
木工家、河野さんの希望に応えて
総面積の90%を森林が占める下川町。豊富な木材資源を有し、端材等を利用した木質バイオマスボイラーによる公共施設への熱供給など、環境に配慮した取組みに力を入れています。また、国の施策「環境未来都市」と「環境モデル都市」にも選定されています。
2016年4月には、地域活性化に向けて移住促進などに取り組む、下川町産業活性化支援機構タウンプロモーション推進部が発足。指揮をとっているのは、プロジェクト総括部長の長田拓さんです。
長田さんは、数年前からの知り合いである、木工家の河野文孝さんが「森に近い場所で、地域材を使って、その地域ならではのモノを作りたい」と希望している事を知り、下川町への移住を勧めました。「町のNPO法人が、木材として流通に乗らず、パルプ材になっている地域材を木工などに生かす取組みを始めたんです。これなら、河野さんの希望に合うと思いました」と長田さん。移住が決まった後は、工房の場所探しにも同行。10カ所以上を見て回った結果、理想どおりの場所を見つけることができました。
木工家の河野さん(左)と、河野さんの工房の前で
みんなで盛り上がる「タノシモカフェ」
近年、下川町にはその自然環境に魅かれ、仕事での転勤なども含めて年間約150人が転入。長田さんたちは誘致だけではなく、毎月1回、移住者と地元の人たちとの交流の場「タノシモカフェ」を開き、地域に根づく後押しをしています。「馴染めずに出て行ってしまうのは、町として、悲しいことですから。下川町はもともと鉱山の町。町外からどんどん働き手が来ることで栄えてきた経験があるので、今も地元の人は移住者に対してオープンです。タノシモカフェには、外国の方も来ましたし、子どもを連れて参加した方もいました」。
一人一品持ち寄って、アルコールもOK。気取らず、温かみのある、町そのものの雰囲気が感じられます。
好きなことをして輝ける場所
移住希望者へは、他にも年に数回、下川町を体験できるツアーの提供、仕事探しのシステム「下川町地域人財バンク」などの支援を行っています。
長田さんたちの活動場所「コモレビ」は木のぬくもりいっぱいの空間
「下川では、仕事と暮らしを調和させる『ワークライフバランス』ではなく、両者をリンクさせる『ワークライフリンク』を実践できます。町内には森林ガイドの傍ら、狩猟をしている人もいますし、河野さんも自分用のバードコールやスノーボードを作って楽しんでいます。下川町の特長は、それぞれが自由に好きなことをして、みんなキラキラしていること。手作りしたり、コラボしたりして、暮らし方に面白さがにじみ始めていますね。移住して来た方などいろんな価値観の人たちと話し合って、下川町ならではの多様性のある町づくりをしていきたいです」。穏やかながら力強い言葉の中に、この町への愛情があふれていました。
下川町には、中国領事館からもお墨付きを頂いた万里長城があります。 その長さは全長2kmで、本家中国の万里長城(2万km)のたった1万分の1ですが、人の手によって一つずつ積み上げられてきました。使われている石は、なんと15万個以上!