札幌市南区、豊滝。
温泉地としても有名な定山渓すぐ手前のその場所に、弊社、株式会社北海道アルバイト情報社の農場があります。
名前は「いいね!農stlye 豊滝農場」
株式会社北海道アルバイト情報社は、「アルキタ」「ジョブキタ」「シゴトガイド」といった求人メディアをメイン事業としている会社です。
そんな会社がなぜ、自社の畑を持っているのか。一体誰が整備しているのか...今回、くらしごと編集部は改めて弊社の取り組みを発信すべく、畑の番人に会いに行ってきました!
農スタイルの始まり
木のぬくもり溢れる看板の奥に続く畑に、青のつなぎを着た畑の番人(と、くらしごと農スタイル担当者が勝手に呼んでいる)板垣さんがいました。株式会社北海道アルバイト情報社に勤めてかれこれ40年以上。酸いも甘いも経験してきた大ベテランです。こちらが「畑の番人」こと板垣さん
御年67歳の板垣さん。定年退職後、嘱託社員となり、夏は主に畑を現場として働き、冬は社内の仕事をこなすという最近JA北海道さんが生み出した言葉「パラレルノーカー」と言っても良いような気がします...!
- くらしごと編集部
ところで板垣さん。なんでうちの会社は畑を持つようになったのでしょうか。
- 畑の番人@板垣さん
最初は『農業を知っていこう』『農業従事者と接点をつくっていこう』ってところだったんだ。ある意味、『くらしごと』の原点と言ってもいいのかもね。
- くらしごと編集部
ふ〜む。その一貫で畑を持つようになったんですねぇ。
- 畑の番人@板垣さん
自分たちが畑を持ったことによって北海道の多くの農家さんたちと繋がりが出来たり、農業のイベントをしてみたり、『農スタイル』っていうフリーペーパーをつくったりしてきて10年...。もう、最初の目的は果たしたと思っていて、だからこそ、今ここの畑の役割は昔と比べたら少し変わったね。
改めて、農スタイルとは
2008年、リーマンショック。世界的な株価下落・金融危機により、北海道も元気をなくしました。
私たち株式会社北海道アルバイト情報社は、北海道に根付き、北海道によりそってきた会社であり、多くの北海道の人たちに支えられて今日までやってきました。
大好きな北海道、私たちが住むこの北海道を盛り上げる方法は何かないだろうか...そう模索していたのです。
そこで、北海道の大きな産業のひとつ「農」に目を向けた私たちは「『農』を元気にする=北海道を元気にする」と考え、そこから出来ることをやってみようと動き出しました。
一言で『農』と言っても
生産・加工・販売・料理・食べる...
いろいろな形があります。
私たちが農に関わるといってもどう関わればいいのか考えました。
農家さんは作る専門家。
販売や流通に関しては弱い方もいたり、こだわり野菜を使った料理を出したいけど、どうしたらいいかわからない飲食店があったり、新規就農者の受け入れがあまりうまくいっていなかったり...実際に「農」に関わる人の話を聞いていくうちに様々な課題があることがわかってきました。
そういった「人の間」に立って自分たちがネットワークを地道に広げたり、きっかけ作りをしたりと、私たちが関われる部分を模索しながら様々な方法で農に貢献しようとしてきたのが「農スタイル」なのです。
それから私たちは「いいね!農style」というフリーペーパーを製作。 (「いいね!農style」フリーペーパーのアーカイブはこちらから)「北海道の農に関心を持ってもらう小さなきっかけになれたら...」 そんな思いを込めての発行です。
一筋縄じゃいかない農業の現実
畑の番人として任命された板垣さんですが、それまで、自宅のお庭で家庭菜園程度は経験あるものの、この農スタイル農場とは全然規模が違います。「これをビジネスでやっている農家さんたちは本当にすごいと思う」と板垣さん。これまで冬の雪の重みでハウスがつぶれたり、野生の動物たちに丹精込めてつくった野菜を食べられてしまうなんてこともしばしば...。無農薬だからこその雑草や虫との戦い。農場は広く、畑の番人ひとりではやっていけません。最初の頃は、繋がりのあったベテラン農家さんの教えを受け、日々模索していったそうです。
草刈り中の板垣さん。無農薬でやっているため、雑草がすぐ生えてきます。
しかし、こうした苦労を知っているからこそ、より農家さんを応援したいという気持ちは強まる一方。くらしごと編集部も、農家さんの取材を通して多くの農家さんの思いや活動を知っていくうちに、「皆さんに知ってもらいたい」という気持ちが溢れ出てくるからこそ、その気持ちもわかります。
農スタイルを通じて行ってきたイベント
毎年フリーペーパー「いいね!農スタイル」を発行し、その発行を記念して農家さんたちを招いてイベントも行っていました。今まで関わってきてくださっている方、フリーペーパー取材でつながった方、誰かの紹介でつながった方、などなど農に関する人がたくさん。この交流会の目的は、普段なかなか知り合う機会がない方を、農スタイルがゆるやかに繋ぐこと。
農家さんそれぞれの紹介から、最後は立食パーティーとなり、盛り上がる交流!情報交換したりとここで多くの「農」に携わる人たちの繋がりができました。
学校教育の現場としても
また、学校の教育現場としての活用もされています。ご縁のある札幌の中学生が毎年その時期になると農作業を体験しに来てくれました。
- 板垣さん
一緒に農作業をしたり、畑に設置されているピザ釜でピザを焼いて食べてみたり。こちらとしても良い思い出になっているよ。
毎回この行事の後、生徒たちからお礼状と直筆の感想文が届くんだ。3年間毎年皆勤で来てくる子からは卒業する年の感想文で「もう畑に来れなくなるのが寂しい」なんて書いてくれる子もいたね。
イチ企業が、畑を持つ意味とは
それでも、会社が畑を持っていることに関してのメリットはたくさんあったと話します。
- 板垣さん
会社が畑を持っていることは良かったことだと思う。『うちの会社、畑持ってるんだよね』なんて言うと、みんな羨ましがるからねぇ(笑)。しかもうち、山も持ってるからさ。『山もあるんですか!?』ってそれはもう食いつかれるネタ(笑)
会社のメインは求人メディア運営。畑も山も、うちの会社の商品にはなりませんが、お客さんとの会話の中のひとつのネタになればという想いを込めて。
農スタイルの役目はだいぶ果たした、そう話していた板垣さん。今は「この農場は会社の福利厚生、そういう存在でいいと思う」と、空を仰ぎます。
毎年9月の1週目には、収穫祭と称し社員や、その家族が集まり、収穫を楽しみ、そしてみんなで美味しい野菜の料理を食べるというイベントも企画。(※新型コロナウィルスによりここ最近は残念ながら中止が続いていますが...)こうしたイベントは、参加側からの楽しいという喜びの声だけではなく、企画する側の喜びもあるそうで...
- 板垣さん 子どもたちによる、さつまいも堀り...あれが面白いんだぁ〜(笑)。みーんな真剣になって掘って、「獲ったー!」って嬉しそうにしてるし、それを見守る親たちも「そっちにもっと大きいのがある!」って夢中になって(笑)。決して競い合うイベントではないんだけど、みんな真剣になってるんだよな〜。そして採れた時のあの笑顔が、なんとも言えない。
こうしたイベントだけではなく、社員から「野菜買いましたよ」「この野菜は今日はないの?」と言う声がけもあり、社内のコミュニケーションのひとつに。会社の福利厚生の恩恵を受けています。
弊社北海道アルバイト情報社のビルにはこうした社員向けの野菜販売コーナーが設けられています。収穫して、ひとつずつ丁寧に袋詰めしてくださっています。
やはり、無農薬で育てられそれも生産者がうちの会社の人、となれば、安心感もあります。
「今日の食卓のちょっとしたサラダに」
「我が子に新鮮な野菜を食べさせたい」
そんな社員たちが、今日も自社農場で採れた野菜を買っていきます。
取材は8月末日。
まもなく収穫ピークも終え、冬支度に向けての後片付けをしないとなぁと今年も農場での業務を終えようとしている板垣さんが広い空を見上げます。
まだほんのり暖かい秋に変わりかけている秋の風を浴びながら。
農スタイル農場のお隣で農家を営む山口さん。畑の番人の板垣さんがお休みの日は、山口さんが弊社の畑も守ってくれているのです。
- くらしごと編集部 農スタイル
北海道の農家さんたちを見る方はこちら
https://kurashigoto.hokkaido.jp/n-style/20200730100000.php