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このまちのあの企業、あの製品
安平町

頼もしいタイヤのかかりつけ医。ミスタータイヤマン追分店20230125

頼もしいタイヤのかかりつけ医。ミスタータイヤマン追分店

農業機械から大型トラックまでパンク修理に駆け付けて40年

突然起こる車のパンクは困りもの。それが、仕事で使うリフトやトラクター、トラックであればなおのことです。タイヤのトラブルにすぐに駆け付けてくれる心強い味方が、安平町で創業40年の「ミスタータイヤマン追分店」。株式会社ブリヂストンのチェーン店で、地元では「追分タイヤ商会」として長年親しまれてきました。


「お客さんの仕事を止めちゃいけない」と、時間外でもパンクがあれば駆け付ける。農機のタイヤ劣化に備え、前もって新しいタイヤを手配しておく。「特殊なタイヤは取り寄せに日数がかかる分、その間に仕事ができなくて困ることのないように」という配慮が行き届いた、地元密着のお店なのです。

店長の佐藤玄一(さとう・けんいち)さんは、別会社の勤務を経て18年前に実家のタイヤ店を継ぎました。お客さんからの「ありがとう」「助かったわ」という感謝の言葉を何よりの励みに、父親である会長の佐藤辰敏さん、昨年に採用した若手社員2人と一層のサービス向上を図っています。

飛び込むパンク修理の依頼に迅速直行

mr.tire2.JPGこちらが佐藤さんです。


「遅れてすみません」と、急いだ様子でお店に入ってきたのは、ミスタータイヤマン追分店の店長、佐藤玄一さんです。朝、なじみのお客さんから、作業用リフトのタイヤがパンクしたと連絡があり現場へ急行。大きなリフト1台のタイヤ交換作業を済ませた後、お昼ごはんをかき込んできたところでした(こちらこそ、急がせてしまってすみません!)。

「毎日、こんな感じでドタバタです。パンク修理はいつも突然ですから、急に呼ばれることが多くて。決まった一日の流れはありませんね」と佐藤さん。

ピットスタッフで、お隣の千歳市から通う香川良太さんと、町内に住む水元渓也さんも出張作業に同行。お二人とも昨年の春に入社して1年近く、佐藤さんと、父親の辰敏さんの指導を受けながら毎日頑張っています。

mr.tire8.JPGこちらがお父様の辰敏さん

創業者の辰敏さんは、この道ひと筋のたたき上げ。千歳市にある親せきのタイヤショップで働いていた時に、メーカーのブリヂストンから独立を勧められ、いくつかの候補地から追分町(現在の安平町追分地区)を選びました。

お店を構えた1982年当時は、夕張などの炭鉱から追分を通って厚真町の火力発電所まで石炭を積んだダンプカーが大量に通行していたことに加えて、町内には砂利採掘のプラントが多く重機のタイヤ需要が見込まれたことから、追分町に決めたそうです。

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現在は、マイカーや飛び込みのドライバーといったお客さんもいますが、やはりメインに扱っているのは「働くクルマ」。佐藤さんは「このまちでタイヤを付けている車や重機を使う会社は、大抵うちのお客さんですね」と話します。辰敏さんのつながりから千歳市や夕張市のお客さんもいて、有名な競走馬の育成牧場も大切な顧客のひとつなのだとか。

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小さなタイヤから人間の背丈を超える巨大なタイヤまで、サイズはもちろん、さまざまな種類のタイヤにも対応。タイヤの交換、空気やチッソガスの充てん、点検など、タイヤまわりのことは何でもお任せできる「かかりつけ医」として信頼されているお店なのです。

タイヤのトラブルでお客さんの仕事を止めるな!

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最も多い仕事は、出張サービスカーでのパンク修理だとか。「今朝のお客さんの依頼でも『パンクしたので来てほしい』と言われて、すぐに現地に行って、新しいタイヤに替えました」

こう聞くと、至ってスムーズに交換できたようですが、そこには佐藤さんならではの配慮がありました。

「実は、以前に別の修理で行った時、リフトに危ないタイヤがあったので『そろそろ替えませんか』とお話ししていたんです。『また後日に』ということで見送りになりましたが、使っているのは特殊なタイヤで、パンクしても苫小牧のメーカーに在庫があるかどうか分からない。無ければ受注生産になるので、いつ入ってくるかも分からないんです。そうなればお客さんは困ってしまうので、前もって店にタイヤを取り寄せておきました」

mr.tire10.JPG大きなタイヤ運びもなんのその。

お客さんにそれを話すことなく、見込みだけでお店にタイヤをスタンバイさせておくとは...ちょっと、カッコよくないですか?そう話すと、「タイヤのトラブルがあると、その間は仕事ができなくなるわけです。お客さんの仕事を止めてしまわないように、そこはとても大事にしているところです」と、真顔できっぱり。佐藤店長、やはりカッコいい。

先日も朝5時半に電話があり、牛のエサをやる機械のタイヤがパンクしたという酪農家からの連絡を受けて直行したそうです。

「牛さんはお腹を空かせて待ってましたよ」と笑う佐藤さん。

「牛さんたちのヒーローですね!」と感嘆の声を上げる取材班。お客さんたち一人ひとりの顔が見えているからこそ、現場でどのように困っているかが分かる、まさに「タイヤのかかりつけ医」です。そして、それは会長から当たり前のように受け継がれてきたことは間違いありません。

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結婚を機に、仕事も家庭も大事にしたいと父親の店に入社

小学生のころから、お店でタイヤを転がして移動するお手伝いをしていたという佐藤さん。中学生、高校生の時は繁忙期に友人を誘って臨時のアルバイトもしていました。やはり、父親の辰敏さんからは、後継ぎとして期待されていたのではないでしょうか。


「そういう気持ちはあったんでしょうけど、実際に『後を継げ』とは言われませんでしたね」と佐藤さんは答えます。息子として後を継ぐかどうか悩みながらも、高校卒業後は自分のやりたい方向へと、札幌の専門学校に通って情報処理を学びました。しかし、佐藤さんが卒業したのはバブル時代の、まさにバブルが弾けた直後。1年上の先輩たちはすべて希望の会社に就職したにもかかわらず、佐藤さんの代は半分以下と厳しい状況でした。そこで職種にこだわらず、給料の高いところに狙いを定めて道路をつくる会社に入社。追分町内にあるプラントで、道路に使う合材の品質管理や現場を担当していました。

奥さまと知り合って結婚を決意した時に、10年間勤めていたその会社を退職します。「秋から冬の3か月間は休日がまったく無いほどの忙しい会社で、そこに勤めていたら家にほとんどいない状態になるんです。全国転勤もありますし、妻や子どものことを考えて辞めました」

そして、父親の辰敏さんが経営する有限会社追分タイヤ商会に正社員として入社。2005年、32歳の時でした。

mr.tire5.JPG親子で仲むつまじい様子。

いずれは後継者になるといっても、最初のうちは経営にはノータッチで、作業を覚えていくことに必死の日々。辰敏さんは「教えるよりも見て覚えろ」という昔かたぎの人だったため、とても苦労したそうです。

当初は、こんなこともあったとか。「お店にひとりで残された時に、大型トラックが入ってきてパンク修理を頼まれたんですよ。でも、僕はやったことがなかったんです。運転手さんに『お前は本当にタイヤ屋か?』と文句を言われながら、なんとか作業を終えました」

それでも、家族との時間が持てるようになったのは、かけがえのないことだと佐藤さんは話します。息子さんの運動会へ応援に行くことができたのも良い思い出とか。安平町で顔が広い佐藤さんは、仕事以外でも学校のPTA役員、商工会役員、地元のライオンズクラブ会長と、地域活動で活躍しています。ご自身の趣味をお聞きすると、「自分の時間があまりないので...、そうですね、今年はバイクの免許を取って少し乗ったりしたいですね」と答えてくれました。

「少しずつ技術を習得していくのが楽しい」頼もしい若手スタッフたち

そんな忙しい佐藤さんのお店に、昨年は2人の若手社員が入ってきました。
ピットスタッフの香川良太さんと水元渓也さんにもお話を聞いてみましょう。

香川さんは苫小牧出身の32歳、現在は奥さまと千歳市で暮らしています。前職はガソリンスタンドの社員でしたが、転勤の話があったため、このまま千歳に住み続けたいと隣町にある追分タイヤ商会に入社しました。

mr.tire6.JPGこちらが香川さん。

ガソリンスタンドでの知識が活かせているのでは、とお聞きすると「乗用車については知識がありますが、いまは大型のトラクターといった、いままで触ったことのない車種がメインなので勉強が大変です。でも、タイヤを自分で直せるようになるのはすごいと思うし、楽しいです!」とのお答え。

水元さんは生まれも育ちも安平町の23歳、実は高校生の時に、職場体験でこのお店に来たことがあるのだとか。

mr.tire11.JPGこちらが水元さん。

「その時はタイヤを転がしただけです」と、はにかむように笑う水元さん。ここに入社した決め手は、自宅からの距離が近いこと。「最初は、友達の親がお客さんで来たりするのがちょっとイヤでしたけど、ここではたくさん覚えることがあって、自分が成長していけるのが楽しいです」

ところで、会長と店長から仕事を教わっているとのことですが、職人肌の会長は厳しくないですか?そうお聞きすると...「確かに、言い方は厳しいところがありますけど、それは昔の方なので。特にヘコむことはないですね」と香川さん。同じように水元さんもうなずきます。お二人にとってはそれよりも、最初は何もできなかった自分が、少しずつ技術を習得できていく、つまりレベルアップしていけることが喜びなのだとか。
「任せてもらうにはまだまだ時間がかかりますけど、頑張ります!」

ミスタータイヤマン追分店のサイトでは、スタッフ日記のコーナーで水元さんが背丈ほどもあるタイヤの作業をしているところなど、お二人のカッコいい姿が見られます。

店長である佐藤さんも、地元のニーズにこたえていこうと、このあたりでは珍しい26インチまで対応可能なタイヤチェンジャーを導入したばかり。

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「外車のSUVを持っている方がいましてね、高インチタイヤなので、替えるたびに遠くまで行かなきゃいけなかったらしいので、これならうちですぐに交換ができます!」

向上心の尽きない店長と社員、そして「一生現役」として、電話応対や接客、作業とあらゆる仕事をこなしている会長。「お客さんの仕事を止めるな!」をお店の使命として、今日もタイヤのトラブルに駆け付けていきます。

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ミスタータイヤマン追分店(有限会社追分タイヤ商会)
住所

北海道勇払郡安平町追分弥生297

電話

0145-25-3746

URL

https://www.mr-tireman.jp/shop/oiwake/


頼もしいタイヤのかかりつけ医。ミスタータイヤマン追分店

この記事は2022年12月22日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。