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芽室町

十勝から全国へ響かせる、まちの魅力を伝える声。20190909

十勝から全国へ響かせる、まちの魅力を伝える声。

北海道の十勝にある芽室町、帯広市に隣接する農業や製造業が盛んな人口約1万8千人のまちです。このところ、芽室町では、地域おこし協力隊を活用した移住対策に力を入れ始めているというお話を聞き、くらしごと編集部は芽室町役場に向かいました。

「ようこそ!」と出迎えてくださったのは、芽室町地域おこし協力隊でシティプロモーション・移住定住担当の八所かおりさんです。早速、八所さんに芽室町の移住の取り組み、まちのプロモーションについてお話を伺いました。

yatokoro_1.JPGこんなポーズのリクエストにも応えてくれる八所さんです。

芽室町地域おこし協力隊の活動とは?

2018年5月に芽室町の地域おこし協力隊として着任した八所さん。任務はまちのプロモーションをしながら、移住定住を推進することです。具体的にはどんなことをされているのでしょうか?

「私自身、出身は大阪府で移住者なんですが、移住をしてもらうためには、まず芽室のことを知ってもらう必要があります。そのため、まちのプロモーションとして、パンフレットの制作やイベントなんかで配布するノベルティのデザインや制作をしました。また、これまで芽室は参加していなかったのですが、東京などで開催される移住イベントなんかにも出向いて、北海道への移住を希望される方たちのご相談を受けたりといった活動をしています」

yatokoro_2.JPG八所さんがデザインしたノベルティのバッグです。

なるほど、ご自身が移住者という点を活かして、取り組まれているのですね。

「他にも芽室の地域おこし協力隊は副業もOKなので、自分のこれまでの経験を活かして、ラジオ番組でまちのイベントやお店の紹介をしたり、イベントのMCなんかもしたりして、まちの情報発信も行っています」

ラジオ?MC?
この文章で直接お伝えできないのが非常に残念なのですが、先ほどから八所さんのお話を聞いていますと、なんとも声がとても美しいのです。これまでの経験を活かしてと仰っていましたが、どんなことをしていたのか聞いてみると「ナレーターや声優です」という答えが返ってきました。なんと、北海道に来る前は、東京でプロダクションに所属し、ナレーターやゲームやアニメ、映画の吹き替えなどの声優を生業とされていたそうです。どうりで一般の人とは違う声だと感じた訳です。

八所さんの活動について深掘りする前に、少しこれまでの歩みについても伺ってみたいと思います。

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ナレーターに憧れて追い続けた道

「北海道に来るまでは、短大を卒業して所属した大阪のプロダクション、その後上京して所属したプロダクションと、ナレーターや声優としての活動を約20年しておりました」

そもそも、声を仕事にすることに興味を持ったのは、現在「情熱大陸」のナレーターとして広く知られている窪田等さんのナレーションを、高校生の時にテレビで聞いたことがきっかけだったそう。「聞いた時に説得力があってすごいなって。思わず録音して、自分でも原稿に起こしてしゃべってみたんですが、当然できる訳もなく。でも、これが私の声の原点です」と八所さんは教えてくれました。

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その後、ナレーターを夢見て大阪の短大で国語の勉強をしている時、元アナウンサーの方の講義で、プロになるためにはプロダクションがあり、そこに所属するための養成所があるということを知ります。短大卒業後はアルバイトをしながら、地元大阪のプロダクションの養成所に通い、勉強の日々を過ごし、無事オーディションに合格し、晴れてプロダクションに所属しました。

「プロになったものの、当然憧れのナレーターとしての仕事がいきなりある訳はなく、最初は遊園地のキャラクターショーのお姉さんや、劇場の場内アナウンスといった仕事が多かったですね。そんな状況なので、この仕事だけで食べていくことも難しくて、他にテレアポのアルバイトをしたりもしていました。その後は、大阪の別のプロダクションへ移り、ようやくラジオでCMやニュース、天気予報の仕事ができるようになりました」

夢だったナレーターの仕事も徐々に増え、充実した日々を過ごします。そんな中、同じプロダクション内で、ゲームのキャラクターボイスの仕事をしている人を見て、「私もやってみたい」と声優という新しい道に興味が惹かれていったと八所さんは言います。ですが、プロダクションの方針もあり、なかなか声優への道は険しい道でした。そこで、八所さんは第一の大きな決断をするのですが、それは東京進出でした。

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舞台は大阪から東京へ

「声優になりたい一心で上京することに決めました。東京の声優プロダクションの養成所にまた1年間通った後、オーディションを経て、声優事務所に所属することができました。ここは、アニメ業界とも繋がりの強い事務所ということもあり、オーディションはたくさんあって、何度もチャレンジしたのですが、結果は惨敗。声優としては何もできず、2年で契約解除になりました。でもしょうがないなと、これが東京の現実なんだと、実力不足を実感しましたね」

ただ、こんなことでは諦めない八所さん。その後、東京に残り、フリーでナレーターの仕事をしたり、舞台をメインでやっている劇団に所属して演技の勉強をしたりと、自分を磨く流浪の旅に出ます。「目指すは声優」その一心で切磋琢磨していた時、芝居仲間からの紹介で、八所さんは念願の声優デビューを果たすのです。

yatokoro_6.JPGこちらは芽室町PR動画。もちろん声の吹き替えは八所さんです。

「デビューは『龍が如く5』という人気タイトルのゲームでした。ショップ店員とミニゲームの対戦相手といった少ししか登場しない役でしたけど、声優として仕事ができて本当に嬉しかったですね。その後も、とあるプロダクションを通じて声優の仕事は順調に増え、外国映画『ピノキオの大冒険』では妖精役として吹き替えをしました。特に思い入れがあるのは、海外アニメ『H2O マーメイドアドベンチャー』という作品で、クレオという主人公の女の子を演じたことです。ものすごいハードスケジュールでしたけど、ようやくやりたいことができるようになって、すごい楽しかったです」

東京に出てきて約10年、声優としての仕事も自らの手で掴み取り、ナレーターそして声優として、高校生の時に描いた夢を叶えることができました。と同時に、八所さんの第二の大きな決断が動き出すのですが、それは北海道移住でした。

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思い立ったら行動を!北海道移住計画。

元々旅行が趣味で、日本全国、沖縄以外は全て訪れたことがあるという八所さん。特に北海道は大好きで年に何度も訪れていて、そのうちに「住んでみたい」と思うようになったそうです。

「変な話なんですが、賃貸アパートの契約更新のタイミングで移住しよう!って思ったんですよね(笑)。たまたまWebを見ていたら地域おこし協力隊という制度があるのを知って、そこからいろいろ自分でも調べたり、東京の有楽町にある『ふるさと回帰支援センター』に相談に行ったりと、北海道移住に向けて本格的に動き出したんです」

そうして八所さんが移住先に決めたのは、芽室町ではなく・・・空知地方にある三笠市でした。当時、三笠市で募集していたのは、テレビやラジオでまちのPR出演をする任務もあるという移住定住の担当。ナレーターや声優として活躍していた八所さんにはうってつけの仕事内容です。三笠市では、八所さんの得意分野を活かして、まちのPR動画や支援制度の説明動画を作成したり、イベントのMCをしたり、移住イベントに参加したりと、精力的に活動をします。こうして三笠市での活動も約2年が経過したころ、八所さんの心の中に一つの思いが生まれます。それは「東京にいる時にずっと憧れていた十勝で暮らしてみたい」ということでした。思い立ったらすぐ行動の八所さん。第三の大きな決断は、十勝にある芽室町でもう一度地域おこし協力隊としての活動をスタートさせることでした。

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そして、芽室町で取り組む「パイオニアのまち」

こうして冒頭でお話を伺った芽室町での活動へと繋がっていく訳ですが、芽室町での新たな取り組みについても八所さんに伺いました。

「今年の6月に新たな試みで実施したのは『きた北海道協力隊ネットワーク(※)』が主催する、地域おこし協力隊研修会をここ芽室で開催しました。この準備にあたっては、現在5名いる芽室の地域おこし協力隊員が協力して、企画から運営までを行いました。研修会当日は、各地から総勢39名の方にご参加いただき、おかげさまでご好評をいただきました」

(※)きた北海道協力隊ネットワーク:地域おこし協力隊同士のつながり強化を、目的として設立された団体。

yatokoro_9.JPG「おもしろそうと思ったらすぐ企画を考えます」とアンテナを張る八所さん。

ここで、八所さんとタッグを組み、移住定住を担当する役場の企画財政課 企画調整係 主事 餌取詩歩さんにもお話を聞いてみました。

「芽室町として、移住定住に積極的に取り組み始めたのは2018年度からになりますが、そのために八所さんから始まり、まちの活性化を担っていただく5名の地域おこし協力隊員が現在おります。まだスタートしたばかりですが、道外での移住イベントへの参加や移住体験ツアーの企画なども行っています。今年は9月に札幌市で開催される北海道移住ドラフト会議(※)にも球団として参加予定です」

(※)北海道移住ドラフト会議:移住やUターンを検討している方(選手)を北海道のおもしろい・元気な自治体や企業(球団)が指名し、交渉権を獲得する移住マッチングイベント。

こうして八所さんと餌取さんの移住定住担当タッグは、「パイオニアのまち」というテーマを掲げ、芽室にただ移住するのではなく、自ら地域に入ってやりたいことを一緒にできる基盤作りを行っています。

yatokoro_10.JPG2019年度から企画財政課で移住定住を担当する餌取さんです。

最後に八所さんにこれからの活動について聞いてみました。

「プロモーションイベントは他のまちや道外でなど、色々と企画して行っていきたいと思っています。他にもたくさん企画は考えているので、やりたいことがたくさんありすぎて困っちゃいますね(笑)。あと副業のラジオやナレーターなど、声を活かした仕事は絶対続けたいので、これからも頑張りたいですね」

地域おこし協力隊としての任期は3年間、「卒業後にも芽室に残って、この大好きなまちで暮らしていくことが大きな目標」言う八所さん。きっと八所さんも芽室のパイオニアとして活躍してくれることでしょう。

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芽室町 地域おこし協力隊 八所かおりさん
芽室町 地域おこし協力隊 八所かおりさん
住所

北海道河西郡芽室町町東2条2丁目14

電話

0155-62-9721(芽室町役場 企画財政課)

芽室町地域おこし協力隊の日々の活動や最新情報については、Facebookをご覧ください。

◎Facebook

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十勝から全国へ響かせる、まちの魅力を伝える声。

この記事は2019年7月12日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。