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50代での転職。選んだのはタクシー乗務員!ふたつのストーリー20230111

50代での転職。選んだのはタクシー乗務員!ふたつのストーリー

北海道の中枢都市札幌。東西南北に張り巡らされた道では、いざというときに頼もしい存在、タクシーをいつも見かけます。
交通網の発達した札幌だけでなく、北海道の地方で暮らす人にとっても、足となり助けともなる重要なサービスです。そんなタクシー業界は、昨今では電話で手配するだけでなく、アプリで呼ぶことが出来るなど色々と便利になってきています。

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今回はそんなタクシー業界の1つ、昭和グループのはまなす交通(株)に50代・60代で転職したお二人のストーリーをお伝えします。
この業界を選んだ理由。それまでの人生、そしてこの会社の働き方について教えてもらいました。

色々な業界を経験した上で選んだタクシー業界。

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まずはお一人目の山下哲郎(やました てつろう)さん。63歳。
稚内の出身で高校卒業後には札幌のホテルで接客や裏方業務なども経験。
5〜6年ほどホテル業界で勤めたあとに、園芸関係の仕事に就きます。

ホテル業界から園芸??植物を育てるのが好きだったのでしょうか?と質問すると山下さんは「いえいえいえいえ」と笑顔をにじませます。
謙虚な姿勢はまさにホテルマンです。
24〜25年ほどその会社に勤め、ホテルへのディスプレイなども手がけて、人の喜ぶ空間作りとお客様からの信頼も厚かったのだとか。
仕事への情熱と信頼を得て長く働いていた山下さんですが、一転して人間不信に陥る出来事が起きてしまいます。
「あの時のことは・・・。とにかく会社にいられなくなってしまい、辞めざるを得なくなってしまいました。そこで、生活のために、家のローンのために当時震災復興で人手を募集していた仙台でダンプに乗ることにしました」
山下さんが57歳のときのことです。一から全く未経験の業界に足を踏み入れた山下さん。不安はなかったのでしょうか。
「なかったと言えば嘘になりますが、そうも言っていられませんからね。生きるために、稼ぐために働きましたよ。宿泊費も食費もかからない好条件だったしね」と笑います。

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1年半ほど復興支援の仕事をしたあとに、知り合いから東京でのタクシー運転手を薦められます。
知らない土地での運転に不安も覚えながらも2年ほど勤め、そろそろ札幌に帰りたいという想いもあり、介護業界への転職を決意します。
そうして2021年に山下さんは札幌へとUターンで戻ってきたのでした。

支えてくれた奥様に

札幌に戻ってきた山下さんが選んだのは介護業界でした。
いずれは自分も介護される立場であるという自覚もあったという山下さん。今まで働いたことがないからこそチャレンジしてみようと働き始めますが「自分には合っていなかったね」と2か月で退職。
そして東京で経験のあるタクシー業界で働こうと求人情報を探します。
最初1年間の給与が月22万円の最低保証なので安心して働けることに惹かれてはまなす交通(株)に応募し採用されました。

「はじめはとまどいましたね。というのも東京でやっていたときよりもやることが多いんです。北海道ならではのチケットがあったり、伝票があったりと。慣れるまでに時間がかかりました。でも優しく指導してもらって、慣れてきましたね。4日勤務して1日休みというサイクルで働けて、私は日勤のみのシフトなので、働きやすさもありますね」

はまなす交通ではその人の事情に合わせてシフトも調整してくれるそう。
それに、人間関係も良くて居心地がよい、と山下さんは語ります。
「入社して金野課長はアドバイスをくれたり、ほんとうに色々と面倒をみてくれました。それに、実は入社してすぐのころ、お客さまを乗せてる時にいきなりナビが消えてしまったことがあったんです。場所はススキノで私もまだ道を覚えきっておらず頭は真っ白。そんな時に助けてくれたのは同僚の青木さんでした。電話で道順を教えてくれて...無事に目的地まで着けました。あの時のことは本当に感謝しています」

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助けてくれる同僚や上司がいるのは本当に心強いことですよね。それも、おそらく山下さんの謙虚な姿勢が大きいような気もしますが、困ったことがあれば助け合う、そんな空気感がはまなす交通(株)にはあると言います。

「お客様に対しても、同僚に対しても『知ったフリ』はしない。これが大切な気がしています」

最後に山下さんに今の楽しみを聞いてみました。すると...
「年金が楽しみですね(笑)。家のローンが終わって、ようやくカミさんとゆっくり過ごせるのが今は最大の楽しみです」と顔をほころばせます。
「長く生きて、色々経験をしてきましたが『今』が大切ですから。自分が本当に大変な時にずっと支えてくれたリョウコとうまくやっていきたいですね」

長年連れ添ってきた奥様への愛情たっぷりなコメントで取材陣も頬が赤くなってしまいます。でも、これこそが夫婦の絆。
つらい過去も、そして『今』を共に過ごすパートナーと生きていく山下さんは「あと4〜5年はタクシー運転手として活躍していきたい」と意気込んでいました。

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IT業界からタクシー会社へ

さてお次の方は野上厚喜 (のがみ あつき)さん。58歳。
九州で生まれましたが、小学校6年生から高校までは札幌で過ごしました。
室蘭工業大学に進学し、卒業後はプログラマーとして札幌のIT企業に就職。
それからずっと33年間のサラリーマンの人生をIT畑で過ごしてきたのだとか。

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「プログラミングをしてきましたが、そのうちに管理職についてプロジェクトマネージャーとして案件をまとめるようになりました。本社への出向も経験して33年間のうち半分くらいは埼玉で過ごしましたね」と過去を振り返ります。
海外向けのシステムを作っており、インドやロシアなんかに出張も頻繁に行っていたそう。

そんな野上さんが何故今はタクシー業界へ...?

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「自分の実力の限界を感じて辞めたんです」とあっさり答える野上さん。
プライベートでの不幸も重なったこともあり、なんの未練もなくきっぱりと辞めたのだと言います。
まったく転職する気もなかった野上さんは、かつて情報収集のために登録していてた転職サイトからの勧誘メールが目に入りました。
なんとそれが昭和交通(株)というタクシー会社だったのです。
はまなす交通(株)とはグループ会社の昭和交通(株)。
はまなす交通(株)の方が住まいが近く通いやすかったため、はまなす交通(株)への入社へとなりました。2020年3月のことでした。

今までの先輩がつみあげてきたものを引き継ぎ、自分も土台に。

「多分数あるタクシー会社のなかで、ここを選んだのは正解だったと思う」

はまなす交通(株)で働き始めて2年半ほど経った野上さんはこう話します。身内の不幸や自分の実力に見切りをつけて転職した会社が正解だった。そう思うのはどの部分なのでしょうか。

「接客だとか身だしなみだとか、自分の目ですが他社と比べるとちゃんとしているなと思いますし、お客さんからも接客は一番だって言われるんですよね」と少しだけ笑顔になる野上さん。IT企業にいたときはカジュアルな格好で働いていたといいます。この会社に入社してからスーツを着たり、ジャケットを着用したりとピシッとした機会が増えたのだとか。

「でもそれは私じゃなくてわたしの先輩たちが積み上げてきた実績があるからなんですけどね。それを崩さないようにやっていかなくちゃと思っています」

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更に野上さんはこの会社の働きやすさについても、他の会社はどうかは分からないのですが、と前置きした上でこう言います。

「(ここの会社は)日勤専門とか夜勤専門とか選べるんですよね。私は日勤専門。そして一般的には4日出勤1日休みが通常なのですが、私は土日休みにしてもらっています。そういう働きやすさ、融通のきくところも良いところですね」

丁寧な接客を心がける野上さんですが、印象に残っているエピソードはなにかあるでしょうか。

「去年の冬は本当に雪が多くて(苦笑)。タクシーを利用してくれるお客様の中には高齢の方や足が不自由な方も多いので、なんとか家の前まで届けたくっても雪で道に入っていけなかったり、最悪埋まってしまって動けなくなってしまうこともあります。そんな時に近所の方が『どうしたどうした』と出てきてくれて、お客様を抱えて家まで行ってくれたときがあって。そんな時は本当に札幌の人たちの温かさに触れてこっちも心が温かくなりました。感謝しています」

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長い人生の中で酸いも甘いも噛み分けて、『今』を過ごしている山下さんと野上さん。
融通をきいてくれる会社と出会い、自分のペースで会社に恩返しをしているお二人。
今日もこれからも、丁寧に謙虚にお客様を乗せて札幌の道を走ります。

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昭和グループ (昭和交通株式会社、はまなす交通株式会社、千歳昭和交通株式会社)
住所

札幌市西区二十四軒3条7丁目2番33号

電話

011-631-1302

URL

https://www.sawayaka-musen.net/


50代での転職。選んだのはタクシー乗務員!ふたつのストーリー

この記事は2022年11月29日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。