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上士幌町

まちづくりを通して、理想の人生を叶える3人の協力隊20230112

まちづくりを通して、理想の人生を叶える3人の協力隊

北海道十勝地方の北部にあるまち・上士幌町。
大自然の恩恵を活かした畑作、酪農、林業だけでなく、ぬかびら温泉郷や日本一広い公共牧場であるナイタイ高原牧場、北海道遺産にも選定されている旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群など、観光業も盛んなまちです。

そんな上士幌町は「全世代型生涯活躍のまちかみしほろ」を掲げ、全ての世代の人々が活き活きと活躍できるまちづくりを積極的に進めており、町外や北海道外の方々からも移住先として人気を集めているまちでもあります。そんな上士幌町のまちづくりを中心的に担う「株式会社生涯活躍のまち かみしほろ」は、上士幌町ならではのユニークな取組みを通して、まちの魅力アップの立役者となっています。

hareta_kyouryokutai_05.JPGこちらが3人が働くまちの交流施設「hareta(ハレタ)」

今回は、この「生涯活躍のまち かみしほろ」で実際にまちづくりに携わっている3名の地域おこし協力隊の方々に、お仕事や上士幌町での暮らしについて詳しくお話を聞かせていただきました。上士幌町への移住を決めた経緯や、まちづくりに対する思い、移住者だからこそ感じる上士幌町の魅力など、たっぷり語ってもらいます。

映像で地域活性化!理想に向かってまっしぐら。

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まず、お話を伺ったのは、地域おこし協力隊として上士幌町に移住し、生涯活躍のまち かみしほろで「映像デザイン推進員」として活躍する土門史幸さんです。

苫小牧市出身の土門さんは、2021年6月から上士幌町に移住。移住する前は、フリーランスのフォトグラファー/ビデオグラファーとして、主にブライダル関係のお仕事をメインに活動していました。それまでは上士幌町とは一切縁がなかったといいます。

「上士幌町に移住するだなんて、一切考えていませんでした。でも、コロナ禍で写真の仕事が一気にゼロになりまして。そんな時、妻が『これいいんじゃない』と上士幌町の地域おこし協力隊の求人を見つけてきてくれたのが、移住のきっかけです。『映像デザイン推進員』という仕事内容は自分にぴったりで、採用を機に夫婦そろって上士幌町に移住することにしたんです」

hareta_kyouryokutai_13.JPGこちらが土門史幸さん

こうして、上士幌町にやってきた土門さん。現在携わっている主なお仕事は、生涯活躍のまち かみしほろが運営する「かみしほろホロロジー」という町の情報発信ウェブサイトの運営です。

「『かみしほろホロロジー』では、まちづくりの魅力と住民のコミュニティ活動を発信しています。当社のまちづくりの事業について紹介したり、町民の方々の交流の場があれば取材に行ったりします。他にも、『MY MICHI』に参加している参加者の皆さんを撮影して、フォトブックを作成したりもしています」

土門さんはこれらの会社の仕事と並行して、上士幌町役場の広報の仕事も担います。
「週1回役場で打ち合わせをして、イベントがあれば役場の広報担当の方と一緒に撮影をしに行ったりします。そして、その写真は町の広報誌の表紙などに使われています。去年は町の開町90周年の記念動画を作成したりもしました」

土門さんが撮影した写真には、町民も、町外の人も、上士幌町で活き活きと暮らし、活躍している姿が収められています。
このように土門さんは、生涯活躍のまち かみしほろの仕事と町役場の広報の仕事の2つを柱に、映像のプロとして上士幌町の魅力を発信しているのだそうです。

hareta_kyouryokutai_14.JPG土門さんが撮影した上士幌町の広報誌

さらに土門さんは、地域おこし協力隊のお仕事に支障のない範囲で、フリーのフォトグラファー/ビデオグラファーとしての活動も続けています。

「今でも、以前働いていた会社や、元々お仕事をいただいていたところから依頼をいただいて、札幌や苫小牧などへ撮影に行くんですよ。今度、知り合いの成人式の写真を撮りに苫小牧へ行きます」

実は土門さんは、フォトグラファー/ビデオグラファーになる前は多くの仕事を転々としてきました。その経歴はプログラマーからはじまり、家電販売員、テレビ制作会社のAD、郵便局の配達員と、実にさまざま!そんな中、テレビ制作会社で働いた時に「映像の編集って面白いな」という思いを抱いたことから、専門学校の短期コースに通い、動画編集について学びます。

hareta_kyouryokutai_16.JPG土門さん、フリーフォトグラファー/ビデオグラファーとしては「a-motion」という屋号で活動されています

その後もさまざまな職種や場所を転々としながら、趣味であったカメラは継続。仕事でもその腕を活かして簡単な動画編集などは任されていたのだそう。そして東日本大震災を機に東京から北海道に戻っていた頃、苫小牧のブライダル企業から撮影の仕事をいただくようになり、フリーのフォトグラファー/ビデオグラファーとして活動をスタートさせたのだそうです。

土門さんは、「趣味だったカメラが、色々ななりゆきを経て仕事になっていましたね」と振り返ります。

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ブライダル関係の撮影と編集をメインに活動していた土門さんですが、一方でこんな思いも抱くようになりました。

「観光情報を発信している会社からお仕事をいただいていた頃、北海道のいろんなところを回らせてもらう中で『地方っていいな』と感じて。そこから、いろんな土地に行って、いろんな地域の写真を撮って、僕の写真と映像が地域活性化に繋がったらいいな、そこを目指していきたいな、とずっと思っていたんです」

土門さんの「地域」に関わるフォトグラファー/ビデオグラファーになりたいという思いは、今こうして上士幌町の地域おこし協力隊という形で叶うことになったのでした。
今の仕事のやりがいを伺うと、
「一番はやっぱり、いろんなところへ行って、いろんな人に会えることですね。やっぱりその地域に住んでいないと撮れない景色というものがありますから。熱気球を撮影した後は実際に乗せてもらえたり、そういうことが面白いし、地域で仕事をする醍醐味ですよね」と、笑顔で答えてくれました。

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土門さんは今後、さらに自分の理想の生き方、働き方を実現させるための具体的な展望をもっています。

「地域おこし協力隊の3年間の任期を満了後に起業して、上士幌町内にスタジオを持ちたいと考えています」

土門さんはなんと、2021年度の「かみしほろ起業塾」で優秀賞を受賞!自身のアトリエ立ち上げに向けてすでに動き出しているのだそうです。ということは、今後の拠点は上士幌町に絞り込むということでしょうか?

「いや、そうではないんですよね。僕は多拠点で生活したいという理想があるんです。地元の苫小牧も拠点にしたいですし、苫小牧から通える札幌や岩見沢もいいですね。もちろん、ここ十勝でもお仕事を続けていきたい。今後は風景や動物の写真家になることも夢ですから、大自然に囲まれた上士幌町はその夢に近づく拠点の一つとしていきたいですね」

上士幌町との出会いを経て、どんどん自分の理想へと突き進む土門さんの笑顔は、きらきらと輝いていました。

培った経験を活かして、人と人を繋げていきたい。

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続いてお話を伺ったのは、地域おこし協力隊として上士幌町に移住し、現在は生涯活躍のまち かみしほろで「生涯活躍のまち推進員」として活躍している岩部栄美さんです。岩部さんは、上士幌町と同じ北海道十勝地方にある清水町のご出身。2021年10月に上士幌町に移住してきました。

移住前はご夫婦で帯広市に住んでいた岩部さんですが、なぜ帯広市から上士幌町へ移住するに至ったのでしょうか?

「夫が上士幌町の隣町である士幌町の会社に転職したんです。それから夫は1年ほど帯広市から通勤する生活をしていたのですが、私も士幌町周辺で仕事がないかなあと探しはじめたのがきっかけです」

帯広市では、派遣会社の労務管理担当として10年以上働いていた岩部さん。職務上の安全衛生を管理するのがメインの仕事でしたが、長いキャリアの中で、人と人を繋ぐ窓口業務も担うようになっていたそうです。

hareta_kyouryokutai_06.JPGこちらが岩部栄美さん

「前職では、たとえば障害者の団体の方とやり取りをして、障害者の方にはこんなお仕事がありますよと社内でコーディネートするお仕事も担当して、『人と人を繋げる』って面白いなと感じていたんですよね。そんな時に、上士幌町の『生涯活躍のまちづくり』をするお仕事の求人を見かけて気になって。自分の培った経験を活かして、上士幌町で皆さんが生涯活躍できるよう人と人を繫げていき、私自身も生涯活躍できたらいいなあと思ったのが、転職を決めた理由のひとつです」

こうして上士幌町の地域おこし協力隊として採用が決まった岩部さんは、前職の会社を辞め、夫婦揃って上士幌町に移住したのでした。

「私は帯広で労務管理担当として働く前は、いろんな土地に行っていろんな仕事をしてきまして・・・。中部地方を中心に、『次はここに行こう!』と気が向いた土地を転々としてそこで仕事を見つけるという、若さゆえにちょっと破天荒な働き方をしていました(笑)。機械系の工場でのお仕事がメインで、その経験を買われて帯広でも工場の派遣会社で働くことになったんです。こういったスキルや経験から、自分の中に落とし込んだものを役立てられる場所があるんじゃないかと、最後の転職先にするつもりで上士幌町にやってきました」

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現在の岩部さんのお仕事のメインは、無料職業紹介所の業務と、全世代対応の人材センター「まちジョブハレタ」の業務。いずれも、お仕事と人を繋ぐコーディネートがメインとなる業務です。

「人と人を繋ぐお仕事がしたいという思いで転職したので、このお仕事はすごく自分に合っていると思います。最近になって、この思いが叶っているなと実感することも多いです」と笑顔の岩部さん。

岩部さんは、移住を検討している道外の方と、メールでやり取りすることも多いといいます。

「仕事を見つけることってその人の人生がかかっていますから。私たちも真剣に、気を遣って対応しています。連絡を待ってる時ってやきもきするでしょう。そんな思いをさせないように、できるだけレスポンスは早くするよう心がけているので、お客さまにはいつも『早いですね!』『上士幌町からの返信が一番でしたよ!』と言われます(笑)」

このきめ細かい気遣いこそ、岩部さんのこれまでの経験で培われたものなのかもしれません。
「労務管理での経験がここで活かせているなと感じることも多いので、適性を見てこのお仕事を任せていただけたことに感謝しています」とにっこり。

hareta_kyouryokutai_07.JPG新しいまちで、適職と思える仕事に出会えた岩部さん

このお仕事のやりがいは?とたずねると、
「無料職業紹介所では、私が対応したお客様が『就職が決まったよ』と報告してきてくださったり、まちジョブハレタでも、町民の方から『助かったよ』『ありがとう』と言っていただけたり。そういったお声をいただけることが、私にとってのお仕事のやりがいになっていますね」と嬉しそうに話してくれました。

「今後は仕事をとおして、人生に迷っている人に『こうしたらいいよ』とさっと言えるような人になりたいなと思っています」

移住先として大人気の上士幌町。
その地盤を支えている岩部さんの穏やかな雰囲気や真摯な姿勢は、上士幌町をより一層魅力的で安心できる場所に感じさせてくれます。そして岩部さんご自身も、最後の転職、と決めてやってきたこの場所で、本来やりたかった「人と人を繋ぐ」お仕事を活き活きと楽しんでいるのが伝わってくるのでした。

夫婦で踏み出す新たな人生!この町で、もっとたくさんの人に出会いたい。

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最後にお話を伺ったのは、岩部さんと同じく地域おこし協力隊として上士幌町に移住し、生涯活躍のまち かみしほろで「生涯活躍のまち推進員」として活躍する渥美緑さんです。

渥美さんは静岡県のご出身。前職は静岡県で公務員として働いていました。上士幌町への移住を決めたのは、夫婦で今後の生き方について考えた時に、「これから好きなように生きていくんだったら、せっかくなら移住してみたいね!」となったのがきっかけだったのだそう。

2021年3月に前職を退職した渥美さんは、1年間は新しい移住生活への準備期間にすると決め、本格的に移住先を検討し始めます。
そんな中、渥美さんは十勝総合振興局が主催した十勝地方の移住セミナーに参加。

「静岡と全く気候が異なる北海道がいいねと話していたところでこのセミナーに参加して。それまでは十勝地方のことをあまり知らなかったんですけど、すごく『北海道らしい』地域なんだなあと魅力的に感じました。そこで実際に十勝地方を訪れてみたんです。そうしたら、居酒屋さんで会う人とかがみんなすごく優しくて、『どこから来たの?』って話しかけてきてくれるんですね。その優しさに夫がすっかりほだされてしまって(笑)。『絶対に十勝に住みたい!』と移住先の候補を十勝地方に絞り込んだんです」

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この十勝旅行をきっかけに、十勝地方でのお仕事を探し始めた渥美さんがたまたま出会ったのが、上士幌町が主催していた「リモートワークで働こう」というセミナーでした。

「このセミナーでお話をしていた移住者の方が『かみしほろ起業塾』で起業した方だったので、そこで『株式会社生涯活躍のまち かみしほろ』という会社の存在を知りました。調べてみたら、『この会社、すごく面白そうな仕事をしてる!』と思って。しかもタイミングよく、この会社で地域おこし協力隊の募集を出していて、『これしかない!』と締切直前に滑り込みで応募したんです」

ずっと公務員として働いてきた渥美さんは、ソフト面からアプローチするまちづくりに興味をもっていました。

「これまでの公務員としての仕事を通して、まちづくりの主体は、やっぱり行政じゃなくて住民ということがわかりました。だから住民側として、小さなスケールで、直接まちづくりに携わりたいという思いがずっとありました。上士幌町には移住してきた人もまちづくりに参加できる雰囲気が感じられて、ここなら私のやりたいことができそう!と思えたんです」

hareta_kyouryokutai_19.JPGこちらが渥美緑さん

こうして見事地域おこし協力隊として採用された渥美さんは、夫婦揃って2022年1月に上士幌町に移住し、働き始めたのでした。
渥美さんは現在、無料職業紹介所やまちジョブハレタの業務のサポートなど、「生涯活躍のまち かみしほろ」が担う業務に幅広く携わっています。町民の趣味や特技を活かす町民チャレンジコミュニティ「ハレたね企画」では、自分たちでも夫婦2人でワークショップの開催にチャレンジしたのだそう。

「夫はお菓子づくりが得意なので、『ハレたね企画』を活用して、夫がつくったドーナツにオリジナルデコレーションを施すワークショップ形式のカフェにチャレンジしました。私は、半分は『生涯活躍のまち かみしほろ』の社員として、もう半分は町民として、企画に携わりました。自分でやってみても感じたのですが、趣味の範囲でしかやってこなかったことでお金をいただくって、とてもハードルが高いこと。それでもこうして事業として、町民がチャレンジできる場の土壌を整えてきたことは、すごいことだなと思っています」

本来望んでいたとおり、住民としてもまちづくりに関わることができている渥美さん。
このお仕事のやりがいはなんでしょうか?

「上士幌町って、オンとオフがすごく近いまちなんです。お仕事をするにも町民の方と出会って初めて仕事になるし、私たち夫婦自身が、この町で楽しく末永く暮していくにも知り合いを増やしていきたい。この会社でのまちづくりのお仕事が、たくさんの人と出会える手段になっていることがすごくありがたいです。仕事を推進するためにもプライベートでも自分からどんどん顔を広げていきたいなとも思っています。それがすごく面白いし、仕事でもプライベートでも、もっともっとこのまちでたくさんの人に会っていきたいですね」

hareta_kyouryokutai_11.JPG人との繋がりをとても楽しそうにお話してくださる渥美さん

さらに渥美さんは、こんなことも話してくれました。
「地域おこし協力隊は3年の任期なので、はじめは、もし土地が合わなければ任期を終えて帰ることもできる、という気持ちもありました。でも今は、この3年間でできるだけたくさんの繋がりを作って、逆に帰れない状況にしたいなと思ってます!」

それだけ上士幌町が魅力的なんですね、と返すと、「本当にそうなんです!」とにっこり。
「上士幌町での繋がりは本当に濃いし、面白い。人があったかいのが、一番の魅力かな。夫は上士幌町に来てストレスがなくなって、肌が綺麗になったってすごく喜んでるんですよ(笑)」

渥美さんご夫婦のお話を聞くと、いかに上士幌町が居心地良く、活き活きと過ごせるまちかが、強く伝わってくるのでした。

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「生涯活躍のまち かみしほろ」で活躍する3人のお話、いかがでしたでしょうか?
3人とも、それぞれの経験や特技を活かしながら、日々上士幌町のまちづくりに情熱をもって取り組んでいます。その一方で、協力隊である彼ら自身も、上士幌町の心地よいコミュニティの中で自分らしい生き方を活き活きと楽しみ、人生を切り拓いている。そんな風に感じました。

生涯活躍のまち・上士幌町では、今でも町民の可能性のたねが、すくすくと育っているようです。

hareta_kyouryokutai_18.JPG北海道など比較的寒い地方に多く自生している「フクジュソウ」(上士幌町にて撮影)

上士幌町 地域おこし協力隊(岩部栄美さん・渥美緑さん・土門史幸さん)
住所

北海道河東郡上士幌町字上士幌東3線235番地6(株式会社生涯活躍のまち かみしほろ)

電話

01564-7-7630(営業/8:30~17:15)

URL

https://kamishihoro-town.com/


まちづくりを通して、理想の人生を叶える3人の協力隊

この記事は2022年9月28日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。