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このまちのあの企業、あの製品
厚沢部町

未来に向けて持続可能な「森」や「人」を育てる。㈱細畑林業20201019

未来に向けて持続可能な「森」や「人」を育てる。㈱細畑林業

今回、取材に訪れたのは、北海道の道南エリアにある厚沢部町で、主に山から木を切り出す生産事業、切った後に新しい木を植える造林事業を、檜山・渡島エリアで行う林業事業体の㈱細畑林業です。近年では、持続可能な開発目標(SDGs)の考えも取り入れ、木を大切に、山を大切にしながら林業を営んでいます。
この日は、厚沢部町内の山で作業中とのことで、くらしごと編集部も帯同の許可をいただき、山の中で現場を存分に感じながら取材をさせていただきました。

理念は「森が元気で人も元気に」

細畑林業はここ厚沢部町で昭和21年に設立され「森が元気で人も元気に」を企業理念とする、2020年に創業74年を迎える会社です。この日、現場を案内してくださったのは、会社を設立した先代社長のお孫さんである細畑圭佑さんです。

hosohata_2.JPGお話を伺った細畑圭佑さんです

「ここは、国有林の森林整備を請け負っている現場となります。今行っているのは『枝打ち』という樹木の枝を幹から切り落とす作業です。木材として使用する時に節がなく価値を高めるように必要な工程なんです」

この日、現場では5名ほどの社員の方々が作業をされていました。急な斜面に並んでいる木を順序よく枝打ちしています。よく見ていると、3〜4mはあろうかという長いのこぎりで作業をしている方もいれば、何か見慣れない道具を使って木に登り、作業をしている方もいますが...すると、細畑さんがこう教えてくれました。

hosohata_4.JPGこちらが木登り器を使用している様子

「長いのこぎりで届かない時には、安全に木に登れる『木登り器』を使って高いところまで登って作業するんです。この枝打ちや伐採は木の成長が止まる秋から冬にかけて行うことが多く、僕たちは年中山の中にいるんですよ」

北海道の冬にはご存知のとおり雪が積もるのですが、夏にはあった鬱蒼とした草は枯れ、さらにこの雪に隠れることで、実は作業がしやすかったりするのも北海道林業の特徴の一つなんだとか。逆に春から夏にかけては、主に苗木を植えたり、成長環境を整え、次の世代の木を育てる準備を行うそうです。

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異業種からのチャレンジ。その訳とは

私たちくらしごと編集部が慣れない山中の坂道に手間取っていると「大丈夫ですか?僕も最初はそうでした(笑)。学生時代に野球をしていたので体力に自身はあったのですが、ブランクが10年ほどありましたからね」と細畑さんが気遣ってくださったのですが...おや?細畑さんは入社してどれくらいになるのですか?

「僕は入社2年目なんです。大学を卒業した後にホテルマンとして5年、大手コンビニエンスストアの店舗管理を5年していました。なので、この仕事は全くの未経験からのスタートだったんですよ。今は大分この山の中での仕事に慣れましたけどね」

ご出身は厚沢部町で、小さな頃から先代の社長であるおじいちゃんの背中を見ていたこともあって、林業という仕事にも興味を抱いていたと言います。前職の際には札幌にお住まいだった細畑さん、なぜ全くの異業種への転職、そして地元に戻るという選択をしたのでしょうか。

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「二人目の子どもが生まれたくらいからですかね、仕事が忙しく、家族との時間がなかなか取れないことが多くなっていました。そうしたこともあって、一番の理由は、家族との時間を大切にしたかったということです。また、いずれは厚沢部町に戻りたいという気持ちもありました。そんな時、従兄弟である社長から『うちに来ないか?』と声をかけてもらって、地元に戻って林業に新しくチャレンジをすることを決断しました。妻の出身も積丹だったので、田舎暮らしに抵抗がなく助かりました(笑)」

こうして林業の世界にゼロから飛び込んだ細畑さん。最初は、伐採した木を運ぶためのワイヤーロープを木に括り付ける「荷掛け」という作業を徹底的に叩き込まれながら、木を倒すくさびを打つ作業を教えてもらったり、伐採の段取りを教えてもらったり、技術・知識を習得していったそうです。また、今の仕事は勤務時間がしっかり決められているため、希望だった家族との時間もしっかり取れるようになり「ワークライフバランスはバッチリ!」とのことです。

「僕に仕事を教えてくれた師匠があの方なんです」と細畑さんが指差す先には、木登り器を使って誰よりも高いところで作業されている方が。19歳から林業の世界に飛び込み、この道40年の大ベテランという工藤総明(まさあき)さんです。

hosohata_6.JPG細畑さんの師匠である工藤総明さん(写真左)と記念写真!

「僕もそうですが、若手はみんな工藤さんから本当に色んなことを教わって育ててもらっています。工藤さんは森の仙人みたいな人なんですよ」と細畑さんは笑います。

写真撮影や取材の合間に、細畑さんや工藤さん、今年高校を卒業して入社したばかりの方まで、年齢や経験も様々な皆さんが和気あいあいと話をしている姿を見ていると、とてもアットホームな雰囲気、そしてチームワークの良さがひしひしと感じられました。

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林業とSDGs

近年では、持続可能な開発目標(SDGs)の考えも取り入れているという細畑林業。具体的な取り組みについても細畑さんに伺ってみました。SDGsの17目標にある分類ごとにまとめてみると、このような取り組みをされています。

■9.産業と技術革新の基盤をつくろう
コンテナ苗といった新しい技術を取り入れる

■12.つくる責任 つかう責任
■15.陸の豊かさも守ろう
切った後は植林を行い、持続可能な森林をつくる

■13.気候変動に具体的な対策を
■14.海の豊かさを守ろう
森の水は海へ流れる。山で水を汚さないように心がける

「会社として当たり前のことではあるのですが『木を一本一本大切にする』ことを考えています。例えば、木を植える植林にしても、一日により多くの数を植えた方が収益はいいです。ですが、植えた木がしっかり育たないことには意味がありません。大事にしっかりと植えること、即ち木を大切にすること。このことを念頭に、そしてSDGsの目標も意識しながら、日々仕事に取り組むように心がけています」

さらには、各種資格取得の全面的な会社の補助があったり、林野庁の補助事業である「緑の雇用」の活用、労働時間や休日の整備といった働き方への取り組みも推進されています。

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森も人も育てる細畑林業

最近では、高校生新卒の採用も継続して行っており、親子2代に渡って会社に在籍している方もいらっしゃいます。そんなまだ入社間もない若い人たちに対して、他の業界を経験して、林業の世界に入った細畑さんだからこそ感じることがあると言います。

「山の中での作業が特にそうですが、見て理解できるものが林業では少ないことです。ここに戸惑いを感じる若い人は少なくないんじゃないかなと思うんです。技術職ですので、経験に基づくものが多いというのは確かにあるのですが、手順の見える化というか、見て学べる、教えられることをもっと増やしてあげられると、もっと若い人の理解の向上や効率化にもなるんじゃないかなと感じます」

hosohata_11.JPG工藤さんをはじめ、先輩の方々が現場の雰囲気を和ませてくれるそうです

細畑さんをはじめとし、若い社員からベテランさんまで、全くの異業種からの転職や、未経験からのスタートした方が多いそうですが、これにより社員の多様性に繋がり、会社の幅を広げることになるのだそう。

これからも、森も人も育てる細畑林業の活躍に注目です。

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株式会社細畑林業
住所

北海道檜山郡厚沢部町館町5

電話

0139-66-2010

URL

http://hosohatarinngyou.com/


未来に向けて持続可能な「森」や「人」を育てる。㈱細畑林業

この記事は2019年11月28日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。