
糖尿病患者をはじめ、生活習慣病の予防を支える食事として世界中で注目されている糖質制限食。近年は肥満予防やダイエットの分野でも脚光を浴びている、この糖質制限食づくりに早くから取り組んでいるのが、小樽市銭函に社屋を構える小樽ダイニングです。体脂肪を落としたい! 無理なく健康的に痩せたい! 糖質制限食ってどんなメニューがあるの? 気になる秘密を調査してきました。
糖尿病のみならず、ダイエットにも応用される糖質制限。
最初にお話を聞いたのは、糖質制限食のオーソリティ・同社生産部長の寺澤敏文さん。そもそも糖質制限食とは何かを質問してみました。「ひと昔前は、肥満や糖尿病の原因は『脂質』とされていましたが、最近は『糖質の過剰摂取』が問題視されるようになりました。そこで糖尿病治療食や肥満対策としてつくられるようになったのが、糖質制限食です」と寺澤さん。同社では素材やレシピ、調理法を工夫し、糖質の量を大幅に抑えた料理に仕上げているのだそう。

生産部部長の寺澤敏文さん
最近では糖質に重点を置いたダイエットも流行っているそうで、「人間の体は糖質の摂取量が減ると、足りないエネルギーを補おうとして脂肪を燃やします。これにより体重が減る仕組みを利用したのが、糖質制限ダイエットです。具体的にはお米やパン、麺、果物など糖質を多く含んだ食品の摂取を控えるだけなので、手軽に始められるのが魅力です」
大豆粉やとうふ米、ヘルシー食材で糖質を徹底的に削減!
製造品を見てみると、ピザにパスタにサンドイッチにスイーツまであり、普通の料理とまるで変わりません。寺澤さんによると、一見同じに見えて糖質は70~80%以上オフなのが同社の糖質制限食なのだそう。そのヒミツは、素材や料理法にあるのだとか。

「例えば、ピザやパン、パスタの原料となるのは小麦ではなく『大豆粉』や『ふすま(小麦粒から胚乳・胚芽を分けた残り部分)』を使います。また、カツ丼やチャーハンで使われているのは、コメではなく『とうふ米』。調理の際にも、砂糖やみりんは使わずにメニューを組み立てています。とにかくあらゆる工夫を凝らし、糖質をコントロールしているんです」と寺澤さんは言います。
おいしくなければ意味がない、守り続ける食の楽しみ。
季節や歳時によって変わりますが、主食から惣菜、デザートまで常時150種類前後のメニューを同社では提供しています。幅広いレパートリーを持ちながらも、他の食品工場とは異なり、ラインでの大量生産はしていないそう。「どの工程にもこまやかな気配りが必要になるので、基本はすべて手作業です」

販売は、病院や大手デパートを介した通信販売やネットでの受注がメイン。昨今のダイエットブームも追い風になり、法人個人ともにニーズが増え続けているとのこと。「配送は当社独自のアルコール凍結技術を駆使した冷凍状態で送られますので、味や風味が落ちることはありません」と自信に満ちた表情の寺澤さん。実際に大豆パンを試食させてもらいましたが、本当においしかったです。「いくら見た目が普通のパンと同じでも、おいしくないなら意味がないですからね。幾度となく工夫を重ね、本格的なテイストに仕上げています」
「食事って人生の大きな楽しみのひとつ。糖尿病の方にもダイエットに挑戦している方にも、食べる楽しみを忘れないでほしいから、見た目から香り、さらに味わいにまで徹底してこだわり抜くのがうちの会社のポリシーです」
命を任される重さ、増す仕事への責任感。
寺澤さんは「すでにある料理を、既存の素材や調理法を使わずに作るのが仕事」と話します。試行錯誤を重ね、必然的に回り道になることも多いのだとか。「ここでみりんが使えたらとか、小麦粉があればなんて思うこともしょっちゅうです。でも苦労を重ねた料理が完成して、それを食べたお客様に『食事制限していることを忘れるくらいにおいしい』とか『ダイエット中なのに満腹!この次もまた頼みたい』とか言われると、本当にうれしいです」。また主食と主菜、3つの副菜を調理した低糖質のランチパックが好評なことも、創作意欲を後押ししてくれているそう。「お客様の中には『おたくの食事に命を預けているんです』という、重い糖尿病の患者さんもいます。食は『楽しみ』であり、大切な命を支える『糧』でもあるんですよね。そんな人の信頼を裏切らないためにも、もっと安全でもっとおいしい糖質オフメニューを考えたいです」
驚きのリピート率を誇る、糖質オフのチョコパン。
「スイーツは別腹」とはいうものの、なかなか思う存分は食べられないモノ。でも小樽ダイニングのスイーツは、糖質をなんと50~85%以上もカット。まさに、ダイエット中の甘党さんのサポーター!
なかでも、一番人気はローカーボチョコレートパン。

チョコレートと生クリームのハーモニーとエクレアのような食感が人気で、リピーター率もNo.1のメニューです。甘さも腹持ちもバッチリですが、糖質はわずか4.5グラム。通常タイプより約85%もカットされています。他にもマドレーヌやブラウニー、アイスクリーム、レアチーズケーキ、生チョコレートなどラインナップ豊富なスイーツを取りそろえています。どれにしよう?と選べる楽しみがあるのも、たくさんの人に愛される大きな理由です。

作り出す喜びと、心震える感謝の言葉が原点。
現在1000人もの顧客に食事を提供する同社。続いて、所長の田村誠さんにお話を聞きました。「うちの製造は、メニュー開発がメインです。食堂で出されているあの料理を低糖質にできないか、人気のご当地メニューを糖質オフにするには、他にない全く新しい糖質制限の料理をつくる方法は。我が社の製造スタッフは、毎日そんなクエッションと格闘しています」と田村さん。

所長の田村誠さん
産みの苦しみがある反面、その何倍もやりがいを味わえるのだそう。「食品製造の世界は多種多様ですが、同じ製品をコンスタントにつくることより、頭を捻りながら新しいおいしさを生み出していきたい!という人に、ぜひトライしてほしい仕事だと思っています」