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北見市

北見で25年以上も愛され続ける、ケーキハウス ティンカーベル20180712

この記事は2018年7月12日に公開した情報です。

北見で25年以上も愛され続ける、ケーキハウス ティンカーベル

誰よりも自分たちがおいしいと思うお菓子をつくろう。その意気込みを胸に、平成元年にオープンした「ケーキハウス ティンカーベル」。地元の小麦粉や生産者が環境を整えて大切に育てた平飼い鶏の有精卵など、こだわり抜いた良質な素材を使ったケーキや焼き菓子には、ファンも多数。なかでも看板商品の『チーズベーク』は、北海道のチーズケーキファンなら一度は味わったことがあるであろう人気商品。こんがりおいしそうな表面の皮と、北海道産やフランス産など贅沢に4種類も使用したチーズフィリング、そしてサックサクに焼き上がったパイ生地は相性バツグンです。お店の拡大や冷凍販売を一切行わず、地域に根ざして実直にお菓子をつくり続ける「ケーキハウス ティンカーベル」にお邪魔しました。

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幼い日の鮮烈な記憶が、決して減らないエネルギーに。

「手を抜くとすぐケーキに出てしまうので、毎日が真剣勝負です。焼き上がりのツヤが悪くなったり、色にムラが出たりね」。オーブンに鋭い視線を光らせながら語ってくれたのは、『チーズベーク』の生みの親でもあるケーキ職人の柏倉かすみさん。島根で生まれ、高校卒業後に上京して一度は一般企業に就職した柏倉さん。入社して3、4年が経った頃、友人がアルバイトをしていたケーキ店の職人を見て、手に職をつけるのも良いかなと感じたのがこの道に入るきっかけだったそう。

bear_tinkerbell_3.jpgケーキ職人の柏倉かすみさん

「手に職をつけたいと思った時、友達のお母さんが作ってくれたケーキがおいしくて、大喜びした記憶が蘇りました。ケーキ職人は人を笑顔にできる。これが、この道に飛び込んだ理由ですね」と笑顔で話してくれる柏倉さん。「修行を始めたのは、もう40年以上前のこと。当時は女性のケーキ職人なんていなくて、それでも一番にお店に来て掃除をしたり、先輩の技を観察したり。それに昔は温度調節が難しいガス釡を使っていて、手を入れて『熱い』ならシューを焼く温度、『アッツ!』ならスポンジを焼くのに適している温度と、感覚で判断するしかなかったんです。その時に自然と、体で覚えるということが身に付きました」

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我が子同然、日々進化を遂げる自慢の「チーズベーク」

看板商品の『チーズベーク』は、ふんわりとろとろ食感のクリームと、オホーツク産小麦で仕上げる軽い塩味のパイ生地が一番のポイント。作り上げる過程で大切にしていることを聞いたところ、卵やバターの温度・湿度管理に気を配っているとのこと。また、作る工程で1番大事なのはチーズフィリングの混ぜ方にあるそう。

bear_tinkerbell_5.jpg作業を行う、オーナーでご主人の柏倉一敏さん

柏倉かすみさんによると「うちでは自家製カスタードを炊き上げてから、北海道産とフランス産、オーストラリア産の2種、計4種のチーズをブレンドしています。混ぜすぎても、混ぜ方が足りなくてもダメ。ほんの少しの差が食感を変えるんですよ。釡に入れるまでは手肌の感覚をフルに使っています。『チーズベーク』は改良を重ねて育ててきた私の『二番目の子ども』だから、とりわけ気持ちを込めて作っています」

誰よりも丁寧に、実直に、真摯に。

訓子府町の『西山さん』の平飼い有精卵や『菅野養蜂場』のハチミツ、興部町『アドナイ』の発酵バターなど、地元の厳選素材を使った焼き菓子にも定評がある同店。フィナンシェやマドレーヌなどは、ベーシックなつくり方を採用しているからこそ、食材の差が「おいしさの差」となって表れるといいます。

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「誰よりも、自分たちがおいしいと思うお菓子をつくろう」。その意気込みを胸に、オーナーでもあるご主人の一敏さんと夫婦で二人三脚。平成元年に、北見で念願の独立を果たしました。 『ケーキが荒れる』ことからお店の拡大や、『チーズベーク』の冷凍販売は一切しないそう。地域に根ざして丁寧に、ただただ実直にお菓子をつくり続けるひたむきさが伝わってきます。

未来の職人たちを育てる、失敗体験。

「私も60歳を超えたので、そろそろお店を次の世代に託すことも考えています」と柏倉さん。東京で働いていた娘さんが帰ってきてくれたそうで、彼女にお店を譲れる形をつくっておきたいと今は考えているそうです。

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「今は製造スタッフの教育に力を入れています。まずは何事にもチャレンジさせてみて、失敗しても怒らずにどこが間違っているかヒントをあげるスタイルをとっています。失敗して自分で考えなきゃ、人間成長できませんからね」と話してくれていると、横からご主人の一敏さんが「丸くなっただけ(笑)」と茶々を入れるなど、このお店に漂う明るくアットホームな雰囲気が伝わってきました。ここから巣立っていく次世代の職人たちにも、期待が高まります。

職人の未来を見据え、独立志向にも寛容に。

「ケーキの製造スタッフは立ち仕事ですし、長時間集中しなければならないので体力的に厳しい側面もあります」と包み隠さず教えてくれたのは、オーナーの柏倉一敏さん。

bear_tinkerbell_8.jpg一敏さんは、後進の育成に独自の考えを持って取り組んでいるそう

「私が面接の際によく聞くのは『独立する気持ちがありますか?』という質問」。というのも、5~6年一生懸命働けば、ひと通りの作業は覚えられるからだそう。「でも、その職人にとってはうちの店の壁を越えられず、そこから成長できないと思うんです。スタッフのことを長い目で見ると、技術の引き出しを増やして、自分のスタイルを確立してほしいと考えています。もちろん、さまざまな経験を積んだ職人が、うちの店の未来を担っていくというパターンも大歓迎!」

ケーキハウス ティンカーベル
住所

北海道北見市卸町1丁目1-9

電話

0157-33-1210

URL

https://www.tinkerbell-kitami.com/


北見で25年以上も愛され続ける、ケーキハウス ティンカーベル

この記事は2014年6月12日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。