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このまちのあの企業、あの製品
池田町

人の思いに寄り添った、十勝に似合う家づくり。(株)赤坂建設20240729

人の思いに寄り添った、十勝に似合う家づくり。(株)赤坂建設

青空広がる十勝晴れのある日、くらしごと取材班は北海道十勝平野の東側に位置する池田町を訪れました。今回取材させていただいたのは、池田町に本社を構える「赤坂建設」。「十勝に似合う家づくり」をモットーに掲げている赤坂建設は、長く培ってきた技術と経験を駆使し、自然豊かな十勝の風土に調和する家を生み出し続けています。自然豊かな地域に調和する家づくりを追求する赤坂建設の取り組みや、社員一人ひとりの家づくりへの思いについて、お話を伺いました。取材に答えてくださったのは赤坂建設社長の赤坂正さんと、帯広事務所の所長である高山辰也さん、新入社員で住宅業務部の川口里音さん。池田町役場地域振興課地域振興係の中山陽平さんにも同席していただきました。

112年の歴史、ツーバイフォー工法の先駆者

赤坂建設は、大正元年に創業。112年の歴史を持つ老舗中の老舗です。戦時中もコンクリート型枠製品や学校用の椅子などを製造し、生き残ってきたのだそう。住宅・店舗・病院など、木造の建築物を主につくってきました。
お話をしてくださった赤坂正社長は、現在6代目。初代の赤坂貞蔵さんは福島県出身で、北海道に入植してきた当時は、千歳市の南東に位置する早来町の工場に勤めていました。カシワの樹皮から皮なめしなどに使うタンニンを採取する製渋工場の大工として働いていたのだそう。その後池田町に工場を新設し移り住んで今に至ります。

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ところで皆さんは、「ツーバイフォー工法」という言葉をご存じでしょうか。ツーバイフォー工法とは、2×4インチの木材を主に用いた住宅の建て方で、「枠組み壁工法」とも呼ばれます。それに対して「在来工法」は柱と梁の組み合わせで建てられる、昔ながらの建て方です。赤坂社長の父である5代目の芳雄さんは、道東十勝においてツーバイフォー工法住宅を初めて広めたパイオニアなのだそう。

「ツーバイフォー工法は十勝では特に多く、6〜7割くらいのシェアがあります。全国でもトップレベルでしょう。うちでツーバイフォー工法を取り入れて今年で48周年で、約半世紀になるんですよ。父はツーバイフォー協会の初代の会長になって、十勝全体を盛り上げていこうと尽力しました」

笑顔で誇らしげに語る赤坂社長。今では世界的にもツーバイフォー工法が主流となっているのだそう。しかしなぜツーバイフォー工法が十勝で広まっていったのでしょうか。

akasakakensetsu04.jpg赤坂建設代表取締役社長の赤坂正さん

「ふたつの要素が考えられます。ひとつは、十勝は特に地震が多いことです。ツーバイフォー工法は『六面体構造』で地震に強く、被害が少なく済みます。阪神淡路大震災でも、ツーバイフォー工法の建物は被害が少なかったそうです。もうひとつは、十勝の寒暖差が激しいことです。ツーバイフォー工法は気密性が高く、そのため優れた断熱性を備えています。夏は涼しく冬は暖かい家ということです」

赤坂建設がツーバイフォー工法を用いるまでは、道東にそのような建物はありませんでしたが、1976年(昭和51年)の赤坂建設の道東第一号の建設から一気に広まりました。十勝の気候風土にツーバイフォー工法が合ったのだ、と赤坂社長は語ります。

住み良くて頑丈で安心な家

住宅にもトレンドはあるのでしょうか。また、大きな買い物になるので時代や景気にも左右されそうです。そんな中、ポリシーなどもあるのでしょうか。赤坂社長はこう話します。

「まずポリシーですが、父の代からお客様が困ったときに、新しいお客様より古いお客様のほうにまず駆けつけろ、という教えがあります。アフターをしっかりしましょうと。ですから、なにがあっても早めの対応を心掛けています。また一方で、新しい技術を採用しながら、暖かい住宅や耐久性など、ツーバイフォー工法を基本としつつ進化しながらやっていこうと思っています」

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「トレンドは、災害に備えた家づくりですね。気候変動が大きくなってきている昨今、災害対策などが心配だという声を多く聞きます。私は防災士の資格も取りました。赤坂建設では家の中に電気を取り込む開閉器を住宅に標準化してつけていて、災害時でも電気を供給できるようにしています。ハイブリッド車やポータブル発電機から電源を家の方にまわすことができるんです。十勝は特に冬場はマイナス30度近くになるので、真冬にボイラーがないと危険です。命を守る住宅、在宅避難ができる家というものに力を入れていて、そこもうちのセールスポイントのひとつです」

正月に起きた石川県の地震でも、在宅避難というキーワードをよく耳にしました。それに早くから対応していたというところも、赤坂建設の特長のひとつと言えます。さらに赤坂社長は続けます。

「災害が激甚化してきています。十勝も何度も大きい地震に見舞われていて、そういった経験も大きいですね。この『外部電源接続開閉器』については防災の専門家の方も勧めてくれたり、同業者や海外から問い合わせがきたりもします」

赤坂社長の自宅にもついているので、2018年の大地震で停電(ブラックアウト)したときも「周りが真っ暗な中でうちだけが明るかった」と言います。その後周りから問い合わせが相次ぎ、メディアで紹介されたことから、十勝管内で50件以上のお宅が開閉器をつけているのだそう。

お客様の不安を受け止めることから

続いて、帯広事務所の所長である高山さんに、お仕事内容についてお話を伺いました。赤坂建設に勤務して10年という高山さんは、赤坂建設に転職する前はハウスメーカーやホームビルダーにて営業職や管理職として勤務。ファイナンシャルプランナーや整理収納アドバイザーという肩書もお持ちで、以前はお客様相談室の室長でもありました。とても優しそうで穏やかな雰囲気の高山さんですが、日々お仕事をするうえで気をつけていることや大事にしていることはどんなことなのでしょうか。

akasakakensetsu06.jpg赤坂建設帯広事務所所長の高山辰也さん

「まず、しっかりとお客様の相談を受けることから始めるようにしています。家づくりは、お客様にとってわからないことや不安なことがたくさんあります。まずその部分を解消していくことから始めます」

お客様の疑問一つひとつにじっくり答えるようにしていると、にこやかに語る高山さん。さらにこう話します。

「大事にしているのは、家づくりの順番なんですよ。家を建てるにあたり、何からお話を始めていくか、ということです。不安を聞き、相談に乗るところから始めます。どんな家が良いかなど家そのもののことももちろん大事ですが、かかる費用のことを心配されるお客様も多くいらっしゃいます。莫大な金額の買い物をしてこれから何十年も払い続けていくので、不安がないわけがありません。費用がわからないままお話が進んで行って、いつのまにか金額が膨れ上がってしまった......なんてことがないように。わからないことをわかるようにしてさしあげる、それが私の仕事だと思っています」

お客様が安心できる家づくりをしていきたい、と語る高山さん。柔和な笑顔を浮かべながらも力強くお話しする姿がたいへん頼もしく見えました。

「昨年赤坂建設で家を建てました!」と話してくれたのは、池田町役場の中山さん。なぜ赤坂建設を選んだのか、どんな家を希望したのかをお聞きしました。

akasakakensetsu07.jpg池田町役場地域振興課地域振興係の中山陽平さん

「ほかのハウスメーカーさんはノルマもあると思うので積極的に営業にくるんですが、赤坂建設はそういうのがまったくないんです。本当に親身になってくれたのが好印象でした。家を建てるにあたっては、とにかく暖かい家ということを希望しました。妻が東京生まれ東京育ちだから北海道の冬が耐えられるかどうか心配、と相談したところ、床暖房を勧められました。これが最高なんです!非常に暖かいです」

周りの人からどこで家を建てたのかを聞かれた時、赤坂建設だと答えると「じゃあこれからも安心だね」と言われるのだそう。建てた後も安心して住むことができると中山さんはニコニコ。赤坂建設への信頼感が伺えました。

一番大切なのは家を建ててくれたお客様

別のハウスメーカーから転職して赤坂建設にきたという高山さんですが、なぜ赤坂建設を選んだのでしょう。

「自分のしたい家づくりができる会社だと思ったからです。お客様に寄り添った仕事ができると感じました。『お客様のため』とどこの会社も言いますが、なかなかできないのが現状です。たくさんの社員や職人を抱えているため、今月中にこの家づくりを完了させなければいけない等、いろいろ限られることや求められることも生じます。もっと時間があったらお客様にこういうことを考えさせてあげられるのに......とずっと思ってきました。それがこの会社に入って叶ったんです。時間をかけると比例してお客様の満足度も高くなります。とても嬉しい仕事をさせてもらっています」

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「一番大事なのは、私たちの会社で過去に家を建ててくださったお客様。二番目は今建ててくださっているお客様。三番目がこれから家を建ててくださるお客様だという方針があります。これはなかなかできることではなく、ともすれば逆になってしまいがちです。でも、それを実践してきた結果が、この会社が100年以上続いたことにつながるのかもしれませんね」

建築の仕事は、楽しい仕事

新入社員の川口さんにもお話を伺いました。2024年5月に入社したばかりという川口さん。まだ勤務して数日だと言いますが、赤坂社長とも教育係の高山さんともすっかり打ち解けている様子。明るく朗らかな雰囲気の川口さん、数ある求人の中からなぜ赤坂建設を選んだのでしょうか。

akasakakensetsu09.jpg新入社員の川口里音さん

「私は何度か転職をしているんです。転職するうえで大事にしていることがあって、それは自分がやったことのないことにチャレンジしたいという思いです。高校卒業後、最初は道内の大手お菓子メーカーに就職しました。車が好きなのでディーラーで働いたこともあります。その時には事務職など、働く人をサポートする仕事を経験しました。今までの自分から進んで積極的にお客様と話すという経験から、お客様に寄り添い深く関わるお仕事がしたいと思って...。そんなときに赤坂建設の募集と出会いました」

求人広告の写真から優しそうな雰囲気を感じ、それも応募への一歩になったという川口さん。実際に入ってみても優しい人ばかりだと笑います。
そんな川口さんにこれから期待することはどのようなことなのでしょうか。今後取り組んでもらいたいことなどをお聞きしました。

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「いろんなことに恐れずチャレンジしてもらいたいですね。川口さんはやる気に満ちあふれているので、とても期待しています。インテリアコーディネーターの資格を取りたいということで、関係の部署と連携してその勉強も進めてもらっています。また、業者が集まる道内研修や講習などに参加してもらいながら、興味を持ったことを伸ばして活躍してもらえればと思っています。じっくりと成長していって欲しいですね」

と期待を込めた眼差しで語るのは赤坂社長。続けて高山さんはこう話します。

「社会人経験の長い中で、新人を育ててきたことや人を教育してきたことは多くありますが、その中でも川口さんはスポンジみたいな方。普通だったら1カ月かかるところを、2〜3日で覚えてしまうんですよ。みんな驚いています。そしてこれから仕事をしていく中で、建築という仕事というものを好きになってもらいたいと願っています。建築の仕事って、楽しいことがたくさんあるんですよ。楽しいことをたくさん経験してもらって、好きなことを仕事にしていってもらいたい。そしたら絶対に楽しく仕事ができると思うんです」

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「楽しいことがあれば、たまに訪れる辛いことや苦しいことも乗り越えられる」と頷くのは役場の中山さん。「川口さんは明るく前向きな方です。焦らずじっくりと赤坂建設らしさを身につけていってもらえればいいと思います」と続けます。その言葉に川口さんは「はい!」と元気いっぱいの笑顔。こちらもつられて笑顔になります。

移住支援と地域産業の活性

赤坂建設では、移住者への支援も行っています。池田町に移り住む方への諸々のサポートをはじめ、池田町の移住フェアブースに赤坂社長が同席することもしばしば。また、移住してきた方の引っ越しを手伝ったこともあるのだそう。なぜ赤坂社長はそこまでの活動をするのか、気になって聞いてみました。

akasakakensetsu11.JPG2024年6月に行われた移住フェアでの一枚

「移住の話には、住宅の話がつきものです。そして住宅の建設は、地域の重要な産業になります。池田町には建設関係の方々でつくった移住促進協議会というのがあります。板金・塗装・左官屋さんなどが中心になって活動しています。地域の産業を活性させたい思いもありますし、自分の生まれ育った池田町に住みたいと思ってくれる方の力になりたいという思いもありますね」

赤坂社長にとって池田町とは、どんなまちなのでしょう。

「池田町は医療介護体制や子育て支援も充実しています。高速道路が近いし、空港も近いし、JRの特急も停まります。来た人はみんな意外と便利だと言うまちです。とてもあたたかいまちなんです。最近、特急に乗っているときうっかり寝入ってしまったことがあったんです。するといつも降りる駅を車掌さんが覚えていてくれて、起こしてくれました(笑)。大きなまちではこういうことはないかもしれません。小さなコミュニティだからこその温かさを感じます。ありがたいなと思いますよ」

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赤坂建設での取材を終え、帰路につきながら、何だかとても暖かい気持ちになりました。家を建てたいと考えている方への思い、このまちに住みたいと思っている方への思い。どちらも人の気持ちに寄り添った、大きな優しさに包まれているような感じがします。小さなまちの小さな会社にある大きな優しさ。とても素敵なものを見せていただいた取材でした。

株式会社赤坂建設
株式会社赤坂建設
住所

北海道中川郡池田町旭町2丁目5番地4

電話

015-572-2290

URL

https://aksk.co.jp/

帯広事務所…北海道帯広市東2条南27丁目2-2

TEL:0155-24-2290

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人の思いに寄り添った、十勝に似合う家づくり。(株)赤坂建設

この記事は2024年5月15日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。