
突然ですが、お正月料理や和食で日本人にはなじみ深い「かまぼこ」。このかまぼこの生産量が日本一である新潟県に本社・本社工場を構え、もう一つの工場拠点として、北海道恵庭市に北海道事業部・北海道工場を置くのが、株式会社堀川です。
代表商品である「堀川の蒲鉾」やカニ風味かまぼこの「サラダアラスカ」はきっと誰もがスーパーなどで目にしたことがあるはず。今回は、大正13年に創業し、「蒲鉾の堀川」として広く世の中に親しまれている堀川の北海道事業部・北海道工場でお話を伺いました。
北海道内への出荷を全て担う工場
北海道事業部・北海道工場では約140名のスタッフがおり、日によって生産する商品は異なりますが、例えばちくわの場合は、1日に7,000本も生産するとても大きな工場。お話を伺ったのは、総務・経理課の課長代理 髙橋朱美さんです。
自社製品の「ちくわ」が大好きな髙橋さんです。
「この北海道工場では季節によって異なりますが、20〜30種類の商品の製造を手がけています。新潟の本社工場では全国向けに出荷をいたしますが、この北海道工場で製造をした商品は道内のみに出荷されます。また、新潟工場と北海道工場ではそれぞれの地域特性に合わせて、若干味に変化を持たせたりもしています。ちなみに、北海道にお住まいの方は、おそらくスーパーで一度は目にしていただいたことがあると思うのですが、北海道限定商品である『ニューサラダアラスカ』ももちろんこの工場で製造しています」
工場の中を案内していただくと、大きな最新の製造機械が立ち並ぶ中、魚のすり身の匂いやちくわが焼き上がるいい香りが漂っています。1971年から約40年に渡って稼働してきた北海道工場を2013年に建て替え、現在の工場となりました。近年では水産ねり製品以外にも茶碗蒸しや卵製品など、惣菜製品の製造も行い、総合食品メーカーとして発展していっています。
アレルギーを持つ人もみんなと同じ食卓を囲めるように
「みんなといっしょ」がなによりのごちそうです。
これは堀川が掲げる企業テーマです。このテーマについて、髙橋さんがこう教えてくださいました。
「近年、食生活や生活環境の変化により、食物アレルギーを持つ人が増えていると言われています。そんな中、食を提供する堀川は、食物アレルギーを持つ人も、家族や友人と同じものを食べていただけるようにという願いを込めたのがこのテーマです」
スーパーなどで見たことのある商品ばかりです!
食物アレルギーに配慮した卵・小麦・乳を使用しない商品作りに取り組み、食の安心・安全を食卓に届けています。こうした取り組みの一環として、HACCP認定も取得し、原料の受け入れから製造・出荷までの全ての工程において人体の健康に及ぼす危害の発生を事前に分析し、継続的に監視・記録することにより商品の安全性も確保しています。
「伊達巻も卵ではなく豆乳で製造したりと、工夫を凝らして商品開発を行っています。やはりコストはかかってしまいますが、企業テーマである『みんなといっしょ』が私たちの目指すところです」と髙橋さんは言います。
恵庭の高校を卒業して活躍する女性
話は変わりますが、実は髙橋さんもこの工場と同じく恵庭市のご出身。地元の恵庭北高校を卒業後、新卒で入社して、約20年間この工場を支えている社員のお一人です。現在では人事も担当しており、地元恵庭の高校などにも自ら会社の説明といった採用活動に訪れています。
「今年、恵庭南高校を卒業して入社した社員がおりますので、ご紹介いたしますね」と髙橋さんが連れてきてくださったのは、フレッシュな笑顔がとっても素敵な中口真生(なかぐちまさき)さんです。入社後、生産課に所属し、なると商品を製造するラインを担当しています。
それでは引き続き、中口さんにお話を聞いていきたいと思います。まず始めの質問は、入社のきっかけです。
「進路指導の先生が当社のことを教えてくれたのが、まず会社を知ったきっかけです。その後開かれた、合同企業説明会で話を聞き、同じ高校出身のスタッフも多いことや、体を動かす仕事にも興味があり、応募を決めました」
「それと・・・」と、少し照れくさそうにしながら中口さんはこう続けてくれました。
「実は私、年齢が近い人と話すより、離れている人と話す方が得意というか、落ち着くんです。たぶん私、おばあちゃん子なんですよね。おばあちゃんと話すのが好きだったり、近所の年配の方たちが話掛けてくれるのも楽しかったり、年上の人と気が合うのかな(笑)なので、幅広く、年配の方々も働いているところも安心感がありました!」
中口さんのふんわりとした優しい雰囲気が感じられる、とても暖かい入社のきっかけエピソードです。
合同企業説明会では髙橋さんの説明を聞いており、「とても優しそうな人だな〜」という印象を持ったんだそうです。
嬉しい瞬間は渦がきれいに出せた時
なるとの製造は、原材料となる魚のすり身に調味料などを練り合わせたものを形成機という機械に入れ、2色のすり身を重ね合わせて巻くことで、普段みなさんが目にするような、渦のあるなるとができあがります。このなると製造を担当する中口さんはどんな仕事をしているのでしょうか?
「4名体制で作業を行うのですが、基本的には機械を使った工程となります。私の主な作業は機械を動かすための操作や、形成機にすり身を入れてラインに流したりする作業です。最初はすり身が結構重たくて慣れるまでに少し時間がかかりました。今では作業も慣れ、渦がきれいに出せた時はとても嬉しい瞬間ですね!」と教えてくれました。
入社してまだ半年の中口さんですが、すでにその一翼を担う成長ぶりです。入社してこのラインに配属されてから、社員さんやベテランのパートさんなどに仕事のやり方、気をつけること、機械の操作などなど、たくさんのことを教えてもらったそうです。
実は「サラダアラスカ」が一番好きな商品と中口さん。
「みなさん何もわからない私にとても優しく、丁寧に仕事を教えてくれました。会社として食の安全、安心のための品質管理を徹底していますし、私自身も食卓に自分の作った商品が並ぶことに責任感を持って仕事に取り組んでいます」
自分で製造した商品が北海道各地のスーパーなどに並ぶ。そして、商品を買ってくれる人がいて、食べてくれる人がいること。それは製造者として、最もやりがいを感じる時だと思いますが、中口さんはこう教えてくれました。
「スーパーで買っている人を見たことがあるんです『私の作ったなるとを!』あと、親戚の人も食べてくれたりして、嬉しいですし、この仕事のやりがいです」
ちなみに中口さんはスーパーに行くと、自分で作ったなるとよりも他社のなるとに目がいくそう。その心は「渦がどう出ているかを見ている」だそうです!
このきれいな渦がポイント!
これからの取り組み
最後にこれからの堀川について改めて髙橋さんに伺いました。
「安心、安全に対する取り組みをもっと強化していきたいと思っています。そのために社員、パートを含めてスタッフ全員が企業テーマを意識し、心がけることが大切です。そのため、現在ISO認証取得に向けても取り組んでいます。また、恵庭市で開催されている「えにわん産業祭」にも出展したり、市で主催する工場見学会などにも参画しており、今後もこの恵庭市での地域貢献の一環としてそうした取り組みも積極的に行っていきたいですね」
普段は何気なく食べているたくさんの食品。こうした生産者の方たちの声を知ると、より一層おいしさを感じ、そして、安心して食べることができるのではないでしょうか。