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まちおこしレポート
栗山町

関わる人を笑顔に。フードトラックに乗せた夢が町を盛り上げる!20230515

関わる人を笑顔に。フードトラックに乗せた夢が町を盛り上げる!

「こんにちは~!」
北山沙也加さんのよく通るその声とあふれんばかりの笑顔は、曇り空の下であってもパッと灯りがともったようにその場を明るくします。今回の主人公・北山さんは、昨年から栗山町で地域おこし協力隊として活動している23歳の女性。

sayaka_kitayama02.JPG笑顔がとっても素敵な北山さんです。

この春から、フードトラック(キッチンカー)でクレープ販売をスタートさせました。

大阪出身で、人懐っこい関西弁がとてもチャーミング。自分の夢を叶えるために栗山町に来たという北山さん、その経緯や栗山での暮らし、そして大切な「夢」について、たっぷり語ってもらいました。

夢を持つ素晴らしさを知った大阪の大学時代

生まれも育ちも大阪の北山さんは、小学校からバスケットボールに打ち込み、高校は府内でも指折りの強豪校へ。ハードな練習、厳しい上下関係などを経験し、「バリバリの体育会系でした」と笑います。高校卒業後は、地元の阪南大学へ進学。特に夢もなく、大学を卒業したあとはOLにでもなるのだろうと漠然と思っていたそう。


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「でも、大学で出会った友達が夢を叶えるために一生懸命頑張っている姿を見て、夢を持つことの素晴らしさを知り、夢があるっていいなと思いました。それから自分の夢は何だろうって真剣に考えるようになりました」

北山さんの中に浮かんできたのは、「カフェをやりたい」という夢でした。

周囲にそのことを伝えはじめると、某有名コーヒーショップでのアルバイトが決まったり、知り合いの伝手でカフェをやらせてもらったり、キッチンカーに関心があると伝えるとキッチンカーをやっている人を紹介してもらえたり。「口に出すと叶いやすいって言いますけど、本当だなと思いました」と振り返ります。

地域おこし協力隊になって、好きなまちで夢を叶えたい!

夢に向かって突き進んでいた北山さん。ちょうど2年生のときに、大学の産官学連携活動で栗山町との繋がりができます。「若者の関係人口を増やすための方策」というテーマで、7月にゼミの仲間たちと栗山町を訪れます。


「北海道に来たのはこのときが初めて。湿気がなく、気候がカラッとしていて、すぐに『好き!』って思いました(笑)。ちょうど夏まつりのときで、みこしを担がせてもらったり、地域の皆さんとたくさん交流させてもらったり。人の温かさに触れて、栗山町が好きになりました」

とびっきりの笑顔で楽しそうにみこしを担ぐ北山さんの写真は、町の広報誌の表紙にも採用されました。その後もゼミの活動として、9月と翌年の2月に栗山町を訪れます。
ところが世界中でコロナの感染が拡大し、3年生のときは1度も訪れることがないまま春休みに突入。

「そんなときに原田さんから連絡がありました。地域おこし協力隊の隊員で私たちがお世話になった方の任期が終了するからビデオメッセージを送ってほしいと言われて。でも、それはもうサプライズで行くしかないやろってなって、ゼミの友達と2人で3月に栗山に来ました」

ここで登場する原田さんというのは、大学との連携に関する栗山町の担当者・原田恭兵さん(栗山町ブランド推進課 観光・賑わい推進グループ 主査)。

sayaka_kitayama04.JPGこちらが原田さんです。

このときの4回目の栗山訪問、そして原田さんとのやり取りが、北山さんの卒業後のかじ取りを大きく変えていきます。

「原田さんに、カフェを3店舗作って、海外進出もしたいという自分の夢について話をしたんです。そしたら、栗山町の地域おこし協力隊なら夢の第一歩を後押しできるという話をしてくれて。栗山のこと大好きやったし、ここの協力隊をやりながら夢を叶えていくのもいいなと思いました」

早速、夏に「おためし地域おこし協力隊制度」を利用して、2泊3日で栗山へ。

「原田さんに話を聞いた3月の時点で、自分の中では協力隊に応募することを決めていましたが、一応きちんと体験もしておこうと思って参加しました」と話します。

そして、「おかえり」と迎えてくれる町の人たちの温かさに再び触れ、あらためて栗山のことを好きだと感じたそう。このとき、町の人にヒヤリングなどを行い、カフェと町の課題解決を組み合わせたフードトラック(キッチンカー)事業を展開したいと決めます。

sayaka_kitayama05.JPG夢を叶えた姿はとってもイキイキとしています!

人があたたかく、暮らしやすい。「めっちゃいいまちですよ!」

夢を形にするため、大学卒業と同時に地域おこし協力隊として栗山へ移住。周りの反対はなかったのかと尋ねると、「両親も、兄弟も、友達も、みんな応援してくれて、気持ちよく送り出してくれました!」とニッコリ。


北山さんがたくさんの人に愛され、大事にされていると分かるのが、移住の際、大阪の大学の友達たちが忙しい中、わざわざ栗山まで来てくれたというエピソード。北山さんの本気の夢をみんなが応援していることがよく伝わります。それは、栗山に来てからも同じ。栗山の人たちが北山さんの夢を応援しています。

そんな栗山での暮らしについて尋ねると、「めっちゃいいですよ!」と北山さん。暮らしやすいと話し、冬の雪も気にならなかったそう。

「まず、まちの人がいい。みんな、あたたかい。雪かきも近所の人が手伝ってくれたり、車が雪にはまったときも近くにいた人がすぐ助けてくれたり。財布を落としたときも近くの人が一緒に雪を掘って探してくれたんですよ(笑)。とにかくみんな親切なんです。そして、まちの中がキレイ。都会みたいにゴミがあちこちに落ちていないから、気持ちがいいです。強いていうなら、電車が少ないのが不便かな...。でも、車があればどこにでも行けるから問題ないです!」

スノーボードも好きだという北山さんにとっては、雪のある暮らしは抵抗がなかったよう。町の規模感も含め、ちょうどいい居心地の良さだと話します。

夢や希望が持てる町に。フリーミッション型の新しい関わり方

北山さんは、地域課題と自身の夢を掛け合わせた活動を考え、形にしていく「KURIYAMA ORIGINAL PROJECT」という内容で、協力隊として活動。


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まちの課題を解決しながら、ここで起業するというのが目的です。

フードトラック事業を運営しながら、町の活性化を図るというのが北山さんのプラン。最初の1年は準備期間として、まずは地域にもっとなじむところからスタート。役場の仕事を手伝いながら、マーケティングやブランディングといったオープンへの土台作りを進めていきました。自身が描くフードトラックのイメージやウリになるものを見つけるため、いろいろなところへリサーチにも出かけたそう。そんなとき、いつも北山さんをサポートし、アドバイスしてくれたのが原田さんでした。

「まちを活性化するため、ここで起業してくれる若い人を育てていきたいという想いがありました。従来受け入れていた地域おこし協力隊の活動とは少し異なりますが、北山さんのように夢がある人をまちで応援できたらと考え、フリーミッション型の隊員として受け入れています」(原田さん)

北山さんは新卒ということもあり、名刺の出し方から原田さんがレクチャー。「原田さんの存在がめっちゃ大きいです!」と北山さんも頼りにしています。

その原田さん、一見役場の方とは思えないニットキャップにパーカーという出で立ち。実は、スケートボードが趣味で、交流拠点施設「栗山煉瓦創庫くりふと」に隣接する栗山駅南公園に作られたスケートボードパークも原田さんが考案。北山さんも含めみんなで作り上げたそう。「栗山を訪れてもらえるきっかけになってほしい」と話します。

sayaka_kitayama07.JPG華麗に飛ぶ原田さん。

原田さんは、役場の若手職員で結成した「栗山メロン男子」というPR企画も発案するなど、いろいろなことに積極的にチャレンジ。今回の北山さんの受け入れに関しても、まちの活性化につながるきっかけにと考えています。

「僕は娘が3人いるのですが、将来、娘たちが夢や希望を持てるような町にしたいと思っています。だから、沙也加のような若い子たちがどんどんここで夢を叶えていってくれたら、それは結果として町の活性化にもつながると思うんです」(原田さん)

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栗山をホームタウンに、さらなる夢が広がっていく

原田さんをはじめ、まちの人たちに支えられながら準備を進めてきた北山さん、フードトラックで販売するものは、栗山町の食材をメインに使用したクレープと決めました。ブランド名は「SmileBack」。そこには、地域、生産者、スタッフ、お客さま、関わったすべての人を笑顔にするという想いが込められています。ロゴに描かれているユニコーンには、未来に夢や希望を与える世界を作りたいという願いも込めています。


sayaka_kitayama09.JPG想いが詰まったロゴです。

この4月からスタートしたSmileBackのフードトラック事業。「栗山煉瓦創庫くりふと」の外に停められたフードトラックは、シルバーカラーで内装もかわいらしくまとめられています。これらは北山さんが考えたそう。自慢のフードトラックを前にニコニコの北山さん、「食べてみてください!」と取材陣のためにクレープを焼いてくれました。

栗山町・酒井農場の卵を使ったもっちりした生地、ヨーグルトを加えたさっぱり目のホイップ、そして地元産の旬のフルーツを用いたクレープは、程よい甘さと食べ応え。くどさがなく、食後の満足度が高いクレープです。

また、手土産やテイクアウト用にと、フルーツを挟んだクレープサンドも開発しました。クレープの美味しさはすでに町の人たちも知っているようで、撮影をしていると「今日、やっているの?」と町の人が財布を片手に集まってくるほど。スタートから間もないにも関わらず、早くも町の人に支持されているのが分かります。

sayaka_kitayama10.JPGこちらがクレープサンド。とっても美味しかったです!

当面は、栗山町内や近隣での営業が中心となるそうですが、少しずつあちこちへ出向いて営業していきたいと北山さん。「町外にも出て、栗山のPRもしていきたい」と話します。

「私のホームタウンは栗山。いろいろなところへ営業に行っても、帰ってくるのはここ。今年はフードトラックを運営しながら、来期は実店舗を町に出せるように計画を進めていきたいと考えています。私の今の夢は、ここを拠点に店舗を拡大していくこと。目標は20年以内に、フードトラック5台、国内5店舗、海外3店舗です!」

栗山に来て、SmileBackを立ち上げ、北山さんの描く夢はさらにスケールが大きくなりました。町とともに成長していきたいという想いがそうさせているようです。「人と話すのが大好き」と満面の笑みで話す北山さん、その笑顔と夢に突き進むパワーでこれから町をもっと盛り上げていってくれるでしょう。

sayaka_kitayama11.JPG今後の栗山がとっても楽しみです!

栗山町地域おこし協力隊 北山沙也加さん
URL

https://www.instagram.com/smileback_foodtruck/


関わる人を笑顔に。フードトラックに乗せた夢が町を盛り上げる!

この記事は2023年4月20日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。