
父の手助けをしたいという思いでUターン。
凛としたシルエット、計算され尽くした機能性。津別町の山上木工が制作する「ISU WORK」の作品に触れた時、一目惚れのような感情が湧き起こりました。現在この「ISU WORK」のプロジェクトを担当しているのは、山上木工の三代目、山上裕一朗さん。
裕一朗さんは東京の大学を卒業後、三重県の工作機械メーカーに就職しました。ほどなく結婚し、子どもも授かります。仕事も順調。順風満帆な毎日でしたが、歳を重ねていくほど故郷で木工を営む父親の姿が目に浮かぶようになります。
「同じもの作りを経験することで、父のスゴさや苦労が分かるようになったのかも」
すでに山上木工は著名な木工家とジョイントした家具をリリースしたり、NC工作機械を8台以上設備するなど業界を先駆ける多彩な取り組みをしていました。その一方で人手不足や資金などいくつかの課題も。少しでも父の負担を軽減できたら、三重での特殊な経験を木工の世界に活かすことができたら。そんな思いを抱え裕一朗さんは30歳を目前に、奥様と子どもを連れて津別にUターンしたのです。
企業のために、そして大好きな故郷のために。
「ISU WORK」は山上木工の業務のほんの一部。同社の主要業務は木製家具や建具、モニュメントの設計製造です。強みは職人力と先端を行く機械力。大手のような量産はできませんが、技術力は国内トップクラス。
故郷に戻った裕一朗さんの仕事も多彩を極めました。「総勢17名の会社ですからね。CADから工作機械の操作、さらに営業まで。山上木工の何でも屋です(笑)」
津別に戻り2年が過ぎました。父の右腕という実感はさらさらありませんが、刺激的な商談を交わし、ユーザーから賞賛の声が届くこの仕事に大きなやりがいを感じることも。「仕事の手応えは高まる一方。ISU WORKのファンも着実に増えています」
最近は豊かな森を抱く津別や、独自のカルチャーを育むオホーツクというエリアに無限の可能性も感じるようになったとか。クリック一つで世界と繋がる時代。若い自分たちができることはまだまだあるはずだと、裕一朗さんは語気を強めます。
きっかけは父のサポートのためのUターン。いつしかそれは山上木工のために、故郷津別のためにという、夢の連鎖を生み出していきました。その理由を尋ねると裕一朗さんはこう言います。
「つまりそのくらい僕は津別が好きってことなんでしょうね」
現場で働く職人さんとともに。
- 株式会社山上木工
- 住所
北海道網走郡津別町字達美147-6
- 電話
0152-76-4934
- URL
ISU WORKS
http://isu-works.com/