今回くらしごと編集部がお邪魔したのは、札幌のお隣江別市。ここに地域密着型の建設会社があると聞いてお邪魔してきました!
みなさんは、建設業界にどんなイメージをお持ちですか?
「きつい・危険・汚い」いわゆる「3K」のイメージがある建設業界...。
働き手は50代、60代が中心で、高齢化に伴いこれから引退する人が増えていくことが予測され、技術伝承や人手不足、若者の就業率の低さが課題となっています。
しかし、石川組で出会った皆さんのお話を聞くと、そんな業界のイメージが一新されましたよ...!
江別を支える「株式会社石川組」
人口約12万人が暮らす江別市のインフラ整備に携わる株式会社石川組(以下、石川組)。お話をしてくれたのは、人事部長の深瀬聡(ふかせ さとし)さん、2021年入社の野口晴瑚(のぐち せいご)さん、菅原優音(すがわら ゆうと)さん、生稲秀都(いくいね しゅうと)さん、2018年入社の山田雅俊(やまだ まさとし)さんの5名の皆さんです。
石川組は、主に土木工事や道路工事、冬は除雪などを担い江別の道の安全を守っているというわけですが...もっと具体的に、どういうお仕事か詳しく教えていただけますか?との質問に答えてくれたのは、深瀬さん。
こちらが深瀬さんです。
「石川組は、公共土木工事を土台として意外といろいろなことをしているんですよ。農業土木工事事業から始まり、穴を掘るという技術で出来ることを派生させ、下水道工事、道路工事をやるようになり道路維持業務を行っています。解体工事もしますので、廃棄物も外注して運んでもらうなら、自分たちで運べたらいいだろうと、廃棄物の収集運搬も行うようになったり、時代のニーズに合わせて仕事をしてきています」
1965年の創業から、市民の生活を支え続け、地域に関わっているからこそ、時代の変化を的確に捉え、必要なサービスを生み出すことができるのでしょう。廃棄物処理のプロだからこそできる提案と作業で、不用品回収、生前整理や遺品整理などのお片付けの悩みを解決するサービスもあります。
しかし、私たちの生活に関わる重要な仕事なのに、一市民としてはあまり意識したことなかったと思っていると...
「目立つ仕事ではないんですよ。消防や警察に比べて人気がないのは自覚していて、江別市内の高校で行われた合同企業説明会に参加した時に、ブースが警察と消防に挟まれていて両隣は長蛇の列になっているのに、石川組の前には生徒がいなかったんです。私たちがどんな仕事をしているのか知られていない。でも、まちの皆さんに気がつかれていないところで、我々が市民の生活を支えているというプライドを持っているんです」と語ってくれました。
かっこいい制服。胸元のロゴが光ります。
「だからこそPRしたいこともあって、みなさん本当に知らない方が多いのですが...」
交通事故や地震などの災害時で真っ先に動くのは、建設業社のみなさんなのだそうです。すみません、知りませんでした。
「災害現場に消防や警察の車両が到着できるためには、道路が通れるようになっていないといけません。一番最初に我々が駆けつけ、事故処理など復旧作業を行なっているんです」
江別市では2018年9月に台風の影響で、道路の何箇所も倒木で通行不能になったことがありました。次の日には倒木のほとんどが撤去され、道路が通れるようになっていましたが、その時にも真っ先に動いて、まちの生活と安心を取り戻してくれたのが建設業のみなさんだったのだと、改めて気がつかされました。
「まちのみんなが何もわからないでいるということは、自分たちの仕事がうまく出来ているからなんだと思っています」
そう、つまりは市民のみなさんが問題なく生活ができているということ。道路の清掃、補修、街路樹の枝切りなど道路環境の安全を当たり前のように保ち、私たちの生活を支えてくれている縁の下の力持ちの存在です。
地域社会との関わりと出会い
土木の仕事について詳しく聞こうとしたところ「土木の仕事については、2018年入社の山田くんに聞いてください。私は5~6年前に転職してきて、土木が専門ではないんですよ」と深瀬さん。
そうでしたか、前職や転職のきっかけは何だったのでしょうか?
「以前は自動車学校に勤めていました。ショベルカーや大型除雪車などの免許を取るだけでなく、作業の練習もできるメニューを作りたいと思い、石川組に相談したことがきっかけです」その時はアイデアは実現しませんでしたが、その後、石川組に来てやってみないかと声をかけられ、今では主に人事と研修・教育の仕事をされています。
石川組は、地域社会への貢献のひとつとして、防災訓練・建設業PRイベント等を、様々な団体と共に開催しています。深瀬さんは、そうしたイベントで当時学生ボランティアとして参加していた山田さんと知り合いました。
山田さんを紹介してくださっている深瀬さん。
山田雅俊さんは、大学時から進学のため江別に移り住み、ボランティア活動に熱心な学生時代を過ごしました。地域活動やイベントのボランティアを通じて、まちづくりに熱を持って頑張る人を手伝いたいという気持ち、そして、卒業後も江別で働きたいという思いを持つようになりました。
深瀬さんと出会い、石川組の話を聞くうちに「建設業は、道路など目に見えるまちづくりをする仕事だ」と石川組への入社を希望するようになったのだとか。
深瀬さんは当時のことを振り返り、こう話します。
「うちの会社においでよと言いつつも、大学生は札幌や東京に目が向いていて、江別に就職することは考えていないと諦めていたんです。そもそも大学に求人票を出していなかったから(笑)」
山田さんの入社は、石川組初めての大学卒業生ということで「本当に大学生がうちの会社に就職してくれるんだ!」と、正直驚いたそう。
大学の中で勉強するだけ、会社の中で仕事をするだけでは出会えなかった二人が、地域活動で出会い、お互いの思いを知ったことにより、新しい選択肢が生まれたんですね。
「考えてみると、それまで大学生との関わりが全然なかったんですよね」と、気付いたきっかけでもありました。
大学生が本当に知りたい会社のことがわかるHP
取材にあたり、石川組のホームページをチェックしていたのですが、重機の動画もカッコよく、社員の笑顔から仲が良さそうな職場の雰囲気が伝わる、素敵なホームページだと思っていました。
このホームページも地域との関わりの一環として、江別市にある北海道情報大学の学生たちに作成を依頼したものです。ゼミ生に実学経験を積ませたい大学側と、若い世代の人材確保につなげたい石川組のニーズが一致し、学生目線で「会社について本当に知りたいこと」がわかるホームページを、WEBデザインを学ぶ4人の学生に作成してもらうことになりました。
学生たちが一番知りたかったのは
「どういう人たちが働いているのか?」ということ。
そこで、「人」にスポットを当てたホームページにしようと、学生たちは朝7時半からのミーティングに参加したり、仕事終わりの社員と飲食を共にし、社員達と信頼関係を築きながら取材を重ねました。最初、ベテラン社員達は、学生が職場に来ることに不慣れな様子でしたが、少しづつ慣れてウエルカムな雰囲気になっていったそうです。
取材で見つけた建設業の魅力と、彼らが感じた石川組への親しみやすさがホームページに現れていたんですね。特に感心したのが、「石川組での働き方」を図解で説明し、将来のキャリアデザインがイメージしやすいところです。
ぜひ皆さんも石川組のHPを確認してみてくださいね。
技術見習いからスタートできるステップアップシステム
建設業は、資格を持っていたり専門の勉強をしていないと就けない職業というハードルの高いイメージがありますが、石川組では、未経験者でも技術者見習いからスタートでき、土木の知識を一から学べる研修期間があります。1年目は社会人としてのスキルを学び、職場の雰囲気を把握し徐々に現場での作業に慣れていくようになっています。そして、働きながら資格取得ができるサポートがあり、教育体制が充実しています。
さらに石川組では、学生を対象に会社見学会やインターシップも行われており、実際に見学に来て入社に至ったお話や、現在研修を受けている最中のお話を聞かせていただきました。
まずは野口晴瑚(のぐち せいご)さん。
キラキラした瞳で話してくれたのが印象的だった野口さん。
「高校で行われた合同企業説明会で先生に石川組を勧められ、知らない会社でしたが話を聞いてみました。その時に仕事内容が素晴らしいと思ったのと、その後、新型コロナウィルスが流行し、マスクなどが足りないとなった時に、石川組が高校にマスクと消毒液を寄付してくれたのが本当にありがたくて、この会社で働きたいと強く思いました。研修では、教えてくれる先輩の説明が丁寧です。初めて聞く専門用語を自分がわかっていない様子に気がついて、用語の意味から説明してくれたり、理解できるまで教えてくれます」
今後は早く道路の名称を覚えて、先輩達の会話についていきたいと前向きです。学生の頃は、何のために勉強しているのかがわからなくなり、勉強を辛く感じる時があったそうですが、今は、わかることが増える度に充実感を感じて、日々が楽しく毎日が早いそうです。
続いて、菅原優音(すがわら ゆうと)さん。
笑顔がとっても素敵な菅原さんです。
「僕は江別に住んでいるのですが、高校卒業後に札幌のスポーツ用品店で働いていました。でも、冬道の運転での通勤が大変で辛いと感じていたところ、親が近所の方が働いていると石川組を教えてくれました。会社を見学させてもらい、石川組が、陰ながら道路を守り通りやすくしてくれているのだと知り、こういう仕事もあるんだと転職するきっかけになりました。」
測量など、道路維持業務の基礎を学んでいて、測量はミリ単位の正確さが必要な細かい作業だと教えてくれました菅原さんです。
最後は、生稲秀都(いくいね しゅうと)さん。
落ち着いた雰囲気でまっすぐと自分の想いを語ってくれた生稲さんです。
「僕は情報処理関係の専門学校で学んでいましたが、進路に迷いがあった時に、縁があって石川組を見学する機会がありました。丁寧な説明があり、先輩や上司の方の考え方に感銘を受けたこと、同じ専門学校の先輩が就職していたこともあり、石川組への入社を希望しました」
作業員として学んでいくうち「土木施工管理技士になりたい」という目標もできました。率先して動いて仕事をこなす憧れの先輩のようになりたいと思っているそうです。
質問しやすい、わかるまで説明してくれる、仕事を覚えるのが楽しい、早く独り立ちしたい、誰かが答える度にみんなが頷きます。
勝手なイメージですが建設業界といえば、おじさんたちが怖そうと思っていましたが違いましたねと言うと、深瀬さんが「おじさんたちも努力しているんです(笑)」と、若者たちに伝えるために指導の仕方を学んでいることを教えてくれました。
50代、60代の方が若い頃は、「仕事は見て盗め」と丁寧に教わることもなく、現場をこなしながら作業を体で覚えたという時代だったと思います。この経験で自分たちがやってきたのだからと、若者に自分と同じ対応を求めがちです。
若者とベテラン世代との間には価値観の違いがあることも認識し、「普通」といっても、何が普通なのか?から説明できるようにするなど、若者に対して努力を求めるだけでなく、指導する側も学び、理解し合うことが重要と考えているのだそうです。
「まだできていない部分もありますが、コミュニケーションを大切にしている会社が良い会社だと思うので、そうありたいと思っています」と深瀬さん。
深瀬さんの存在は、若手とベテランを結びつける重要なパイプ役となっていると感じました。
「達成感と手に職」建設業のやりがいとは
さて、現在研修真っ最中の新人3名の先輩...土木を担当されている山田さんは研修期間を終えられて、現在はどのようなお仕事をされているのですか?「去年、初めて現場を任され道路を造りました。毎日がプレッシャーの日々でしたね(笑)」
石川組のムードメーカー山田さん。
道路工事は、どこでも同じようにやっているように見えますが、現場がそれぞれに違うので、ひとつひとつの工事は全く別物、様々な業者も関わります。そのため知識や経験も広く深く必要なのだそうです。
「道路が完成した時には達成感を感じました。その道を見る度に嬉しくなります」
建設業の成果物としてできあがる道路などは、地図に記され後世に残っていくもの、大きな仕事をされていますね!
「この仕事は手に職がつく仕事です。日本中、道路は必ずどこにでもあるので、どこでもやっていけるという自信もつきます」
山田さんの話を、野口さん、菅原さん、生稲さんが目をキラキラさせて、深瀬さんがニコニコと聞いているのが印象的でした。
地域社会や人の役に立つことをしたいという同じ志を持った人達が集まり、学び合いながら仕事をしているところが、仲の良い雰囲気となり醸し出されているのだと感じました。
「世界は誰かの仕事でできている」某缶コーヒーのコピーが頭に浮かんできました。これからもお仕事がんばって、江別をよろしくお願いします!
- 株式会社石川組
- 住所
北海道江別市上江別西町42-6
- 電話
011-382-4367
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