと、「とりあえず来ちゃいなよ!」と寺内さん(笑)

このようにそれぞれが清水町の移住者を増やそうと動いているのは、それだけ皆さんの清水町での暮らしが充実したもので、清水町が大好きだから。

丸岡さんは「移住者仲間を増やしたいし、少しでも移住を考えているという人がいたら、手厚くもてなしたいですよね。仲間が増えるとコミュニティ部会もさらに盛り上がるしね」と話します。

移住後も移住仲間たちがサポートしてくれるというのは心強いものです。これからもますます協議会の役割は重要になっていくと思われます。協議会であんなこと、こんなこともやれたらいいのにと、取材が終わったあとも話題が尽きず、メンバーの皆さんの意気込みも伝わってきました。協議会の発展とともに、移住者がどんどん増えていきそうな予感がした取材となりました。

shimizuiju_16.JPG

十勝しみず移住促進協議会
電話

0156-62-1156(清水町役場商工観光課)

URL

https://www.town.shimizu.hokkaido.jp/tourism/details/post_20.html


「清水町が大好き」な移住者のコミュニティ。精力的に活動中!

この記事は2023年7月13日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。