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まちおこしレポート
上士幌町

子育て支援が実り、十勝エリア唯一の人口増へ!20171221

子育て支援が実り、十勝エリア唯一の人口増へ!

移住を考えている人が熱い視線を注ぐ上士幌町。

上士幌町は十勝の北部に位置し、大雪山国立公園の東山麓に広がるまち。町内の約76%を森林が占め、その豊かな自然の恵みを生かした畑作や酪農、林業といった一次産業が盛んです。上士幌といえば、熱気球が空高く舞い上がる「バルーンフェスティバル」が有名ですが、ここ最近は移住を考えている人が熱視線を注いでいるというのです。人口5,000人ほどの小さなまちに何が起きているのでしょうか。まちの移住総合窓口を担う「NPO法人上士幌コンシェルジュ(以下コンシェルジュ)」のサテライトオフィス「かみしほろ情報館」の扉を開きました。

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早いうちから移住者を呼び込む取り組みにチャレンジ。

館内は平日にも関わらず、多くの人々で賑わっていました。よく見ると奥のほうには喫茶スペースがあり、コーヒーを飲みながら本を読んだり、仲間でおしゃべりを楽しんだり、思い思いの時間を過ごしているようです。

「ここは昨年にオープンしました。観光案内や特産品の販売、地域のコミュニティスペースも兼ねているので、町民の皆さんがいつも顔を出してくださいます。あ、あそこに座っている女性は移住してきた方。移住者グループの中でも中心的な存在なんですよ」

こう教えてくれたのは、コンシェルジュで移住対応を任せられている川村昌代さんと山田晴夏さん。移住の相談からまちの案内、生活体験事業「ちょっと暮らし」のご紹介、物件探しに定住後のフォローまでさまざまなサポートをしています。ところで、上士幌が移住に力を入れ始めたのはどうしてなのでしょう。

kamishihoro_concierge_4.jpg写真左から川村昌代さん、山田晴夏さん

「どの地方も同じ課題を抱えていると思いますが、上士幌にもやはり少子高齢化による人口減少の波が押し寄せてきました。ただ、このまちの場合は、早い段階から移住者を呼び込むための取り組みに頭を切り替えたんです。平成17年には役場にワンストップの窓口を設けたり、移住ホームページをオープンしたり、受け入れ体制を整えていきました」

上士幌町がとりわけ重視したのは子育て支援。とはいえ、当初は手探り状態からのスタートで大きなアイデアが飛び出すわけではなかったそうです。しばらくは移住体験モニターの受け入れや生活体験住宅の整備、定住に向けた賃貸住宅の建設の促進など、地道な取り組みを進めていきました。

ふるさと納税の寄付金を活用し、子育て支援を手厚く。

コンシェルジュが設立されたのは平成22年。それまでは町役場の企画課や商工会、観光協会の有志が移住のためのプロモーションや体験住宅の建設を進めていました。

「もちろん連携が取れていないわけではなかったのですが、行政と民間それぞれの活動をひとまとめにすることで、もっと効果が上がるんじゃないかと考えました。そこで町内企業の社長たちが一肌脱いでくださり、移住を柱にまちを盛り上げるためのNPO法人を立ち上げたんです」

kamishihoro_concierge_5.jpgコンシェルジュの事務所内。会員数は15名です。

業務内容は移住体験の受け入れや情報発信、観光、上士幌の特産品を販売するショッピングサイト「十勝かみしほろん市場」の運営など。そこに追い風となったのが翌年に始めたふるさと納税です。当初は1,000万円ほどの寄付額でしたが、和牛肉を中心とした返礼品の充実した内容があれよあれよと広まり、平成28年度には21億円までふくれあがりました。

「ここまでなら単なるふるさと納税のサクセスストーリー。けれど、上士幌町の場合は使い道の決まっていない寄付金を、『子育て少子化対策夢基金』として積み立てることにしました。この予算を活用することで平成27年に定員120名の認定こども園『ほろん』を開き、翌年には完全無料化まで持ち込んだんです。高校生までの医療費を全額補助したり、住宅購入の助成としてお子さん一人につき100万円をサポートしたり、そんな手厚い子育て支援もできるようになりました」

kamishihoro_concierge_6.jpg認定こども園「ほろん」の一コマ。若い保育士も働いています。

事実、平成28年度には20〜30代の子育て世代の転入も増え、上士幌は十勝エリア19市町村の中では唯一人口が増加。長く続いてきた人口減に歯止めがかかったのです。早いうちから手を打ってきた移住施策の数々がここに来てようやく実りました。

kamishihoro_concierge_7.jpg北海道食材にこだわった給食ももちろん無料です。

移住後もコンシェルジュがしっかりとフォロー。

「かみしほろ情報館」には、7月〜10月の間は土日ともなれば移住を考える人がビッシリ訪れるのだとか。川村さんと山田さんは、町内の24時間対応のクリニックやスーパーなどを案内しながら、まちの魅力を伝えています。近隣の市町村から仕事を変えずに移住する家族も多いそうですが、首都圏をはじめとする本州からの移住者はそうもいきません。転職を伴う子育て世代のために、2016年には「上士幌町無料職業紹介所」を開設し、「かみしほろ会社・仕事図鑑」というWebサイトもオープン。仕事先まで見据えた「リアリティのある移住提案」ができるようになっているのも上士幌の特徴です。「田舎には職がないから...」とはどのような地方都市でもいわれることですが、企業と行政が手を携え、そこから一歩先に進んだ取り組みは、地道ですが効果の高いものです。とはいえ、「失敗しない移住」を提案し続けたい川村さんたちは、こうも説明します。

「移住フェアに参加すると田舎暮らしの『職』をラクだと思っている方とも出会います。上士幌には無料職業紹介所もありますが、正直なところ都会のように仕事が選べるほど多いわけではありません。農業や林業といった一次産業が圧倒的なので、『とりあえず田舎が良い』と考えているとミスマッチが起こり得ます。それを防ぐために、一次産業の厳しさを伝えるのも私たちの役割です。ちなみに、住む場所に関しては不動産屋がないので、コンシェルジュにて民間住宅の情報をわかる限りご紹介するようにしています」

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コンシェルジュは暮らす前だけでなく、定住後のフォローも欠かさないのがモットー。月に一度は移住者が夕食を持ち寄って交流する「誕生会」も開いています。

「交流といっても堅苦しいものではまったくありません。『ふれあいプラザ』や『生涯学習センター』でサラダや煮物など持ち寄った料理をつまみながら、雑談を楽しむスタイルです。この会には体験住宅の入居者も招き、地元情報や移住の先輩からのアドバイスを聞けるようにしています」

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上士幌町は乳幼児だけでなく、子どもの学力向上のために無料の夏期講習や外国語活動といった教育への取り組みも充実しています。今後は福祉の面にも力を入れて「生涯活躍のまち」を目指していく予定です。
このまちには1週間〜1カ月程度の短期生活体験住宅と、1カ月〜1年の中長期生活体験住宅があります。子育て環境を重視した移住を考えているなら、まずはコンシェルジュスタッフのいる「かみしほろ情報館」を訪ねてみてはいかがでしょうか?

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NPO法人上士幌コンシェルジュ
NPO法人上士幌コンシェルジュ
住所

北海道河東郡上士幌町字上士幌東3線231番地 かみしほろ情報館内

電話

01564-2-3993

URL

http://kamishihoro.net/

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子育て支援が実り、十勝エリア唯一の人口増へ!

この記事は2017年8月30日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。