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ロケット作りに一直線!宇宙を目指して大樹に移住。20161208

この記事は2016年12月8日に公開した情報です。

ロケット作りに一直線!宇宙を目指して大樹に移住。

宇宙開発に必要な学びを逆算して猛勉強!

大樹町でロケット開発に取り組んでいる「インターステラテクノロジズ株式会社」。ここでエンジニアとして働く金井竜一朗さんは弟子屈町のご出身。小さなころから機械いじりが好きで、中学生の時には自宅の風呂が満杯になるとブザーが鳴るしくみを作り上げたほどの機械マニアです。彼が航空宇宙開発を夢見るようになったのは、高校生のころに出会った一冊の漫画。
「宇宙をテーマにした漫画は宇宙飛行士をヒーローとして描く作品が多いけれど、僕が読んだ『プラネテス』は視点が変わっていて、主人公は宇宙空間でゴミを拾う仕事に就いているんです。こんな風に宇宙に暮らすのが当たり前になる日が来るといいなって憧れを抱きました」

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金井さんは航空宇宙開発の仕事を夢見て、ロケット作りに関するテキストを次々と読破。学びを重ねていくうちに物理と数学の知識は将来絶対に必要になるだろうと、誰にも負けないくらい猛勉強したといいます。
「高校生のころに身につけた計算式は、エンジニアとなった今でも使っています。勉強って目標がないとツラいけれど、夢を叶えるために学ぶべきことを逆算して取り組んでみると案外楽しいものなんですよね」

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金井さんは航空宇宙開発を学ぶべく北海道大学に進み、CAMUI(カムイ)式と呼ばれるロケットを研究する「宇宙環境システム工学研究室」でエンジン開発や打ち上げ実験にのめり込みました。

優先すべきはロケット開発と北海道に住むこと。

金井さんは大学時代、研究室の先輩から引き継いだロケットエンジンの改良に取り組みます。赤平市でロケットを開発している株式会社植松電機と手を携えながら、学生でも打ち上げ実験の数を重ねられるよう、手軽なガス酸素で推進力が得られる仕様に設計を変更しました。
ロケット作りを研究するほど、もっと宇宙に近づきたいという気持ちは募るばかり。金井さんは大学院に進んで2年半ほどが経ったある日、インターステラテクノロジズが加工機械を導入し、大樹町で本格稼働するという噂を聞きつけました。

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「就職の優先順位は第一条件がロケット開発に携われる会社、次に北海道の企業。けれど、道内で航空宇宙産業に取り組んでいる企業は少なくて...。本州の会社も視野に入れようと思っていたところ、当社が大樹町で本格的なエンジン開発をスタートさせたという渡りに船の話が舞い込んできたわけです。さっそく見学に行って、社長に『入社していいですか?』と直談判しました(笑)。熱意を認めてもらえて採用していただけることになったので、大学院を休学し、大樹町で暮らし働くことにしたんです」

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宇宙に向かって一直線。まさにロケットのごとく爆発的な行動力です。ところで、田舎暮らしや会社の規模に不安はなかったのでしょうか?
「大企業だけが安定しているとは思っていませんし、ウチの会社は小さいからこそロケット開発の全体に携われそうだと感じました。住む場所については大樹町のマチナカなので、不安はまったくなかったですね」

まちの人と打ち解けるために酒場で世間話。

インターステラテクノロジズに入社してからしばらくは主にロケットエンジンの開発を担当していた金井さん。今はロケット打ち上げの空気抵抗や振動、上空の温度を計算しながら、どれくらいエンジンを燃やせば何秒後に頂点に達し、どのように姿勢制御できるかなど全体の動きを設計しています。

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「計算上では完璧に打ち上げられるはずでも、現実はバクハツ...なんてことも少なくありません。だけど、失敗からは次の成功につながるデータが取れますし、会社もチャレンジを受け入れてくれる土壌が根づいています。今は宇宙圏に届くロケットを作るためにも試行錯誤の日々ですね」
金井さんの住まいはマチナカの町営住宅。休みの日は、まちの若者が集うダイニングバーや人気の居酒屋さんに足を運び、隣り合った人とお酒を傾けながら語らうのが何よりの息抜きなのだそうです。

taiki_interstellar-kanai_007.jpg金井さんもよく買い物するというマチナカの「コスモール大樹」。

「ウチの会社には見学依頼すべてに対応できるほどの人数がおらず、まちの人や高校生が遊びに来ても手の空いたスタッフがいれば対応する程度。僕としてはもっと地元の方々と打ち解けたくて、居酒屋さんでコミュニケーションをとっています。『お!ロケットの人か!』『どんなことやってるの?』と声をかけてもらえるとうれしいんですよね」
ロケット開発を仕事にしている人というとおカタイ研究職のイメージ。だけど、金井さんが見せる素顔は、大樹町の暮らしを楽しんでいるイマドキの若者でした。

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インターステラテクノロジズ株式会社
インターステラテクノロジズ株式会社
住所

北海道広尾郡大樹町字芽武690-4

電話

01558-7-7330

URL

http://www.istellartech.com/


ロケット作りに一直線!宇宙を目指して大樹に移住。

この記事は2016年10月19日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。