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士別市

羊飼い見習い。羊に恋して士別に舞い戻って参りました。20180802

この記事は2018年8月2日に公開した情報です。

羊飼い見習い。羊に恋して士別に舞い戻って参りました。

ランニングシャツにジーパン、そしてパンチパーマを当てるこの人物は決して過去の日本からタイムスリップしてきたわけではありません。彼は、現在士別市の地域おこし協力隊として活躍している加藤純規(かとうじゅんき)さん、26才。

趣味は喫茶店や古酒場での「人情巡り」。今は協力隊として羊を介したまちおこしに奮闘中。その羊への溢れんばかりの愛ゆえに、生まれたての子羊に憧れてパーマをあてている人物です。

そんなちょっと一風変わったひとりの青年のお話をこれからさせていただきます。

shibetsu_kato2.jpg士別市といえば「サフォーク種」で有名。サフォーク羊は顔が黒いのが特徴で、肉用種として最高の品種。臭みが少なく、脂に甘みがあり、とても柔らかいのが特徴です。

知ってしまった羊のお肉の旨み

高校まで士別市で過ごした加藤さんは、ある時牛乳甲子園なるものに友人と参加。これは2005年から若年層の牛乳離れを食い止めるために企画された牛乳の消費拡大キャンペーン。それに参加したことによって牛乳が好きになったという、まさに企画者の思惑通りに牛乳好きの若き男性がここに誕生したのです。


そのことをきっかけに、牛に興味を持った彼は江別市にある酪農学園大学へと進学しました。

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大学1年目で牛のことをイチから勉強し、サークルも牛関連のものに入り、とにかく牛について勉強する日々を送っていたある日、羊牧場を見学してまわるツアーに参加。

道東の牧場をメインでまわり、白糠町のある牧場主さんのご自宅にお邪魔した際に羊のお肉を出してもらったそう。

「出てきたのはただ単純に塩こしょうだけで味付けされたお肉。それでも『なんだこれ、凄く美味しい』と思いました」。

単純な味付けだったにも関わらず羊のお肉がとても美味しく感激したのです。

そこから羊の虜になってしまった加藤さん。
牛の勉強をするために大学に進んでいたものの、気づけば大学2年生の頃から道内の羊の牧場を自らまわり始めていました。

そして、当たり前のようにこう思うのです。

「もっと羊の勉強がしたい」

そう、彼は牛から羊へ興味の視野を転向させました。

自分でつくったものを自らの手で届ける魅力

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「羊って、基本的に農協とかでは扱っていないんです。自分たちで販路をつくって売るというところにも惹かれました。自分でつくったものを自分の手で届けるというのが、1つの理想のカタチだと考えています」。

牛に惚れ、牛を学び、今は羊について学ぶ彼は、次第に羊飼いになりたいと夢を抱くようになりました。

その後、羊の勉強を深めるため酪農学園短期大学部を卒業後、半年間勉強し帯広畜産大学へ編入しました。その際も、自ら近隣の牧場に足を運んで見てまわるなど研究熱心。

卒業後、在学中に何度か研修していた十勝の牧場に「めん羊担当の職員の欠員が出たから来てくれないか?羊のことはなんでも教えるよ」と連絡が入り、その牧場で働くこととなりました。当初は1年限定でしたが、もう1年延長することになり、結果として2年その牧場で働きました。

その後も、道央エリアにある牧場の新規立ち上げのために拠点を移し、半年程働いた後ついに地元士別市へと戻るのでした。

協力隊として、羊飼い見習いとなる

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加藤さんは士別市に戻り、地域おこし協力隊となりました。士別市では、羊の飼養や就農を目指したサフォーク種めん羊の飼養に関する知識や技術の修得に関わる活動、それをPRする活動などを仕事内容とした協力隊の募集があったのです。まさに、羊に携わりたい彼にはピッタリの職業。

もともと大学時代の先輩が士別市の協力隊として働いていたことも知っており、なんとなく協力隊がどういうものかというイメージも掴んでいたと言います。

協力隊の任期は3年までですが、それに対して加藤さんは「終わりがあることによって、就農に向けた準備を計画的に進めることができる」とコメント。

shibetsu_kato8.jpg協力隊として士別市の経済部農業振興課に所属。同じく協力隊の土橋さんと共に。

現在は今回の取材先であるしずお農場の他、協力隊を受け入れてくれる牧場がいくつかあり、そこを日々まわっているとのこと。
「基本的に行きたい牧場がある、やってみたいことがあると言えばいいよと背中を押してくれる役所なんです。先日肉の研修がしたいと役所にお願いし、これから肉の加工技術を教わりに行くことになりました」。

他にも、羊だけではなく畑作も経験しておいた方がいいと役所から協力隊用に畑を提供してもらいました。そこで現在アスパラの栽培に励んでいるところ。

「今は朝からアスパラを収穫して、役所に出勤もしくは、牧場に行って毛刈りをして、夕方またアスパラを収穫して販売に出歩く...。そんな生活です。いやぁそれにしてもアスパラって結構大変なんですね...」
やってみないと分からないことがたくさんある。加藤さんは今、アスパラという新たな農作物にも奮闘中です。

羊飼い、毛刈りシーズンに奮闘中

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暑い夏を迎える前に、羊たちはその毛を落とします。ちょうど取材した頃は5月下旬頃。このあたりは羊の毛刈りシーズン真っ只中。今や士別市だけではなく、赤平市や美深町などの牧場にも毛刈りの勉強へ道内至るところに赴きます。

shibetsu_kato5.jpg「まだまだ未熟なので色んなところでやらせてもらって技術を修得していきたい」と話す加藤さん

「最初の方は色んなところ切っちゃったり、バリカンの刃の調整具合で切れ味が変わってきたり、羊が暴れたり...それに戸惑うこともありました」。

そんな加藤さん、5月はすでに120頭程の毛刈りを担当したのだとか。
簡単なようで、生き物相手の毛刈りはとっても大変。動く羊を押さえ、怪我をさせないようにと集中して毛を刈る加藤さんの姿は、真剣そのもの。

shibetsu_kato12.jpg結構力がいるんです。

羊飼いとして独立。ゆくゆくは羊飼いを飼う立場へ

北海道といえば誰もが思い浮かべるであろう広大な大地。そこに牛がいることは多いですが、羊が放牧されているところは牛に比べたら少ないのです。加藤さんは「身近なところにもっと羊を見せていきたい」と話します。

そして、この地でいずれは「羊飼いを飼う」ことで地元に羊を増やしたい。そんな経営者としても働く未来を描いています。

「今はまだ、羊の飼養の技術は身についても、牧場経営まで出来るか?と考えると難しい。そのノウハウを吸収するために、今は多くの人と繋がりたい。そのために協力隊のイベントを始め多くの勉強会にも積極的に参加しています」。

いつか、自分で一人前になって生計を立てて生活していきたいと力強く将来を見据えている加藤さんでした。

僕がパンチパーマをかける理由

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「羊に憧れて、というのもあります。生まれたての子羊をイメージしてかけました。イベントや人生の節目など大事な時にかけてるんです。一番最初にパーマをかけた時は、初めての牧場を退職した時。そして、士別市に戻ってきた時に改めて頑張るぞという想いを込めて。ちなみに今回はくらしごとの取材を記念してかけましたよ」。

パンチパーマがトレードマークの若き男性を見かけたら、それは今日も羊への愛に溢れて各方面で勉強中の加藤さんかもしれません。

士別市役所経済部農業振興課 士別市地域おこし協力隊(羊飼い見習い)加藤純規さん
住所

北海道士別市東6条4丁目1番地(士別市役所)

電話

0165-23-3121

URL

https://www.facebook.com/shibetsu.chiikiokoshi/


羊飼い見習い。羊に恋して士別に舞い戻って参りました。

この記事は2018年5月29日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。