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石狩市

道の駅石狩「あいろーど厚田」物語 ~シリーズ その320171225

道の駅石狩「あいろーど厚田」物語 ~シリーズ その3

平成30年春、石狩市厚田区に新たな道の駅石狩「あいろーど厚田」が誕生します。くらしごとでは、およそ一年をかけ、この道の駅完成までの町民のドラマをお伝えしています。本シリーズ3回目に登場するのは、石狩市厚田区地域おこし協力隊で『音楽を通じた地域の活性化』に取り組む今野博之さんです。

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厚田にバリトンの歌声を響かせる、今野博之さん。

こんな活動をしてるんです、と言って見せていただいた写真を見てビックリ! そこに映っていたのは、大漁旗が揺れるイベントのステージでダイナミックに歌う今野さん。大きく開けた口、大胆な身振り、舞台映えする衣装。今野さん、もしかしたら、プロの歌手?

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「バリトン歌手として歌劇団に所属したり、コンサート活動やイベント活動なども手がけてきました。といっても今は地域おこし協力隊の仕事が本業ですけれど」
なんとも謎めいた雰囲気を醸し出す今野さん。これはフカボリしがいがありそうです(笑)。さて、まずはご出身とこれまでの経歴を。
「出身は石狩市です。高校時代に音楽への関心が高まり北海道教育大学の芸術文化課程音楽コースへ。在学中にオペラの世界に惹かれ、バリトン歌手の道を歩み始めました」
卒業後は北海道二期会などの歌劇団に所属。アルバイトをしたり、専門学校の非常勤や音楽スクールの講師をしながら、オペラ公演など大小合わせて年に数十回、舞台に立ち続けてきました。しかし当然のことながら、生活は不安定。収入も毎月ぎりぎり...。
「結婚し子どもが生まれたこともあり、このままの生活を続ける訳にはいかないと。そこで2年前、38歳にして人生初の就職。石狩からも、音楽の仕事からも離れ、帯広で事務職に就きました。単身赴任だったので支出も多かったものの、収入の安定は本当にありがたかったです。しかし、息子が石狩の小学校への入学を熱望したことで、単身赴任生活に限界を感じていた僕は、地元に帰ることを考え始めました」
そんな折に耳にしたのが、石狩市の地域おこし協力隊の募集。奥さんやお子さんが石狩在住であり、また、自分の故郷である石狩の町に貢献したいという思いから、今野さんは悩んだ末、応募を決意しました。

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音楽を通じたまちづくりを実践させてほしい。

地域おこし協力隊の面接の日。どう自己アピールしようかと考えあぐねていた今野さんに小さなひらめきが舞い降ります。
「そうだ! 自分の得意な歌を披露し、音楽を通じたまちおこしを実践させてほしいと訴えてみよう」
すぐさまネットを介して、地元民にはお馴染みの「厚田音頭」を完コピします。舞台に立つ機会は大幅に減ったものの、そこは元プロ。一時間ほどの練習の後、今野さんは面接の場でバリトンボイスの厚田音頭を豪快に歌い上げました。
「面接担当者を驚かせてしまいましたが、自分という人間、そしてその熱意を伝えるための、ベストの方法だったと思います。さらに音楽が持つ力、音楽が広げる輪についても語らせていただきました。気づいたら制限時間をオーバーした40分以上も喋っていたんです(笑)」
結果は見事採用! 今野さんは平成29年5月から正式に石狩市厚田区の地域おこし協力隊としての活動に取り組むことになりました。

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音楽の楽しみ、歌うことの喜びが町内に広がって。

協力隊に着任後、今野さんはすぐに行動を始めます。
「厚田区はとにかくイベントの多いところ。地域ごとの夏祭り、町内会の神社祭り、敬老会の祝賀会など、初夏から秋にかけては毎週のように催事があるんです」
オペラから歌謡曲、時にはロック調の曲まで。今野さんはそのイベント会場の雰囲気に合わせ魅惑的な声を披露し続けました。その内に今野さんの別の闘志がウズウズしだします。
「自分が歌うことで盛り上がっていただけるのは幸せなことですが、そればかりだと地域の皆さんは『受ける側』になり、地域おこしとしてはまだまだ弱い。何とかこの音楽の輪の中に皆さんを引っ張り込みたい、参加型のイベントを仕掛けたい、と思うようになりました」

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そんな中で参加した、漁協・農協の青年部メンバーが主催する「あつた夏祭り」の企画会議で一つの懸案が浮上しました―――ステージイベントで斬新な『目玉』が欲しい―――
そこで今野さんは思い切った提案をしました。「良ければ、僕が何曲か歌いましょう。そして、最後の一曲は『カルメン』の『闘牛士の歌』にするので、皆さんもコーラスとして参加して下さい」
オペラなんてわからないから歌いたくない、と渋るメンバーを根気良く説得し、練習を行い、苦心の末に「漁師・農家・オペラ歌手 夢のコラボ」を実現させました。
「実現した、というだけで、まだ全然です。皆さんは頑張ってくれたけど、僕にとってはここがスタートライン。『もっと歌いたい』『もっと人数を増やしたい』『もっと上手くなりたい』と言わしめるところまで持って行き、それらを達成するところまで導き、地域が音楽で元気になり、更にそれが一過性のものでは意味がない。ゴールは遥か彼方です」

道の駅石狩「あいろーど厚田」にも歌声を響かせたい。

今野さんが着任してまだ半年、音楽を通じた地域おこしは、上記の通り始まったばかり。けれど、今野さんは確かな手応えを感じ始めています。

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「これまで、区内の小中学校で合唱指導をしてきたほか、リハビリの会では高齢者の皆さんと一緒に歌い、学芸会シーズンにはPTAの合唱指導もしました。夏祭りもそうでしたが、老若男女、皆さん本当に一生懸命に、そして楽しんで歌ってくれるんです。また、道ですれ違った時などは『今度はいつ歌ってくれるの?』などとお声掛けいただくことが増えたのもうれしいですね」

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今後は、ミニコンサートやレクチャーイベントを厚田でも積極的に開催し、地域に音楽を根付かせ、地元で合唱団を作れるくらい盛り上げていくことが夢だとか。
また、演奏活動の核として、10月から「挑む!」と題したシリーズ企画を札幌市でスタートさせた今野さん。毎回、実力派のゲストを招き、個性的なプログラムに挑戦するコンサートだそうですが...
「約20年にわたる活動を通じて、素晴らしい仲間に恵まれてきたことが僕の音楽人生最大の自慢です。もちろん、その自慢の仲間たちを、厚田にも招きたいと思っています。道の駅でコンサートを行い、美しい海を見ながら音楽仲間たちや地域の皆さんと一緒に歌えたら最高ですね!」

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かくいう今野さん自身も、協力隊としての一連の活動を通じて「自分も変わった」と打ち明けます。
「かつての自分は、札幌などの都会で活動しなければ、己の音楽は認めてもらえない、と考えていました。でもそれだと、多彩な音楽の情報の中に埋没しかねません。意外に思われるかもしれませんが、札幌市内で声楽家として活動している人の数って、100人、200人は下らないと思います。でも、厚田の声楽家は恐らく僕一人。オンリーワンの歌い手として活動することで、より深いところから地元を元気にすることもできるし、珍しいだけに都会への発信力もかえって高くなる。この発見は本当に新鮮でした。『最近、厚田の音楽が熱いよね』なんて言わせてみたいですね(笑)音楽ができること、音楽の可能性は計り知れません。まだまだいろいろ仕掛けていきたいですね」
今野さんが展開する音楽を通じたまちづくり。そこからしばらく目が離せそうにありません。

(道の駅石狩「あいろーど厚田」物語 ~シリーズ その4へ 続く)

石狩市役所 厚田支所 地域振興課 地域おこし協力隊
住所

北海道石狩市厚田区厚田45番地5

電話

0133-78-2012

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道の駅石狩「あいろーど厚田」物語 ~シリーズ その3

この記事は2017年10月10日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。