HOME>このまちのあの企業、あの製品>北海道の「計測と制御」を支える。株式会社ハイテックシステム

このまちのあの企業、あの製品
恵庭市

北海道の「計測と制御」を支える。株式会社ハイテックシステム20180830

この記事は2018年8月30日に公開した情報です。

北海道の「計測と制御」を支える。株式会社ハイテックシステム

私たちが生活する上で欠かすことのできない電気。突然ですが、この電気を作り出す発電所は北海道でいくつあるかご存じでしょうか?北海道電力が管理しているものだけでも71箇所あります。その中でも最も多いのは水力発電所で56箇所。この水力発電を支える管理システムを製造し、道内シェア80%を誇る企業が実は恵庭市にあります。その企業は株式会社ハイテックシステム。専務取締役である酒井裕司さんにお話を伺いました。

HTS02.JPG

道内シェア80%を誇る水力発電の管理システム

「当社は、1991年の創業以来、計測・監視・制御システムの「設計~製作~施工~保守」と一環したサービスを主に電力会社様に提供して参りました。現在では、特に水力発電所の管理システムにおいて、道内で80%の発電所に導入していただいております」。

水力発電とは主に河川、ダムを利用して発電を行う発電方式。季節や気候といった自然の力が大きく関わってきます。そのため、温度・流量・圧力・水位など、その時の状況を把握したり、過去の蓄積したデータからダムの放流量を決定するための計算をしたりと、コンピューターによる管理は不可欠です。この発電を支える管理システムを、ハードからソフトまで自社で一括して製造ができる企業はそう多くはありません。

HTS03.jpg

このハイテックシステムの技術がいま海外からも注目されています。2017年には国際協力機構(JICA)の「中小企業海外展開支援事業(※)」に同社が提案する「ラオス国 遠隔モニタリング技術を活用した水力発電所の運用・保守高度化に関する案件化調査」が採択されました。
昨今、東南アジアでは急速な経済成長に伴い、電力需要が高まっています。メコン川の水資源を活かした水力発電が盛んなラオスは「インドシナのバッテリー」とも称され、東南アジアの電量供給を支える存在です。これからも発電所の新設が多数計画されており、今後同社の管理システムがラオスに導入される日も近いかもしれません。

(※)日本の中小企業が有する優れた技術・製品を途上国の開発に活用し、開発課題の解決に貢献することを目的とした事業。

北海道らしいシステム。IT × 一次産業とは?

HTS04.jpg

「ハカル、ウゴカス、トトノエル。」これはハイテックシステムが掲げる企業テーマです。この言葉の意味を酒井さんはこう教えてくれました。

「当社は父が創業した会社で、小さい頃よく父に『ウチの会社って何やっているの?』と聞いていたのですが、『うーん、いろいろ難しいからなぁ』と濁されていたんです(笑)。確かに今考えると子どもに説明するのは少し難しいとは思うのですが、当時はなんだかスッキリしない思い出がありました。それから月日が経ち、私は大学進学で東京に出て、そのままエンジニアとして就職、ソフトウェア開発やデータベース・ネットワークの構築などを経験しました。そんな折、父の会社で大きな仕事が入りそうだというタイミングがありUターンすることになるんですが、この会社に入ると決断した時から、子どもの頃から疑問だった『ウチの会社って何やっているの?』の答えを探したんですね。すぐには答えは出なかったんですが、入社して2、3年経った頃に辿り着いたのが、企業テーマのあの言葉に繋がる『計測・制御の技術をコアとして事業を支える会社』という答えでした」。

HTS10.JPG

こうして、ハイテックシステムは計測・監視・制御における技術を更なる会社の強みとしていく中、北海道を支える一次産業の分野にもこれらの技術は活用できるのではないかと、これまでのノウハウを元に最新のIoTへのリノベーションも手掛けます。その代表的な例が、スマート農業ソリューションを提供するITベンチャーである(株)ファームノートが販売する、牛向けのウェアラブルデバイス「Farmnote Color(※)」の協同開発です。このデバイスは牛の首に装着して活動データをリアルタイムに集取することで、その活動データをクラウドに保存します。そして、収集したデータを元に牛の行動解析や発情や疾病兆候などの異常を検知することで最適な飼養管理を実現することができます。

(※)(株)ファームノート、(株)ハイテックシステム、(株)ビート・クラフトの3社で協同開発した牛向けのウェアラブルデバイス。

他にも、農業の分野では最小のエネルギーで高品質な堆肥を自動でつくるシステム、漁業の分野では船舶の位置情報などを管理するシステムなども手掛けています。

HTS06.jpg酪農、農業、漁業など一次産業における分野でも期待されるのが、ハイテックシステムの技術です。

北海道で働きたい人の受け皿になりたい

創業から27年を迎えた現在、社員は23名にまで増えました。一昔前までは、男性イメージな業界でしたが、現在はソフトウェアと電気制御設計として2名の女性エンジニアが活躍しています。酒井さん自身がUターンということもあってか、こうも仰います。

「実は当社はUIターンで入社する方が全体の6割と、とても多いんですよね。みなさんが北海道に戻られる理由として挙げられるのが『当時は北海道に希望する仕事ができる会社がなく、仕方なく本州に出た』ということ。私自身も最初は東京で就職しましたが、当時は北海道に戻ろうという気持ちはありませんでした。その理由も東京というダイナミックな土地でしかできないことがあったからです」。

HTS05.JPG「年令に関係なく、この会社で経験を活かしてもらえたら」と酒井さん。

Uターンし入社された方の中には、東京で定年退職を迎え、2年程経った後、親の介護のために北海道に戻られた方もいらっしゃれば、愛知県で電気関係の技術者として工場機械設備の修理に従事していた方が、ゼロからモノをづくりをしたいと入社された方もいらっしゃいます。このようにUIターンの方が多いのには何か理由があるのでしょうか?酒井さんがこう答えてくれました。

「会社として、北海道で働きたい人の受け皿になれれば、という想いがあります。泣く泣く北海道を出て行ってしまった方や、これから社会にでる新卒の方もそうです。北海道、そしてこの恵庭にもこんな企業があるんだと興味を持ってもらえたら嬉しいですね。これからも自然に恵まれた北海道から世界に向けてアイデアと技術を発信していきます」。

株式会社ハイテックシステム
株式会社ハイテックシステム
住所

北海道恵庭市戸磯76番地22

電話

0123-32-8141

URL

http://www.hitech-system.co.jp


北海道の「計測と制御」を支える。株式会社ハイテックシステム

この記事は2018年5月21日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。