国内外から人々が集う、スケールの大きな観光農園。
北海道はさくらんぼの作付け面積が山形県に次ぐ第2位ってご存知ですか?中でも芦別市の「有限会社大橋さくらんぼ園」は、広大な敷地にさくらんぼの木が約1500本も根を張り、たわわに実る品種も「佐藤錦」や「南陽」、「月山」など多種多彩です。農園にかかる雨よけドームの大きさは日本最大級で、天候を気にせずさくらんぼ狩りが楽しめる観光農園としても有名。夏のシーズンには国内外から数多くのお客様が詰めかけます。さらに、同社が手がける「さくらんぼジャム」や「さくらんぼマヨネーズ」など、加工品のおいしさも一級品なのです。
穏やかな音楽を聴いて育つさくらんぼ!?
「ウチの農園スタッフはとにかく手間ひまかけて、甘くおいしい実を育て上げているんです。有機栽培ということはもちろんですが、土づくりに酸素や土着菌を活用したり、果てはさくらんぼの木がすくすくと育つよう穏やかな音楽を聴かせたり。ほら、クラシックが聞こえてきませんか?」
やさしい笑顔で農園を案内してくれたのは、さくらんぼの加工品づくりを担当する星野夕佳里さん。生まれも育ちも芦別で、一度は就職のためにまちを離れたものの結婚を機にUターンしたそうです。
「私は緑がいっぱいで星もきれいな芦別が大好き。地元らしい仕事をしてみたいと考えていたところ、古くからまちに根づいている当園の求人を見つけました。実はお菓子づくりが趣味なので、『さくらんぼチーズタルト』や『さくらんぼパイ』といった加工品を手がけるという仕事内容にも興味が湧いたんです」
みんなで「育む」、手づくりの加工品。
お菓子づくりが得意とはいえ、商品としてお客様に提供できるクオリティに仕上げるのは趣味とは段違いの難しさだったとか。
「最初は腕に覚えアリ!でしたが、パイ生地を延ばすにも不用意に粉を足したら割れてしまいましたし、きっちり空気を抜かずに焼いたら中身が飛び出しました...(苦笑)。開発担当のレシピに添って仕上げれば味は間違いないのですが、当園のスイーツはすべて手づくりですから失敗も多くて...」
そんな星野さんをサポートしてくれたのが先輩や上司。作業工程を一度に説明してどんどん先に進むような指導方法ではなく、「じゃあ、今のところをメモしようか」とポイントごとに立ち止まって丁寧に教えてくれたそうです。時には作業をビデオに撮って解説してくれるなど、至れり尽くせりだったと笑顔を見せます。
「私が主に携わっているさくらんぼのパイやタルトは5〜6年前に登場した商品ですが、今でももっとおいしく仕上げようとスタッフで意見を出し合いながらつくっています。さくらんぼと同じように『育んでいる』という感じがしますね」
お客様の思い出に残る接客力を磨きたい!
星野さんはゆったりとした会社の雰囲気もお気に入り。スタッフは20代の若手から70代のベテランまで幅広い年代がそろっており、家族のように働いているといいます。
「休憩中には、毎日のように畑のスタッフが『何かおやつないのか〜』とどこからともなく現れます(笑)。ウチは年配さんがとにかく元気で、毎日、山の上の当園まで自転車で通って来る70代の方もいます...信じられない体力ですよね(笑)」
ピクルスやマヨネーズなど、星野さんがつくり方を覚えなければならない加工品はまだまだたくさん!最後に今後の目標を尋ねてみました。
「シーズン中は加工場の外に出てさくらんぼの狩り方をアドバイスしたり、販売スタッフに早変わりしたり、お客様と接することもあります。『さくらんぼ狩りが楽しかった』とか、『タルトがおいしかった』と言葉をかけていただくこともさることながら、お客様が本当に満足した笑顔でお帰りになる瞬間がとってもうれしいんです。だから、もっと思い出に残るような接客力を磨くことも目標です!」
- 有限会社大橋さくらんぼ園
- 住所
北海道芦別市上芦別町469番地
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