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このまちのあの企業、あの製品
清水町

牛とろは唯一無二の旨さ!有限会社十勝スロウフード20180215

牛とろは唯一無二の旨さ!有限会社十勝スロウフード

牧場内で自由に、ストレスなく過ごす牛たち。

全国ネットのテレビ番組に何度も登場し、今や生産が追いつかないほどの人気商品「牛とろフレーク」。凍ったままアツアツご飯にのせるだけで、肉の旨みと甘みが口中にとけ出す絶品です。

そんな新しいおいしさを生み出したのが、有限会社十勝スロウフード。牛肉の臭みやクドさがまったく感じられない味は、ほかでは決して到達できない「オンリーワン」です。そのヒミツは関連牧場のボーンフリーファームで健康に育てられている牛。実は、かつてこの牧場は畜産農家ではなく酪農を営んでいたそうです。

「ボーンフリーファームを切り盛りする斉藤英夫さんは兵庫県のご出身。酪農学園大学への進学を機に北海道に渡り、昭和46年に清水町に入植して牧場をスタートさせました」

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こう教えてくれたのは十勝スロウフードの代表を務める藤田惠さん。当時は乳量を搾れば搾るほど良いとされる時代で、牛たちには輸入飼料中心のエサをたっぷりと与えていました。おかげでボーンフリーファームは清水町でもトップクラスの生産量になりましたが、ある日、一頭の牛が突然動かなくなり、そのまま息を引き取ってしまったというのです。

「斉藤さんがその牛のお腹を開いてみると、肝臓が豆腐のように柔らかく、張りを失っていたそうです。体に大きな負担をかけてまで生乳を搾っていたという事実にショックを受け、健康に生きられる牛づくりに取り組むようになったと聞いています」

ボーンフリーファームは25年ほど前に肉牛の肥育に転換。現在は輸入飼料を一切使わず、自家製の牧草をはじめ、小麦のふすまや十勝産のじゃがいもデンプンの搾りかすなど地場のものを配合しています。広い牧場内で牛たちが自由に過ごし、エサも「牛任せ」で食べさせていることがストレスの軽減、そしておいしいお肉の生産へとつながっているのです。

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食肉加工業界を揺るがすピンチを乗り越えて。

藤田さんの前職は食肉加工の会社。母校の帯広畜産大学で収穫祭を手伝っていた時、飲食ブースにたまたま顔を出したのがボーンフリーファームの斉藤さんでした。

「その時、斉藤さんが自分で育てた牛のお肉を見せてくれました。すると、常温にも関わらず見る見る脂がとけ出して液体になってしまったんです。牛脂って固いものだとばかり思っていたので、にわかには信じられない現象。この特長を生かせばおいしい加工品がつくれると確信した瞬間です」

藤田さんはボーンフリーファームとタッグを組み、「立派に育てた牛を余すところなく食べてほしい」を合い言葉に商品開発をスタート。サーロインやヒレではなく、本来は流通されないような部位で生食用のひき肉を試作しました。

「その後は製造の精度を高めていき、袋入りの牛とろフレークが誕生したのが平成9年。2年後には今のカップ入りの商品が生まれました」

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テレビ番組や雑誌の紹介という後押しもあり、「牛とろフレーク」は順風満帆な推移を続けていきました。ところが、O-157やユッケ集団食中毒事件など食肉加工業界全体を脅かすようなピンチを迎えます。

「かつては生食用の牛とろを提供していたものの、平成23年には食品衛生法の規制が強まり一度は製造を中止しました。どうにか生に近い食感や味を再現できないかとたどり着いたのが、生ハムづくりの手法。一度塩漬けにすることで非加熱食肉製品として提供することができ、味わいも以前の生食用と同等まで導きました」

tokachislowfood_5.jpgスタッフの皆さんは半袖着用が義務。お肉に袖がふれ、菌がついてしまうリスクを防ぐためです。

なるほど、食肉加工は衛生面が何よりも大切なのですね。工場を見せてもらうと確かに納得。アルコール消毒しなければ扉が開かないシステムを採用した場所もあり、清潔さを徹底していることが伝わってきます。スタッフは包丁やボールなどの器具を使用するたびに必ず二度洗いし、熱湯消毒も欠かしません。工場内は手術室と同程度の無菌状態を保っているというから驚くばかりです。

tokachislowfood_6.jpgきれいに洗われた製造器具。機械にも毎回カバーをかぶせる徹底ぶりです。

「牛とろフレーク」に続くヒット商品を。

製造現場のスタッフとしてお話を聞かせてくれたのが川浪風実香さん。清水高校の総合学科で食品製造を学び、ソーセージづくりも経験したことがあるという理由から担任の先生に就職をすすめられたといいます。

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「私は知らない土地で新しいコミュニティを広げていくのが苦手なタイプ。就職先は町内や十勝管内を考えていましたし、デスクワークよりは手を動かしているほうが好きなので食品工場で働くのはピッタリだと思いました。ただ、灯台下暗しというか、入社するまで十勝スロウフードのことを知らず、清水の御影地区にこんな工場があったんだ...という感じでしたね(笑)」

「牛とろフレーク」は、ボーンフリーファームの肉の旨みを最大限に生かすため、余計な味付けはしていないのだとか。けれど、と畜場から届く肉はさまざまな微生物に汚染されている可能性があるため、表面を削り取らなければなりません。肉に手をふれないように表面を薄く削ぎ、赤身、脂身、すじ肉に分ける作業は、包丁一本で真剣勝負する職人技。川浪さんも一人前になるには、長い時間がかかりました。

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「入社から3年ほどが経ったころ、食品衛生管理者の資格を取るために東京で1カ月ほど講習を受けました。月決め賃貸に暮らしたんですが、水道水の匂いが気になるし、街行く人々は足早でせわしなく感じるし...。地元を離れてみて初めて清水町の恵まれた環境に気づきました」

今はサブリーダーとして工場の人員配置や仕事の割り振り、製品のチェックなど、若くしてマネジメント側に回っている川浪さん。製造スタッフの皆さんは年上がほとんどなのだそうですが、協力し合って「つくってもつくっても注文が入る」という、うれしい悲鳴の現状を乗り越えています。

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「私たちの主力商品は『牛とろフレーク』。けれど、これからはさまざまな人が手に取りやすいもう一つの柱を生み出したいと考えています。ここ最近では『道産牛スネ肉がゴロッと入ったコクと旨みのスープカリー』が常温で保存できるという理由から好評ですが、まだまだ柱とはいえず...ヒット商品開発への道のりは険しいと実感しています」

同社は物産展やイベントへの出店も強化中。今年東京で開催された巨大フードイベント「まんパク」では、「牛とろ丼」が人気グルメランキング堂々の1位を獲得しました。つくり手の川浪さんが工場を離れることはできませんが、「ツイッターで検索すると、『牛とろウメー!!』みたいな反応を発見(笑)。自分が手がけたものを選び、喜んでくれる人がいるんだってうれしさが込み上げてきました」とニッコリ。表情は穏やかながら、瞳の奥には彼女の仕事に対する誇りと、次なるヒット商品をつくるという意気込みが揺れていました。

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有限会社十勝スロウフード
住所

北海道上川郡清水町御影499-8

電話

0156-63-3011

URL

http://www.gyutoro.com/

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牛とろは唯一無二の旨さ!有限会社十勝スロウフード

この記事は2017年9月26日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。