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このまちのあの企業、あの製品
池田町

町に愛されるワインツーリズムの拠点。(一社)いけだワイン城20231026

町に愛されるワインツーリズムの拠点。(一社)いけだワイン城

北海道の東部に広がる十勝平野。日本国内では関東平野・石狩平野に次いで、3番目に広い平野と言われています。その十勝平野の東側に広がるのが池田町です。池田町の気候は、寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候に属します。その特徴的な気候を活かして行われているのがブドウ栽培です。池田町は昭和30年代から町営でブドウ栽培・ワイン醸造を行っており、現在では「ワインの町」として有名です。

その池田町のランドマークの一つになっているのが、こちらのワイン城。

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もともとは地方公営企業(地方公共団体が経営する企業)の「池田町ブドウ・ブドウ酒研究所」の、醸造所として1974年に誕生しました。ヨーロッパの古城風の建物は、この時からワイン城と呼ばれ、観光客が訪れる人気スポットとなりました。2003年からは、ワイン城を本格的な観光施設とするため、2年がかりの大規模な工事が行われ、現在では、レストランやショッピングエリア、見学コースなども整備された、道東を代表する観光地の一つとなっています。

今回お話を伺ったのは、2020年からこちらのワイン城を運営している「一般社団法人いけだワイン城」の守内緑里さんと玉置るみさん。多くのお客様が訪れるワイン城での日々の仕事、そして池田町での暮らしについてお聞きしました。

観光の方だけじゃない。町の方にも愛されるランドマーク

取材班がお邪魔したのは9月の上旬。平日の午前中ではありましたが、個人のお客様や団体のお客様がひっきりなしに訪れておりました。そんな中、お仕事の合間を縫って、快く対応していただいた守内緑里さん。守内さんは事業本部のアシスタントマネージャーとして、施設全体の運営に関わるお仕事全般を担当しています。ショップの売り上げやスタッフの管理の他、ショッピングエリアの管理や接客、十勝ワインの歴史やワインの製造方法の説明のほか、本格的なテイスティングまで楽しむことができるワイナリーツアーのご案内まで幅広く対応しています。

最近では商品開発を担当し、「薬膳ホットワイン」というキットを販売。令和5年度「北海道新技術・新製品開発賞」食品部門奨励賞を受賞しました。

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小柄ながらもきびきびとお仕事に対応していく守内さん。弾ける笑顔が印象的です。もともとは釧路生まれだそうですが出身は帯広市。帯広南商業高校を卒業して、帯広市川西農業協同組合に事務職として就職。8年ほど勤務されました。

「結婚を機に川西農協を退職して、夫の故郷の池田町に移り住みました。そのタイミングで新しい仕事を探していて、たまたまワイン城の求人に出会ったんです。ちょうど運営体制が変わる頃でしたね。2020年4月から採用で、2年目までは経理事務員として働いていました」

現在ワイン城は、正社員とアルバイトスタッフを合わせて30名程度で運営しているとのこと。池田町在住のスタッフが多いようですが、近隣の帯広市や浦幌町から通っている方もいるそうです。スタッフの年齢層は幅広く、20代から上は70代の方も活躍しています。

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現在のお客様の層はどんな感じなんでしょうか?という質問を投げかけてみました。

「やはり観光でいらっしゃる方が多いですね。コロナ禍の影響もあり、一旦はいらっしゃるお客様の数も減りましたが、最近ではまた海外のお客様もかなりお越しいただいています。香港や台湾、マレーシアの方。団体ツアーでいらっしゃる方が多いですね。欧米の方は個人旅行でいらっしゃる方が多いです。地元のお客様はそれほど多い訳ではではないんですが、それでもお中元やお歳暮の時期には、ギフトセットの地方発送などでよくご利用いただいてます」

なるほど。地元の方にも親しまれているんですね。さすが池田町のランドマーク!

「年令層の高い町民の方には『自分たちのワイン城』という意識があるようです。約50年前から町が主導して進めてきた事業ですからね。でも、若い方にはそこまでの強い思いは無いのかなって感じます」

もともと池田町のブドウ栽培・ワイン製造事業は、自然災害による凶作に苦しんでいた状況からの脱却を目指して始まりました。池田町内の野山に自生していた、寒さに強い山ブドウに目を付け、町内の農村青年たちが昭和35年にブドウ愛好会を結成。ゼロからのブドウ栽培を、町民と町が一つになって取り組んできました。

それから時は経ち、ワイン城は完成してから約50年。ワイン事業に関係する役場職員やテナントとして入居している事業者を除いては、町民にとっては少し縁遠いものになってしまっていたようです。

「ワイン城は2020年に運営が変わった際に、『町民のワイン城への回帰』を基本的な方針にしました。今後は地元の方とのワークショップを開催したり、地域の方にも楽しんでいただけるような運営を目指していきたいですね。町民の方と一緒になって、池田町の観光を盛り上げていければいいなって思います」

地元の方と一緒に創りあげるワイン城。地元の方も観光でいらっしゃる方も、みんなが楽しめるワイン城。守内さんの中にはそんな将来像があるようです。

もっともっとワインを勉強していきたい

ワイン城の正面入り口を背にすると、そこには広大なブドウ畑と一面に広がる十勝平野を見渡すことができます。取材でお邪魔したくらしごと取材班の私は、実は何度もここを訪れているんですが、ここからの景色は季節毎に様々な姿を見せてくれます。

守内さんはどの季節の景色が好きですか?

「私は冬から春にかけての景色が好きですね。ここから見える雪景色は本当に綺麗なんです。冠雪した日高山脈も見えて。冬は特に空気が澄んでいるので、遠くまで本当にきれいに見えます。冬は観光的には閑散期になるんですが、冬の景色もぜひ見に来てほしいなって思います」

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最近の休日はマネジメントの勉強や、十勝ワインの他にも、世界各国の様々なワインの勉強をしているという守内さん。実はお酒は飲めないそうで、ワインについての知識も、こちらで働くまではほとんどなかったとのこと。ですが、ここにいらっしゃるお客様にしっかりとご説明ができるようにと、日々研鑽を積まれているそうです。

道東観光を代表する施設として、また町の皆さんの自慢の施設として、今後もワイン城を牽引していく守内さんの姿が目に浮かびます。

お客様とのやり取りが楽しい

続いてお話を伺ったのは、物販事業部のWeb担当として活躍されている玉置るみさん。玉置さんも守内さんと同じく、2020年の4月入社。生まれも育ちも池田町で、高校も池田高校卒業という生粋の池田っ子です。高校を卒業してからは、帯広市内で薬局事務や薬品会社の営業事務などを経験。その後コープさっぽろでのレジの仕事などを経験して、3年前から地元のワイン城で勤めはじめました。

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「今は、オンラインショップの管理や対応などを担当してます。その他にも、十勝ワインは池田町のふるさと納税の返礼品にもなっているので、そちらの対応も担当しています。全国からひっきりなしに注文が入るので、なかなか大変ですね。インフォメーションカウンターに座って仕事してるので、お客様の接客やレジ業務も対応しています」

本来は物販事業部のWeb担当という、どちらかというと裏方的なお仕事がメインになるようですが、玉置さんの屈託のない笑顔は、きっとお客様を和ませているに違いありません。

「以前、札幌からいらっしゃったお客様に対応させていただいたんです。その後もずっと電話注文をいただいてるんですが、いつも私を指名してくれるんですよ。玉置さんいるかい?って。そのお客様は欲しい商品が決まっているわけではなくて、『プレゼントを考えてるんだけど何がいいかな?』って相談してくれるんです。名前を覚えていただいて、声をかけてもらえるっていうのはとっても嬉しいですね」

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お客様との関係がすごく良いですね!信頼されているのがよく分かります。玉置さんの柔らかな雰囲気は、お客様だけでなく、一緒に働く方にもしっかり伝わっているようで、みんな家族や親戚のように接してくれるとのこと。

町の方とみんなでワイン城をつくっていきたい

地域の方と一緒にワイン城をつくりあげていくという思いは、企画や商品にも現れています。玉置さんはこの日、出身校である池田高校で打合せをしてきたとのことでしたが、どういった内容だったのでしょうか?

「昨年度から、福祉科目の授業を選択している生徒さんが、授業内で池田町の白樺を使った雑貨などの商品開発をしているんです。選ばれた商品はワイン城で期間限定で販売します。私は販売店目線で高校生にアドバイスをさせていただいてます。こういった地域の方と関わる取り組みは、今後もずっと続けていきたいですね」

この他にも、池田高校の生徒さんがガイド役になってワイン城周辺をご案内する取り組みがあったりと、町民とともに歩むワイン城はしっかりと根付いてきているようです。

「ここの職場はいろんな方との出会いもあるし、働く仲間は家族みたいだし、とってもいいところだなって思います。加えてワインが好きな方だったら最高ですよね。製造元が隣にあるので、作り手側のお話も聞けますし。ちなみに私が好きなのは、ブランデー仕込みの梅酒とアイスワインですね。とっても甘くて、デザート感覚で飲めます」

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「海外のお客様も多いので、外国語を使って仕事したい方は最適だと思います。ちなみに私、独学なんですけど韓国語の勉強にはまってます。といってもまだ簡単な挨拶とか、ちょっと文字が読めるくらいなんですが。ゆくゆくは韓国のお客様とちょっと話せたらいいですね」

取材の間も笑顔を絶やさず、和やかな雰囲気で対応してくれた玉置さん。一度会ったお客様が、玉置さんのファンになってしまうのもうなずけます。

今は事務の仕事をしたり販売の仕事もしたりと、マルチに活躍する玉置さんですが、もう少し人員が増えてきたら、Web販売の仕事にもっと集中していきたいと考えているそうです。新しい商品のセットを考えたり、季節毎に商品のご案内をしたり、まだまだやりたいことはたくさんあるとのこと。

地元池田町で、地域のためにいきいきと働く玉置さん。ワイン城の景色で一番好きなのは、春から夏にかけての緑の季節。一面のブドウ畑が青々と茂る景色が好きと語ってくれました。仕事もプライベートも楽しそうに日々を過ごすその姿が、とても印象的な取材でした。

時代と共に進化するワイン城

1974年の誕生から、まもなく50年を迎えるワイン城。2020年に新たな運営体制になり、北海道のワインツーリズム拠点の一つとして進化を続けています。従来はワインやブランデーの製造を目的としていましたが、今では、池田町のワイン事業の歴史や町民の思いを踏まえたワイン文化を発信する施設に生まれ変わっています。それぞれの時代でそれぞれの役割を担い、この先も町民の誇りとして輝き続ける姿が、とても堂々と見えます。

この度取材させていただいた守内さんと玉置さん。お二方とも十勝の出身で池田町に住まい、この地の魅力を外に向けて日々発信しています。お話を伺いながら、「池田愛」を見せていただいたような気持ちになりました。

先程も少し記しましたが、くらしごと取材班の私も、ワイン城は個人的に何度も訪れるほど好きな場所です。私が一番好きな景色は、ワイン城の屋上にある展望広場から見た夕日です。春夏秋冬どの時期でもそれは素晴らしく、一見の価値ありです。皆さんもぜひ訪れてみてください。

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一般社団法人いけだワイン城
一般社団法人いけだワイン城
住所

北海道中川郡池田町字清見83番地4

電話

015-578-7850

URL

https://ikeda-wj.org/


町に愛されるワインツーリズムの拠点。(一社)いけだワイン城

この記事は2023年9月5日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。