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このまちのあの企業、あの製品
安平町

道内各地へここから出荷。北の物流拠点アイリスオーヤマ(株)20221215

道内各地へここから出荷。北の物流拠点アイリスオーヤマ(株)

2006年に追分町と早来町が合併してできた「安平町」。札幌から約50㎞という距離にあり、町内にはJRの駅があるほか高速道路も走っています。

隣接する千歳には空港が、苫小牧には港があり、陸、空、海のアクセス網が整っている町です。そんな立地を生かし、物流拠点として全道に商品を発送しているのが、同町にある「アイリスオーヤマ(株)北海道工場」です。

今回は、工場長の江端勝輝さんと若手のエース・木村哉太さんに同工場について話を伺いました。

収納から家電までそろうアイリスオーヤマ製品

ハートの形に「IRIS」の文字。
アイリスオーヤマのロゴや社名を見かけない日はないのでは?というくらい、身近なシーンでアイリスオーヤマ製品を目にします。


その商品群は多岐に渡り、収納用品からペット用品、調理器具に食品、園芸用品、さらには生活家電、調理家電まで本当に幅広い品ぞろえです。

airis.JPGこちら全てアイリスオーヤマ製品

同社は国内6ブロックに9つの工場を有しており、北海道エリアを担っているのが安平町の臨空工業団地内にある北海道工場です。広い敷地内には、同社の製品が一堂に展示されている棟があり、あらためて同社の商品ラインナップの凄さを目の当たりにしました。

「これも? これも?」「こんなものまで⁈」と、私たちの暮らしを支えてくれているものがたくさんあるのだと実感。

「この展示室を見て、アイテム数の多さに驚く方もたくさんいますが、そもそもこの場所にこんなに大きな物流拠点があることに驚かれる方も多いかもしれません。意外と知られていないんですよね、安平町に工場があることを...」

そう話すのは、工場長の江端さん。同社では全国の工場で、年に1度「アイリスまつり」というのを開催しています。工場の敷地を開放し、同社の製品を超特価で提供するというビッグイベントで、地域の人たちでにぎわうそうです。

airis2.JPG社員を我が子のように見つめる江端さん。工場長であり、みんなのお父さん的存在です。

「地域還元や地域の方との交流という意味も含めてのイベントなんです。北海道工場は社員数が少なかったこともあり、敷地内でアイリスまつりを開催したことがなく、毎年町内の『うまかまつり』に出店させてもらっていました。3年ほど前から社員数が増えたので、工場でやろうという話も出たですが、コロナが流行り出して...」と苦笑します。

北海道胆振東部地震で大きなダメージを受けるも...

名称に工場と付いていますが、近年は物流需要が大幅に伸び、物流拠点としての役割がほとんどだそう。「最初のころは、組み立て作業とか製造ラインもあったんですけどね」と話す江端工場長、実はこの北海道工場が出来た年にキャリア採用で入社し第一期生として工場の立ち上げから業務していました。


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「ちょうど27年前ですね。最初、北海道工場は別の市町村に建てる予定だったそうですが、当時の(早来)町長や役場の方が誘致にとても熱心だったらしく、現在の会長がそれに心を打たれて、この場所に建てることにしたと聞いています」

入社してからずっと北海道工場ひと筋なのかと思いきや、「勤続27年のうち、半分は海外の工場やほかのエリアの工場にいました」とのこと。北海道工場に戻ってきたのは2018年。ちょうど北海道胆振東部地震のあった年でした。

「戻ってきた秋にあの地震ですよ。この辺の被害はすごいものでした。倉庫のものは倒壊して、散乱しているし、在庫も何もかもがぐちゃぐちゃ。電気もこなくて、クレーンとかも動かせないから、安否が確認でき、出勤可能な社員たちでひとつずつ片付けていくしかなくて。コンピューターが使えないから、地震から3日目には手伝票で出荷もしました。また、倉庫にあった食糧品や水などを町民に配るよう社長からの指示がすぐにあり、役場と連絡を取り合いながら、それらの提供に回ったりもしましたね」

当時のことを思い出しながら、工場長が「あのときはすごかったよね、本当にびっくりしたし、大変だったよね」と声をかけたのが、その年の春に入社したばかりの木村哉太さん。木村さんも「これから先どうなるのかと思いました」と振り返ります。

airis20.JPGこちらが木村さん。

若手にも自分たちの考えや実績をアウトプットする機会がある

苫小牧出身の木村さんは地元の工業高校卒業後、入社。高校では情報技術やシステムに関する勉強をしていたそうです。現在は、物流部のチームリーダー的な役割を担っています。


「人をまとめたり、出荷の管理をしたり、いろいろ任せてもらううちに、自分で考えて、こうすればもっと効率的になるのでは?とか、アイデアが出てきます。それを工場長に相談して、やってみたらと後押ししてもらい、実践して結果を出していくというのが面白いなと思っています」

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同社では半年に1回、全国の工場を対象にした評価会が行われます。立てた目標に対して、どのような取り組みを行ってきたか、その結果どうだったのかを競うというもの。

この評価会に参加して登壇するのは、各工場のチームリーダークラスの人だけ。木村さんは全社のチームリーダーの中でも、若手中の若手として注目されている存在です。

「北海道は中間層の社員が少ないので、たまたまです」と謙遜しますが、江端工場長は「将来を担うホープとして期待を寄せている」と話します。実は震災前まで北海道工場はこの評価会で常に上位を維持していたそう。工場長いわく、「あと3年くらいすれば、また上位に返り咲くことができると考えています」と力強いコメント。木村さんは、「この評価会があるから、なおさら頑張ろうという気持ちになれます」と話します。

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アットホームな雰囲気で、整理整頓が行き届いたコンパクトな工場

工場長が海外の工場にいた話が出た際、木村さんにも他国や他エリアへの転勤があったら?と尋ねると、「地元が好きなので、北海道にいたいです」と遠慮がちに小声で答えが返ってきました。「僕としては、ほかの工場を見て、ほかの現場を経験することで成長することもあると思うので、行けるチャンスがあれば行ってほしいなと思いますが」と隣で工場長。親子くらいの年の差がある2人、父親と息子のやり取りのようにも見えます。

「この間、研修で埼玉の工場に行ってきたんです。北海道工場の約7倍の工場規模で、従業員の数も比べ物にならないくらいで...。向こうで見て、聞いて、学んだことを北海道でも生かせたらとは思っています」と木村さん。

2人いわく、北海道工場はとてもアットホームなのだそう。約60人のスタッフが勤務しており、ほぼ全員の顔と名前は一致。ほかの工場に比べるとコンパクトにまとまっていて、整理整頓を含めきれいな状態での管理がしやすいそうです。「誰がいつ来てもきれいな環境の中で仕事をしようと、みんなと頑張って整理整頓するようにしています」と木村さん。

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倉庫内を案内してもらうと、スタッフの皆さんが元気よく挨拶してくれます。「コミュニケーションは大事だと思っているので、挨拶はきちんとしようといつも言っています」と工場長。コロナが流行する前は懇親会なども行っていましたが、「今はなかなか難しくてね」。とはいえ、まったく交流する機会がないわけでもなく、敷地内にある食堂で感染対策を行いながら懇親会を開催したり、若手社員で遊びに行くこともあるそうです。

ネットショッピングの需要が増え、売上増。若手育成にも注力

倉庫は1階と2階に分かれています。1階は、ホームセンターなどに出荷するケースものが多く、スタッフの皆さんが作業用リフトなどを使って次々と出荷準備をしていました。さらに1階の奥には、奥行き110m、高さ31mある自動倉庫があり、ボタン操作で大きな製品をエレベーターのように上から下へおろしたり、出し入れしたりします。震災のときは、この巨大な自動倉庫の製品が崩れ落ちていたそうです。想像しただけでも恐怖を感じます。2階はネット注文などに対応するバラ出荷が中心。女性のパートさんの皆さんが、てきぱきと荷造りをしていました。

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「コロナでネットショッピングを利用する方が増え、さらにリピーターも増加。給付金が出たときなどは、高額な家電関係もたくさん受注が入りました。そんなこともあり、工場自体の売上はおかげさまで伸びています。今年に入ってやっと少し落ち着いたかなという感じです。工場としては人手が足りないのは事実で、今は若手が頑張ってくれています。今後はこの場所に工場があることをもっとたくさんの人に知ってもらい、地域の人とも交流を深めていければと考えてはいます」と工場長。

最後に木村さんに今後の目標を尋ねると、「直近の目標としては、昇格試験を受けてサブリーダーになり、5年後にはその上のリーダーを目指したいですね。そして、そのあとは工場長の下の物流責任者になりたいです!」という答えが返ってきました。それを聞いていた工場長は、「木村くんみたいに若手が育ってくれないとね。僕もできることはどんどんサポートしたいです」と目を細めていました。震災の大変な時期を共に乗り越えたという絆があるのかもしれません。いい関係性ができているのだなと感じた場面でした。

airis11.JPG若手も伸び伸び働ける、まさに「風通しの良い職場」でした。

アイリスオーヤマ(株)北海道工場
住所

北海道勇払郡安平町早来富岡258-9

電話

0145-22-4611


道内各地へここから出荷。北の物流拠点アイリスオーヤマ(株)

この記事は2022年11月11日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。