
日本を代表する製パン業、山崎製パン。全国に30近くの製造拠点を持ち、その内、北海道内唯一の拠点が、ここ札幌工場です。できたて、つくりたてを消費者に届けることにこだわり、消費地の近くに製造拠点を展開してきた同社。現在、北海道内に供給されるほぼすべてのパンが、札幌工場で製造されています。
札幌工場のスタッフも「自分たちがつくったパンが地元、北海道の皆さんに食べられている」と誇りを持って働いています。
理系の知識が活かせる職場。
菓子パンや弁当、洋菓子など多彩な製品をつくっている札幌工場。案内役を引き受けてくれたのは、食パン課係長の山田崇さんです。
「実は私の出身は九州。高校卒業後は地元の工業大学で学び、専門はバイオテクノロジー。微生物についての研究をしていたんです。パンの発酵に欠かせない酵母も微生物なので、自分の研究が生かせるのではと、この業界を選びました。ヤマザキはパン業界でもトップメーカー。せっかく働くなら、多くの人に製品を届けられる影響力の大きい会社が良いと思ったんです。札幌工場に来てからはまだ2年ほどで、その前は東村山市にある埼玉第二工場にいました」
現在はハイテク、でもかつては...。
一口にパンの製造と言っても、その工程はさまざまです。
「私が最初に配属されたのは、焼きあがったパンを切り分けて袋詰めする『包装』の部署。当時は先輩に付いて、見よう見まねで覚えていく...という、基本的なやりかたでした。最近は機械化が進んで、スライスの厚さもボタンひとつで自由自在ですが、私が入ったころはまだまだアナログで、機械を調節してパンの厚みを変えるのも手作業。うまく切れない時は微妙に刃を調整するなど、かなり人の手が必要でしたね」
マルチに活躍できる「多能工」を育成中。
山崎製パンではマルチに活躍できる人材の育成にも積極的に取り組んでいます。
「私の場合、包装の仕事を2年ほど経験し、その後、仕込み、成型、オーブン(焼き上げ)という、パンづくりの一連の工程に携わりました。全体像を理解するまでには10年くらいかかったと思います。山崎製パンでは担当する仕事を変えながらステップアップし、『多能工』と呼ばれる幅広いスキルを持った人材を育成しているんです」
「パンは生き物」だと理解することが大切。
パンづくりで大事なことは、「パンは生き物」だと理解すること、と山田さん。
「微生物のはたらきは、その日の気温や水温、湿度などに大きく影響を受けます。それは、街のパン屋さんでもウチのような大規模工場でも同じこと。当社にも標準的な製法はありますが、その日の発酵具合を見極めて微妙な調整を施すには、長年の経験と勘を頼りに行っています」
新商品は現場から生まれています!
一般的な食品メーカーだと、製品開発は専門の部署が行うことが多いですが、ヤマザキパンには『新製品は現場で開発』という風土が根付いています。
「ふだんは製造に携わっているスタッフが、仕事と並行して製品開発にも取り組んでいるんです。ものづくりに携わる人間にとって新しい製品づくりはやりがいの大きな仕事。現場のスタッフでもそこに携われるのが当社の魅力だと思います」
ふんわり食パンは札幌工場で誕生!
今やヤマザキパンのヒット商品として全国販売されている「ふんわり食パン(当初の名称は「やわらか食パン」)」も、もともとは札幌工場で開発されたものでした。
「この仕事の醍醐味は全国の皆さんに味わってもらえる製品を開発することですね。私も『やわらか食パン』の開発には携わりましたが、少し手伝いをしたくらい。自分が中心になって新しい製品を開発する...それがものづくりに携わる者としての大きな目標です」
- 山崎製パン株式会社 札幌工場
- 住所
北海道恵庭市恵南10-1
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