HOME>このまちのあの企業、あの製品>三笠市民に寄り添い、愛される温泉とホテル。HOTEL TAIKO

このまちのあの企業、あの製品
三笠市

三笠市民に寄り添い、愛される温泉とホテル。HOTEL TAIKO20190926

この記事は2019年9月26日に公開した情報です。

三笠市民に寄り添い、愛される温泉とホテル。HOTEL TAIKO

札幌から車で高速に乗って1時間程すると、本日のくらしごとの舞台...三笠市があります。「エゾミカサリュウ」「アンモナイト」をはじめとした多くの化石を産する、地質学的にも重要な地域と言われているこの場所。
そんな三笠市の観光スポットのひとつとして挙げられるのが、2008年にオープンした天然温泉太古の湯です。

ここは国道十二号線沿の「道の駅三笠」の隣に位置し、地元の人々はもちろん、長距離ドライブの休憩にと、多くの方々に愛されています。この温泉の魅力のひとつとして、樹齢600〜1000年のヒバの主柱と主梁、漆喰の壁、そして手割り本鉄平石の床で造られた天然素材からあふれる「ぬくもり」に多くの方が心奪われるそう。

hotel_taiko7.jpgこちらが太古の湯です。

そんな愛され、親しまれている温泉の隣に、2017年6月16日にオープンしたHOTEL TAIKO。全40室の客室と、多目的ホールを備えた新ホテルが誕生しました。もちろん宿泊されるお客さまは、自慢の太古の湯の温泉も楽しむことができます。

今回お話を聞かせてくださったのは、HOTEL TAIKOの総支配人小口学(おぐち まなぶ)さん。小口さんは今から2年前、このHOTEL TAIKOがオープンするタイミングでこのまちへとやって来たのでした。

知らぬ間にベルボーイとなりホテルマンの一員に!?

hotel_taiko2.JPGこちらが今回メインでお話を聞かせてくださった小口さん。


小口さんは北海道の最北、稚内市のご出身。

地元で事務関連を学ぶ学校に通い、将来もこのまま事務系のお仕事に就くとその未来を描いていました。そんなある日、新しく札幌に出来るというホテルの求人票を見かけた小口さんは早速応募し、見事採用。実は事務系の募集だろうと思って応募したそうですが、ふたを開けてみればなんとその求人票はベルボーイの募集。それに気づくのはもう少し後のことなのですが...。

そんなミスに気づかぬまま、4月に入社を果たした小口さん。ホテルのオープンが7月ということもあり、その間は別のホテルでの研修が始まりました。この時もまだ、自分がベルボーイとして仕事を始めるとは思ってもみなかったそうですが、研修後、よくやくその新ホテルへの勤務が始まった時、ベルボーイとして採用されたことに気がつくのです。

hotel_taiko9.JPG「私が求人票をよく見ていなかったんですよ...」と小口さん。

ベルボーイは、いわばホテルの顔。
「自分はホテルマンになれるのか...?」という不安を抱えずにはいられなかったそうですが、ひとまず1カ月はやってみようと決心。

実際にベルボーイとしての勤務がスタートしてからは、お客さまから「目つきが悪い」なんて注意を受けてしまったことも...。しかし、最初は1カ月だけと思っていたものの、気がづけば1年続き、少しずつベルボーイの仕事が面白くなってきたと話します。

ベルボーイとして5年の歳月が経った頃、事務の方への異動の話が舞い込んできたそうですが、小口さんはそれを断りました。かつてはずっと事務系の仕事に就くとさえ描いていたはずの未来なのに、小口さんは現場に出るという仕事を選択したのです。

小口さんはこう例えました。
「プレゼントをもらうのが好きか、渡すのが好きか」と。

「私は、渡す方が好きだと思ったんです。お客さまが喜んでくれる、その味を知ってしまったんですね」

ベルボーイとして、一番心に残っていることは何かありますか?と聞いてみると、何やらゴソゴソと名刺入れの中から出してきたのは一枚のお札でした。これは、初めて小口さんがお客さまからもらったチップ。

hotel_taiko3.JPGこちらが実際のチップ。旧札です。

「初めてチップをもらった時のことは今でも忘れられません。さすがにこれは使えなかったですね。今でもお守りとして大切に持っています」
いつまでもあの頃の気持ちを忘れないように...小口さんのそんな想いが伝わってくるようでした。

こうしてずっと表舞台に立って多くのお客さまの接客をこなしてきた小口さん。10年程経った頃、地元の稚内市に新しく大きなホテルが出来ると聞き、さらには小口さんの親族の方が経営に携わるという関係もあり、小口さんは地元へと戻りました。

一度違う世界を見てみたら、ホテルマンに戻りたくなった

稚内のホテルで働き始め、月日は流れ、小口さんが40歳になった頃です。ふと、何か全く違う仕事をしてみたくなったと言います。

1つの企業で何十年も働くという人はいるけれど、どうせだったら経験のために全く違う仕事をしてみたいと思い始め、稚内市のハローワークへ行ってはいくつか面接を受けてみることに。
しかし、受けても受けても不採用が続き、小口さん自身も「5社落ちた頃くらいから開き直ってきましたね(笑)」と頭をかきます。

8件目、ハローワークの臨時職員の募集に応募し、見事採用されそこで2年半ほど営業職を経験されました。
業務の中で、学生さんをサポートするお仕事もあったようです。

「就職希望の学生のバックアップとして、ひとりひとり指導したり、全体講話なども行いました。たとえ希望する道にいけなくても、新たな道が拓けるかもしれないんだよってことを自身の経験を持って話すことができ、説得力をもたせられましたね」

新たな業界でのお仕事も小口さんにとっては、自分の経験を活かせた日々。しかし、不思議と次第にホテルが恋しくなってきたそう。そんなタイミングで、札幌のホテルで働いていた時の直属の上司から「三笠市に新しくできるホテルで働いてみないか?」という声がかかったのでした。

それが、HOTEL TAIKOです。

hotel_taiko10.JPGこちらはHOTEL TAIKOのロビー。清潔感溢れ、ほのかに良い香りがします。

「それまで三笠には、車で通ったことさえもなかったですね。寂しいまちなのかなと思ったけど、昔の名残が残っている住みやすいまちではありました。それに、色々歴史もあって、居心地の良いまちだなと」

HOTEL TAIKOの魅力

温泉が呼び水となり、それが一番の魅力でもあるこの施設。小口さんも初めてその温泉を見た時は「圧巻だった」と当時の情景を振り返ります。


hotel_taiko4.jpg全6種の浴槽に加え岩盤浴・サウナ、ゆったりとした休み処など充実の設備が揃っています。

これらの施設は、クリーンハウス株式会社が経営・運営しており、他にも様々な事業を展開している会社です。

これもどれも、人々の「いのち」と「くらし」のため。
めまぐるしく変化していく時代に求められる存在であり続けるためにと、こうして事業を展開し、多くの人たちから愛されるサービスなどを生み出しているのです。

「社長の『お客さまに喜んでもらうには上限がない』という考えがあります。これ以上はやらなくて良いよって線引きはないんですよね。だからHOTEL TAIKOはやれることは全部やりましょうっていうスタンスです。お客さまが笑顔になってくれたら、もっともっと私たちは嬉しいですから」そう話す小口さんの瞳は、とても優しいものでした。

hotel_taiko6.JPG

HOTEL TAIKOは前半にも記している通り、40室の客室の他に多目的ホールを備えています。このホールがあることによって、三笠市内で行う行事などもこのホール内で出来るように。今では三笠市には市民会館しかなかったものの、HOTEL TAIKOがこのまちに出来たことによってイベントや集会等の利用で使われるようになりました。

ホテルとしてのこれからの展望について小口さんに聞いてみると...

「市外からのお客さまはもちろん、市民の方々に可愛がってもらいたいですね。僕たちが動かないと市の人たちはわざわざここに来ない。だから、来てもらう手段をつくらないといけないと思っています。例えば、ホテル主催でカラオケ大会とか、催し物を提供していきたいです。まずはこのホテルの存在を知ってもらうことが一番ですから」

まだまだ太古の湯の温泉の方には行ったことがあるけれど、ホテルの方には足を踏み入れたことがないという人も多いそう。そのためホテル側も試行錯誤を重ね、ビンゴ高いの景品として無料宿泊券などを渡し、泊まってもらうためのチャンスをつくろうとしています。

hotel_taiko5.JPG

最後にひとつ聞いてみました。
『ホテルマンとしての魅力は?』

小口さんはニコリと笑い、こう言いました。
「辞められなくなる仕事です」と。

かつては、一度ホテル業界から離れた小口さんがまた恋しくなってきた戻ってきた業界。もともとは願っていた業界ではなかったにせよ、気づけば知ってしまったお客さまとの接客の蜜の味。現在この場所で働かれているスタッフからも仕事が楽しいという雰囲気が取材中伝わってきました。「お客さまのために」とイキイキとしているスタッフの方々が働くこの施設...一度訪れてみてはいかがでしょうか。

地元に密着し、そっと寄り添う素敵なホテルです。

HOTEL TAIKO(クリーンハウス株式会社)
HOTEL TAIKO(クリーンハウス株式会社)
住所

北海道三笠市岡山1042-20

電話

01267-3-7700

URL

https://www.taikonoyu.com


三笠市民に寄り添い、愛される温泉とホテル。HOTEL TAIKO

この記事は2019年7月19日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。