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東川町

ご縁のある人に幸せを願う超前向きな経営者「有料老人ホーム華」20250224

ご縁のある人に幸せを願う超前向きな経営者「有料老人ホーム華」

北海道のほぼ中央に位置し、旭川市に隣接している東川町。大雪山国立公園の麓にあり、多くの登山者らが訪れるほか、写真の町として全国的にも知られています。近年は、おしゃれなカフェやこだわりの飲食店なども増え、移住希望者にも人気の町です。

今回はそんな東川町で「有料老人ホーム華」を運営している有限会社フラワーの代表・髙島悠太さんに会ってきました。なぜ、髙島さんに会ってきたのか?それはこれまでの高齢者の介護施設のイメージをいい意味で大きく覆してくれるようなキャラクターだから!

「ご縁ある人たちには幸せになってほしい」と笑顔で話す髙島さんのこれまでのこと、これからのことをインタビューしてきました。

誰とでも仲良くなれる人懐っこい性格。大学時代は休学して解体業にも従事⁉

取材陣の前に「おはようございます!」と元気よく現れた髙島さん。「今日って、写真撮るんでしたっけ?これ、やばいですか?直したほうがいい?」と、少しだけ頭についた寝ぐせを触りながら笑う姿に、こちらも思わずつられて笑ってしまいます。

生まれも育ちも旭川という髙島さん。昨年(2024年)から本格的に有料老人ホームの運営会社を立ち上げ、3月に介護事業所も開設しました。現在31歳という髙島さん、前職は介護の仕事ではなかったとそう。そんな髙島さんが高齢者介護に携わるきっかけは何だったのでしょうか。まずは髙島さんのこれまでについて伺っていこうと思います。

「特に介護や福祉に興味があったというわけでもなく、子どものときも何がしたいとか、何になりたいとかもなかったんですよ」と言う髙島さん。どんな幼少期だったのかを尋ねると、「人懐っこい。すぐに誰とでも仲良くなれちゃう子でしたね」と話し、「今も変わらないですけどね。僕、中身が子どものままなんです」と笑います。

中学時代はバスケ部に、高校に入るとバレーボール部に所属。高校時代はクラスの学級委員長も務めていたそうです。「別に勉強が好きだったわけでもないし、すごく真面目なタイプだったわけでもないんですけど、1回なっちゃったら、そのままずっと学級委員長みたいな...」と言います。

高校卒業後は旭川大学に進学しますが、1年生の夏休み以降休学します。

hana_02.jpgこちらが、「有限会社フラワー」代表の髙島悠太さん。

「夏休みに友達と東神楽にキャンプに行ったんです。別にアウトドアが好きとかそういうわけでもなかったんですけど、何となくキャンプをしたんです。まず1泊して、なんかまだ家に帰らなくてもいいかなと思って、また1泊して、まだ帰らなくてもいいかなとまた1泊して...って、やっているうちに、家に帰らなくてもいいかなと思っちゃって、そのまま札幌に行っちゃったんです(笑)」

流れ着くような感じで札幌へやって来た髙島さんは、お金がなかったので、とりあえず日雇いの解体のアルバイトをはじめます。

「僕、細かい作業とかものを組み立てるとかは性格的にあまり向いていないんですけど、壊すほうならできるなと思って、解体の日雇いを始めたんですけど、結構楽しくなってしまって、結局大学を休学して、2年間解体の仕事をしていました。体もムキムキだったんですよ!」

大学を休学した髙島さんは、帯広、函館、東京、山口、埼玉と、道内外で解体業の仕事に従事。持前の人懐っこさで、現場の先輩たちにもかわいがられ、「最初は怖い人が多いのかと思ったんですけど、全然そんなことなくて、すぐに仲良くなりました」と振り返ります。このまま解体の仕事を続けることも考えたそうですが、旭川に戻り、大学にも復学します。

hana_03.jpg利用者の皆さんと笑顔で会話をする髙島さん。利用者の方々も髙島さんを信頼している様子が伺えました。

大学卒業後、営業職で東川などの病院や介護事業所を担当。そこでご縁があり...

「最初にも言いましたけど、特に何がやりたいとかなかったので、大学を卒業するタイミングでとにかく何か仕事をしなくちゃなと思って就活をしていました。うちの父親はボイラーや水道など設備関係の仕事をしているんですが、父と違ってそういう設備の作業とか、組み立てるものとかは向いていないと思ったので、父と同じ職業に就こうとは思わなかったんです。あと、ジッと座っていなければならない事務の仕事も性に合わないし、そうやって考えた結果、しゃべるのも好きだし、自分は営業向きかなと思ったんです」

卒業間際に、産業ガスを扱う大手企業の医療・福祉関連部門の営業職として就職を決めます。勤務地は地元・旭川で、旭川、東神楽、東川エリアを担当。

「営業はやっぱり向いているなと思いました。いろいろな人と話をするのが楽しかったんですよね。毎日のように担当エリア内の介護施設や居宅支援の事業所、病院などを回っていました。この『華』も担当していた営業先のひとつだったんです」

hana_04.jpg昨年(2024年)から本格的に有料老人ホームの運営会社を立ち上げ、3月に介護事業所も開設しました。

有料老人ホーム華の建物は、もともと別の人が経営していた高齢者向けの賃貸住宅だったそう。

「ここの前のオーナーさんから、自身も高齢となり、持病もあって、続けていくのが難しいから誰かやってくれる人がいないだろうかと、2、3年相談を受けていたんです。そのうち、髙島くんがもしやってくれるならお願いしたいと言われ、僕で良かったら...みたいな感じで買い取ることになったんです」

介護に強く興味があったわけではなかったそうですが、「縁を感じて自分に声をかけてくださったんだろうなと思って、そのときはあまり深く考えずにとりあえず引き受けることにしました」と話します。

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会社を買い取り、代表に。周りの人たちの支えがあったからこそできたと実感

会社や建物を買い取るにあたり、一昨年の4月から話を進め、前オーナーと一緒に事業形態をまず変えるところから始めたそう。11月には会社を退職し、12月からは自ら介護の現場に入って仕事を覚え始めます。

「これまでは下宿みたいな感じの賃貸住宅で、介護保険などが使えない施設だったので、きちんと認定を受けられる施設にしようと考え、訪問介護の事業所も作りました。周りの方たちが力を貸してくださったおかげでなんとかスタートできましたが、皆さんのサポートがなかったら僕一人で立ち上げるのは難しかったと思います」

そして、昨年春から髙島さんが代表となり会社がリスタート。前職で一緒だった介護職経験のある同僚2人が、立ち上げ時に入ってくれたのも髙島さんにとっては大きかったそう。

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「ちょうど2人も会社を辞めるというタイミングで、僕がこういうことを始めると話したら、一緒にやってくれると言ってくれて...。僕は介護職がまったく初めてで何も分からなかったので、彼らがいてくれて本当に助かりました。今も2人には助けてもらっています」

さらに、前職の営業先で知り合ったベテラン介護士さんにもずっと声をかけていたところ、役職を手放して髙島さんの会社へ来てくれることに。

「僕自身は全然しっかりしていないし、この通り社長に見えないじゃないですか(笑)。でも、本当に周りの人たちが支えてくれるというか、しっかりした人が集まってくれるので、本当にありがたいです」

髙島さんのこのキャラクターに惹かれて、皆さん集まってくるのだろうなと思いますが、「いや、縁ですよね、ご縁。縁と運ですよ」と髙島さん。

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まずは職員の働く環境や待遇の改善から。そして、前を向いて進むだけ!

「僕自身は介護業界初心者だし、介護に対して、こうありたいとか、こうあるべきという理念は持っていません。むしろ、僕よりももっと強い想いを持って介護に長く携わってきた職員がいるので、彼らの想いを大事にしたいと思っています。ただ、組織として、施設運営にはチームワークが何より大切だと考えています。だから、職員に対しての想いは持っています。とにかく職員が楽しく、気持ちよく働けることを第一に考えています。職員がそうやって働いていれば、おのずと仕事の質の高さも上がると思うし、結果的に入居者さんにもいいサービスが提供できると思うんですよ」

髙島さんは会社を立ち上げた際、職員の待遇、特に給与面を良くしたいと思ったそう。頑張っている人にはきちんと還元できる会社にしたいと考えたと言います。

「ご縁があってこの会社をスタートさせることになったんですけど、そのときに職員の待遇をよくすること、これだけは譲れないと思ったんですよね。前職でいろいろな施設を回っていて、介護職って給料が低いとか待遇が良くないとか聞いていて、本当にそんなに給料が出せないのかなって思っていたんです。会社をはじめるとき、そこを自分の目で確かめたいというのもありました。実際、うちはどこの事業所よりも給与が高いと思います」

hana_08.jpgとにかく職員が楽しく、気持ちよく働けるように努めている髙島さん。それが定着率の良さに繋がっています。

これを可能にしたのは、立ち上げ時にサポートしてくれた周りの人たちの意見やコンサル会社からのアドバイスなどもあったからだったと話し、「僕の場合は、始める前から情報やアドバイスをもらっていて、アドバンテージがあったので、給与を高めに設定することができたのかもしれません」と続けます。

職場のチームワークが大事と考えている髙島さんは、職員採用の面接にはその日いる職員も同席させるようにしています。そして、職員からもそれぞれ聞きたいことを質問してもらっているそう。

「一緒に仕事をすることになる現場の職員がその人と仕事をしたいと思うかが大事。僕が一人で勝手に面接して採用しても、現場の職員と合わなければチームワークは乱れてしまいます。どんなにいいチームでも、たった一人、合わない人が入ったことでチームが崩れてしまうこともあるので、まずはチームを壊さないことが大事だと僕は考えています」

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現場に出て夜勤もこなし、経営者でありながら、まさにチームの一員でもある髙島さん自身はどういう人と働きたいかを尋ねると、「僕は元気よく大きな声で挨拶ができて、素直な人であればいいです。間違ったときに間違いを素直に認められる人であればいいかな」と話し、「でもこれはあくまで僕の意見だから、そういう人が採用になるかは分かりません」と言います。そう話すものの、実際に仕事をしている職員の皆さんの挨拶は気持ちのいいものでした。

施設内の食堂に入ったときに明るい印象を受けたのは、窓が多いといった物理的なことだけでなく、職員の皆さんが明るいからなのだと納得。入居者の方たちと接している様子も楽しげで、眉間にしわを寄せている人は一人もいません。

これからのことやビジョンを髙島さんに尋ねると、「今は入居者の方が20名。職員が増えたら、入居者も増やそうと思っていますが、決して職員に無理がかかることはしようと思っていません。あと、介護の人材育成や教育をやってみたいというスタッフがいるので、時期がきたら新たにやってみてもいいかなと思っています」と話します。「いずれにしても、まずはここをもっとしっかり回していくことが先決かな。そこから、みんなの待遇をさらによりよくしていくための事業展開を考えていきます」と続けます。

hana_11.jpg「職員に絶対無理はさせない!」と、今もなお、現場で活躍する髙島さん。

髙島さんの話の中でよく出てくる「ご縁」という言葉。

「職員も入居者さんも、ご縁がある人たちにはやっぱりみんな幸せになってほしいですよね!それがすべての根幹だと思います。うちの職員もみんなそんな風に思っているから、優しい人が多いのかもしれませんね」と最後に話してくれました。

過去のことはすぐ忘れてしまうと笑う髙島さん(今回も学生のころのことを思い出すのにひと苦労)、社長が常に先を見ているからこそ、こんなに前向きで明るい職場なのだなと感じました。

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有限会社フラワー 有料老人ホーム 華
住所

北海道上川郡東川町北町7丁目5-16

電話

0166-82-5606

URL

http://www15.plala.or.jp/taisetu-hana/index.html

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ご縁のある人に幸せを願う超前向きな経営者「有料老人ホーム華」

この記事は2025年1月29日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。