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Vol.26〜海の生き物に大きな影響を与える「赤潮」について〜20230704

 Vol.26〜海の生き物に大きな影響を与える「赤潮」について〜

こんにちは。くらしごと編集部です。
「赤潮」という言葉を耳にしたことがあると思います。赤潮発生は主に西日本が多く、北海道ではあまり取り上げられることは少なかったのですが...。今回はその赤潮についてのお話です。


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Vol.26〜海の生き物に大きな影響を与える「赤潮」について〜

赤潮とは、水中に大量のプランクトンが増殖し、海水や湖水が赤や茶色などの異常な色合いに変化することを指します。 その大量増殖したプランクトンの死骸が分解される際に、酸素が消費されることで水中酸素濃度が低下することや、プランクトンが魚のえらに詰まってしまうことなど、海の生き物に与える影響は非常に大きいものがあります。

merumaga_watanabe01.JPG赤潮により赤褐色に泡立つ海

北海道では2021年に道東を中心とする太平洋沿岸で、大規模な赤潮が発生しました。ウニやツブ貝、定置網に入った鮭などに大きな被害がありました。北海道の発表によると、その被害金額はなんと90億円以上。これは日本最高の被害額で、これほどの大規模な赤潮は世界的に見ても珍しいものです。

赤潮を引き起こすのは「カレニア・セリフォルミス」という植物プラントンです。大量増殖の原因は様々なものがありますが、その一つに海洋熱波と呼ばれる海水温の上昇があります。実は2021年以降、北海道では赤潮はほとんど起こってはいませんが、海水温の上昇は続いています。また大規模な赤潮が発生する可能性は、依然として残っているんです。

merumaga_watanabe02.JPG赤潮によって大量死したエゾバフンウニ

水産資源が2021年以前の状況にまで回復するには、まだ数年かかると見込まれています。当機構では北海道と共同で衛星写真データなどを元に、水中のプラントン量などを監視しています。出来るだけ早く赤潮の発生を察知し、漁業被害を小さくしていくことが今後の課題です。

これまで北海道ではあまり問題視されてこなかった赤潮。海の環境が少しずつ変化することで、見過ごすことができないものになりました。こういった変化を、そこに住む私たちが知ることは、とても大事なことだと考えています。

文・渡辺剛さん
国立研究開発法人 水産研究・教育機構  水産資源研究所 釧路拠点
日本の漁業と水産資源を守るための様々な調査・研究をしている機関。現在はサンマやアサリなどの研究に取り組む。岐阜県出身。好きなさかなは鮎。岐阜県では給食でも出るとのこと。



Vol.26〜海の生き物に大きな影響を与える「赤潮」について〜

この記事は2023年6月23日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。