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このまちのあの企業、あの製品
旭川市

餡は「餡屋」。職人技でおいしさを突き詰める株式会社福居製餡所20190504

餡は「餡屋」。職人技でおいしさを突き詰める株式会社福居製餡所

饅頭や団子に欠かせない餡は、和菓子屋さんが手掛けていると思っていませんか? 実は多くの場合、餡の専門企業が製造を担っています。餡づくりはそれだけ難しく、手間ひま掛かる仕事なのです。

株式会社福居製餡所が生まれたのは、昭和23年の旭川。以来、餡一筋においしさを磨いてきました。お客様の要望に応えた餡づくりを進める一方で、地元の小豆をアピールする取り組みにも積極的。豆といえば十勝をイメージしがちですが、上川の生産者と二人三脚で質の高い小豆が採れることを発信し続けてきました。

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その代表となる品種が『しゅまり』。上川の気候風土によく合い、餡に加工すると豊かな風味と紫がかった良い色を出すのが特徴です。この品種を地場の小豆として売り込み、「上川産」の知名度を高めてきました。

さらに同社では羊かんを筆頭に、道産のかぼちゃやりんごを使った甘納豆などオリジナリティの高い加工品も製造。独自の路線の開拓にも取り組みます。職人の技術を大切にしながらおいしさを突き詰め、「味も営業マン」となって今や取引先は道外にも広がります。

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晩秋でも汗ばむ暑さの工場内。夏には50度近くにも!

その工場のなかを訪れると...。小豆を炊く機械からモクモクと蒸気が上がり、いい香りもほんのり。とはいえ、季節は10月にも関わらず、工場内は汗ばんでしまうほどの蒸し暑さです。「今の時期はマシなほうですよ。夏場なんて、50度くらいはあるんじゃないかな」と声をかけてくれたのは、製造課長の黄金幸司さん。「僕らでもまいっちゃいそうなほど暑いですから(笑)」と、製造2課主任の津野恭行さんも冗談交じりに話します。

黄金さんが入社したのはもう35年ほど前のこと。もともとパンの製造に携わるなかで餡を使った商品を扱う機会も多く、ふとした瞬間に「餡づくりって、パンとはまた違った面白さがあるのかな...?」と、考えて福居製餡所に転職したそう。ガムシャラに頑張っていたら、あっという間に35年が経っていました、と笑います。

bear_fukui-seianjo_4.jpg製造課長の黄金幸司さん

一方の津野さんは、定時制高校に通いながら、昼間はこちらの会社でアルバイトをしていたのがきっかけ。最初は小豆の選別作業に当たっていましたが、卒業が近くなってきたころに、課長から「そのまま手伝わないか」と声がかかり、つくり手になったそう。バイト時代からあわせると、すでに15年ほどの社歴になります。

bear_fukui-seianjo_5.jpg製造2課主任の津野恭行さん

どんなに自動化が進んでも大切な「豆の顔色を見る」職人技。

一見して、かなり自動化が進んでいるように見える工場内。人が行う作業は小豆や砂糖を計量して機械に入れるだけ...? そう尋ねてみると、黄金さんから返ってきたのは「そう言えればラクなんですが」という笑い声でした。

「例えば小豆を炊くにもその日の気温や湿度、豆に含まれる水分によって時間を変えなければなりません。ほんの少し火を強めるだけで豆の形が崩れることもあるから、気を緩められないんです。当社では豆の顔色を見ながら炊けって先代からの教えもあります」

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津野さんの主な仕事は炊き上がった小豆を練りながら砂糖を加える工程。炊き上がった「生餡」の状態を見極めて練り上げ時間や加糖量を決めたり、ヘラで豆をすくって粘り気を確かめたり...。そんな職人的な塩梅を身につけるまでに5年は掛かったといいます。そこにたどり着くまでには黄金さんの厳しい指導があったのでしょうか?

「優しいというとウソになるかもしれません...(笑)。だけど、職人の世界にありがちな『目で見て盗め』というスタンスではなく、重要なポイントはアドバイスしてくれましたね」

自身が入社したころはまさに「職人の世界」に放り込まれ、先輩の仕事を盗むのに随分苦労したという黄金さん。だからこそ、後に続くスタッフたちにはきちんと教えて育てようと考え、その上で自分なりのやり方を見つけてほしいという思いで指導をしてきたそうです。

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さて、そうして作り上げた餡。同社では、誰が味のチェックをしているのでしょうか?

「もちろん僕自身も毎日チェックしますし、専務や社長も味見します。だけど、『最後の砦』は当社に何十年も勤めているパートさん。ふだんの味と少しでも違ったら、たちまち見抜かれて呼び出されます。もう60歳を超えているんですが、とにかく味覚が鋭いんです(黄金さん)」

長年受け継がれた技術を守りつつ、時代に合わせた挑戦も。

次にお二人に仕事の面白さについて質問してみました。

「僕の場合、津野くんを筆頭に製造スタッフが成長してくれたので、現場はほとんど任せています。この10年ほどは人を育てることに面白さを感じるようになりましたね。当社に連綿と受け継がれてきた技術を、若いスタッフが徐々に身につけてくれるのが何よりうれしいです」と、黄金さん。

「お客様と直接やり取りしてオーダーに添った餡を製造する機会も増えていますし、自分が新商品づくりに携わることもあります。珍しいフルーツを使った餡という前代未聞のリクエストを受けたことも。そんな未知の世界にチャレンジするのって燃えてくるんです」と、津野さん。

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会社の規模は小さいものの、だからこそ小回りのきいた柔軟な対応が持ち味の同社。今後は小ロットの生産といった時代にあわせたおいしさづくりを進め、福居製餡所が築いてきた味と品質を守りながら、お客様の期待を裏切ることなく更なる高みを目指して頑張っていきますと、二人は顔を見合わせ素敵な笑顔を見せてくれました。

人を大切に育てること、地域を大切にすることが会社の使命。

そんなナイスコンビな先輩、後輩が活躍する同社のものづくりについて、取締役専務の福居裕二さんにお話を聞いてみました。

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「当社の餡づくりは自動化が進んでいるとはいえ、おいしさを生み出すためには要所要所に職人の技術が必要。その勘どころをつかむには、少なくとも10年は掛かります。スタッフには長く勤めてもらいたいと考えているので、当社は一つの技術を、腰を据えてしっかりマスターしてもらうスタイルです。人を大切に育てる姿勢が伝わっているおかげでしょうか、従業員の定着率は高く、私より社歴の長いパートさんもいらっしゃいます(笑)」

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長年続いてきた味を守り、更に品質を高める取り組みと同時に、大切にしているのは地域とのつながり。「旭川のまちに育てられ、支えられてきた」との思いを忘れずに、町内会の活動や中高生に向けた職場体験などに率先して取り組んでいるそうです。

とりわけ、ご好評なのが20回以上にわたり開催されてきた「あん祭り」。おはぎやどら焼きなど餡にまつわるものを格安で提供するのはもちろん、社長の得意料理のイカめしなども登場。例年大好評だそう。こうして地元でも餡にふれる機会をつくり、多くの人に餡の魅力を知ってもらうのも、当社の大切な使命のひとつなのです、と話してくれました。

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工場内には直売所『あん庵』を併設し、餡のおいしさを広める取り組みも行う福居餡製作所。「あんソフト」や「あんどらソフト」などユニークなスイーツも楽しめるので、旭川に足を運んだ際にはぜひ立ち寄ってみて!

株式会社福居製餡所
住所

北海道旭川市2条通20丁目左9号

電話

0166-31-5001

URL

http://www.seianjo.co.jp/


餡は「餡屋」。職人技でおいしさを突き詰める株式会社福居製餡所

この記事は2015年10月6日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。