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北海道で暮らす人・暮らし方
上川町

ラフティングに最適の環境は、家族が住むのにも最高な場所でした20191021

ラフティングに最適の環境は、家族が住むのにも最高な場所でした

「アルパインリバーガイド」という上川町では初めてとなるラフティング事業を立ち上げたご夫婦がいると聞き、さっそくやって来たくらしごとチーム。
約束の時間、赤い屋根というヒントをもとにそれらしきお宅にうかがって見ると、そこにいたのはサンタ、、ではなく、白いひげが見事な外国人のおじさん!! まさか今日は英語で取材??と若干パニックになりながら何とか会話してみると、どうやら取材対象の大田さんご夫婦はお留守で、彼は友人のキースさんだとのこと。
ちょっとしたハプニングはありましたが、そのあと大田さんと合流でき、無事取材がスタートしたのでした。

ラフティングとの出会い

「ちょっと遠出してまして、すみませんでした! びっくりしたでしょう!」とにこやかに車から降りてきたのは大田俊斉(としなり)さんとまりさんご夫婦。その優しそうな笑顔と日本語に取材陣がほっとしたのは言うまでもありません。 さっそく、なぜここ上川町でラフティング事業を始めようと思ったのか、大田さんのプロフィールからお話をうかがってみました。

arupainriba-7.jpgこちらがアルパインリバーガイド代表の大田俊斉さん
氷都、苫小牧市出身の大田さんは小学校からずっとアイスホッケー一筋に過ごしていたそうです。高校卒業後もアイスホッケーをするために東京の大学に進みますが、あまりにがんばりすぎたのか、大学を卒業する頃にはだんだんと心境に変化がおとずれます。
「ちょっと一つのことをやり過ぎてしまったのか、アイスホッケーとは距離を置きたくなっていたんですよね。高校を卒業する頃からスノーボードの方にも少しずつはまっていきました」
大学では政治経済学部に属していましたが、3年生になったときもいわゆる就活はしなかったそう。
「スノーボードを入り口に、アウトドアなど自然に関わるような仕事がしたいなという気持ちが強くなってきていて、そうゆう仕事を探してました」

ところが、東京に何年か住んではっきりわかったのは「東京には遊べる自然が無い!!」ということでした。
一番好きな自然に触れられない以上、「これ以上、東京にいる意味は無いな」と実感、北海道に戻ることにしたのです。
北海道に戻ってからは、当然のようにウインタースポーツのメッカであるニセコでスノーボードの仕事をすることになるのですが、いかにニセコと言えども、夏場はさすがにボードの仕事は無いので別の仕事を探す必要が出て来ます。
そこで友人に勧められたのがラフティングでした。今でこそ北海道では夏の体験観光の代名詞とも言えるほど、広く知られるようになったラフティングですが、当時はまだまだ知名度も低く、大田さん自身も「ラフティング?? 何それ?」という状態だったそうです。

ところが、始めてみるとあっという間にとりこになってしまい、夏場のラフティングガイドと冬山のスノーボードの仕事というサイクルを何年か繰り返したあと、とうとう本場ニュージーランドへと渡ります。
そこで出会ったのが、先程取材陣も会ったキース ヒューズさんでした。

arupainriba-9.jpg庭にある小屋を改装作業中のキースさんをパチリ!
彼は、ラフティング界では有名な重鎮だそうで、大田さんが北海道でラフティング事業を立ち上げると聞き、長期滞在でそのお手伝いに来てくれているそうです。
「あのレジェンドが、ここ上川町にいると知ったら関係者はきっとざわつきますよ」と大田さんがにやり。
そんなすごい人だったとは! サンタクロースと間違えたことをとても反省します。。。

「ニュージーランドでは、もともと川以外何も無かった場所が、キースがラフティングコースとして利用し始めてから、ラフティング拠点やお店などが出来て、お客さんが大勢訪れて、ちょっとした村のようになってるんですよ!」

キースさんの影響力もあるのでしょうが、ラフティングというコンテンツによって、人が集まる場所が形成されるという現象を、大田さんはこのときですでに目の当たりにしていたのです。

経験を積む日々

キースさんのもとで働きながら、経験を積み、技術を磨き、ニュージーランドでは国家資格であるラフティングガイドの資格も取得した大田さん。さらなる経験を求めて、日本とニュージーランドを行き来する生活を何年か続けます。
日本にいるときは群馬県の利根川や、四国の吉野川など、国内で一番良いとされている川のある場所を渡り歩いたそうです。時にはカナダなど、2拠点以外の場所でも働き「より流れの激しい川へ、より激流へ、という感じでしたね」とその頃の心境を振り返ります。

arupainriba-15.jpg.jpg激流その1 !

arupainriba-17.jpg.JPG激流その2 !

ちなみに、大田さんの持つ資格は複数あり、世界中の大概のラフティングポイントではガイドが可能なのですが、特にニュージーランドの資格は世界中どこにいっても通用するほど信頼度の高い資格だそうです。さらにその資格の5段階ある難易度のうちでも4と5、つまり最高難易度のものだそうです!

「5段階は川の難易度によるのですが、1がプールのように穏やかな川だとすれば、5は7メートルほどの落差の滝があったり、かなり激しい流れの激流と呼べる川という感じですね」と分かり易く教えてくれます。

ここで取材陣は、まりさんに実際の映像も見せてもらったのですが、お客さんが乗ったボートが激流にもまれながら進み、時にはひっくり返ったりしているではないですか! 一瞬絶句する取材陣に
「安全管理がしっかりしてますので、注意事項さえ守ってもらえれば大丈夫ですよ! もちろん泳げない人でも大丈夫!」
と大田さんがあわてて笑顔で付け加えます。

北海道ではこのレベルのラフティングができる川はあるのか、聞いてみると
「実はあるんですよ! この層雲峡の中に。もっとも、国立公園内なので色々な意味でハードルは高いのですが、何とか皆さんに楽しんでもらえるようにしたいですね!」なるほど、ここ上川町に拠点を決めた理由のひとつはそれなのですね。

arupainriba-5.jpg
arupainriba-13.jpg上川のまちを流れる石狩川

まりさんとの出会い

ところで、ちょっと話が前後しますが、こんなに世界中を飛び回っていた大田さん。奥様のまりさんとはどのように出会ったのでしょう?この疑問には、まりさんが答えてくれました。
「ある時期、ニセコの小さいスキーガイディングの会社で事務をしていたんですが、そこに何人かいたガイドのうちの1人が俊斉さんでした。その時は仲のよい友達だったんですけどね」とはにかみます。
聞けば、まりさんは東京生まれの東京育ち。17歳からはアメリカに留学しアメリカの大学を卒業したそうです。
「そこで人の道をはずれました(笑)」
と少し過激な例えで話してくれたのは、卒業したら企業に就職といった一般的な社会のルールではなく、自分のタイミングやルールで生きたいと思ったということでした。
「スキーもしたかったし、自然にふれていたかったんですね」というまりさんもまた、卒業後はカナダに行ったり、日本に戻っても東京ではなくニセコを訪れたりしていたそうです。
そんな2人が奇跡的に出会ったのが、ニセコでした。お互いに世界中渡り歩いていた中、ほんの一瞬交差したのです、まさに奇跡!
しかし、同じ場所にとどまらない大田さんは知り合ってすぐ、また遠くへ行くことに。
"仲の良い友達だった"大田さんがニュージーランドに移ると、何とまりさん、大田さんを追いかけてニュージーランドに移住したのです。「のこのこ追っかけていったんだよね〜」と穏やかに笑いますがそのおっとりとした雰囲気とうらはらの、行動力と決断には驚くばかりです。こうしてめでたく2014年にお二人はニュージーランドで結婚したのでした。

arupainriba-8.jpgこちらが奥様のまりさん
さて、晴れて家族となった二人が再び北海道に戻ってきたのは、大田さんのお父様が病気で倒れられたのがきっかけでした。
「一昨年に父親が倒れた時、やはり近くにいたいと考えて、何かあっても実家のある苫小牧まですぐに駆けつけることができるニセコで再び働き始めました」
残念ながら、翌年2018年の春にお父様は亡くなられたそうですが、お二人はこれからは日本に拠点を置くことを決意します。

上川町との出会い

「いろいろ大変だったので、少しのんびりしたいなと思い、滞在経験もあった四国にロングステイしながら、合間に奥さんの実家のある東京にいったり、種子島に行ったり、屋久島に行ったりと行って見たかったところを訪れたりしてしばらく過ごしました」
と言う2人が、その約1年間の充電期間を経て、いよいよやってきたのがこの上川町でした。

驚くことに、上川町にはほとんど知り合いもいないし、何か縁があったわけでもなかったといいます。
それでもこの場所を選んだ理由を改めて聞いて見ると

「以前スノーボードをしに上川町に来たことがあって、びっくりするくらい綺麗な川といい山があることは知っていたんです。夏場などは本当に層雲峡の川が綺麗でニジマスやオショロコマ、アメマス、イワナなどがラフティングしてても見えるくらい。しかもその自然がものすごく身近にある」
というのがやはりその理由だったそう。

世界中の川や景色を見て来た大田さんの言葉だからこそ、ここがいかに素晴らしい場所なのか説得力があります。

ちなみに、川や景色は少し違うかもしれないけど、知り合いもいて住み慣れたニセコでも良かったのでは?と少し意地悪な質問をしてみると

「ニセコは今や一大リゾート。出入りする人の数も動いているお金も桁違いで、もはや田舎とは言いがたい様相です。それはそれで活気があって良い場所なんですけど。自分達にとっても、特に子供にはもうちょっとのんびりした静かなところがいいな~と思ってたんですよね」

なるほど、たしかにここはゆったりと時間が流れている気がしますね。

arupainriba-4.jpg玄関にはとれたての野菜が
それと、これは来てからわかったんですけど、とまりさんが続けます。
「引っ越して来る前は、ただ自然が素晴らしいところと思っていたけど、いざ来てみたら、それ以上に人が優しくてびっくりしました!
例えば同じ田舎でも、以前住んでいた四国のまちは、打ち解けるまで少し時間がかかりました。そこは徳島県と高知県との境界線あたりの場所で、昔からあまり外の人が入って来なかったという環境もあるんでしょうけど。そんな感覚はこっちではいっさい無いんですよ。最初からみんなオープンで。近所のおじさんはいつも採れた野菜をもって来てくれるし、ラフティングをやったことがなくても、『川下りって楽しいよね!』とか『そこの川で小さい頃はよく遊んだよ』とかみんなが理解してくれようとするし、あったかいんですよね」

「保育所も、ニセコでは150人くらいの子がいて大所帯だったけど、ここでは30~40人なので1人1人に目が届く安心感があります。うちにはここがあってますね」
arupainriba-3.jpgパパとママ?4歳になるお子さんの作品!

今の想いと今後の目標

ラフティングをするのに探し当てた理想の環境は、住んでみたら家族にとっても最高な場所だったという大田さんご夫婦。
事業を立ち上げて、これから当面は忙しい日々が続くと思いますが、今の心境や今後の目標を聞いてみました。

「ここ上川町でやると決めてから、冷たくて激しい川でもちゃんと安全にガイドをできるよう学びたくて、カナダやロッキーマウンテンでさらに経験を積んできました。いける、という自信が持てるまで訓練を積んだという自負はあります。なので今はたいがいの川なら安全に下る為の方法やアイディアはたくさんあります」

「だから将来的には、流れが激しすぎて誰も手を出せない区間があるんですが、そこを是非お客さんを乗せてうちでやれたらいいな~と思っています。それがここの醍醐味ですからね。そのためには、一緒にやるスタッフも育成しなきゃならないですね」

もちろん、ここに来るまでは当然様々な準備段階での苦労がありました。ラフティングに必要な機材はほとんどが海外のメーカーからの取り寄せになるので、その交渉や税関でのやりとり。また機材が届いてからは安全性の確認や、コースの整備、川の状況の把握、いざというときのGPSや衛星電話の可動チェック、シミュレーションなど。そのほとんどをほぼ一人でやってきた大田さんは

「今迄ずっとやっていた仕事なのに、雇われてやるのと、自分が経営者・責任者としてやるのとでは全く違うんだなということを今更ながら実感しましたよ」 と笑います。

でも、その言葉や表情には、積み重ねたことからくる大きな自信と充実感がにじみ出ていました。そして
"とにかく安全に、多くの人にこのダイナミックな川を楽しんで欲しい" という想いがストレートに伝わってきたのでした。

arupainriba-6.jpgうらやましいくらい仲のよいお二人
お二人は言います。
「でも、何よりもまずは、地元上川の人たちに来てもらいたいと思っています。ときどき『こんなところに来てくれてありがとうね』と言われるんですけど、私たちにとってはここはとても素敵な場所です。私たちができるラフティングで地元の人たちが『やっぱり上川町って素晴らしいな〜』って思ってくれるきっかけになってくれればいいなと思ってます。そうしたらもっとたくさんの人に魅力が伝わって上川町に来る人も増えていくと思うんです」

庭の小屋で作業を続けるキースさんが、ニュージーランドでラフティングを通じて人の流れを生み出したように、ここ上川でも大田さんご夫婦の立ち上げた「アルパインリバーガイド」が訪れる人たちの滞在目的になる日がきっと来るでしょう。

皆さんも、是非一度大田さんと一緒に、ラフティング体験を通してこの大自然を満喫してみませんか! 泳げない人も大丈夫だそうですよ!

アルパインリバーガイド 大田俊斉さん・まりさん
アルパインリバーガイド 大田俊斉さん・まりさん
住所

北海道上川郡上川町字共進83

電話

01658-2-1253

URL

http://www.alpineriver-guides.com


ラフティングに最適の環境は、家族が住むのにも最高な場所でした

この記事は2019年7月8日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。