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北海道で暮らす人・暮らし方
倶知安町

大好きなスキーもキャリアも。ベテラン看護師が叶えたニセコ移住20230831

大好きなスキーもキャリアも。ベテラン看護師が叶えたニセコ移住

今や世界的な一大ウインターリゾート地となったニセコの山を有する倶知安(くっちゃん)町。羊蹄山の麓、豊かな自然に囲まれながらも、飲食店、商業施設が多数あることから、生活がしやすいと本州からの移住希望者も多い町です。さらに近年、北海道新幹線の延伸や高速道路の建設などで交通アクセスの良さにもますます注目が高まっています。

今回は、そんな倶知安町で唯一の総合病院である「JA北海道厚生連 倶知安厚生病院」に勤務する看護師さんをご紹介します。千葉県から移住し、このエリアの自然を満喫しながら家族とともに充実した日々を送っている互 優(たがい まさる)さんに、仕事や暮らしについてお話を伺いました。

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スキーも仕事も続けられる移住先を求めて

「こっちへ来て、かれこれ18年になりますね」と話す互さん。千葉県流山市出身で、石川県金沢市の学校で看護師の資格を取得します。卒業後は看護師として東京の病院で働いていましたが、26歳のときに倶知安町へ移りました。

もともと心理学などに興味関心があったこともあり、精神科の看護師を目指したという互さんは、学生時代からスキーが趣味。さらに北海道も大好きで、夏休みには車にテントを積んで道内をあちこち回った経験もあるそう。

kutchankoseibyoin_20230703_8.JPGスキーと北海道が大好きな互さん。

20代半ばに入ったころ、精神科の看護師として忙しい日々を送っていた互さん。仕事は充実していて、満足もしていました。しかし、周囲がワーキングホリデーで海外へ行ったり、転職をしたりするのを見て、自分も「動きたい」という想いが強くなっていきます。そんな中、好きな北海道への移住というプランが芽生え始めます。

「1年ほどかけて、北海道のどこへ移住するか検討しました。趣味のスキーはもちろん、仕事自体も好きだったので、看護師を続けられるまちかどうかという視点で探していましたね」

精神科のある総合病院があり、そばに雪質の良いスキー場がいくつもある倶知安町は、まさに互さんにとって理想的な町でした。すぐに転職を決め、移住をします。

tagai_ski_kutchankoseibyoin_2023.jpg世界を魅了するパウダースノーがすぐそこにある暮らし。

「周りからは、せっかく東京でキャリアを積んでいたのにもったいないとか、キャリアダウンじゃないかと言われて、正直ちょっと迷いもありました。でも、やっぱり好きな場所で好きなこともしたいなと思って」

定住を決意して手に入れたのは、ムービングハウス

病院の独身寮に入り、倶知安町での生活をスタートさせた互さん。ちょうど4月だったので、春スキーを楽しむこともできたそう。夏になると病院の先輩や同年代の仲間と一緒に豊浦町や厚真町にサーフィンへ繰り出し、冬はスキー三昧と、充実した日々を送ります。

「寮にいる間は、毎日のように除雪をしてもらえていたのでとても楽でした(笑)。だから仕事終わりや休日には気軽に滑りに行っていましたね。でも、車の運転はなかなか慣れなくて、滑って追突という事故を2回ほど...」

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仕事に関しては、「東京にいたときは、小児精神というかなり専門的なところにいて、そこの分野を掘り下げていく感じでしたが、倶知安に来たら、この辺りで精神科のある病院はここだけなので、求められる幅が広くて、勉強、勉強でした」と振り返ります。

ちょうど3年くらい経ったころ、「ここに根を張って定住してもいいかな」と思ったという互さん。その頃、東京時代から付き合っていた元同僚の奥さまとの結婚も決まり、奥さまも倶知安町へ。北海道函館市出身の奥さまは、さすが道産子、雪のある暮らしに抵抗はなかったそうです。

独身寮を出て、夫婦2人でのアパート暮らしがスタートしますが、のちに一人目のお子さんが生まれるタイミングになると、互さんの奥さまは「家を建てたい」モードとなり、あちこちと土地を探していたそう。その頃、互さんはというと、精神科認定看護師の資格取得のために日々忙しくしていたそうで、家のことは全て奥さんに任せていたと笑います。

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やがてスキー場まで車で5分という距離で、さらに羊蹄山が見えるちょうどいい土地がニセコ町に見つかり、家を建てることになった互さん。なかなかピンとくる家が見つからない中、アーキビジョン21のムービングハウスを知り、「モノとしておもしろい建物だ」と、決断します。
 
「コンテナサイズの木造のユニットを8個ほど組み合わせてできているムービングハウスは、その名の通り、再びコンテナサイズのユニットにばらして移設することが可能なんです。寒さ対策も万全で、とにかく快適。ただ、一度もばらすこともなく14年経ちますけどね(笑)」

kutchankoseibyoin_20230703_14.jpgユニットが組み合わさって出来ているとは思えないほど立派!

多様性も地域の連携も兼ね備える、子育てにも良い環境

現在中学生と小学生の2人の娘さん、奥さまの家族4人で暮らしている互さん。職場までは車で20分くらいかかるそうですが、仕事モードに切り替えるにはちょうどいい時間とのこと。

ここ数年は、自身がスキーを楽しむより、アルペンスキーのチームに入っている娘さんたちの付き添いが多いため、移住してきた頃に比べると滑る回数は減っているそうですが、それでもお子さんたちがここでの暮らしを楽しんでくれているからと満足な様子です。

また、娘さんたちの教育環境に関しては、「ニセコ町の学校は、1学年40~50人で2クラス。少なすぎず多すぎず、これくらいの規模がちょうどいいと思っています。クラスには親が外国人という子が何人かいて、意識せずとも多様性のある環境の中で過ごせるのは、このエリアならではかもしれませんね」と話します。

雪のない夏場の休日は、家の前で家族とバーベキューなどを楽しむそう。目の前の雄大な羊蹄山を眺めながらの食事、想像するだけで羨ましい限りです。

kutchankoseibyoin_20230703_16.jpg家の窓からも庭からも、季節によって姿を変える羊蹄山が見えます。

「日常生活の場が山の中なので、わざわざ運動しなくても、家の前の草刈りだけでも十分すぎるくらいの運動になりますよ(笑)。冬は除雪がありますし」

冬場は除雪機をフル稼働させてから出勤するそう。この作業は豪雪地帯にはつきものです。「独身寮にいたときは、毎日除雪してもらっていたので本当にありがたかったですね」と笑います。

移住者の場合、地元の人たちとの繋がりも気になりますが、互さんの周りはみなさんフレンドリーな方ばかりのようで、「ちょうど自分の親世代にあたる移住組の方たちがたくさんいるので、いろいろ助けてもらっています。町内会をはじめ、地域全体の連携ができているのもいいところだなと思います。皆さん、大らかで親切なんですよね」と話します。

外から来ても、なじみやすい職場と風土

職場には、互さんのようにウインタースポーツが好きで関西から来たという方など、ほかにも移住組は結構いるそう。互さんの上司にあたる看護部長の佐藤純司さんもその一人。ここからは佐藤さんにも入っていただき、職場の話を伺いました。

kutchankoseibyoin_20230703_9.JPG看護部長の佐藤純司さんも函館市出身の移住組。

佐藤さんは函館出身で、夏はカヌーやシーカヤック、冬はスキーにスノーボードをよく楽しんでいたそう。互さんより少し早い平成15年、函館市から倶知安町へ移住。「最近は、ソロキャンに行くくらいで、それほどアウトドアはしていませんが...」と笑います。

佐藤さんは看護部長で、互さんは看護管理科長という役職。院内で働く看護師150人をまとめるのが佐藤さんで、その下でサポートするのが科長の互さんなのだそう。

「互くんは副部長のような感じですね。もう一人、同じ役職の人がいて、僕と副部長2人で、看護師をまとめている感じです」

もともと数が少ないといわれる男性看護師。トップ3のうち、2人が男性看護師というのは珍しい気もします。

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「そうですね。男性看護師の割合は業界全体の1割程度と言われていますからね。本当に珍しいと思います。倶知安厚生病院は、JA北海道厚生連が運営しているのですが、ほかの地域の厚生病院でも看護部長と副部長が男性というのはうちだけです。互くんにはとても助けられていますよ。自分とは違った視点やアプローチでいろいろ考えてくれるので」

昨年の5月からこの体制ということで、院内の看護師をまとめ、研修などを行うほか、採用活動も一緒に取り組んでいるそうです。さらに職場の雰囲気について互さんに訪ねてみると

「総合病院ですが大病院というわけではないので、みんなの顔と名前はだいたい分かります。コロナ禍前は親睦会もあったし、テニスや野球のクラブ活動もありましたね。若い頃、僕はスキーに没頭していたので、クラブ活動には入っていませんでしたが、それでも一緒に遊ぶ仲間がすぐにできるような、なじみやすい雰囲気が院内全体にありました。それは今も変わらずありますね」とのこと。

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転職を考える際、職場の雰囲気や一緒に働く人たちのことはやはり気になりますし、なじみやすい雰囲気というのは重要なポイント。また、移住・転職となると、職場はもちろん町での生活にも慣れていかなければなりません。互さんは続けて

「ここでの暮らしになじむためにも、独身であれば、最初は寮に入るのがいいと思います。倶知安は人気のある町なので、最初は住む場所の確保が難しいとも言われますが、倶知安厚生病院には寮があるので安心ですよ」と教えて下さいました。

プライベートも看護師としてのキャリアアップも

現在建て替えも行われている倶知安厚生病院。もう少しで新しい病院に生まれ変わります。まち自体も新幹線や高速道路ができることによってますます賑わいを見せそうです。

「倶知安やこの周辺は、ほかの市町村に比べても若い人が多いのが特徴。楽しいことも、将来性もたくさんあると思います。夢を語れる若者がいるまちは活気もあります。うちの病院なら、プライベートも充実させながら、看護師のキャリアを積むことも可能だと思います」と佐藤さんは胸を張ります。

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また、互さんも「東京からこちらへ移住する際、キャリアダウンをするのかと言う人もいましたが、僕の場合、こちらに来てから認定看護師の資格も取ったし、今はチームマネジメントや人材育成にも携わらせてもらっています。結果としてキャリアを重ねてきているなと実感しています。若い人たちにもそういう機会を与えていける職場にしていきたいですね」と話してくれました。

都市部にいなくとも、看護師としてのキャリアを積むことができる環境が整っているのは魅力的です。しかも、豊かな自然の中でアウトドアを楽しめ、商業施設もそろっていて、生活面での不自由さは一切ありません。仕事もプライベートもちょうど良い感じで充実させられるのが倶知安町の良さなのでしょう。

大変なこともあるとは思いますが、互さんも佐藤さんもどこか余裕のある雰囲気が漂っていました。それはこの倶知安町という場所で暮らし、働いているからなのかもしれません。

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JA北海道厚生連 倶知安厚生病院
JA北海道厚生連 倶知安厚生病院
住所

北海道虻田郡倶知安町北4条東1丁目2

電話

0136-22-1141

URL

https://www.dou-kouseiren.com/byouin/kutchan/


大好きなスキーもキャリアも。ベテラン看護師が叶えたニセコ移住

この記事は2023年7月3日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。