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まちおこしレポート
共和町

町の人の笑顔が集う、西村計雄記念美術館。20170515

町の人の笑顔が集う、西村計雄記念美術館。

後志エリアは美術館が充実!

山でのスキーやラフティング、海でのサーフィン、ダイビングなどなど...。
後志エリアのレジャーといえばアウトドアなイメージが強いですが、実は美術館がとても充実しているということを知っていますか?

倶知安町にある小川原脩記念美術館をはじめ、岩内町の木田金次郎美術館、荒井記念館、 ニセコ町の有島記念館、そして、共和町の西村計雄記念美術館。各館では地元にゆかりのあるアーティストの作品を展示し、これらを結ぶ「しりべしミュージアムロード」というドライブルートもつくられています。

今回はそのひとつ、共和町の西村計雄記念美術館にお邪魔しました。

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西村計雄ってどんなひと?

「西村計雄は共和町出身で戦後のパリで活躍した洋画家です」。そう教えてくれたのは美術館で学芸員を務める磯崎亜矢子さん。
「町内の小沢という地区で生まれ、幼少期より画家を志していたそうです。学生時代以降を東京で過ごし、昭和26年にフランスに渡りました。その時、計雄は既に40歳を過ぎていて、結婚して奥さんも子どもも3人いたんですよ。それなのに単身フランスに行っちゃうって、なかなかすごい人ですよね(笑)」
磯崎さんは作品を前にして、楽しそうに解説してくれました。

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「ふつう油絵って言うと、もっと厚塗りでつやつやした画面をイメージすると思うんですけど、計雄の油絵って、こんなふうにすごく薄塗りで、日本画のような質感です。パリでは、『西洋と東洋の美を融合した』として、高く評価されました。柔らかな色彩は、ピカソを育てた画商として知られるカーンワイラーが、『和菓子の色』と評したといいます」
なるほど、その作品は油絵でありながら、まるで水彩画を思わせる独特の雰囲気です。

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また、西村計雄は日記のように日々、画風が変化していったことでも知られているそう。「ずっと同じような絵を描いていてはダメなんだ、と西村先生はおっしゃっていました。世の中に認められるためには貪欲に新しい描き方に挑んでいかなくてはいけない。そのバイタリティが計雄のスゴさでもあるんです」
磯崎さんの言葉の端々からは、画家 西村計雄への強いリスペクトが伝わってきます。

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子どもたちにホンモノの絵を見てもらいたい

美術館がオープンした経緯については、同席してくれた福井館長が話してくれました。
「町内の子どもたちに、本物の絵に触れて、感性を育んでほしいという思いがあったわけです。そして、せっかくこの町の出身で世界的に活躍する画家がいるんだから...と、西村画伯の作品を展示する美術館がつくられることになりました。開館当時は画伯もお元気で、セレモニーにも参加していただいたんです。まだまだ活躍されそうでしたが、その翌年に東京でお亡くなりになりました」

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5000点もの遺作が美術館に

西村計雄の死後、美術館は大きな転機を迎えます。それが遺作の受け入れ。開館時の作品数は100点ほどでしたが、ご遺族が東京のアトリエにあった作品をすべて美術館へ寄贈。その数は5千数百点にのぼりました。
「貴重な美術作品ですから、北海道へと輸送するだけでも大変でした」と磯崎さん。「当時担当してくれた運送会社の方も、一生忘れられない仕事になりました、とおっしゃっていました。それから作品を分類、整理するのにも相当な時間がかかりました」
美術館では年に4回ほど展覧会を開催し、テーマに合わせて100〜200点を展示しています。「代表的な作品は常に展示するようにしていますが、展覧会のたびに作品をガラリと入れ替える事ができるのは、たくさんの遺作を寄贈いただいたからこそなんです」

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子どもも大人も楽しい、トライアート!

西村計雄記念美術館では、作品の展示だけではなく、多彩なプログラムを企画して、町民がアートを身近に感じられる機会を提供しています。それが「トライアート」という取り組み。「毎月1回、アートを気軽に楽しめる町民参加のプログラムを実施しています。みんなで凧をつくって、凧揚げを楽しんだり、和菓子の色と言われた計雄の作品を見て、実際に和菓子をつくってみたり、油絵教室も人気のあるプログラムです」
10年前から続けられているというこの取り組みは、既に150回を突破。当初から毎回家族で参加してくれたファンが、現在では、美術館を応援する力強いサポーターとなっているそうです。

「開館当初はアーティストのワークショップなどを企画していたんですが、それだと興味をもつ人が限られてしまいます。長く、継続して参加してもらえるようなプログラムにしたいと考え、現在のようなスタイルになりました」
特に人気のプログラムは毎年夏に、子どもたちが長〜い紙に絵を描くというもの。最初は恐る恐る小さく絵を描いて子どもたちも、最後には全身絵の具まみれになって大騒ぎ。美術館の夏の風物詩のひとつになっています。

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町の人の笑顔があふれる美術館

こうした取り組みの甲斐もあり、 美術館は町の子どもたちにとって、ぐっと身近な存在になりました。町内の小学校では、絵画鑑賞をしてから隣の公園でお弁当を食べるのが定番の遠足コースとなっています。
また、美術館では地域のお年寄り向けの介護予防事業に協力。「昭和の風物を描いた油彩画や、地域のくらしを記録した写真を見ながら、思い出を語り合ってもらうんです。これは回想法といって、認知症の予防などに効果があるといわれています」
老若男女を問わず、さまざまな形でアートに触れられる西村計雄記念美術館。ふるさとが産んだ偉大なる画家の作品は、今日も共和町の人々の笑顔に囲まれています。

西村計雄記念美術館
住所

北海道岩内郡共和町南幌似143-2

電話

0135-71-2525

URL

http://www.musee-nishimura.jp/


町の人の笑顔が集う、西村計雄記念美術館。

この記事は2017年3月24日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。