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函館市

回転寿司「根室花まる」の人気の理由は、働く人たちの心意気!20231019

回転寿司「根室花まる」の人気の理由は、働く人たちの心意気!

「回る寿司とは思えないレベル」。道外から来た友人知人を回転寿司の「根室花まる」へ連れて行くと、必ずと言っていいほど皆さんそう言います。そして、店を訪れるたび、とにかく元気でさわやかな接客に活力をもらうことができます。今回の主人公は、この「根室花まる」キラリス函館店に勤務する一藤宗行(ひとふじとしゆき)さんです。

地域の人たちにも愛される、行列ができる根室発の回転寿司店

札幌、道東、道南、そして東京にも店舗を構える「根室花まる」。平成6年に清水鉄志社長が根室で立ち上げ、その後札幌に進出。ネタの良さはもちろんのこと、斬新な発想と気持ちの良い接客で着実にファンを獲得し、店舗数も増えていきました。創業時から変わらないのは、根室の新鮮な魚介を中心とした「おいしい寿司」と、スタッフの皆さんの元気の良さ。握り場にいる職人さんたちも、ホールのスタッフの人たちも、とにかく元気いっぱいです。

hanamaru_kirarisu00018.jpg店内のあちこちで笑顔がはじけます

一藤さんが勤務するキラリス函館店ももちろんそう。6年前にオープンして以来、今も変わらず元気いっぱい、毎日活気にあふれています。道南エリアで、現在「根室花まる」の店舗はここだけということもあり、地元・函館の人はもちろん、近隣町村からもたくさんのお客さんがやってきます。また、駅前という立地もあり、観光客も多く訪れます。

「店名に根室と付きながら、同じ漁師町の函館に進出した形になるわけですが、僕たちとしては地元に根差した、地域の方たちに愛される『函館の根室花まる』を目指しています」

オープンした頃から、特に週末になるとお客さんたちによる長蛇の列ができるのが当たり前のキラリス函館店。「夜の8時過ぎになっても80人近いお客さまたちが並んでくださっていたことがあり...。とにかく席が空いたら、1秒でも早くテーブルを片付けて、待ってくださっているお客さまをご案内しよう!とスタッフ全員が一丸となったこともありました」と話します。コロナが明け、最近は、国内はもちろん、海外からの観光客も増えつつあり、ますます賑やかになりそうな予感です。

hanamaru_kirarisu00008.jpgランチタイムやディナータイム以外も、お客様は途切れません

コロナを機に転職。独自の取り組みに面白さを感じて入社

さて、一藤さんはどのような経緯で「根室花まる」に入社されたのでしょうか?

「僕は秋田で生まれ、すぐに函館へ。高校卒業までこの函館で過ごしました。そのあと、札幌、東京、また札幌と移動して、3年前から故郷の函館に戻ってきました」

一藤さんが飲食業に関わるようになったのは、札幌へ出てきて間もなく。アルバイトを探していた際、「1人暮らしだったので、まかない付きのところなら、とりあえずご飯は食べられると思って(笑)」と、串揚げの店でホールスタッフとして働きはじめます。もともと自分で料理をするのが好きだったという一藤さん、キッチンの人手が足りないときは調理を手伝うこともあり、そのうち包丁も持たせてもらえるように。「まさか、包丁を握らせてもらえるようになるとは思わなかったですね」と振り返ります。

その後、その店が閉店することになり、一藤さんは和食系の居酒屋に料理人として就職。「正社員として入社し、ここで調理師免許も取得させてもらいました」。大衆居酒屋ではなく、本格的な和食を提供する店だったこともあり、和食の基礎はここでしっかり学んだそう。

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東京にも店舗を構える会社で、25歳のころ、転勤で東京へ。「北海道が好きだったので離れたくないという気持ちもありつつ、若いうちに一度くらい東京で働いてみるのもいいかなという感じでした」。8年ほど東京で腕を振るい、再び札幌へ。ところがしばらくすると蔓延しはじめたコロナがきっかけで会社が倒産してしまいます。

「次の就職先を探していた際、根室花まるで募集しているのを知り、挑戦してみようと思いました。有名な店ですし、客として食事に行った際、店の様子などもきちんとしているのは分かっていましたし、寿司の世界にも興味があったので。そして、僕の中で『はなまる』という会社は、ほかにはない取り組みをするなど、飲食業界では少し異端児的な会社という印象があって、それもすごく面白そうだなと」

未経験でも確実に成長ができる、徹底した研修カリキュラム

もともと料理の世界で仕事をしてきている一藤さん、外食すると、その店の料理人やスタッフのレベル、仕事内容もだいたい分かると言います。もちろん、大変さや苦労の部分も理解できます。

hanamaru_kirarisu00042.jpg皆さんの無駄のないキビキビした動きが、見ている方も気持ち良いです

「だから、根室花まるの仕事がどれくらい大変かというのは分かっていた上で、入社をしました。あえて挑戦というか、やってみたい気持ちが強かったんで。そして、よく分かっていて入社したのですが、入ってみたら、意外とできないことが多くて落ち込んだし、悔しいと思うことも多々ありました」

「根室花まる」を運営する「はなまる」では、札幌・西野と東京の2カ所に「花咲大学」という全社員向けの教育機関を設けています。新卒・中途の新入社員の研修はもちろん、階層別の研修カリキュラムなどが用意されています。新入社員は、まず、会社が大事にしている想いやコンセプトを学んだり、フードビジネスの基礎を座学で習得したりするほか、実技実習、市場研修など、幅広く学ぶことができます。その内容は、まるで調理の専門学校のようです。

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「料理人の世界は、たたき上げの厳しいイメージがあるかと思いますが、はなまるはその辺りが違っていて、未経験で入っても花咲大学でしっかり学ぶことができ、サポートも受けられます。人の成長が会社の成長にもつながるという考えで、人材育成にはとても力を入れていますね。僕も入社から3カ月は花咲大学へ参加していました。僕が学校で一番苦労したのは、握りの実技試験。手のひらの感覚だけでシャリを18~19gに分けるとか、本当に最初はできなくて(笑)。さすがに1回で合格するのはまず難しくて、家や店舗でたくさん練習しましたね」

一藤さんは入社の際、函館の実家の都合があり、できれば函館での勤務を希望しますと伝えていました。そのこともあり、入社から3カ月でキラリス函館店へ行くことが決まったため、西野の花咲大学に通ったのは3カ月だったそう。「そのあとは、函館店の店長にみっちり教えてもらって、さらに3カ月後、やっと握りの試験をパスできました」と振り返ります。一藤さんは和食経験があるので、魚の卸し方など、すでにできる部分はすぐにクリア。一人ひとりの成長に合わせて、課題やカリキュラムを提示してくれるのもありがたかったと話します。

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「おいしい!」を目の前で聞くことができる料理人としてのやりがい

一藤さんのだいたいの1日の流れは、朝出勤すると、調理器具の洗浄を行い、仕込みができる状態に準備。当日の仕込み表に合わせて、準備を始めます。その後、社員だけのミーティングがあり、次に全体朝礼。ミーティングでは、売上のことなど数字の話はもちろん、店のテーマについて話をし、個々の目標や課題についても話し合いをするそうです。ちなみに、函館キラリス店の10月からのテーマは「レーンコントロールとおもてなし」なのだそう。

「コロナを機に、レーン(寿司が回るターンテーブル)の上に寿司を流す回転寿司屋は減ったと言われていますが、僕らはレーンの上で自分たちの寿司を表現していきたいと考えています。流すタイミングとか、お客さまの動向を見ながら、ベストな状態で流して、楽しい雰囲気や目の前に流れてくるのを見てワクワクするような状況を作りたいと思っていて、これがはなまるには欠かせない『レーンコントロール』という考え方です」

_DSC8049.jpgホールスタッフさんと握りスタッフさんの連携も見事

朝礼が終わったら、お店がオープンします。オープン前から並んでいるお客様が多く、特に観光客の人たちは根室花まるの寿司や店に大きな期待を抱いて来店されることが多いそうです。

「並んでくださっているお客さまも、観光でいらした方も、皆さん楽しみにして来てくださっているんですよね。だから、テンション高めのお客さまたちには僕もテンション上げて対応させていただきたいと思いますし、とにかく期待には応えたいと思いますね」

「根室花まる」の客層は幅広く、小さな子ども連れのヤングファミリー、三世代家族、若いカップルもいれば、1人でつまみを食べながら飲んでいる中高年など、本当にさまざま。「回転寿司の魅力の一つは、この客層の広さかなと思っています。以前勤めていた和食居酒屋は、ビジネスマンや中高年が多く、ファミリー層はほとんどいなかったので、子どもたちがおいしそうに食べているのを見ると、こちらも幸せな気持ちになりますね。また、お客さまたちが、『おいしい!』『めっちゃうまい』と思わず大きな声で言ってしまう瞬間を目の前でダイレクトに見れるのも、回転寿司の店で働く喜びややりがいかもしれませんね」と話します。

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根室花まるで働きはじめてから、ついプライベートな時間でも「はいよっ」という声が出てしまうようになったと笑う一藤さん。「2つ欲しいときは、ダブル!って言っちゃうのも仕事のクセで...」と言います。とはいえ、仕事の話をする一藤さんはとにかく楽しそう。

こんな時代だからこそ、リアルなコミュニケーションができる接客を

これからやってみたいこと、取り組んでみたいことを伺うと、「今年のお盆に、独立した状態の立ち食いコーナーをオープンさせました。そこをもっと活用していきたいなと考えていて、握りを出すだけではなく、天ぷらを揚げる実演をするなど、待ってくださっているお客さまも退屈しないで済むような仕掛けを作り上げたいですね」と一藤さん。目の前にいるお客さんたちを喜ばせたいという気持ちが伝わってきます。

hanamaru_kirarisu00025.jpg一藤さんは取材中、「表現」という言葉を何度もおっしゃいました。ここにもお寿司を食べたくなる表現が。

最後に、根室花まるにはどういうタイプの人が向いていると思うかを尋ねると、「人として成長したいと考えている人かな。あとは、飲食業に携わる人としてのマインドや技術をしっかり身につけたいという人でしょうか。時間やお金のことを優先的に考えてしまうというタイプの人より、お客さまにいかに喜んでもらえるかを考えられる人のほうが向いているでしょうね」とのこと。

効率化や人件費削減、注文ミス防止などを目的とし、近年タッチパネルのオーダーを導入している飲食店が増えていますが、根室花まるにはタッチパネルがありません。「それは、社長の考えなんです。何でも機械化って言うけれど、サービス業として、お客さまと接する時間を少しでも大切にしたいよねと。だから設置していないのです」と一藤さん。あらゆるところでリアルなコミュニケーションが減っている時代だからこそ、あえてそこを大切にしているそうです。目の前にいるお客さまに喜んでもらいたいという想いが、すべての原動力になっているのだなと分かるとともに、社員の方たちにもその想いがしっかり伝わっているのがよく理解できました。

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来年には函館での2号店も五稜郭にオープンする予定。また、おいしくて、元気がもらえるスポットが道南に増えるのは楽しみです。

根室花まる キラリス函館店
根室花まる キラリス函館店
住所

函館市若松町20番1号 キラリス函館B1F

電話

0138-24-0870 

URL

https://www.sushi-hanamaru.com/

■営業時間

11:00~22:00(LO 21:30)


回転寿司「根室花まる」の人気の理由は、働く人たちの心意気!

この記事は2023年9月26日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。