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このまちのあの企業、あの製品
旭川市

従来の事業を守りつつ、新しいことにも果敢に挑戦する金田自動車20250904

従来の事業を守りつつ、新しいことにも果敢に挑戦する金田自動車

1952年に旭川で創業し、1960年から自動車整備業を営む金田自動車。現在、旭川市内に事業所と工場を構え、2022年末には札幌店もオープンいたしました。整備の基本である「安全の提供」を第一に、私たちは、人と企業と安心をつなぐドライブパートナーです。

安心・安全なクルマのトータルサービスができる企業として、これまでの実績にあぐらをかくことなく、より一層信頼される企業となるべく、さらなる飛躍を掲げています。

今回は、同社の主軸のひとつであるトラック整備の窓口となるフロントスタッフに話を伺ったほか、札幌店オープンに大きく貢献した店長、同社にとって新たな働き方に挑戦している東京拠点のスタッフにも話を伺いました。同社が、これまでの事業も大切にしながら、いかに新しいチャレンジを行っているかが分かる内容となりました。

旭川エリアでトラック整備といえば「金田自動車」。フロント担当の2人が登場

まずは、旭川のトラック整備工場へ。旭川で、ディーラー以外のトラック整備といえば金田自動車と誰もが言うくらい、数多くの整備を手がけています。

ここでお客さま対応や整備のスケジュール調整、部品などの調達などを一手に行っているのが、フロント担当。今回は、入社7年目の牧 祐希さんとその上司であるフロント課長・阿部将宣さんにお話を伺いました。

055_kaneta.jpg経理からフロントへ転身。お客様とのやり取りにやりがいを感じている牧祐希さん。

2人とも出身は地元旭川。入社の経緯を伺うと、牧さんは「もともと幼稚園の先生をやっていたのですが、別の仕事をしてみたくて退職。簿記の資格を取ったので、生かせるところがないかなと仕事を探していたら、ちょうどここで募集をしていたんです」と話します。実は、牧さんの実家は会社から徒歩圏内という近さ。それも決め手になったそうです。

「入社して経理の仕事を3、4年ほどやっていたのですが、人と関わる仕事がしたいなと思っていたら、ちょうどフロントに空きが出ると聞いて、阿部さんに話をしたら、じゃあ来れば?と言ってもらって(笑)。今は、経理とはまた違う面白さを日々感じて仕事をしています」

牧さんを引っ張ったその阿部課長は、高校の自動車科を卒業後、整備士として金田自動車に入社しました。

053_kaneta.jpg整備士としての経験を活かし、チームをまとめるフロント課長の阿部将宣さん。

「整備士として、ディーラーに就職する手もありましたけど、当時は地元から出たくなくて、転勤のない会社で探していて、ここに就職しました。また、周りの人から、ディーラーではないけれど、それくらいの安定感がある会社だと聞いていたのも決め手になりましたね」

阿部課長は、10年ほど整備士として活躍したあと、フロントへ。それから10年近く整備のこともよく理解しているフロントの顔として、フロントチームをまとめています。

難しさがある分、やりがいも。風通しの良さから生まれた抜群のチームワーク

1日に20~25台のトラックがやってくる同工場。一般の乗用車と違い、トラックは代車がないため、いかに安全に、かつタイムリーに整備を終わらせるかが大事になります。そのスケジュール調整がフロントの難しさであり、腕の見せどころでもあります。

「私はまだまだ分からないこともあるので、常にメモを取るようにしています。顧客の名前は分かってきましたが、部品の名前などはまだ完璧ではないので、分からないことは阿部さんに聞きながら進めるという感じです」と牧さん。

お客さまから質問をされた際、中途半端な知識で答えることはせず、分からなければきちんと確認してからお客さまに回答するようにも気を付けているそう。

一人ひとりの工員の得意なところや休みも把握しながら、スケジュールを調整していくという阿部課長は、「自分は整備をやっていたこともあり、工場の作業についても理解しているので、みんなが残業をしなくても済むように調整したり、お客さまにも迷惑がかからないようにスケジュールを組んだりしています。調整力はもちろん、交渉力も問われるかな。いかに工場をうまく回せるかが大事」と話します。

やりがいを感じる瞬間について尋ねると、牧さんは「お客さまから名指しで電話がくると嬉しい」と言います。「うんうん、それ、分かる」と大きく頷く阿部課長は、「あとは目標の数字が達成できたらうれしいよね」と続けます。

031_kaneta.jpg金田自動車の主軸であるトラック整備の様子です。お客様に安全を提供するため、日々業務に取り組んでいます。

現在、トラック整備工場のフロントは、牧さん、阿部課長を含め、4人体制。毎日、かなりの電話が鳴りますが、それを4人でうまくさばいていくそう。

「うちのフロントはみんな仲がいいんですよね。4人それぞれタイプは違うけれど、逆にそれがいいのかなと感じています」と、まとめ役の阿部課長。牧さんも、「整備のスタッフも含め、チームワークはとてもいいと思います。基本的にみんないい人で、助けてくれる人が多い」と話します。テンポ良い2人の掛け合いを見ていると、チームワークの良さは伝わってきます。

上司という立場の阿部課長は、「みんなに会社へ行きたくないって思ってほしくないんです。だから、ルールで縛るようなことはせず、のびのびやっていいよと言っています。自分も基本的に自由にのびのびやらせてもらっているので(笑)。うちの会社は、きちんとやることをやっていたら、ある程度信頼して任せてくれる、理解のある会社なので」と話します。

すると牧さんが、「阿部さんもよく意見を聞いてくれるし、会社も現場の声を吸い上げてくれるほうだと思います」と続けます。

最後にこれからの目標を尋ねると、牧さんは「もっと知識をつけて、自分で解決できるようになりたいです」と話し、阿部課長は「旭川の車整備と言えば金田だよねって、誰からも言われるような会社にしたいし、金田ファンを増やしたい」とキッパリ。

「金田の仕事はキレイだよね、あそこで整備してもらいたいねと言われるよう、技術力もサービスも全体のレベルをアップさせていきたいですね」と熱く語ってくれました。

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札幌店立ち上げに大きく貢献。中小企業ならではの仕事の幅の広さを面白いと実感

さて、次に話を伺うのは、札幌店店長であり、執行役員営業部長の荒谷教世さんです。江別にある札幌店は、トラックが350台近く並ぶ中古販売を行っているほか、指定工場を有しており、トラックの整備も行うことができます。

今年の4月には第2工場として、トラックの架装工場も完成。架装とは、冷蔵車にしたいなど、用途に応じて特殊な装備や改造を施すことで、工場には架装に必要な大型の塗装ブースや、ディーゼル車のマフラーを分解して洗浄する機械など、ありとあらゆる設備を完備しています。

ここを取り仕切る荒谷部長は、「札幌近郊で、ここまで多岐に渡ってお客さまのお役に立てるものがそろったトラックに関する工場は珍しいと思う」と話します。

039_kaneta.jpgこちらが、札幌店店長であり、執行役員営業部長の荒谷教世さん。

荒谷部長は、整備工場が国の指定工場に認定されるまでの立役者でもあり、会社の知名度がまだ低い札幌圏で敏腕営業マンとして大きな契約を取ってくるなど、札幌店をけん引。1人で何役もこなし、大活躍をしています。

まるで長年、金田自動車に勤務しているかのような荒谷部長ですが、入社したのは3年前。もともとは札幌に本社があるトラックメーカーに勤務していたそう。営業の最前線で仕事をしていましたが、数年前に管理職となった際、現場の仕事がしたいと退職。

そのタイミングで、金田自動車の常務から声がかかり、札幌店をお願いしたいと頼まれます。金田自動車とは、15年ほど前、旭川に転勤でやってきたのがきっかけで親交があったそう。

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「もともと中古車展示場があった江別の場所の隣に整備工場を建てることが決まっていて、そこを指定工場にしようということで、まずは認証工場の認定を取るところからスタートしました」

工場で自動車整備を行うには、地方運輸局長の認証を受けなければなりません。さらに、設備、技術、管理組織など一定の基準を満たした「認証工場」は、申請して、すべてのテストをパスすると、地方運輸局長から指定自動車整備事業の指定を受け、「指定工場」となります。

この指定工場に認定されるまでが大変だったそうで、「約4か月かかりました」と振り返ります。きちんとした整備が行われているかを運輸局で確認するため、何十台ものトラックを荒谷部長自ら運転して運輸局に運んだそう。

065_kaneta.jpg金田自動車は、トラックの販売から整備、架装まで手掛ける拠点を持っています。

「もともと機械や車が好きで、大学でも機械工学を学んでいましたが、トラックメーカーに営業として入ってからは営業畑一筋でやってきました。大手は仕事が分業化されているので、営業といえば営業だけという感じでしたが、金田自動車のような勢いのある中小企業は、いろいろな仕事をやらせてもらえるので、それが面白いと感じています」

金田自動車の名前は、札幌圏の運輸関係者の間で少しずつ知られるようになってきたと思うと荒谷部長。

「旭川エリアや道北エリアでの知名度に比べればまだまだですが、札幌圏でここまで幅広く対応ができるトラック整備工場は珍しいので、これからもっと顧客獲得に動きたいと考えています」と意気込みを語ります。

また、国の指定工場を継続していくのは何かとハードルが高いそうですが、「何とかレベルを保ち、その間に次を担ってくれる人材もしっかり育て、長く指定工場として稼働させていきたいと考えています」と最後に話してくれました。

011_kaneta.jpg総務人事課長の小澤さん(写真右)と談笑する荒谷さん。

海外企業の研究員の傍ら、論文を書きながら、人事も担当。初の試みに挑戦中

最後に登場するのは、7月にできたばかりの東京事務所に勤務する東海林寛朗さんです。東海林さんの経歴や働き方は、ほかの3人と比べると大きく異なります。

4年前に入社し、現在は総務部に所属しながら、DX化に関する研究を行い、論文も書き、大手メーカーに勤務している研究員のような役割も担っています。

金田自動車へ入社する前は、ドイツの物流会社のマーケティング部門で経済と物流に関する研究を行っていたという東海林さん。海外から家族で日本へ帰国したのはコロナ禍で、奥さまの実家のある旭川で暮らし始めます。

045_kaneta.jpgドイツの物流会社で研究員をしていた経歴を持つ東海林寛朗さんです。現在は総務部に所属しながら、DX化の研究や人事も担当しています。

オンラインでドイツの物流会社の研究員として仕事を続ける傍ら、海外生活ではできないことをしたいと、なんと新聞配達もしていたそう。

「ドイツには、日本の弥生会計のようなオンラインを使った会計システムがなかったので、旭川のポリテクセンターでそれを教えてもらえると聞き、そこに通っていました。そこで、あなたの強みを教えてくださいというようなエントリーシートのようなものを渡され、MBAを取得していることや通信教育の放送大学で博士論文を書きたいと記入したところ、それがたまたま社長の目に留まり、役員たちから金田自動車に来ないかとお誘いをいただきました」

ただ、東海林さんはドイツの会社の研究員を続け、新聞配達もしており、経済的に困っていたわけでもなかったため、2回断ったと言います。それでも、金田自動車を含むカネタグループでは東海林さんのような研究員として活躍してくれる人材を探していたそうで、東海林さんはドイツの会社の研究も続けていいという了承を得て入社します。

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「もうひとつ会社にお願いしていたことがあって、自分が書いてきた論文の中に、日本の中小企業について書いた部分がなかったので、金田自動車の分析レポートを書かせてほしいと伝え、OKをいただいて入社することになりました」

東海林さんは金田自動車で総務の仕事を終えると、自宅でドイツの会社の研究をオンラインで行っているそう。「時差がちょうどいいので」と淡々とにこやかに語りますが、なかなかハードな働き方。さらに、大学の博士課程で論文も書いているというのですから驚きです。

「論文の中には、札幌店の荒谷さんの大きな功績についても成功事例として触れています。そして、この3月に、『中小企業のDXの向上により地方創生に繋がるのか、北海道道北、金田自動車からDXを考える』という論文を提出し、認めていただき、査読待ちです。今、大学の博士課程にいるのですが、査読が付くと、日本国内の大きな会社にいる研究員の方と同等レベルの発表ができるようになります」

010_kaneta.jpg「金田自動車を世界的な企業へ」を掲げる、東海林さん。

査読が付くというのは、提出した論文が専門家による審査を受け、学術雑誌などで掲載の妥当性が評価されたという証のようなもの。中小企業で総務の仕事の傍ら、研究員としても成果を上げているというのは興味深いものがあります。

「活動の幅が広がっていくと、ドイツの研究とのコラボも期待できると思います。将来的には、地域の大学、北大や旭川大学との共同研究もしたいと考えています。実際、昨年は北大と大型工場のデジタル導入に関する共同研究も行いました。道内の100人規模の会社で、このような取り組みを行っている前例はあまりないようですね。ゼロからイチで、誰もやったことのなかったことに会社も私も挑戦している最中というわけです」

研究の話が続きましたが、東海林さんは総務で人事なども担当。外国人の技能実習生など、外国人スタッフが増えていることを鑑みて、今年の4月からグループ内で専門の講師による日本語教育もスタート。旭川、札幌の両方合わせて8人の外国人スタッフが学んでいます。

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春から東京で事務所立ち上げの準備をし、7月から本格スタート。今は月に1度旭川本社に訪れています。東京では主に人材確保のために動くそうですが、昨今の整備士不足を解消するため、バングラディッシュなどへ実際に社長や東海林さんが足を運び、長く働いてもらえる人材発掘も行っていく予定だそう。

最後に、「入社したとき、『旭川のカネタから世界のカネタにしましょう』『グローバルに展開していきましょう』とみんなの前で言ったんです。海外から人材を連れてくることだけでなく、中古車販売のビジネスも海外展開できるだろうし、いろいろできることはあると思います。今は、荒谷さんに匹敵するくらいの人材を東京で発掘して、北海道へ連れていくことができたらと思います」と話してくれました。

多彩な人材がそろっている金田自動車。それぞれ仕事内容は異なりますが、一人ひとりが自主性を持って、熱い気持ちで仕事に取り組んでいるのが伝わってきました。そして、新しいことにどんどん挑戦させてくれる、自由な社風がとてもよく伝わってきました。

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株式会社金田自動車(カネタグループ)
住所

北海道旭川市末広東1条6丁目1番8号

電話

0166-51-9922

URL

https://www.kanetagroup.jp/index.html

【株式会社 金田自動車 トラック整備工場旭川店】

 〒071-8121 北海道旭川市末広東1条12丁目1番3号

 TEL:0166-57-9911 FAX:0166-57-2355

【株式会社 金田自動車 乗用車整備工場】

 〒071-8121 北海道旭川市末広東1条6丁目1番8号

 TEL:0166-51-9911 FAX:0166-52-4352

【株式会社 金田自動車 BP架装工場】

 〒079-8451 北海道旭川市永山北1条8丁目41-8

 TEL:0166-47-9917 FAX:0166-47-2444

【株式会社 金田自動車 トラック整備工場札幌店】

 〒067-0052 北海道江別市角山426番地14

 TEL:011-378-9922 FAX:011-378-9611

【株式会社 丸金 金田商店】

 〒071-8112 北海道旭川市東鷹栖東2条2丁目843番1号

 TEL:0166-57-3355 FAX:0166-57-3398

【有限会社 カネタ 旭川トラックセンター】

 〒071-8121 北海道旭川市末広東1条12丁目1番3号

 TEL:0166-57-9911 FAX:0166-57-2355

【有限会社 カネタ 苫小牧トラックセンター】

 〒059-1365 北海道苫小牧市字植苗163番地21

 TEL:0144-51-8282 FAX:0144-51-8277

【有限会社 カネタ 275トラックセンター】

 〒067-0052 北海道江別市角山426番地14

 TEL:011-378-9922 FAX:011-378-9611

【有限会社 カネタ 39バン・トラックショップ】

 〒079-8412 北海道旭川市永山2条9丁目2番12号

【楽天ショップHPアドレス】 https://www.rakuten.co.jp/truckshop/

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従来の事業を守りつつ、新しいことにも果敢に挑戦する金田自動車

この記事は2025年7月17日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。